まち・ひと・くらし-けんちくの風景-

建築設計を通してまち・ひと・くらしを考えます。また目に映るまち・人・くらしの風景から建築のあるべき姿を考えています。

Ver.1.0 鶴岡まちなかキネマの再生(旧バージョン)

2020-10-22 11:09:02 | 民間建築 Private Sector Building

新バージョンで考え方と提案を更新しました。そちらをごらんいだけますか?

https://blog.goo.ne.jp/1210tokihiko/e/1038137cfac4c76d2d7e60c3b4b2b82a

 

 

鶴岡まちなかキネマ再生に向けて大切にしたいと思うことを記します。

2020.10.22

高谷時彦

 

1.文化財へ登録すること

・国登録文化財への下打ち合わせは終了済み。文化的な価値を生かした創造的改修については高い評価。推薦内容の文章も作成済み(資料提供可能です)。

・絹織物の『産業文化遺産で映画が愉しめるまち鶴岡』(資料提供可能です)にふさわしい、文化財を使った鶴岡らしい地域再生プロジェクトとする。

 

2.映画と舞台芸術をベースとした創造的再生

・鶴岡はユネスコ創造都市=文化や創造性(創造産業)を持続的開発や都市再生の推進力とする都市(ユネスコ)。

・まちの再生=創造的な場の創出、創造的に活動する人の場所づくり。質の高い環境を創出することで創造的活動をする人々の住みたいまちをつくる。学術文化都市鶴岡らしいまちなか再生のモデル。

(例)ここでの創造産業=映像文化産業、人材:T監督、W監督、H監督、映画村。映画+舞台芸術。応援して下さる多くの映画舞台関係者、まちづくり関係者・・・・。

(例)ここでの創造的活動=高水準、広いすそ野を持つ市民の舞台芸術活動、市民の文化活動、市民の支援活動。

・市民の映画鑑賞を支える高い音響性能(65回日本映画テレビ技術協会特別賞)や建築的評価(2013日本建築学会作品選奨他多数)を持つ、シアター空間を創造的に活用すること。

(➡ただ建物の外観が残ればよい、シアター空間を壊したほうが利用しやすいという考えは、建物の価値を生かした創造的解決とは最も遠いところにある)

 

3.市と地元会社の連携で敷地全体を活用

・市民の出資によるまちづくり会社がこれまで奮闘してきた(自助+国の補助金)。

・しかし、一企業の力では限界。これからは共助(コミュニティの力)、公助(自治体)が、協力していくことが必要。

・4つのシアター空間をうまく連携して活用。

(例)地元企業が商業的(マーケット規模は7,8万人/年)に2つの映画館(+α)を運用(市との長期独占契約)。

(例)2つの劇場(+α)を地域の舞台芸術活動の場として活用(市から地元企業への指定管理)。

(例)大スペースのあるD、E棟を舞台芸術の稽古場、練習場(公共施設)、創造活動のアトリエ(アートフォーラムが目指したアーティストインレジデンス)。

(例)E棟の1階はピロティとして、自由な使用が可能なまちの土間とする

・まちの再生≠個別商店の再生。公共の場、共の担い手としての商店街×(まちづくり鶴岡を継承する)まちづくり会社×公を担う自治体の共同作業。

(➡行政に「民間企業のしりぬぐいはしない」「放っておくと地元がだめになるので今回だけは助けたい」ということがあるとすれば、まちキネ再生プロジェクトの持つ公共性への無理解。市民出資会社のまちづくり鶴岡が市の支援も受けずに、公を担ってきたという事実が出発点。自治体に集まる多様な情報を整理して、きちんとした理念と方法を提示して市民と対話しながら進めていくことを望む)

 

4.お金をかけない再生

・B、C棟はそのまま活用。なるべく今ある資産を生かすというのが賢明なやり方。

・D、E棟も一部の解体を除きそのまま活用。

(➡高機能空間であるシアター空間の設えを撤去して外観だけ残すという考えは、シアター空間の文化的価値と経済的価値を無視する暴挙。床の位置(レベル)を変えるだけで、建築基準法への適合など相当大掛かりな工事費がかかる。10年前に市民の浄財と国の補助金(私たちの税金)でつくったものを壊すことに資金を費やすことは、とても創造的な解決とは言えない)

 

以上は私の思いですが、まちキネの再生を巡っては各人いろいろな意見があると思います。

一万人以上の市民が再生を願っているまちなかキネマです。オープンな議論を経て、創造的で、未来志向であること、そして江戸以来の学術文化の伝統に誇りを持つ鶴岡市民が、納得いく解決案が見いだされるよう心から祈っています。

高谷時彦

 


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