まち・ひと・くらし-けんちくの風景-

建築設計を通してまち・ひと・くらしを考えます。また目に映るまち・人・くらしの風景から建築のあるべき姿を考えています。

石原慎太郎さんの”行為と死”

2022-02-06 23:35:47 | 建築・都市・あれこれ  Essay

小説家であり政治家でもあった石原慎太郎さんが数日前に亡くなった。TVをだらだらとつけていたら、政治家として盟友であった亀井静香さんが、最後に石原氏に会ったときのことを語っている。石原氏は涙をこぼしていたという。亀井氏が慮るには「畳の上で死んでしまう」という無念の涙だという。その推測が当たっているかどうかは、知る由もないが、私は石原氏の小説「行為と死」を思い出した。戦場から帰還し、目標を失った人間の虚無的な生き方とある種の絶望感を描いていたように記憶する。石原氏は主人公と同じように、あくまで戦場で死にたかったのか?

75年に都知事選に立候補した。小説家としては面白い人、当時の若い世代には絶大な人気があったと思う。しかし政治家としての石原慎太郎にはNOを言いたい。当選させてはいけない。いつも自分の投票した人が当選したことがなかった自分(その後も同じ)であるが、その時だけは美濃部さんに投票し、彼が選ばれた。よかった。久しぶりにそんなことを思いだした。

小説家石原慎太郎さんの「行為」としての人生を見させていただきました。心よりご冥福をお祈りします。

 

 


日本橋高島屋で坂倉準三さんの展覧会を見てきました

2022-02-06 19:10:47 | 建築まち巡礼関東 Kanto

日本場高島屋で「建築家・坂倉準三と高島屋の戦後復興ー「輝く都市」をめざして」を見てきました。

この模型は高島屋の和歌山店。前川国男さんの紀伊国屋や、コルビュジエの作品を思い出します。坂倉さんは、実に長い間コルビュジエを師として、彼の事務所にいました。たしか代表作の一つ(だと思う)であるパリ博の日本館の設計も師の事務所で行ったのではなかったでしょうか。実は日本館が展示されていると期待したのですが、そういう展示会ではありませんでした。でも、高島屋や東急の渋谷、新宿西口などを設計するエネルギー、時代の力を感じさせるいい展示だったと思います。監修はここでも松隈 洋(京都工芸繊維大学教授)さん。本当に多方面で活躍されており、私たちに近代建築の巨匠たちとの接点をつくりだしてくれています。

日本橋は私がかつて13年間通ったまち。槙事務所は日本橋通り三丁目、右奥に見えている高島屋の並びににありました。久しぶりにいくと実に大きく様変わり。活力があるということでしょうが、日本橋にいるのか、ソウルの街角にいるのか、わからない様相です。

ついでに日本橋のキリン像も見てきました。

 


モニカ・ヴィッティさんがなくなりました

2022-02-06 18:11:10 | 建築・都市・あれこれ  Essay

女優のモニカ・ヴィッティさんが亡くなったというニュース。たまたま見たミケランジェロアントニオーニの「赤い砂漠」の中の一シーンを思い出しました。ただの白い壁(建築のインテリア)の前に彼女が立っているというそれだけのシーン。しかし、とんでもない存在感があります。壁の持っている質量、量感を圧倒するものでした。それを出したアントニオーニがすごいのかもわかりません。昨年の秋にはジャンポールベルモンドもなくなりました。この人も軽そうに見えて不思議な存在感。「リオの男」などのシリーズも面白かったですが、「勝手にしやがれ」や「気狂いピエロ」の「危なくて繊細、そしてざらっとした」質感もよかった。「気狂いピエロ」で共演していたアンナカリーナも1,2年前に亡くなりましたね。一つの時代の終幕でしょうか。