東久留米 学習塾 塾長ブログ

東京都東久留米市滝山の個別指導型学習塾 塾長白井精一郎のブログ

中学生でも解ける東大大学院入試問題(75)

2014-12-31 11:10:18 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

昨日は南風のため少し暖かかったのですが、今日は寒くなりました。夕方、雨も降るようですが、元旦は寒さが厳しくなるものの晴れになるようです。

さて、今回は平成26年度東大大学院創成科学研究科環境研究系海洋技術環境学の入試問題です。

問題は、
「(1)半径aの大きな円が3個と、半径bの小さな円が1個、下図のようにそれぞれの円が他のすべての円と接するように描かれている。この時、bをaの式で表せ。


▲問題図(1)

(2)下の図は、(1)で示した図のうち半径bの円の周辺を拡大したものである。黒く塗られた部分(大きな円2個と小さい円1個の円弧で囲まれた部分)の面積を、a、bを用いた式で表せ。」


▲問題図(2)
です。

円の図形問題では、円の中心を通る補助線を引くと上手くいくことが多いです。この問題では、円が4個あるので、図1のようにそれらを結ぶ補助線を引きましょう。


▲図1.円の中心を結んだ補助線を引く

すると、外側の大きな円の中心を結んでできる赤い三角形は1辺の長さが2aの正三角形になり、また、正三角形の1つの頂点と小さな円の中心を結んだ線分の長さは、a+bになります。

さらに、三平方の定理から正三角形の1つの頂点から対辺に下ろした垂線の長さは、√3aになります。

一方、小さな円の中心は正三角形の重心になるので、正三角形の垂線の長さを2:1に内分します。

以上により、
√3a:a+b=3:2
が成り立ち、これを整理して、
2√3a=3(a+b)
から、
b=(2√3-3)a/3
となります。

続いて、(2)を片付けましょう。これも(1)と同じように大きな円の中心を結んで正三角形を作ります。


▲図2.円の中心を結んで正三角形を作る

求める黒い領域の面積は、赤い正三角形の面積から小さい円の面積を引き、さらに大きい円の中心角が60°の扇形の3つ分の面積(つまり、半円の面積)引き、最後に3で割って求めることができます。

式にすると、
求める面積=(赤い正三角形の面積-小さい円の面積-大きい円の中心角が60°の扇形の面積×3)÷3
です。

それでは、一つひとつ面積を計算しましょう。

まず、赤い正三角形の面積は、底辺2a、高さ√3aなので
青い正三角形の面積=√3a^2   (a^2 は、aの2乗を表します)
です。

次に、小さい円の面積は、半径bなので、
小さい円の面積=πb^2
です。

さらに、大きい円の中心角が60°の扇形の面積は、大きい円の半径がaなので、
大きい円の中心角が60°の扇形の面積=πa^2/6
です。

以上を先程の式に代入して、
求める面積=(√3a^2-πb^2-πa^2/6×3)÷3
     ={√3a^2-π(a^2/2+b^2)}×1/3
となります。

円の図形問題では円の中心を通る補助線が正解の手掛かりになることが多いので覚えておくと良いでしょう。

最後になりましたが、皆様、良いお年をお迎えください。

中学生でも解ける東大大学院入試問題(74)

2014-12-30 12:57:14 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

晴れて風もなく、久しぶりに暖かい天気になりました。年の瀬で慌しいですが、受験生の皆さんはしっかり勉強してください。

さて、今回は平成22年度東大大学院新領域創成科学研究科海洋技術環境学の入試問題です。

問題は、
「1~50番まで選手が番号順に一列に並んでいる。コーチは、“奇数番の選手は列から出て”と指示する。残りの選手は新たに1から番号が振り直される。コーチが同じ指示を繰り返し最後の一人になった時、この選手の最初の番号は何番か?」
です。

高々50人の選手ですから、すべてを書き上げてコーチの指示通りに操作してみれば、答えは直ぐ見つかりそうですが、選手の人数が500人とかN人になってしまうとお手上げです。

そこで、少し頭を働かせて解きましょう。

コーチの1回目の指示で残るためには番号が偶数でなければなりません。

さらに、2回目の指示でも偶数である必要があります。

これが最後の1人になるまで続くのですから、最後まで残る選手の最初の番号は、50以下で最大となる2^n(2のn乗を表します)、つまり、n=5のときの32となります。

ちなみに、選手が500人の場合は、2^8=256で、N人の場合は、1≦N≦2^n-1のとき、2^(n-1)となります。

蛇足ですが、コーチの指示が、“偶数番の選手は列から出て”であれば、最後まで残る選手の最初の番号は、1になります。

本問は偶数奇数(2の倍数)でしたが、3の倍数などでも同じです。興味のある人はいろいろ調べてみてください。

中学生でも解ける東大大学院入試問題(73)

2014-12-29 09:53:44 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

予報通り雨になりました。気温も低く冷たい雨です。このような日は暖かくして勉強するのが一番です。受験生の皆さん、頑張ってください。

さて、今回は平成26年東大大学院工学系研究科システム創成学の入試問題です。

問題は、
「辺ABの長さが6cm、辺BCの長さが9cmの長方形ABCDにおいて、三角形ABFと三角形CDHの面積の和が19cm2のとき、四角形EFGHの面積は何cm2か。」

▲問題図
です。
都立高校入試問題に頻出する等積変形を使う問題で、都立入試と同じか、少し難しいくらいのものです。

図1のように△ABF=△EFC(△ABFは三角形ABFの面積とします)となります。


▲図1.△ABF=△EFC

と言うのは、△AEB=△AEC(等積変形、底辺AEと高さABが同じ)で、
△ABF=△AEB-△AEF
△EFC=△AEC-△AEF
より、
△ABF=△EFC
となるわけです。

同様に、△DCH=△EHBです。(図2)


▲図2.△DCH=△EHB

一方、図3のように、
△CHG=△CDG-△CDH
で、△CDG=6×9/2×1/2 =27/2なので、
△CHG=27/2-△CDH    (1)
になります。


▲図3.△CHG=27-△CDH

同様に、(図4)
△BFG=△ABG-△ABF
で、△ABG=6×9/2×1/2=27/2なので、
△BFG=27/2-△ABF    (2)
です。


▲図4.△BFG=27-△ABF

そこで、(1)と(2)を足し合わせると、
△CHG+△BFG=54-(△CDH+△ABF)
となり、仮定より、△CDH+△ABF=19なので、
△CHG+△BFG=27-19=8  (3)
となります。

最後に、
四角形EFGH=△EBC-△GBC-△CHG-△BFG  (4)
なので、(4)に、
△EBC=9×6×1/2=27
△GBC=9×3×1/2=27/2
と(3)を代入して、
四角形EFGH=27-27/2-8
       =11/2
と答えは11/2cm2となります。


次に、等積変形を使わない解答を示します。

図5の紫色(△ABE+△DCE)の面積が長方形ABCDの面積の1/2、つまり27です。


▲図5.△ABE+△DCE=27

一方、図6の橙色(△AEF+△DEH)の面積は、紫色の面積から灰色の面積を引いたものになります。


▲図6.△AEF+△DEH

ところが、灰色の面積は仮定より19なので、橙色の面積は、27-19=8です。

つまり、四角形EFGH=△GAD-橙色の面積=27/2-8=11/2cm2となり、前の答えと同じになりました。

中3の受験生の皆さんは、等積変形をマスターしておいてください。

中学生でも解ける東大大学院入試問題(72)

2014-12-28 12:51:42 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

気温は5℃なのですが陽射しがあって少し暖かく感じます。これからさらに気温が上がり過ごしやすい日になりそうです。明日は雨模様ですが、明後日から晴れの日が続き、穏やかな正月になるようです。

さて、今回は平成26年度東大大学院工学系研究科システム創成学の入試問題です。

問題は、
「ある航空会社は、空港A、B、C、Dを下図のようにつなぐフライト網を所有している。空港Cを起点として、最大4回のフライトで、A、B、Dの各空港に到達する順路の数をそれぞれ答えよ。ただし、何回でも各空港を経由することができる。また最終目的の空港を経路の途中で経由してもよいこととする。」

▲問題図
です。

C空港を出発して4回のフライトで経由または到達する空港をすべて書き上げ、そのなかにあるA、B、D空港の数が、「最大4回のフライトでA、B、Dの各空港に到達する順路の数」になります。経由または到達する空港をすべて書き上げるとき、場合の数や確率で勉強した樹形図を使うと良いでしょう。

まず、問題図が見難い(A-CとB-Dの経路が交差している)ので、図1のように書き直します。


▲図1.問題図の書き直し

そこで図1を参照して、図2のように、C空港から始めてフライト可能な空港を順番に4フライト分を書き上げていきます。


▲図2.4フライトでの経由・到達空港

この図2のなかにあるA、BおよびDの数が、「最大4回のフライトでA、B、Dの各空港に到達する順路の数」になり、A空港は9、B空港は8、D空港は4となり、これが答えです。

ついでに各空港を1回しか経由できない場合は、各順路において2回目に同じ空港が現れた時点でお終いとなるので、図3に示すようになり、A空港は3、B空港は2、D空港は1となります。


▲図3.各空港を1回しか経由できない場合


数学の問題では、図表が描ければ解けたのも同然といった面があるので、自分に合った判り易い図表を描くように心掛けましょう。

中学生でも解ける東大大学院入試問題(71)

2014-12-27 09:47:46 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

冬期講習で塾生が朝10時に来るので大急ぎで教室の掃除をします。そのため身体が温まるのか、あまり寒さを感じませんが、外気温は5℃で日中も7℃にしかならないようです。寒い日になりそうですが、暖かくして勉強してください。

さて、今回は平成26年度東大大学院工学系研究科システム創成学の入試問題です。

問題は、
「三角形ABCは二等辺三角形である。∠BAC=20°、∠DBC=60°、∠ECB=50°であるとき、∠EDBを求めよ。」
です。

▲問題図

ラングレーの問題です。あまりにも有名な問題なので、直ぐに30°と答えを書いた受験生もいたのではないかと思います。

この問題の解法は多数ありますが、今回は標準的な(私が覚えている)ものを紹介します。

まず、辺AC上にFを取り、∠FBC=20°になるようにします。すると、△BCFが頂角20°、底角80°の二等辺三角形になり、BC=BFとなります。

(ここで、ちょっと解法の方針を説明しておくと、BF=DF=EFを示して、B、D、EがFを中心とする円の周上にあることを使って、最後は中心角、円周角でフィニッシュに持ち込みます)

次に、△BCEに着目すると、∠CBE=80°、∠BCE=50°なので、∠BEC=50°になり、△BCEも二等辺三角形になります。したがって、BC=BEで、上記の結果と合わせて、BC=BE=BFです。

すると、BE=BFより、△BEFは二等辺三角形で、かつ、頂角∠EBF=60°なので、△BEFは正三角形になり、BF=EFです。

さらに、△FBDに着目すると、∠BFD=100°、∠FBD=40°なので、∠FDB=40°になり、△FBDは二等辺三角形になります。したがって、BF=DFです。


▲図1.途中図

このように作戦通りに、BF=DF=EFを示すことができ、図2のように、B、D、EはFを中心とする円の周上にあります。


▲図2.最終図

最後に、中心角∠BFEの1/2は円周角∠EDBで、∠BFE=60°ですから、∠EDB=30°になり、これが正解となります。

この他にもいろいろな解法があるので興味のある人は考えてみてください。

中学生でも解ける東大大学院入試問題(70)

2014-12-26 09:23:55 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

今日から冬期講習が始まるので午前中から塾生・講習生が来塾します。教室掃除を終えて一息しているところです。

さて、今回は平成26年度東大工学系研究科システム創成学の入試問題です。

問題は、
「多項式P(x)を x^3+2x^2-13x+10 で割ったときの余りが 2x+1 であり、また、P(x)を x^3+4x^2-15x-18 で割ったときの余りが 2x^2-x-4 である。
このとき、P(x)を x^3-19x+30 で割ったときの余りを求めよ。」
です。(x^3 はxの3乗を表します)

整式の除法の問題です。まず、問題に書いてあることを立式しましょう。

初めの条件、「多項式P(x)を x^3+2x^2-13x+10 で割ったときの余りが 2x+1」は、この商をQ1(x)とすると、
P(x)=(x^3+2x^2-13x+10)Q1(x)+2x+1      (1)
になります。

2番目の条件、「P(x)を x^3+4x^2-15x-18 で割ったときの余りが 2x^2-x-4」は、この商をQ2(x)とすると、
P(x)=(x^3+4x^2-15x-18)Q2(x)+2x^2-x-4   (2)
です。

最後に問題の「P(x)を x^3-19x+30 で割ったときの余り」については、商をQ3(x)、余りをR(x)とすると、
P(x)=(x^3-19x+30)Q3(x)+R(x)       (3)
となります。

ここで、R(x)は、P(x)を3次式で割った余りなので、その次数は2次になり、
R(x)=ax^2+bx+c        (4)
となります。

これで問題に書いてあることを式にすることができました。あとはこれらの式をいじってR(x)を決定すればOKです。

それでは、(1)、(2)、(3)を変形しましょう。それぞれ商と積をなしている多項式が因数分解できそうです。実際、(1)、(2)、(3)はそれぞれ、
P(x)=(x+5)(x-1)(x-2)Q1(x)+2x+1     (5)
P(x)=(x+6)(x+1)(x-3))Q2(x)+2x^2-x-4    (6)
P(x)=(x+5)(x-2)(x-3)Q3(x)+R(x)          (7)
と変形できます。

ここまでくればあとは簡単で、(5)、(6)、(7)に、x=-5、2、3を代入すると、
P(-5)=R(-5)=-9     (8)
P(2) =R(2) = 5       (9)
P(3) =R(3) =11     (10)
となります。

そして、(4)より、
R(-5)=25a-5b+c     (11)
R(2) =4a+2b+c     (12)
R(3) =9a+3b+c     (13)
なので、これらと(8)、(9)、(10)より、
25a-5b+c=-9       
4a+2b+c= 5       
9a+3b+c=11       
と3元の連立方程式になりました。

これを解くと、a=23/28、b=53/28、c=-29/14となるので、求める余りR(x)は、
R(x)=23/28・x^2+53/28・x-29/14
になります。

3次式の因数分解が難しく感じる人もいるかと思いますが、適当なxを代入してみて多項式が0になるものを探す因数定理が役に立つので覚えておくと良いでしょう。

中学生でも解ける東大大学院入試問題(69つづき)

2014-12-25 12:07:47 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

少し風があって外は寒いですが、室内はあまり寒さを感じません。今日は2学期の終業式で明日から冬期講習が始まります。

さて、昨日に続いて平成26年度東大大学院工学系研究科システム創成学入試問題の(2)です。

問題は、
「(2)次の関係があるとき、12×6の値は何か。
2×3=6、2×4=11、3×3=12、4×5=26、6×5=42、13×14=215」
です。

2×3=6→6
2×4=8→11
3×3=9→12
となっていることから「→」は10進法で表された数をn進法に変換するものと予想できます。

そして、問題に与えられている式を眺めると、使われている最大の数が6なので、7進法でないかと予想する訳です。

10進法で表された数を7進法に変換するには、10進法で表された元の数を7で商が0になるまで割り続け、そのときの剰余を逆の順に並べればOKです。

例えば図に示したように、10進法で66を7進法に変換する場合、66を7で割って、商9、剰余3を計算します。

続いて、前の商9を7で割って、商1、剰余2を計算します。

さらに、前の商1を7で割って、商0、剰余1を計算します。

そこで計算した剰余を計算した順番と逆に並べると123となり、これが10進法で表した66の7進法での表記になります。


▲図.10進法から7進法への変換例

それでは、問題に与えられた式を確認していきましょう。

まず2×3については、10進法では6になり、これを7進法に変換すると6になります。したがって、2×3=6でOKです。

次に2×4については、10進法では8になり、7進法に変換すると11で、これもOKです。

さらに、3×3については、10進法では9になり、7進法に変換すると12で、OKです。

この辺りで、もう十分と問題の12×6を計算したくなりますが、もう少し我慢して最後まで確認しましょう。

4×5については、10進法で20、7進法で26でOK。

6×5については、10進法で30、7進法で42でOK。

ところが、最後の13×14については、10進法で182、7進法で350となりNGです。

つまり、単純に10進法から7進法に変換するのではなかった訳です。

そこで変換の「ひとひねり」を見つけなければなりませんが、13×14=215の215に注目しましょう。

この215が7進法で表されたものとして、これを10進法に変換してみます。この変換方法は、2×7^2+1×7+5=110 (7^2 は7の2乗を表します)で、110となります。

つまり、13×14→110となる演算で、前の5つの計算式と整合性のあるものを考えばよいことになります。

ここで、問題に与えられた6式のうち前の5式は1桁同士の掛け算で、それらの積を7進法に変換して上手くいきました。ということは、13×14も一の位同士は掛け算をしなければならず、その積は3×4=12となります。

この12を使って110になる数を作る方法を考えればよいのですが、13×14の十の位同士を掛けると、10×10=100が出てきます。これと12を足すと112となり、これから十の位の数を引くと、112-1-1=110となり、110を作ることができます。

一般化すると、2桁の2数を10p+q、10r+sとすると、
(10p+q)(10r+s)=100pr+qs-(p+r)   (1)
という演算になります。

ところが、他にいろいろな演算を考えることができて、例えば、
(10p+q)(10r+s)=100pr+(q-p)(s+r) (2)
とすると、
13×14=(10+3)(10+4)
     =100+(3-1)(4+1)
     =100+2×5
     =110
や、
(10p+q)(10r+s)=49(p+r)+qs       (3)
とすると、
13×14=49(1+1)+3×4
     =98+12
     =110
などです。

上記した3種類の演算は、1桁同士の掛け算(p=r=0)の場合、すべて、
(10p+q)(10r+s)=qs
となって、問題に与えられている計算式と整合性があります。

と言うことで、上記した3種類の演算で12×6の値を計算してみます。

式(1)を使った場合
12×6=10×0+2×6-1-0
    =11
これを7進法で表して、11→14

式(2)を使った場合
12×6=10×0+(2-1)(6+0)
    =6
これを7進法で表して、6→6

式(3)を使った場合
12×6=49(1+0)+2×6
    =61
これを7進法で表して、61→115

どれでもよいような気がするのですが、出題者の正解を知りたいところです。ちょっと調べて何か判ったら報告します。はっきりしない解答で申し訳けありません。

中学生でも解ける東大大学院入試問題(69)

2014-12-24 11:41:50 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

晴れていて良い天気ですが、昨日より少し寒くなりました。明日は風があってもっと寒くなるようです。受験生の皆さんは体調に気を付けて頑張ってください。

さて、今回は平成26年度東大大学院工学系研究科システム創成学の入試問題です。

問題は、
「(1)次の関係があるとき、Faの値は何か。
    Af=-5、CC=6、pH=-8、Hg=1、gk=-18

(2)次の関係があるとき、12×6の値は何か。
2×3=6、2×4=11、3×3=12、4×5=26、6×5=42、13×14=215」
です。

規則性を見つける問題です。(1)ではアルファベットが何らかの数字を表していて、また、大文字と小文字との間に違いがあることが判ります。

まずアルファベットと数字の関係ですが、最もシンプルに考えると下表のようにA、B、C、・・・の順に1、2、3、・・・と対応させるものです。他にも逆の順に対応させたり、いろいろな方法が考えられますが、あまりにも凝った対応の場合、問題が難しくなりすぎてしまうのと問題のスマートさがなくなってしまいます。ここでは、取り敢えず、A、B、C、・・・を1、2、3、・・・と対応させておきましょう。
▼表.アルファベット対応表

次に大文字と小文字の使い分けですが、Af=-5のように負の数があったり、CC=6のように正の数があったりすることから、大文字と小文字は+と-に対応しているのではないかと想像できます。

以上の予想に基づいて問題の式を調べてみましょう。

まず、Afについては、A=1、f=-6とすると、Af=A+f=1+(-6)=-5と上手くいきました。

その他の式についても調べていくと、
CCについては、C=3とすると、CC=C+C=3+3=6
pHについては、p=-16、H=8とすると、pH=p+H=-16+8=-8
Hgについては、H=8、g=-7とすると、Hg=H+g=8+(-7)=1
gkについては、g=-7、k=-11とすると、gk=g+k=-7+(-11)=-18
と問題に与えられた式と同じになりました。どうやら予想が当たっているようです。

そこで、答えとして求められているFaを予想に基づいて計算すると、
Fa=F+a=6+(-1)=5
となり、これが答えになります。

(2)については次回調べていきます。興味のある人は考えてみてください。

中学生でも解ける東大大学院入試問題(68)

2014-12-23 11:33:25 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

昨日より気温は若干低いのですが、晴れていて良い天気です。暫く晴れの日が続き週末崩れるようですが、大晦日、元旦は晴れになるとTVの天気予報で言っていました。先のことなので当たるか外れるか分かりませんけれども。

さて、今回は平成25年度東大大学院工学系研究科システム創成学の入試問題です。

問題は、
「次の式に当てはまる整数a、b、cを求めよ。
ただし、c>a>0 かつ c>b>0 である。」
です。

整数の不定方程式では、1つの変数の候補を見つけ、それらの候補について場合分けして他の変数を見つけていきます。そして、本問のようなある分数を単位分数の和に直す問題では、単位分数の取り得る範囲を求め、変数の1つを絞り込むのが常套手段です。

まず、与式を整理すると、
6/11=1/a+1/bc   (1)
となります。

ここで、1/aと1/bcとでどちらが大きい値を取るか調べます。条件にあるように、a、b、cは正の整数(a≧1、b≧1、c≧1)で、c>a>0 なので、これにbを掛けると、
bc>ab≧a
となるので、
1/a>1/bc       (2)
です。

すると、(1)は、
6/11=1/a+1/bc≦2/a
となり、
6/11≦2/a
3/11≦1/a      (3)
となります。

(3)を変形して、
a≦11/3<4
なので、aの候補は、1、2、3となります。

あとはaについて場合分けすればOKです。

a=1のとき、(1)は、
6/11=1+1/bc
1/bc=-5/11
より、これを満たす正の整数b、cはなく、したがって、a≠1となります。

a=2のとき、(1)は、
6/11=1/2+1/bc
1/22=1/bc
より、
bc=22
となります。これを満たすb、cの組合せを(b,c)とすると、
(b,c)=(1,22)、(2,11)、(11,2)、(22,1)
ですが、c>bより、(1,22)、(2,11)、すなわち、
b=1、c=22

b=2、c=11
になります。

a=3のとき、(1)は、
6/11=1/3+1/bc
7/33=1/bc
より、これを満たす正の整数b、cはなく、したがって、a≠3となります。

以上をまとめると、
a=2、b=1、c=22

a=2、b=2、c=11
が答えになります。

念のため、検算してみると、a=2、b=1、c=22の場合、
1/2+1/1×1/22=11/22+1/22
           =12/22
           =6/11
また、a=2、b=2、c=11の場合、
1/2+1/2×1/11=11/22+1/22
           =12/22
           =6/11
とどちらも与式を満たします。

このように整数の不定方程式の問題では、多くの場合、1つの変数の候補を有限個に絞ることができれば、あとは場合分けで解くことができます。その変数の絞り込みかたはいくつかのパターンがありますが、本問の絞り込みかたは代表的なパターンなので覚えておくと良いでしょう。

NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」-最終回-

2014-12-22 12:43:58 | 学習塾塾長の日記
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

晴れて良い天気で、気温が10℃と寒さも少し和みました。今週は晴れの日が続くようです。

さて、昨夜のNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」は最終回でした。年間の平均視聴率も良かったようですね。

最終回のストーリーは、関ヶ原、九州での官兵衛の動向と死、大坂夏の陣を中心に展開しました。

関ヶ原では、小早川秀秋が東軍に付いたことが西軍敗北の契機になり、その論功で秀秋は備前岡山55万石の藩主になります。しかし、秀秋は関ヶ原の2年後に21歳の若さで死亡し、跡継ぎが居なかったことで、名門小早川家は断絶してしまいます。

九州では石垣原で大友義統を破った官兵衛が破竹の勢いで九州を制圧していきます。その辺りの様子を黒田家譜には次のように記しています。

「如水既に大友義統を虜にし、安岐富来の両城をせめて降参させ、臼杵、隈、角牟礼等の諸城を請とり、豊後に於ては敵する者なければ、是より西に赴き、九州を逐一に平げんとて十月四日富来を立て、豊前に帰り給ふ。」

さらに、九州で残すところは薩摩の島津氏だけになったところで、
「其後如水は、加藤主計頭、鍋島加賀守と牒じ合せ、立花左近将監を先陣とし、島津を討んため、肥後を経て、肥後薩摩の境佐敷水股まで軍兵を押ゆかれける。此時島津龍伯、同又八郎より、立花左近方へ使を遣し、今度の罪科を御赦免相成候様にと、かねてより井伊兵部小輔を以て内府公へ申上候條、上方の御下知を御待、先々此方へ責いられ候事相延給候へと申越さる。如水清正是を聞て、然らば先上方よりの御左右を待て、其旨に随ふべしとて、水股の城仕置堅固に申付られける。かゝる處に上方より家康公の御書来り、薩摩へ兵を入候事、先年内はやめ候へと仰下されければ、其旨に任せ薩摩へは入給はず、家康公より如水へ賜る御書にいはく、(略)」
と家康からストップの命令が届きます。あと一歩で九州全土を制圧するところでした。

官兵衛の死については、慶長9年(1604年)、官兵衛59歳、長政37歳の記事に、
「三月如水病に臥したまふ。かねて長政に告ていはく、我が死期来る二十日の辰の刻ならん。我死なば葬礼を厚くすべからず、又佛事を専とすべからず、只国を治め民を安ずる事、我が好む志なれば、是を以死後の孝養とすべしとぞのたまひける。長政父の病を憂へ、湯薬をもみづから試みて、孝養を盡し給へども、医療験なくして、終に三月二十日辰の刻に身まかり給ふ。」

流石に天才軍師だけのことはあって、自らの死亡する日時もぴったり当てています。ちなみに辰の刻は朝の7時から9時だそうです。

大坂夏の陣で豊臣方に参陣した後藤又兵衛は、官兵衛の死から2年後の慶長11年に黒田家を出奔したのですが、それに関する記述は黒田家譜には見当たりません。また、大坂夏の陣についても戦いの詳細は記されていません。

この大坂夏の陣を最後に戦乱は終わり、260年余に渡る徳川政権が続くことになります。そして、来年からの「花燃ゆ」は徳川政権が瓦解していく時代が舞台となります。信長、秀吉、家康による国内統一による安定と国力の充実から明治政府による近代化と、まさに「天下は天下の天下なり」ということです。

来年の「花燃ゆ」も乞うご期待です。

中学生でも解ける東大大学院入試問題(67)

2014-12-21 10:55:12 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

久しぶりに気温が10℃を超えて少し暖かくなりました。予報では暫く同じような天気が続くようです。年末で慌しくなってきますが、受験生の皆さんは落ち着いて勉強に専念しましょう。

さて、今回は平成25年度東大大学院工学系研究科システム創成学の入試問題です。

問題は、
「以下の方程式を解け。ただし、xは実数とする。
です。

左辺が2次式、右辺に根号という中学生には馴染みのない方程式ですが恐るるに足りません。右辺の根号を外すため、両辺を2乗します。すると、左辺が4次式になるのですが、変数を置き直す(変数変換)ことで2次式にすることができます。

と言うのは、与式の両辺のxについての2次式を見比べると、どちらもx^2+4x (x^2はxの2乗を表します) を含んでいて、これを新しい変数に置き直して両辺を2乗すると、左辺が2次式、右辺が1次式になるからです。

ここでは、
x^2+4x+4=(x+2)^2=X   (1)
と変数を置きなおしましょう。

(1)から、
x^2+4x=X-4          (2)
なので、(2)を与式に代入して、
X-4-33=-2√(X-4+15)
X-37=-2√(X+11)     (3)
と変形できます。

次に(3)の両辺を2乗すると、、
(X-37)^2=4(X+11)
X^2-74X+1369=4X+44
X^2-78X+1325=0      (4)
とXの2次方程式になりました。

あとは、(4)を解の公式を使って解いてもOKですし、因数分解を試みるのも良いでしょう。

ここでは、因数分解でいきましょう。

(4)の定数項の1325が2つの数の積になるような2数を見つけ、それらを足したり引いたりしてXの係数-78を探すのが因数分解の常套手段です。

そのために1325を素因数分解するのが上策ですが、ここでは適当にあたりをつけてやってみます。

1325は正数なので2つの数は同符号になります。

また、1325は5の倍数で10の倍数ではないので、符号を無視すると、一方の数は‘☆5’となり、もう一方は‘★3’になります。(ここで、☆、★は0から9までの整数)

これらの2数を足すと78になるのですから、☆+★が7になるわけです。

すると、☆と★のの組合せは、2つの数の逆も含めて、0と7、1と6、2と5、・・・となるのですが、(3または5)×70=210または350、10×60=600、20×50=1000、30×40=1200なので、☆、★は、2、5または3、4になりそうです。

以上より、2数の候補は、23と55(積は1265)、25と53(1325)、33と45(1485)、35と43(1505)ということになります。あとは実際に掛け算して、求める2数は、25と53であることが判ります。

そこで(4)を因数分解すると、
(X-25)(X-53)=0     (5)
となります。

続いて(5)から、
X=25   
または、
X=53   
で、ここで、X=(x+2)^2より、
(x+2)^2=25          (6)
または、
(x+2)^2=53          (7)
です。

あとは、(6)(7)をxについて解けばOKで、(6)のとき、
x+2=±5
x=-7、3      

(7)のとき、
x+2=±√53
x=-2±√53 
になります。

まとめると、-7、3、-2±√53 が与えられた方程式の解になります。

変数を新しい変数に置き直(変数変換)して式を簡単にするテクニックは中学でも勉強するので、知らなかった人は復習しておくと良いでしょう。

中学生でも解ける東大大学院入試問題(66)

2014-12-20 11:05:52 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

雨がぽつりときたり晴れ間が見えたりどっちつかずの天気ですが、これから弱い雨になるようです。

さて、今回は平成25年度東大大学院工学系研究科システム創成学の入試問題です。

問題は、
「与えられた4つの数のそれぞれを1回ずつと、四則演算(+-×÷)、かっこを用いて、答が10となる計算式を考える。たとえば、与えられた4つの数字の組が(2,3,6,7)であれば (7-2)×6÷3、(9,9,9,9)であれば (9×9+9)÷9である。
(1)4つの数字の組(1,1,9,9)に対して、答が10となる計算式を1つ見つけよ。
(2)4つの数字の組(1,1,5,8)に対して、答が10となる計算式を1つ見つけよ。」
です。

テンパズルとかメイク10と呼ばれる算数パズルの問題です。小さい頃、電車の中で切符に印刷してある4桁の数字を使って1から順番に数字を作って遊んでいたので、このような算数パズルは大好きです。

昨年末には、本問の(2)と同じ(1,1,5,8)を使って10を作るTVコマーシャルが放映されていて、それを床屋で解いたのを覚えています。

テンパズルでは、4つの数字と3つの演算子(+-×÷)といくつかの(最大2組?)のかっこを並べるとすべての計算式を作ることができるので、それらを片っ端に計算すれば答えが見つかる訳で、これはコンピュータを使えばあっという間にできてしまいます。

しかし、コンピュータを使わないで系統的に解く方法はないようで(私が知らないだけかも知れませんが)、与えられた数字をいろいろ組み合わせて調べていきましょう。

まず、この問題には小問が2つあるので、それらは異なる計算式の構造をしていて、(1)は「簡単」で(2)は「難しい」、と予想します。(結局、この予想ははずれるのですが)

ここで「簡単」、「難しい」という区別は大した意味があるわけではなく、「難しい」というのは、
(A±(B÷C))=(AC±B)/C
という計算式を含むもの、つまり通分して新しい数字を作る方法です。

例えば、(2)の(1,1,5,8)の場合は、
8÷(1-1÷5)=8÷4/5
         =8×5/4
         =10
と(  )のなかから4を作り出しています。

と言うことで、(1)については、上記のような計算式を含まない単純なものから調べ始めましょう。

まず、1では大きな数字を作れないので(足し算して1増、掛け算では変わりません)、9を軸にして調べるのですが、同じ数字が2つずつなので組合せが少なく、直ぐに降参です。

ところが、単純な計算式をいじっていると、1+1/9を通分して10が出てくるのが判ってしまい、それを基に、9×(1+1÷9)で解決してしまいます。予想に反して、(1)から「難しい」ものだった訳です。

(2)については、昨年末に解いていたので、(A±(B÷C))の計算式を含むことは知っていて、直ぐに解決です。(上記したように答えは、8÷(1-1÷5))

改めて本問を見直してみると、(1)は通分するとダイレクトに10が現れ、単純に9と9で約分して10を作る手順(つまり、通分→(単純な)約分)に対し、(2)は通分して現れた4と8を約分し、さらに積を作って10を作る(つまり、通分→約分→積)という手順なので、(1)より(2)のほうが難しい(複雑、ひねってある)ということで自分なりに納得した次第です。

テンパズル攻略のために、(A±(B÷C))の計算式を頭にいれておくと役に立つこともあるかもしれません。(都立高校入試には出題されないと思いますが)

中学生でも解ける東大大学院入試問題(65)

2014-12-19 11:57:33 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

穏やかな天気になり少し寒さも和らぎました。明日は雨模様ですが気温は上がるようです。受験生の皆さんは体調に気を付けて頑張ってください。

さて、今回は平成17年度東大大学院工学系研究科システム量子工学の入試問題です。

問題は、
「A、B、C、Dの4人がゲームを始める前に順位を予想したところ、下の表のようになった。ゲーム終了後、予想と実際の結果を比べると、A、Bの予想は2つ当たり、CとDの予想は1つしか当たらなかった。実際の順位を解答せよ。」
▼問題の表
です。

A、B、C、Dの4人の順位の場合の数は24通りなので、それらをすべて書き出し、予想を記した問題の表と照合すれば解けそうです。

表1に4人の順位のすべての場合を示します。
▼表1.4人の順位のすべての場合

まず、1のA-B-C-D(左から1、2、3、4位)と問題の表を照会します。

Aを1位と予想した人はいません→《0,0,0,0》←(左からA、B、C、Dの当てた数)
Bを2位と予想したのはBです→《0,1,0,0》
Cを3位と予想した人はいません→《0,1,0,0》
Dを4位と予想したのはAです→《1,1,0,0》
となり、《2,2,1,1》にならないので、1のA-B-C-Dは不適です。

この操作をすべての場合について行うと、23のD-C-B-Aでは、
Dを1位と予想した人はBです→《0,1,0,0》
Cを2位と予想した人はA、Dです→《1,1,0,1》
Aを3位と予想した人はA、Bです→《2,2,0,1》
Bを4位と予想した人はCです→《2,2,1,1》
となり、1位:D、2位C、3位A、4位Bが正解と判ります。

この解法がシンプルで良いと思うのですが、24通りを調べるのが嫌な場合、次のような解法もあります。

まず、Aが1位とすると、AとBの予想では1、3位がはずれているので、2、4位が当たっていなければなりません。しかし、Aの予想した2、4位とBの予想した2、4位は異なっているので、A、Bの両者が2、4位を当てていることはありえません。すなわち、Aは1ではありません。

次に、Bが1位とすると、Bの予想では1、2位がはずれているので、3、4位が当たっていなければなりません。つまり、3位:A、4位C⇒B-D-A-Cということです。この順位とCの予想を照会すると、Cはすべてはずれになるので不適となります。つまり、Bは1位ではありません。

さらに、Cが1位とすると、Aの予想では1、2位がはずれているので、3、4位が当たっていなければなりません。つまり、3位:A、4位D⇒C-B-A-Dということです。

また、Bの予想では1、4位がはずれているので、2、3位が当たっていなければなりません。つまり、2位:B、3位:A⇒C-B-A-Dということです。これは上記のAの予想から得られた結果と一致しますが、この順位とDの予想を照会すると、Dはすべてはずれになるので不適となります。つまり、Cは1位ではありません。

最後に、Dが1位とすると、Aの予想では1、4位がはずれているので、2、3位が当たっていなければなりません。つまり、2位:C、3位A⇒D-C-A-Bということです。

この順位とB、C、Dの予想を照会すると、Bは1、3位、Cは4位、Dは2位が当たっています。つまり、各人の予想で当てた数は、A:2、B:2、C:1、D:1となり、1位:D、2位C、3位A,4位Bが正解になります。

他にもいろいろな解き方を考えてみたのですが、同じようなものばかりでした。スマートな解法を知っていたら教えてください。

中学生でも解ける東大大学院入試問題(64)

2014-12-18 12:03:47 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

天気図を見ると多数の等圧線が日本列島を南北に走っているのですが、風は昨日に比べて収まってきました。昨日は名古屋も雪だそうで、この冬は東京も大雪になりそうです。

さて、今回は平成17年度東大大学院工学系研究科システム量子工学の入試問題です。

問題は、
「袋の中に1から12までの数字が一つずつ書かれた12枚のカードが入っている。A、B、Cの3人が袋の中のカードをそれぞれ3枚ずつ、計9枚取り出した。このとき、Bが引いた3枚目のカードは、Aの3枚目のカードよりも4大きく、Cの3枚目のカードよりも2小さい数字であった。
 下の表は、3人がそれぞれ取り出したカードの一部を記入したものである。Bが引いた3枚のカードに書かれた数字をすべて答えよ。」
です。
▼問題の表

まず、問題の表の空欄に変数を割り当て、それらを使って与えられた条件を立式しましょう。表1に変数を割り当てたものを示します。

▼表1.変数の割り当て

それでは、与えられた条件を立式します。

まず、表1からAの3枚のカードの合計は19なので、
5+p+q=19
p+q=14     (1)
で、同様に、B、Cについても、
r+s+t=21   (2)
u+8+v=21
u+v=13     (3)
となります。

次に、「Bが引いた3枚目のカードは、Aの3枚目のカードよりも4大きく」から
t-q=4      (4)
で、さらに、「Bが引いた3枚目のカードは、Cの3枚目のカードよりも2小さい」から
v-t=2      (5)
となります。

そしてもう一つ大切な条件があって、それは、「1から12までの数字が一つずつ書かれた12枚のカード」で、これはカードに書かれた数字に重複はないということです。つまり、問題の表に既に5と8があるので、p、q、・・・の変数は、残りの《1,2,3,4,6,7,9,10,11,12》に対応するということです。

ここで、これまでに得られた条件をまとめます。

(0)p、q、r、s、t,u、v は、《1,2,3,4,6,7,9,10,11,12》のどれかに対応       
(1) p+q=14     
(2) r+s+t=21   
(3) u+v=13     
(4) t-q=4      
(5) v-t=2 

条件(0)から(5)を眺めると、(0)、(4)、(5)からq、t、vの候補を絞ることができそうです。(もちろん(0)、(1)、(4)からp、q、tの候補を絞り込むこともでしますが、(1)が和なので候補が多くなりそうです)

(0)と(1)を満たすq、tの組合せを(q,t)として(以下同様)、
(q,t)=(7,11)、(6,10)、(3,7)、(2,6) 
となります。

続いて、(t,v)は、
(t,v)=(10,12)、(9,11)、(7,9)、(4,6)、(2,4)、(1,3)
です。

ここで、(q,t)と(t,v)に共通するtに着目すると、(q,t)=(7,11)の場合、t=11なのですが、(t,v)の候補のなかにt=11となるものがないことから、(q,t)≠(7,11)であることが判ります。

同様に調べていくと、結局、可能性のある候補は、
(q,t)=(6,10) に対して、(t,v)=(10、12)
(q,t)=(3,7) に対して、 (t,v)=(7,9)
の2つになり、これらをまとめると、
(q,t,v)=(6,10,12)または(3,7,9)
となります。

ここまでで、qの候補が2つに絞られたので、(1)を使って、pの候補を調べましょう。    
(q,t,v)=(6,10,12)のとき(⇒残りの数字《1,2,3,4,7,9,11》)、(1)より、(p,q)=(8,6)となりますが、8は残りの数字にないので、これは不適です。

(q,t,v)=(3,7,9)のとき(⇒残りの数字《1,2,4,6,10,11,12》)、(1)より、(p,q)=(11,3)となり、これはOKです。

まとめると、
(p,q,t,v)=(11,3,7,9)
まで明らかになりました。

次は、(p,q,t,v)=(11,3,7,9)のとき(⇒残りの数字《1,2,4,6,10,12》)のとき、(3)より、(u,v)=(4,9)となり、これはOKです。

まとめると、(p,q,t,u,v)=(11,3,7,4,9)で、残りの数字は、《1,2,6,10,12》です。

最後に、(2)にt=7を代入すると、
(6)r+s=14 
で、残りの数字《1,2,6,10,12》から(6)を満たす組合せ(r,s)は、(2,12)、(12,2)だけです。

したがって、全ての変数の組合せは、
(p,q,r,s,t,u,v)=(11,3,2,12,7,4,9)
            または、(11,3,12,2,7,4,9) 
と判りました。

求められているのは、「Bが引いた3枚のカードに書かれた数字をすべて答えよ」ですから、答えは、「2、7、12」となります。 

この問題のように、使える数字が重複を許さない場合、数字が決まる度にどんどん簡単になっていくので、問題をよく読んで、(0)のような条件を見逃さないようにしましょう。  

中学生でも解ける東大大学院入試問題(63)

2014-12-17 11:28:39 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

風がありますが、今の気温は9℃と少し寒さが和らぎました。明後日まで同じような天候が続くようです。受験生の皆さんは頭寒足熱で頑張って勉強してください。

さて、今回は平成23年度東大大学院工学系研究科システム創成学の入試問題です。

問題は、
「酸素原子の同位体には、16O、17O、18Oの三種類あり、各々の天然存在比(個数比)は99.76%、0.04%、0.2%である。原子はランダムに結びつくものとして、酸素分子のうち分子量34の酸素分子の存在割合は何%か算出せよ。」
です。

酸素原子、分子などが出てくるので理科の問題のようですが、単純な確率の問題です。酸素分子は、2つの酸素原子が結合してできています。そこで、2つの箱を考えて、その1つをA、もう一つをBとします。

すると、(A,B)の組合せは、(16O,16O)、(16O,17O)、(16O,18O)、(17O,16O)、(17O,17O)、(17O,18O)、(18O,16O)、(18O,17O)、(18O,18O)の9通りで、そのなかで分子量が34になるものは、(16O、18O)、(17O,17O)、(18O,16O)の3通りです。

したがって、(16O、18O)、(17O,17O)、(18O,16O)になる確率を求めて、それらを足し合わせればOKです。

まず、(A,B)が(16O,18O)になる確率を調べます。

たくさんの酸素原子から1つ選んでAに入れるわけですから、16Oが選ばれる確率は、16Oの存在比、つまり、99.76%→0.9976 ということになります。

Bに18Oが入る場合も同様で、0.2%→0.002 となります。

したがって、(A,B)が(16O,18O)となる確率は、
0.9976×0.002=0.0019952
            =0.002
            =0.2%
となります。

同様に、(17O,17O)については、
0.0004×0.0004=0.00000016
             =0.0000002
             =0.00002%

(18O,16O)については、
0.002×0.9976=0.0019952
            =0.002
            =0.2%
です。

したがって、分子量34の酸素分子の存在割合は、上記の3つの和ですから、
0.2+0.00002+0.2=0.40002
で、答えは0.4%になります。

簡単な確率の問題でしたが、有効数字の取り扱いにも気を付けたほうが良いのかもしれません。