練習オタクの日々

3日ぼうずにはしたくありません!この日記とピアノのお稽古。練習記録とその他読書などの記録をつけておきます。

『白夜行』 東野圭吾

2007-02-07 | 読書
もういつ予約したんだかよく覚えていないくらいだったのがやっと図書館から届いて、文庫なのにこのブ厚さ、そのことに読む前からめげる気持ちとワクワクする気持ちとが混在する状態。
そして予約者多数の本です期限内にかならずおかえしくださいという張り紙に恐れをなして「ホントにこの長~い本、2週間で読み終わるのかしら???」と心配する気持ち。
でもそんなのは杞憂に過ぎなかった!
面白くてどんどん読み進んでしまった!
(今さらなんですけどね・・・もうすっかり乗り遅れてますけど・・)

この話はミステリーではあるけど、推理小説ではない。だってあれだけ話題になったし、ドラマにもなったし、ちょっと読むだけで雪穂(=綾瀬はるか)と亮司(=山田孝之)が物語の中心人物であり、もうネタバレにすらならないとも思うけど、事件の黒幕であるということは明らかすぎるくらい明らか。
最後にとんでもないどんでん返しで犯人が分かる、とかいう展開はないのだけれど、この二人の行く末を見届けたくてページをめくってしまう。

それから、すごいのは登場人物の多いこと、多いこと。
えっと誰だっけこの人、と思いながら読んでいると、あ~そうだった、あのシーンに出てきたあの人、こんなところに絡んでいたんだ、という驚きの連続。

でも、本当にすごいのはこれだけ長い物語でさまざまな人が現れるのに、雪穂と亮司の視点、気持ちで物語が語られるシーンが一切ない、ということだ。
しかも二人が登場するシーンはそれこそ全体の半分以下のような印象だが、それでもどの場面においても二人の存在が影のように付きまとって離れない。

ものすごい悪女と悪い男の話なんだけど、でもこの二人ってとっても悲しい人間で、幼い日の図書館でのひとときだけが一番幸せな最後の瞬間だったんだろうなぁと思うと、読み終わったときに悲しさが伝わってくるような話だった。

東野さんってすごく上手な物書きなんだなぁ、と改めて思わされた一作だった。