東久留米 学習塾 塾長ブログ

東京都東久留米市滝山の個別指導型学習塾 塾長白井精一郎のブログ

ジュニア数学オリンピックの簡単な問題(37)

2016-07-31 10:25:05 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

涼しい北よりの風が吹いていて過ごしやすい日になりました。午後には、この風が運んできた湿った空気のために雨が降るようです。涼しい夜になりそうです。

さて、今回は2013年ジュニア数学オリンピック予選に出題された整数問題を取り上げます。

問題は、
「201/a+3/bが整数であるような正の整数の組(a,b)はいくつあるか。」
です。

早速、取り掛かりましょう。

ここは定石通り、aとbの最大公約数をgとして、
a=mg                    (1)
b=ng                    (2)
mとnは互いに素である正の整数
とおくのがよいでしょう。

そこで(1)(2)を与式に代入して、
201/(mg)+3/(ng)=1/g(201/m+3/n)
              =1/g((201n+3m)/(mn))     (3)
を得ます。

このとき、(3)は整数なので、mは201n+3mの約数で、したがって、mは201nの約数になります。

ところが、mとnは互いに素であるので、mは201の約数で、すなわち、
m=1、3、67、201            (4)
のいずれかになります。

同様に、nは201n+3mの約数であることから、nは3mの約数で、したがって3の約数です。

つまり、
n=1、3
のいずれかになります。

以上から、mとnの組合せ[m,n]は、mとnが互いに素でない[3,3][207,3]を除くと、
[1,1][1,3][3,1][67,1][67,3][201,1]
になります。

続いて、これらの各[m,n]について、有り得るgの個数を計算しましょう。すると(1)(2)から、このgの個数が(a,b)の組合せの個数になります。

・[1,1]のとき
(3)=1/g(201+3)=1/g・204
になり、これが整数になるので、gは204の約数です。

ところが、
204=2^2×3×17
と素因数分解されるので、204の約数の個数は、(2+1)(1+1)(1+1)=3×2×2=12個で、(a,b)の個数は12個です。

(ここで、ある正の整数Nが、

と素因数分解されるとき、Nの約数の個数は、

になります。約数と式の展開

・[1,3]のとき
(3)=1/g((201・3+3)/3)=g/1・202
になり、gは202の約数です。

ここで、
202=2×101
から、202の約数の個数は、(1+1)(1+1)=4個で、(a,b)の個数は個です。

・[3,1]のとき
(3)=1/g((201・1+3・3)/3)=1/g・70
になり、gは70の約数です。

ここで、
70=2×5×7
から、202の約数の個数は、(1+1)(1+1)(1+1)=8個で、(a,b)の個数は個です。

・[67,1]のとき
(3)=1/g((201+3・67)/67=1/g・6
になり、gは6の約数です。

ここで、
6=2×3
から、6の約数の個数は、(1+1)(1+1)=4個で、(a,b)の個数は個です。

・[67,3]のとき(3)=1/g((201・3+3・67)/(67・3))=1/g・4
になり、gは4の約数です。

ここで、
4=2^2
から、4の約数は、2+1=3個で、(a,b)の個数は個です。

・[201,1]のとき
(3)=1/g((201+3・201)/201)=1/g・4
になり、gは4の約数です。

ここで、
4=2^2
から、4の約数は、2+1=3個で、(a,b)の個数は個です。

以上から、(a,b)の組合せの個数は、1234個で、これが答えです。


頻出の解法パターンなので、頭に入れておくと役に立つでしょう。

ジュニア数学オリンピックの簡単な問題(36)

2016-07-30 11:23:45 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

晴れの日が続いて夏らしくなってきました。東久留米の気温は32℃になるようで、晩のビールが楽しみです。ところが明日から来週半ばまで、ぱっとしない天気になるようで、いつもと違う夏が続きます。

さて、今回は2010年ジュニア数学オリンピック予選に出題された場合の数の問題を取り上げます。

問題は、
「2010以下の正の整数の組(a,b,c)で、a+b+cがa、b、cすべての倍数になっているようなものはいくつあるか。ただし、3つの数が並ぶ順番が異なる組は区別する。」
です。

早速、取り掛かりましょう。

まず、a≧b≧cと仮定して調べましょう。(あとでa、b、cの大小の組合せの場合の数を乗じます)

a+b+cはaの倍数なので、b+cはaの倍数になります。

ところが、仮定からb+c≦2aなので、
b+c=2a
または
b+c=a                      (1)
が成り立ちます。

そこで、b+c=2aとaで場合分けしましょう。

●b+c=2aの場合
仮定からb、c≦aなので、b=c=aになり、(a,b,c)は(a,a,a)です。

ここで、a≦2010から、a≧b≧cと仮定したときの(a,b,c)の組合せは2010通りです。

一方、a、b、cの大小の組合せは、a=b=cなので、1通りです。

したがって、(a,b,c)の組合せは2010通りになります。

●b+c=aのとき
a+b+c=2aで、2aはb、cの倍数なので、
2a=mb=nc (m、nは正の整数)      (2)
と表すことができます。

ここで、(2)を変形して、
b=2a/m                      (3)
c=2a/n                       (4)
とし、(3)(4)を(1)に代入して整理すると、
2a/m+2a/n=a
2/m+2/n=1
1/m+1/n=1/2                 (5)
になります。

一方、仮定からb≧cなので、これに(3)(4)を代入して、
2a/m≧2a/n
1/m≧1/n                     (6)
が成り立ちます。

そこで、(5)と(6)から
1/2=1/m+1/n ≦1/m+1/m=2/m
なので、
m≦4
です。

ここから、m=1、2、3、4で場合分けします。

・m=1の場合
(3)から
b=2a
で、これを(1)に代入すると、2a+c=aからc=-aとなり不適です。

・m=2の場合
(3)から
b=a
で、これを(1)に代入すると、a+c=aからc=0になり不適です。

・m=3の場合
b=2a/3
で、これを(1)に代入すると、2a/3+c=aからc=1/3aになり、(a,b,c)は(a,2a/3,a/3)です。

ここで、a≦2010から c=a/3≦670で、a≧b≧cと仮定したときの(a,b,c)の組合せは670通りになります。

一方、a、b、cの大小の組合せは、a>2a/3>a/3、つまり、a≠b≠cなので、6通りになります。

したがって、(a,b,c)の組合せは、670×6=4020通りです。

・m=4の場合
(3)から
b=a/2
で、これを81)に代入すると、a/2+c=aからc=a/2になり、(a,b,c)は(a,a/2,a/2)です。

ここで、a≦2010から、b=c=a/2≦1005で、a≧b≧cと仮定したときの(a,b,c)の組合せは1005通りになります。

一方、a、b、cの大小の組合せは、a>a/2、つまり、a≠b=cなので、3通りになります。

したがって、(a,b,c)の組合せは、1005×3=3015通りです。

以上から、条件を満たす(a,b,c)の組合せは、2010402030159045通りです。 


初めにa、b、cの大小関係を仮定して、条件を満たす(a,b,c)の個数を求めたあと、a、b、cの大小の組合せの場合の数を乗ずれば簡単です。

日本数学オリンピックの簡単な問題(29)

2016-07-29 11:35:57 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

空には夏らしい雲が見られますが、相変わらず太平洋高気圧は現れず、いつもの夏とは少し違った様相です。しばらく気温が30℃前後の日が続き、暑さが増すのは少し先のようです。

さて、今回は2012年日本数学オリンピック予選に出題された場合の数の問題です。

問題は、
「次の条件をみたすように正の整数の列を書く方法は何通りあるか。
 条件:最初に2012を書き、最後に1を書く。 nを書いた次には√n未満の正の整数を書く。」
です。

早速、取り掛かりましょう。

様子が判りづらいので、少し小さな数で調べてみましょう。

例えば、最初の数が2のとき、√2=1.414・・・なので、次にくる数は1になり、このときの整数列は、[2,1]で1通りです。

最初の数が3と4のときも、√3=1.732・・・と√4=2なので、このときの整数列は、それぞれ[3,1]で[4,1]で、どちらも1通りです。

それでは最初の数を5にしてみると、√5=2.236・・・なので、このときの整数列は、[5,2,1]、[5,1]の2通りになります。

次に、少し飛んで最初の数が10のとき、√10=3.162・・・なので、このときの整数列は、[10,3,1]、[10,2,1]、[10,1]で、3通りです。

ここで少し考えをめぐらしてみると、
・2^2=4以下の数が最初の数の場合、次にくる数は1
・最初の数が4より大きくて9以下の数の場合、次にくる数は2または1
・最初の数が10の場合、次にくる数は3、2または1
と、平方数を境にして、次にくる数の個数が増えていくことが判ります。

さらに、最初の数が10のときの整数列[10,3,1]と[10,2,1]の個数は、それぞれ整数列[3,1]と[2,1]の個数に等しくなります。

以上から、問題に与えられた条件を満たす整数列の個数の規則が判りました。

そこで、最初の数をkとして、条件を満たす整数列の個数をAkとしましょう。このとき、√2012=44.855・・・なので、最初の数が2012の場合、次にくる数は44以下になります。つまり、A44までを調べればOKです。

すると、
A1=A2=A3=A4=1
A5=A6=A7=A8=A9=A1+A2=2
A10=A11=・・・=A16=A1+A2+A3=3
A17=A18=・・・=A25=A1+A2+A3+A4=4
A26=A27=・・・=A36=A1+A2+A3+A4+A5=6
A37=A38=・・・=A44=A1+A2+A3+A4+A5+A6=8
になり、
A2012=A1+A2+・・・+A44
    =  (A1+A2+・・・+A4)
     +(A5+A6+・・・+A9)
     +(A10+A11+・・・+A16)
     +(A17+A18+・・・+A25)
     +(A26+A27+・・・+A36)
     +(A37+A38+・・・+A44)
    =1×4+2×5+3×7+4×9+6×11+8×8
    =4+10+21+36+66+64
    =201
です。

したがって、問題に与えられた条件を満たす整数列は201通りです。


簡単な具体例を調べてみると見通しが良くなります。意味の判りづらいときは試してみてください。

ジュニア数学オリンピックの簡単な問題(35)

2016-07-28 12:05:09 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

関東地方も梅雨明けになりました。しかし、天気図には夏の太平洋高気圧が見当たらず、その代わりにオホーツク海高気圧が元気なので、しばらく猛暑にはならないようです。

さて、今回は2013年ジュニア数学オリンピック予選に出題された場合の数の問題を取り上げます。

問題は、
「下図のように10個の点が並んでおり、このうち相異なる5個の点に印がついている。10個の点のうち4個を通るような直線は5本あり、下図において実線で示されている。このうちどの直線についても、直線上にある4点のうち、印がついているものはちょうど2個であった。このような印のつき方は全部で何通りあるか。ただし、回転や裏返しで一致するものも区別して数える。」
です。

▲問題図

早速、取り掛かりましょう。

例えば図1のように、問題図の星形の外側の5点に印がついた場合、5本のすべての直線について、それらの上の4点のうち2点に印がついているので、これは条件を満たしています。(印を、4点中2点に印がついた直線を青色線で示しました)

つまり、条件を満たす印のつき方は通りです。


▲図1.星形の外側の5点に印がついた場合

一方、図2のように、星形の内側の5個の点に印がついた場合、これも条件を満たし、印のつき方は通りです。


▲図2.星形の内側の5点に印がついた場合

そうすると、あとは星形の外側の5点のなかに、(1)印が4点の場合、(2)印が3点の場合、(3)印が2点の場合、(4)印が1点の場合、の4通りを調べれば良さそうです。

(1)印が4点の場合
図3のように、内側の5点のどこに印をつけても、4点中3点に印がついた直線ができるので、この場合は条件を満たしません。

したgって、印のつき方は通りです。


▲図3.外側の4点に印がついた場合

(2)印が3点の場合
外側の3点の印のつけ方は、(2-1)3点が互いに隣り合う場合と(2-2)2点が隣り合い、1点が離れている場合に分けられます。

(2-1)3点が互いに隣り合う場合
図4のように、内側に2点に印()をつけることにより、条件を満たします。

このとき、外側の5点から3点が互いに隣り合う選び方は5通りなので、条件を満たす印のつき方は通りです。


▲図4.3点が互いに隣り合う場合

(2-2)2点が隣り合い、1点が離れている場合
図5のように、条件を満たすことはできないので、印のつき方は通りです。


▲図5.2点が隣り合い、1点が離れている場合

(3)印が2点の場合
外側の2点の印の付け方は、(3-1)2点が隣り合う場合と(3-2)2点が離れている場合に分けられます。

(3-1)2点が隣り合う場合
図6のように、内側に3点記しをつけることにより、条件を満たします。

このとき、外側の5点から2点が隣り合う選び方は5通りなので、条件を満たす印のつき方は通りです。


▲図6.2点が隣り合う場合

(3-2)2点が離れている場合
図7のように、条件を満たすことができないので、印のつき方は通りです。


▲図7.2点が離れている場合

(4)印が1点の場合
図8のように、条件をみたすことができないので、印のつき方は通りです。


▲図8.印が1点の場合


以上をまとめると、条件を満たす印のつき方の合計は、12通りで、これが答えです。


図を描いて調べれば簡単な問題です。

ジュニア数学オリンピックの簡単な問題(34)

2016-07-27 14:55:10 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

昨日と同じような蒸し暑い日になりました。ラジオやTVの天気予報によると、明日、明後日に梅雨が明けるようですが、未だに太平洋高気圧が現れないので、いつもと違った夏になりそうです。

さて、今回は2009年ジュニア数学オリンピック予選に出題された図形問題です。

問題は、
「一辺の長さが1の小立方体が8つある。これらを重ねて、下図のように一辺の長さが2の立方体を作った。このとき、もとの小立方体の頂点と一致する点を2点以上通るような直線は空間内に何本あるか。」
です。

▲問題図

早速、取り掛かりましょう。

小立方体の頂点を2点以上通る直線は、小立方体の頂点を2点通るものと3点通るものだけで、4点以上通るものはありません。

そこで、一辺の長さ2の立方体(以下、大立方体)の頂点、辺の中点、面の中点から、その他の1点および2点を通る直線をそれぞれ勘定することにしましょう。

●大立方体の頂点とその他の1点を通る直線の数
図1のように、大立方体の頂点を結ぶ直線は小立方体の2点を通る直線になり、その数は12本です。


▲図1.大立方体の頂点とその他の1点を通る場合

一方、大立方体の頂点は8個あるので、この条件を満たす直線の数は、12×8=96本です。

●大立方体の頂点とその他の2点を通る直線の数
図2のように、を結ぶ直線は小立方体の3点を通る直線になり、その数は7本です。


▲図2.大立方体の頂点とその他の2点を通る場合

したがって、この条件を満たす直線の数は、7×8=56本です。

●大立方体の辺の中点とその他の1点を通る直線の数
図3のように、大立方体の辺の中点を結ぶ直線は小立方体の2点を通る直線になり、その数は18本です。


▲図3.大立方体の辺の中点とその他の1点を通る場合

一方、大立方体の辺の中点は12個あるので、この条件を満たす直線の数は、18×12=216本です。

●大立方体の辺の中点とその他の2点を通る直線の数
図4のように、を結ぶ直線は小立方体の3点を通る直線になり、その数は3本です。


▲図4.大立方体の辺の中点とその他の2点を通る場合

したがって、この条件を満たす直線の数は、3×12=36本です。

●大立方体の面の中点とその他の1点を通る直線の数
図5のように、大立方体の面の中点を結ぶ直線は小立方体の2点を通る直線になり、その数は16本です。


▲図5.大立方体の面の中点とその他の1点を通る場合

一方、大立方体の面の中点は6個あるので、この条件を満たす直線の数は、16×6=96本です。

●大立方体の面の中点とその他の2点を通る直線の数
図6のように、を結ぶ直線は小立方体の3点を通る直線になり、その数は1本です。


▲図6.大立方体の面の中点とその他の2点を通る場合

したがって、この条件を満たす直線の数は、1×6=6本です。

以上を合計すると、直線の数は、96+56+216+36+96+6=506本になりますが、これは2度重複して数えているので、求める答えは、506÷2=253本になります。


27個の小立方体の頂点から2点選ぶ場合の数から重複するものを差し引く解き方もあります。興味のある人は調べてみてください。

ジュニア数学オリンピックの簡単な問題(33)

2016-07-26 10:40:05 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

気温は25℃なのですが、湿度が84%と高めで、昨日より蒸し暑くなりました。明日も同じような天気になるようですが、明後日から晴れ間が増え、夏らしい暑い日が続くようです。

さて、今回は2009年ジュニア数学オリンピック予選に出題された整数問題を取り上げます。

問題は、
「1以上100以下の奇数をすべて掛けあわせた数の下3桁を求めよ。」
です。

早速、取り掛かりましょう。

1以上100以下の奇数をすべて掛けあわせた数をNとすると、
N=1×3×5×・・・×25×・・・×99         (1)
になります。

ここでNの下3桁の数は、Nを1000で割った余りになるので、この余りを求めればOKです。

そこで、Nを1000で割ったときの商をQ、余りをAとすると、
N=1000Q+A                       (2) 
0≦A≦999                          (3)
が成り立ちます。

ここで、1000=125×8を思い出すと、(1)から、Nは、5×25=125を約数に持つので、(2)は、
N=125n=125×5Q+A
と表すことができます。

すると、Aは125の倍数であることが判り、かつ、(3)を満たす数であることから
0、125、250、375、500、625、750、875
のいずれかになります。

次に、(1)の右辺の各数を8の剰余類で表すと、
1 =8・0 +1
3 =8・0 +3
5 =8・1  -3
7 =8・1  -1
9 =8・1 +1
11=8・1 +3
   ・
   ・  
   ・
99=8・12+3
で、これから、
N=(8・0+1)(8・0+3)(8・1-3)(8・1-1)・・・( 8・12+3)
です。

つまり、Nを8で割った余りは、
1×3×(-3)×(-1)×・・・×3=1^13×(-1)^12×3^13×(-3)^12
                =3^25
を、8で割った余りに等しくなります。

そこで、3^25を8で割った余りを調べると、
3^25=9^12×3=(8・1+1)^12×3
から、それはということが判ります。

ここまでをまとめると、Aは
・0、125、250、375、500、625、750、875のいずれか
・8で割ると3余る
となります。

そこで、0、125、250、375、500、625、750、875を8で割ってみると、
0÷8  =  0・・・0
125÷8= 15・・・5
250÷8= 31・・・2
375÷8= 46・・・7
500÷8= 62・・・4
625÷8= 78・・・1
750÷8= 93・・・6
875÷8=109・・・
で、Aは875になります。

したがって、1以上100以下の奇数をすべて掛けあわせた数の下3桁は875で、これが答えです。


応用範囲の広い解き方なので、頭に入れておくと役に立つでしょう。

日本数学オリンピックの難しい問題(5)

2016-07-25 10:37:32 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

気温は26℃なのですが、少し蒸し暑く感じます。明日、明後日と雨模様の天気ですが、それ以降、晴れ間が多くなるようです。

さて、今回は2009年日本数学オリンピック本選に出題された整数問題を取り上げます。

問題は、
「8^n+nが2^n+nで割り切れるような正の整数nをすべて求めよ。」
です。

早速、取り掛かりましょう。

8^n=(2^3)^n=(2^n)^3 なので、8^n+nが2^n+nで割り切れるということは、(2^n)^3+nが2^n+nで割り切れるということです。

ここで実際に割り算をすると、
((2^n)^n+n)÷(2^n+n)=(2^n)^2-n・2^n-n^2 ・・・-(n^3-n)
で、(2^n)^3+nが2^n+nで割り切れるということは、n^3-nが2^n+nで割り切れるということになります。

さらに、n^3-nが2^n+nで割り切れるためには
n^3-n≧2^n+n        (1)
が成り立たなければなりません。

このとき、n^3-nがnの3次式であるのに対して、2^n+nは2のn乗の式なので、ある程度大きなnについて、(1)が成り立たないことが予想できます。(これで、nの範囲を絞ることができそうです)

そこで、(1)から
n^3>n^3-n≧2^n+n>2^n
を導き、n^3と2^nを比べてnの上限を見積もりましょう。

n=10のとき、n^3=10^3=1000、2^n=2^10=1024で、n^3-n=990、2^n+n=1034なので、(1)は成り立ちません。

n=9のとき、n^3=9^3=729、2^n=2^9=512で、n^3-n=720、2^n+n=521なので、(1)は成り立ちます。

以上から、n≦9になりそうです。

そこで、n≧10では(1)が成り立たないことを示しましょう。

まず、
f(n)=(n^3)/2^n       (2)
とおき、f(n+1)/f(n)を計算すると、
f(n+1)/f(n)=((n+1)^3/2^(n+1))/(n^3/2^n)
           =1/2((n+1)/n)^3
           =1/2(1+1/n)^3    (3)
になります。

ここで、n=1、2、3、・・・を調べていくと、
n=1のとき、f(2)/f(1)=4>1
n=2のとき、f(3)/f(2)=27/16>1
n=3のとき、f(4)/f(3)=64/54>1
n=4のとき、f(5)/f(4)=125/128<1
で、n≧4のとき、(3)から
f(n+1)/f(n)=1/2(1+1/n)^3≦1/2(1+1/4)^3=125/128<1
になります。

つまり、
f(4)>f(5)>f(6)>・・・
が成り立ちます。

一方、f(10)=1000/1024なので、n≧10のとき、f(n)<1、つまり、n^3<2^nであることが判ります。

以上から、n=1、2、3、・・・、9について、n^3-nが2^n+nで割り切れるかを調べればよいことが判りました。

そこで、実際に計算すると、
n=1のとき、n^3-n=0、2^n+n=3になり、n^3-nは2^n+nで割り切れます
n=2のとき、n^3-n=6、2^n+n=6になり、n^3-nは2^n+nで割り切れます
・n=3のとき、n^3-n=24、2^n+n=11になり、n^3-nは2^n+nで割り切れません。
n=4のとき、n^3-n=60、2^n+n=20になり、n^3-nは2^n+nで割り切れます
・n=5のとき、n^3-n=120、2^n+n=37になり、n^3-nは2^n+nで割り切れません。
n=6のとき、n^3-n=210、2^n+n=70になり、n^3-nは2^n+nで割り切れます
・n=7のとき、n^3-n=336、2^n+n=135になり、n^3-nは2^n+nで割り切れません。
・n=8のとき、n^3-n=504、2^n+n=264になり、n^3-nは2^n+nで割り切れません。
・n=9のとき、n^3-n=720、2^n+n=521になり、n^3-nは2^n+nで割り切れません。
になり、n=1、2、4、6のとき、n^3-nが2^n+nで割り切れます。

したがって、条件を満たすnは、1、2、4、6で、これが答えです。


3次関数と指数関数からnに上限があることが直ぐに判るので見通しのよい問題です。

日本数学オリンピックの簡単な問題(28)

2016-07-24 12:02:26 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

夏の陽射しに比べると弱々しいですが、久しぶりの晴れになりました。しかし、明日から下り坂で週の半ばまでぐずついた空模様になるようです。それ以降は天気予報に晴れマークが続いているので、今週の後半あたりに梅雨明けといったところでしょうか。

さて、今回は2010年日本数学オリンピック予選に出題された場合の数の問題です。

問題は、
「正2010角形がある。その相異なる3頂点A、B、Cの組のうち、三角形ABCの内角がすべて整数度(1°の整数倍)となるようなA、B、Cの組の個数を求めよ。ただし、A、B、Cを並び替えただけの組は同じものとみなす。」
です。

早速、取り掛かりましょう。

図1のように、正2010角形の外接円を円O、1つの頂点をP1、隣り合う2つの頂点をPk、Pk+1とします。


▲図1.正2010角形の外接円を円O、1つの頂点をP1、隣り合う2つの頂点をPk、Pk+1としました

このとき、
∠PkOPk+1=360°/2010
      =12/67°
で、∠PkOPk+1と∠PkP1Pk+1は、中心角と円周角の関係になるので、
∠PkP1Pk+1=1/2・12/67°
       =6/67°
です。

つまり、正2010角形の頂点から3つの頂点A、B、Cを選んだとき、∠A、∠B、∠Cが整数度になるためには、BとCは。Aから数えて(67の倍数+1)番目に位置する頂点にある必要があります。

そこで正2010角形で、ある頂点を基準にしたとき、(67の倍数+1)番目に位置する頂点の個数を計算すると、2010/67=30個であることが判ります。

図2に、この30個の頂点の一例を示します。


▲図2.正2010角形で、67の倍数に位置する30個の頂点の例です

例えば、図2で、A、B、Cが頂点1、12、24の場合、△ABCの内角は、72°、42°、66°ですべて整数度です。

そして、これは他の頂点を選んだ場合も同様なので、A、B、Cの選び方は、30C3=30×29×28/(3×2×1)=4060通りになります。

一方、正2010角形の頂点から上のような30個の頂点の選び方は、2010/30=67通りなので、△ABCの内角がすべて整数度になるA、B、Cの組の個数は、4060×67=272020個になり、これが答えです。


いろいろな正n角形を調べてみるのも面白いです。興味のある人は調べてみてください。

ジュニア数学オリンピックの簡単な問題(32)

2016-07-23 11:30:25 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

天気予報には久しぶりの晴れマークがでていますが、今のところ、どんよりとした曇り空です。オホーツク海高気圧からの涼しい風のおかげで、気温は高くないのですが、少し蒸し暑く感じます。

さて、今回は2009年ジュニア数学オリンピック予選に出題された計算問題を取り上げます。

問題は、
「実数a、b、c、d、e、fが
(a+1999)(b-1999)(c+1999)+(d-1999)(e+1999)(f-1999)=1
(a+2000)(b-2000)(c+2000)+(d-2000)(e+2000)(f-2000)=10
(a+2001)(b-2001)(c+2001)+(d-2001)(e+2001)(f-2001)=100
をみたすとき、
(a+2009)(b-2009)(c+2009)+(d-2009)(e+2009)(f-2009)を求めよ。」
です。

早速、取り掛かりましょう。

与式に、1999や2000など大きい数があるので、ここは、
A=a+2000
B=b-2000
C=c+2000
D=d-2000
E=e+2000
F=f-2000
とおき、与式を簡単な式に書き換えるのがよいでしょう。

すると、
(A-1)(B+1)(C-1)+(D+1)(E-1)(F+1)=1       (1)
ABC+DEF=10                            (2)
(A+1)(B-1)(C+1)+(D-1)(E+1)(F-1)=100     (3)
のとき、
(A+9)(B-9)(C+9)+(D-9)(E+9)(F-9)          (4)         
の値を求めることになります。

そこで、
P(x)=(A-x)(B+x)(C-x)+(D+x)(E-x)(F+x)
というxの3次式(実は2次式です)を考えると、(1)(2)(3)は、それぞれ
P(1)=1                                  (5)
P(0)=10                                 (6)
P(-1)=100                                (7)
になり、(4)は
P(-9)=(A+9)(B-9)(C+9)+(D-9)(E+9)(F-9)    
になります。

一方、P(x)を展開すると、
P(x)= x^3+(-A+B-C)x^2+(-AB-BC+CA)x+ABC
     -x^3+(-D+E-F)x^2+4(DE+EF-FD)x+DEF
    =(-A+B-C-D+E-F)x^2+(-AB-BC+CA+DE+EF-FD)x+ABC+DEF
で、P(x)はxの2次式になることが判ります。

そこで、
p=-A+B-C-D+E-F
q=-AB-BC+CA+DE+EF-FD
r=ABC+DEF
とおいて
P(x)=px^2+qx+r
を作り、これにx=1、0、-1を代入します。

すると、(5)(6)(7)から
P(1)=p+q+r=1                            (8)
P(0)=r=10                                (9)
P(-1)=p-q+r=100                          (10)
が成り立ちます。

続いて(8)(9)(10)の連立方程式を解いて、p、q、rを求めると、
p=81/2
q=-99/2
r=10
で、
P(x)=81/2・x^2-99/2・x+10                   (11)
になります。

ここでは、P(-9)の値を求めればよいので、(11)にx=-9を代入して、
P(-9)=81/2・9^2-99/2・(-9)+10
    =6561/2+891/2+10
    =3736
で、これが答えになります。


(1)から(3)を展開してAB+BC-CA-DE-EF+FD、A-B+C+D-E+Fの値を求め、(4)の展開式に代入しても答えを求めることができます。興味のある人は試してみてください。

ジュニア数学オリンピックの簡単な問題(31)

2016-07-22 11:07:51 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

相変わらず夏の太平洋高気圧の定位置に低気圧が陣取っていて、ぱっとしない天気が続きます。ラジオの天気予報では、今日の気温は5月並みと言っていました。涼しいのは有難いのですが、折角の夏休みなので、もう少し夏らしい天気がいいかなと思う次第です。

さて、今回は2013年ジュニア数学オリンピック予選に出題された整数問題を取り上げます。

問題は、
「a、b、cを2桁の相異なる正の整数とする。積abcの下2桁が99であるとき、a+b+cとしてありうる最大の値を求めよ。」
です。

早速、取り掛かりましょう。

積abcの1桁目が9であることから、a、b、cの1桁目の数を絞り込むことは簡単そうです。

2つの1桁の整数で、積の1桁目が9になる組合せは、
(1,9)(3,3)(7,7)
です。

さらに、2つの1桁の整数で、積の1桁目が上記の3つの組合せに現れた1、3、7、9になる組合せは、
・1になる組合せ
(1,1)(3,7)(9,9)
・3になる組合せ
(1,3)(7,9)
・7になる組合せ
(1,7)(3,9)
・9になる組合せ
(1,9)(3,3)(7,7)
です。

以上から、3つの1桁の整数で、積の1桁目が9になる組合せは、
(1,1,9)(3,7,9)(9,9,9)(1,1,9)(1,3,3)(1,7,7)
(1,3,3)(7,9,3)
(1,7,7)(7,3,9)
で、重複しているものを除き、3つの数を小さい順に並べて整理すると、
(1,1,9)(3,7,9)(9,9,9)(1,3,3)(1,7,7)   
の5通りです。

次に、積abcの2桁目が9であることからa、b、cの条件を引き出しましょう。

上の5つの場合について、2桁の整数は次のように表すことができます。ここで、1≦p、q、r≦9、p、q、rは整数です。

【1】(1,1,9)の場合:10p+1、10q+1、10r+9
【2】(3,7,9)の場合:10p+3、10q+7、10r+9
【3】(9,9,9)の場合:10p+9、10q+9、10r+9
【4】(1.3.3)の場合:10p+1、10q+3、10r+3
【5】(1,7,7)の場合:10p+1、10q+7、10r+7

次に、【1】から【5】について、3つの2桁の整数の積を計算します。

【1】(10p+1)(10q+1)(10r+9)=100(10pqr+9pq+pr+qr)+10(9p+9q+r)+9
【2】(10p+3)(10q+7)(10r+9)=100(10pqr+9pq+7pr+3qr)+10(63p+27q+21r+18)+9
【3】(10p+9)(10q+9)(10r+9)=100(10pqr+9pq+9pr+9qr)+10(81p+81q+81r+72)+9
【4】(10p+1)(10q+3)(10r+3)=100(10pqr+pq+3pr+qr)+10(9p+3q+3r)+9
【5】(10p+1)(10q+7)(10r+7)=100(10pqr+7pq+7pr+qr)+10(49p+7q+7r+4)+9

ここで、<式>を式の1桁目の数とすると、【1】から【5】の2桁目が9になるためには、
【1】 <9p+9q+r>=9
【2】 <63p+27q+21r+18>=9 ⇒ <63p+27q+21r>=1 ⇒ <21p+9q+7r>=7
【3】 <81p+81q+81r+72>=9 ⇒ <81p+81q+81r>=7 ⇒ <p+q+r>=7
【4】 <9p+3q+3r>=9 ⇒ <3p+q+r>=3
【5】 <49p+7q+7r+4> ⇒ <49p+7q+7r>=5 ⇒ <7p+q+r>=5
です。

さらに3つの2桁の数が相異なることを付け加えてまとめると、
【1】 <9p+9q+r>=9、p≠q
【2】 <21p+9q+7r>=7
【3】 <p+q+r>=7、p≠q≠r
【4】 <3p+q+r>=3、q≠r
【5】 <7p+q+r>=5、q≠r   
になります。

ここから【1】から【5】の条件を満たすp、q、rを調べていきましょう。このとき、a+b+c=10(p+q+r)+(一桁目の数の和)なので、a+b+cの最大値を求めるには、p+q+rの最大値を求めればOKです。

【1】の場合
9p+9q+r≦9・9+9・9+9=171から、<9p+9q+r>=9になる9p+9q+rの値は大きい順に、169、159、149、・・・です。

一方、9p+9q+rが取り得る値は大きい順に(p≠qを考慮して)、162(p=r=9、q=8)、161(p=9、q=r=8)、160(p=9、q=8、r=7)、159(p=9、q=8、r=6)、・・・なので、9p+9q+r=159が条件を満たします。

したがって、2桁の整数は91、81、69で、それら和は241です。

【2】の場合
21p+9q+7r≦21・9+9・9+7・9=333から、<21p+9q+7r>=7になる21p+9q+7rの値は大きい順に、327、317、307、・・・です。

一方、21p+9q+7rが取り得る値は大きい順に、333(p=q=r=9)、326(p=q=9、r=8)、324(p=r=9、q=8)、319(p=q=9、r=7)、317(p=9、q=r=8)、・・・なので、21p+9q+7r=317が条件を満たします。

したがって、2桁の整数は93、87、89で、それら和は269です。

【3】の場合
p+q+r≦9+9+9=27から、<p+q+r>=7になるp+q+rの値は大きい順に27、17、7です。

一方、p+q+rが取り得る値は大きい順に(p≠q≠rを考慮して)、24(p=9、q=8、r=7)23(p=9、q=8、r=6)、22(p=9、q=8、r=5)、21(p=9、q=8、r=4)、20(p=9、q=8、r=3)、19(p=9、q=8、r=2)、18(p=9、q=8、r=1)、17(p=9、q=7、r=1)、・・・なので、p+q+r=17が条件を満たします。

したがって、2桁の整数は99、79、19などで、それらの和は197です。

【4】の場合
3p+q+r≦3・9+9+9=45から、<3p+q+r>=3になる3p+q+rの値は大きい順に、43、33、23、・・・です。

一方、3p+q+rが取りえる値は大きい順に(q≠rを考慮して)、44(p=q=9、r=8)、43(p=q=9、r=7)、・・・なので、3p+q+r=43が条件を満たします。

したがって、2桁の整数は91、93、73などで、それらの和は257です。

【5】の場合
7p+q+r≦7・9+9+9=81から、<7p+q+r>=5になる7p+q+rの値は大きい順に、75、65、55、・・・です。

一方、7p+q+rが取り得る値は大きい順に(q≠rに考慮して)、80(p=q=9、r=8)、79(p=q=9、r=7)、78(p=q=9、r=6)、77(p=q=9、r=5)、76(p=q=9、r=4)、75(p=q=9、r=3)、・・・なので、7p+q+r=75が条件を満たします。

したがって、2桁の整数は91、97、37などで、それらの和は225です。

以上から、a+b+cが最大になるのは、【2】の場合で、その値は269になり、これが答えです。


2つの整数の積ならば単純ですが、3つの積になると大分複雑になります。面白い問題でした。

日本数学オリンピックの簡単な問題(27)

2016-07-21 11:41:38 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

夏休みの初日ですが、生憎の雨になりました。天気図を見ると、いつものの太平洋高気圧の定位置に低気圧が居座って、夏らしくない気圧配置です。もうしばらくぱっとしない天気が続くようです。

さて、今回は2013年日本数学オリンピック予選に出題された図形問題を取り上げます。

問題は、
「相異なる2点P、Qで交わる2円O1、O2がある。点Pにおける円O1の接線が、Pとは異なる点Rで円O2と交わっている。また、点Qにおける円O2の接線が、Qとは異なる点Sで円O1と交わっている。さらに、直線PRと直線QSが点Xで交わっている。XR=9、XS=2のとき、円O1の半径は円O2の半径の何倍であるか。ただし、YZで線分YZの長さを表すものとする。」
です。

早速、図1のように、問題の図を描きましょう。(円O1、O2の中心をそれぞれO1、O2にしました)


▲図1.問題の図を描きました

図1では、点PとQが、それぞれ円O1と直線XRおよび円O2と直線XQの接点であることを、PO1⊥XRとQO2⊥XQで表しましたが、O1、O2が特別な位置(例えば、接線XQやXR上)にあるわけでもないので、これらを利用するのは大変そうです。

そこで図2のように、点PとQが接点である条件を接弦定理で表すことにしましょう。


▲図2.点PとQが接点であることを接弦定理で表しました

接弦定理から
∠XPS=∠PQS=∠QRP
∠RPQ=∠PSQ
です。

すると、たくさんの相似三角形が見えてきて、
△XSP∞△XPQ∞XQR           (1)
△PQS∞△QRP              
であることが判ります。

そこで、(1)の相似三角形から
XS/XP=XP/XQ=XQ/XR        (2)
が成り立ちます。

この(2)の値をkとして、XS=2、XR=9を代入すると、
2/XP=XP/XQ=XQ/9=k
XP=2/k
XP=kXQ
XQ=9k
になり、これらからXP、XQを消去すると、
k^3=2/9
です。

一方、△PQSと△QRPは相似で、かつ、それぞれ円O1とO2に内接しているので、円O1とO2の半径の比は、△PQSと△QRPの相似比に等しくなります。

つまり、
(円O1の半径)/(円O2の半径)=PQ/QR
です。

そして、△XPQ∞△XQRから
PQ/QR=XP/XQ
     =k
     =3√(2/9) (2/9の立法根)
で、円O1の半径は、円O2の半径の3√(2/9)になります。


接弦定理に気が付けば簡単な問題でした。

ジュニア数学オリンピックの簡単な問題(30)

2016-07-20 12:06:50 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

元気のいいオホーツク海高気圧から冷たい空気が流れてくるおかげで、気温が26℃と過ごしやすい日になりました。明日、明後日は雨模様ですが、もっと涼しくなるようです。

さて、今回は2010年ジュニア数学オリンピック予選に出題された図形問題を取り上げます。

問題は、
「∠BAC=60°をみたす三角形ABCがある。∠ABC、∠ACBの2等分線が辺AC、ABと交わる点をそれぞれP、Qとする。三角形ABCの内接円の半径をr1、三角形APQの内接円の半径をr2とするとき、三角形APQの外接円の半径をr1、r2で表せ。」
です。

早速、図1のように問題の図を描きましょう。


▲図1.問題の図を描きました

図1で、△ABCの内心 I は∠Aの2等分線上にあり、一方、△APQの内心Jも∠Aの2等分線上にあるので、A、J、I は同一直線上にあります。

次に、図2のように、四角形APIQが円に内接することを確認しておきましょう。


▲図2.四角形APIQは円に内接します

△ABCで∠A=60°なので、
∠B+∠C=180°-60°=120°        (1)
です。

一方、 I は内心なので、∠IBC=1/2∠B、∠ICB=1/2∠Cで、これらと(1)から、
2(∠IBC+∠ICB)=120°
∠IBC+∠ICB=60°
です。

ここで、△IBCに注目すると、∠BIC=180°-(∠IBC+∠ICB)=180°-60°=120°で、対頂角が等しいことから∠PIQ=120°になります。

すると、∠A+∠PIQ=60°+120°=180°と四角形の対角の和が180°になるので、四角形APIQは円に内接することが判りました。

そして、この四角形APIQの外接円は、△APQの外接円と同じです。

ここまでで、
・A、J、I が同一直線上にあること
・四角形APIQが円に内接し、その円が△APQの外接円であること
が判りました。

これから、△ABCと△APQのそれぞれの内接円の半径r1とr2を調べていきましょう。

図3のように、I から辺ABに垂線を下ろし、その足をDとすると、△AIDは、その内角が30°、60°、90°の直角三角形になり、AI:ID=2:1です。


▲図3.△AIDは、内角が30°、60°、90°の直角三角形です

一方、Dは円I と辺ABの接点ですから、ID=r1で、つまり、AI=2r1になります。

r2についても同様です。

図4のように、Jから辺ABに垂線を下ろし、その足をEとすると、△AJEは、その内角が30°、60°、90°の直角三角形になり、AJ:JE=2:1です。


▲図4.△AJEは、内角が30°、60°、90°の直角三角形です

一方、Eは円Jと辺ABの接点ですから、JE=r2で、つまり、AJ=2r2になります。

ここまでで、
・AI=2r1、AJ=2r2
であることが判りました。

ここで図5のように、四角形APIQを中心にした図を描きましょう。(四角形APIQの外接円(=△APQの外接円)の中心をOにして、とりあえずOとIを結びました)


▲図5.四角形APIQを中心にした図を描きました

図5を眺めると、四角形APIQの外接円の半径とIJ(=AI-AJ=2(r1-r2))の長さが等しくなっていそうです。

そこで、IO=IJを示す方針でいきましょう。

IO=IJを示すには、四角形PQOJが I を中心とする円に内接することを示せばOKです。

まず、四角形PQOJが円に内接することを示しましょう。

図6のように、∠POQと∠PAQは中心角と円周角の関係なので、
∠POQ=2∠PAQ=2×60°=120°      (2)
です。


▲図6.四角形PQOJがIを中心とする円に内接することを示します

一方、
∠PJQ=180°-(∠JPQ+∠JQP)
    =180°-(1/2∠APQ+1/2∠AQP)
    =180°-1/2(∠APQ+∠AQP)
です。

ところが、
∠APQ+∠AQP=180°-∠PAQ
         =180°-60°
         =120°                 (3)
ですから、(3)を(2)に代入して、
∠PJQ=180°-1/2×120°
    =180°-60°
    =120°                      (4)
です。

したがって、(2)と(4)から
∠POQ=∠PJQ
が成り立ち、円周角の定理の逆からP、Q、O、Jは同一円周上にあることが判ります。

続いて、四角形PQOJの外接円の中心が I であることを示します。

Oは、四角形APIQの外接円の中心なので、OQ=OI です。

次に△OQI に注目すると、∠QOI と∠QAI は中心角と円周角の関係ですから、∠QOI=2∠QAI=2×30°=60°で、OQ=OI から△OQI は正三角形です。つまり、OQ=OI=QI です。

さらに、∠PAI=∠QAI (=30°)なので、PI=QI です。

以上まとめると、PI=QI=OI で、P、Q、Oは I を中心とする円周上にあることになります。

一方、P、Q、O、Jは同一円周上にあるので、P、Q、O、Jは I を中心とする円周上にあることになり、OI=JI になります。

ここで、JI=2r1-2r2なので、OI=2r1-2r2ですから△APQの外接円の半径は、2r1-2r2 で、これが答えです。


OI=IJを示すには次のような方法もあります。

上記から、OI=QI=PIなので、OI=JI を示すためには、図7の△IPJが二等辺三角形であることを示せばよいことになり、そのためには、∠IPJ=∠IJPを示せばOKです。


▲図7.△IPJが二等辺三角形であることを示します

図7で、弧QIの円周角は等しいので、∠IPQ=∠IAQ()で、∠IPJ=∠IPQ()+∠QPJ()です。

一方、∠IJP=∠JAP+∠APJ(△APJの外角と内角の関係)で、∠JAP=∠IAQ()、∠APJ=∠QPJ()なので、∠IJP=∠IAQ()+∠QPJ()です。

したがって、∠IPJ=∠IJPから△IPJは二等辺三角形です。

すると、PI=JI からOI=JIが成り立つので、△APQの外接円の半径はJI になります。


面白い問題でした。         

ジュニア数学オリンピックの簡単な問題(29)

2016-07-19 11:37:55 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

昨日、九州、東海地方が梅雨明けしました。関東はまだですが、金曜日の予想天気図には梅雨前線が消えているので、週末あたりに梅雨明け宣言というところでしょう。

さて、今回は2012年ジュニア数学オリンピック予選に出題された場合の数の問題を取り上げます。

問題は、
「正の整数であって、一の位が0でなく、一の位から逆の順番で読んでも元の数と等しいものを回文数とよぶ。2012以下の回文数はいくつあるか。
 たとえば、1234は逆の順番で読むと4321になり元の数と等しくないので回文数ではない。」
です。

早速、取り掛かりましょう。

ここは、元の数の桁数で場合分けするのがよいでしょう。

●4桁の場合
4桁の整数を、10進法記数法でABCDと表すと、これが回文数になる条件は、
A=D
B=C
1≦A,D≦9、0≦B,C≦9
です。

さらに、ABCD≦2012から
A=1または2
です。

・A=1の場合
Bは0から9までの任意の数をとることができ、CはBと同じ数をとります。
さらに、D=AからD=1なので、これらを満たす数は、10通りになります。

・A=2の場合
ABCD≦2012から、B=0で、C=BからC=0です。
さらに、D=AからD=2なので、これらを満たす数は、1通りになります。

したがって、4桁の回文数は、1011通りです。

●3桁の場合
3桁の整数を、10進法記数法でABCと表すと、これが回文数になる条件は、
A=C
1≦A,C≦9
です。

1から9までのA、Cそれぞれに対して、Bは0から9までの数をとることができるので、3桁の回文数は、9×10=90通りです。

●2桁の場合
2桁の整数を、10進法記数法でABと表すと、これが回文数になる条件は、
A=B
1≦A,B≦9
です。

A(=B)は、1から9までの数をとることができるので、2桁の回文数は9通りです。

●1桁の場合
1桁の整数を、10進法記数法でAと表すと、これが回文数になる条件は、
1≦A≦9
です。

Aは、1から9までの数をとることができるので、1桁の回文数は、9通りです。

以上まとめると、条件を満たす回文数は、1190119通りで、これが答えです。


桁数で場合分けすれば簡単な問題です。         

ジュニア数学オリンピックの簡単な問題(28)

2016-07-18 10:52:12 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

朝は涼しかったのですが、その後気温がぐんぐん上がって、今日は真夏日になるようです。天気図では、梅雨前線が千切れてきました。梅雨明けも近そうです。

さて、今回は2011年ジュニア数学オリンピック予選に出題された整数問題を取り上げます。

問題は、
「5倍しても各桁の和が変わらないような1000以下の正の整数はいくつあるか。」
です。

早速、取り掛かりましょう。

まず、1000の各桁の和が1であるのに対し、それを5倍した5000の各桁の和は5なので、1000は与えられた条件を満たしません。

したがって、条件を満たす正の整数kは、
n=100a+10b+c                         (1)
0≦a,b,c≦9、 a、b、cは整数                  (2)
と表すことができます。

次に、nの各桁の和をS(n)とすると、与えられた条件は、
S(n)=S(5n)                             (3)
です。

ここで、
5n=100・5a+10・5b+5c                    (4)
なので、(1)(4)を(3)に代入して、
S(100a+10b+c)=S(100・5a+10・5b+5c)      (5)
が成り立ちます。

続いて、(5)の両辺を調べます。

(5)の左辺は、(2)から
S(100a+10b+c)=S(a)+S(b)+S(c)          (6)
です。

次は、(5)の右辺です。

ここで、ある1桁の整数を5倍したときを考えると、その1桁目の数は0または5で、2桁目の数は最大4(9×5=45です)なので、繰り上がりは起きません。

つまり、
S(100・5a+10・5b+5c)=S(5a)+S(5b)+S(5c)  (7)
が成り立ちます。

したがって、(6)(7)から、与えられた条件を満たすn(=100a+10b+c)は、
S(a)+S(b)+S(c)=S(5a)+S(5b)+S(5c) 
(S(5a)-S(a))+(S(5b)-S(b))+(S(5c)-S(C))=0     (8)
を満たすことが判りました。

次に、0≦k≦9、(kは整数)について、k、S(k)、5k、S(5k)およびS(5k)-S(k)を下表のようにまとめましょう。


▲表.k、S(k)、5k、S(5k)およびS(5k)-S(k)をまとめました

この表から、kが偶数のとき、S(5k)-S(k)は0以下、kが奇数のとき、S(5k)-S(k)は0以上であることが判ります。

つまり、(8)が成り立つのは、
【1】a、b、cのうち、1つが偶数、2つが奇数
【2】a、b、cのうち、2つが偶数、1つが奇数
【3】a、b、cが、すべて0
【4】a、b、cが、すべて9
のいずれかの場合です。

そこで、これらの【1】から【4】の場合を調べていきましょう。

●【1】の場合
・(1つの偶数)=0の場合
 S(5・0)-S(0)=0で、残りの2つが奇数が9と9のとき、(8)が成り立ちます。
 したがって、nは、0、9、9の並べ方3!/2!=3通りです。

・(1つの偶数)=2の場合
 S(5・2)-S(2)=-1で、残りの2つの奇数が7と9のとき、(8)が成り立ちます。
 したがって、nは、2、7、9の並べ方3!=6通りです。

・(1つの偶数)=4の場合
 S(5・4)-S(4)=-2で、残りの2つの奇数が5と9、および7と7のとき、(8)が成り立ちます。
 したがって、nは、4、5、9の並べ方3!=6通りと、4、7、7の並べ方3!/2!=3通りの和で9通りです。

・(1つの偶数)=6の場合
 S(5・6)-S(6)=-3で、残りの2つの奇数が3と9、および5と7のとき、(8)が成り立ちます。
 したがって、nは、3、6、9の並べ方3!=6通りと、5、6、7の並べ方3!=6通りの和で12通りです。

・(1つの偶数)=8の場合
 S(5・8)-S(8)=-4で。残りの2つの奇数が1と9、3と7、および5と5のとき、(8)が成り立ちます。
 したがって、nは、3、8、9の並べ方3!=6通りと、3、7、8の並べ方3!=6通りと、5、5、8の並べ方3!/2!=3通りの和で15通りです。

●【2】の場合
・(1つの奇数)=1の場合
 S(5・1)-S(1)=4で、残りの2つの偶数が0と8、2と6、および4と4のとき、(8)が成り立ちます。
 したがって、nは、0、1、8の並べ方3!=6通りと、1、2、6の並べ方3!=6通りと、1、4、4の並べ方3!/2!=3通りの和で15通りです。

・(1つの奇数)=3の場合
 S(5・3)-S(3)=3で、残りの2つの偶数が0と6、および2と4のとき、(8)が成り立ちます。
 したがって、nは、0、3、6の並べ方3!=6通りと、2、3、4の並べ方3!=6通りの和で12通りです。

・(1つの奇数)=5の場合
 S(5・5)-S(5)=2で、残りの2つの偶数が0と4、および2と2のとき、(8)が成り立ちます。
 したがって、nは、0、4、5の並べ方3!=6通りと、2、2、5の並べ方3!/2!=3通りの和で9通りです。

・(1つの奇数)=7の場合
 S(5・7)-S(7)=1で、残りの2つの偶数が0と2のとき、(8)が成り立ちます。
 したがって、nは、0、2、7の並べ方3!=6通りです。

・(1つの奇数)=9の場合
S(5・9)-S(9)=0で、残りの2つの偶数が0と0のとき、(8)が成り立ちます。
 したがって、nは、0、0、9の並べ方3!/2!=3通りです。

●【3】の場合
 n=0になり、nが正の整数であることに反します。
 したがって、nは、0通りです。

●【4】の場合
 n=999です。
 したがって、nは、1通りです。

以上をまとめると、nの個数は、1215151291個で、これが答えです。


ある整数を5倍したとき、繰り上がりが起きないということがポイントです。面白い問題でした。         

日本数学オリンピックの簡単な問題(26)

2016-07-17 11:48:12 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

現在の東久留米の気温は29℃で、それほど蒸し暑くなく過ごしやすい日になりました。夕方には滝山名店会で、今年2回目のビアガーデンがあるので、もう少し気温が上がってもOKです。

さて、今回は2012年日本数学オリンピック予選に出題された整数問題を取り上げます。

問題は、
「A君とB君が黒板に2つずつ正の整数を書いた。A君の書いた数の積はB君の書いた数の和の2倍、B君の書いた数の積はA君の書いた数の2倍であり、A君の書いた数の和はB君の書いた数の和以上であった。このとき、B君の書いた数の和として考えられるものをすべて求めよ。ただし、書かれた4つの数は相異なるとは限らない。」
です。

早速、取り掛かりましょう。

A君が書いた2つの正の整数を、P、Q (P≧Q)、B君の書いた2つの正の整数をR、S (R≧S)として、与えられた条件を立式すると、
PQ=2(R+S)                  (1)
RS=2(P+Q)                  (2)
P+Q≧R+S                    (3)
になります。

これらの3つの式とP、Q、R、Sが正の整数という条件から、R+SまたはRとSを求めることになります。

まず、XY-2X-2Y+4=(X-2)(Y-2)が頭に浮かべば、(1)+(2)を作りたくなります。

実際にやってみると、
PQ+RS=2(P+Q)+2(R+S)
PQ-2P-2Q+4+RS-2R-2S+4=8
(P-2)(Q-2)+(R-2)(S-2)=8     (4)
を得ました。

この(4)は、P、Q、R、S≧2のとき、左辺の第1項目も第2項目も0以上で、それらの和が8という制限なので、これを手掛かりにできそうです。

それでは、まずQ=1、S=1のときを片付けておきましょう。

●Q=1のとき
(1)(2)から
P=2(R+S)                    (5)
RS=2(P+1)                   (6)
です。

(5)を(6)に代入して、
RS=2(2(R+S)+1)
  =4R+4S+2
で、これを変形して、
(R-4)(S-4)=18               (7)
です。

(7)を満たすR-4とS-4の組は、R-4≧S-4なので、
(18,1)(9,2)(6,3)
の3通りで、RとSの組は、
(22,5)(13,6)(10,7)
になります。

すると、(5)からそれぞれの場合のPは、54、38、34で、P、Q、R、Sの組合せ(P,Q,R,S)は、
(54,1,22,5)(33,1,13,6)(34,1,10,7)
で、これらの3つの組は(3)を満たしているので、
R+S=27、19、17
です。

●S=1のとき
(1)(2)から
PQ=2(R+1)                   (8)
R=2(P+Q)                    (9)
です。

(9)を(8)に代入して、
PQ=2(2(P+Q)+1)
  =4P+4Q+2
で、これを変形して、
(P-4)(Q-4)=18               (10)
です。

(10)を満たすP-4とQ-4の組は、P-4≧Q-4なので、
(18,1)(9,2)(6,3)
の3通りで、PとQの組は、
(22,5)(13,6)(10,7)
になります。

すると、(9)からそれぞれの場合のRは、54、38、34で、P、Q、R,Sの組合せ(P,Q,R,S)は、
(22,5,54,1)(13,6,38,1)(10,7,34,1)
で、これらの3つの組は(3)を満たしていないので、条件を満たすR+Sはありません。

これで、Q=1とS=1の場合を調べ終わりました。

次は、P≧Q≧2、R≧S≧2の場合です。

この場合、
(P-2)(Q-2)+(R-2)(S-2)=8     (4)
の左辺の第1項も第2項も0以上になります。

ここで、Q≧5とすると、Q-2≧3、P-2≧3なので、(P-2)(Q-2)≧9になり、(4)が成り立ちません。

したがって、Q≦4、つまり、Q=2、3、4になります。

そこで、Qについて場合分けしましょう。

●Q=2のとき
(1)から
2P=2(R+S)
P=R+S                         (11)
です。

(4)から
(R-2)(S-2)=8                  (12)
で、これを満たすR-2とS-2の組は、
(8,1)(4,2)
の2通りで、R、Sの組は、
(10,3)(6,4)
です。

すると、(11)からそれぞれの場合のPは、13,10で、P、Q、R,Sの組合せ(P,Q,R,S)は、
(13,2,10,3)(10,2,6,4)
で、これらの2つの組は(3)を満たしているので、
R+S=13、10
です。

●Q=3のとき
(1)から
3P=2(R+S)
で、これからPは偶数です。

また、
P=2/3・(R+S)                   (13)
になります。

(4)から
(P-2)+(R-2)(S-2)=8            (14)
です。

ここで、P=4、6、8、10で場合分けします。

・P=4のとき
(14)から
2+(R-2)(S-2)=8
(R-2)(S-2)=6                 (15)
です。

(15)を満たすR-2とS-2の組は、
(6,1)(3,2)
の2通りで、R、Sの組は
(8,3)(5,4)
です。

すると、(13)からそれぞれの場合のPは、22/3、6ですが、仮定からP=4なので、P、Q、R,Sの組合せはありません。

・P=6のとき
(14)から
4+(R-2)(S-2)=8
(R-2)(S-2)=4                  (16)
です。

(16)を満たすR-2とS-2の組は、
(4,1)(2,2)
の2通りで、R、Sの組は
(6,3)(4,4)
です。

すると(13)からそれぞれのPは、6、16/3で、P、Q、R、Sの組合せ(P,Q,R,S)は
(6,3,6,3)
で、これは(3)を満たしているので、
R+S=9
です。

・P=8のとき
(14)から
6+(R-2)(S-2)=8
(R-2)(S-2)=2                 (17)
です。

(17)を満たすR-2とS-2の組は、
(2,1)
の1通りで、R、Sの組は
(4,3)
です。

すると(13)からPは14/3ですが、仮定からP=8なので、P、Q、R,Sの組合せはありません。

・P=10のとき
(14)から
8+(R-2)(S-2)=8
(R-2)(S-2)=0                 (18)
です。

(18)を満たすのはS=2で、(2)から
2R=2(10+3)
R=13
です。

したがって、P、Q、R、Sの組合せ(P,Q,R,S)は
(10,3,13,2)
で、これは(3)を満たしていないので、条件を満たすR+Sはありません。

●Q=4のとき
(1)から
4P=2(R+S)、
P=1/2・(R+S)                   (19)
になります。

(4)から
2(P-2)+(R-2)(S-2)=8            (20)
です。

ここで、P=4、5、6で場合分けします。

・P=4のとき
(20)から
4+(R-2)(S-2)=8
(R-2)(S-2)=4                 (21)
です。

(21)を満たすR-2とS-2の組は、
(4,1)(2,2)
の2通りで、R、Sの組は
(6,3)(4,4)
です。

すると、(19)からそれぞれの場合のPは、9/2、4で、P、Q、R,Sの組合せ(P,Q,R,S)は,
(4,4,4,4)
で、これは(3)を満たしているので、
R+S=8
です。

・P=5のとき
(20)から
6+(R-2)(S-2)=8
(R-2)(S-2)=2                 (22)
です。

(22)を満たすR-2とS-2の組は、
(2,1)
の2通りで、R、Sの組は
(4,3)
です。

すると、(19)からPは=7/2ですが、仮定からP=5なので、P、Q、R,Sの組合せはありません。

・P=6のとき
(20)から
8+(R-2)(S-2)=8
(R-2)(S-2)=0                 (23)
です。

(23)を満たすのはS=2で、(2)から
2R=2(6+4)
R=10
です。

したがって、P、Q、R、Sの組合せ(P,Q,R,S)は
(6,4,10,2)
で、これは(3)を満たしていないので、条件を満たすR+Sはありません。

以上をまとめると、R+Sとして有り得るのは、27、19、17、13、10、9、8で、これが答えです。


思った以上に場合分けが大変な問題でした。