東久留米 学習塾 塾長ブログ

東京都東久留米市滝山の個別指導型学習塾 塾長白井精一郎のブログ

2021年日本数学オリンピック予選の問題(8)

2021-03-24 09:45:00 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

今回は、2021年日本数学オリンピック予選の問題で、これが最後の記事になります。

問題は、
「三角形ABCの辺AB、AC上にそれぞれ点D、Eがあり、4点D、B、C、Eは同一円周上にある。また、四角形DBCEの内部に点Pがあり、
∠BDP=∠BPC=∠PECをみたしている。

AB=9、AC=11、DP=1、EP=3のとき、

の値を求めよ。

ただし、XYで線分XYの長さを表すものとする。」
です。

図1に問題の図を描きました。


▲図1.問題の図を描きました

図2のように、直線DPと直線ACの交点をQ、四角形DBCEの外接円の交点でDでない方をSとし、直線EPと直線ABの交点をR、四角形DBCEの外接円の交点でEでない方をTとすると、仮定と円周角の定理から、
∠BDS=∠BPC>∠BDC
→ 弧BS>弧BC
になり、SはBがない方の弧CE上の点で、したがって、Qは線分CE上にあります。


▲図2.Qは線分CE上の点で、Rは線分BD上の点です

同様に、
∠CET=∠CPB>∠CEB
→ 弧CT>弧BC
になり、TはCがない方の弧BT上の点で、したがって、Rは線分BD上にあります。

そこで、△BDPに注目すると、三角形の2つの内角と外角の関係から、
∠BPQ=∠DBP+∠BDP
が成り立ち、このとき、
∠BPQ=∠CPQ+∠BPC=∠CPQ+∠BDP
から
∠DBP=∠CPQ
で、一方、△CEPに注目すると、
∠CPR=∠ECQ+∠CEP
が成り立ち、このとき、
∠CPR=∠BPR+∠BPC=∠BPR+∠CEP
から
∠ECQ=∠BPR
になり、したがって、△BPR∽△PCQです。

また図3のように、∠PDR=∠PEQ(仮定)、∠DPR=∠EPQ(対頂角)から
△DPR∽△EPQ
になり、このとき、DP=1、EP=3から

です。


ここで、四角形DBCEの外接円と線分AB、ACに方べきの定理を適用すると、

が成り立ちます。

また、∠QDR=∠QERで、このとき円周角の定理の逆から、図4のように、D、R、Q、Eは同一円周上にあり、この円と線分AR、AQに方べきの定理を適用すると、

が成り立ちます。


▲図4.AD・AR=AE・AQです

そこで、(3)を(2)で除して整理すると、

です。

このとき△BPR∽△PCQから、

が成り立ち、ここで、右側の等式に(1)と(4)を代入して整理すると、

になり、これと(5)の左側の等式から、

で、これが答えです。


このブログを始めてから8年になります。ご覧くださった皆様に感謝します。ありがとうございました。

2021年日本数学オリンピック予選の問題(7)

2021-03-22 10:02:36 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

今回は、2021年日本数学オリンピック予選の問題です。

問題は、
「1以上1000以下の整数からなる組(x,y,z,w)すべてについて、
xy+zw、xz+yw、xw+yz
の最大値を足し合わせた値をMとする。

同様に、1以上1000以下の整数からなる組(x,y,z,w)すべてについて、
xy+zw、xz+yw、xw+yz
の最小値を足し合わせた値をmとする。

このとき、M-mの正の約数の個数を求めよ。」
です。

3つの実数をA、B、Cとしたとき、例えば下の図の場合、lA-Bl、lBーCl、lC-Alは、それぞれAB間の長さ、BC間の長さ、CA間の長さを表し、これらのなかの最大値がA、B、Cの最大値と最小値の差になり、さらに残りの2つ和もA、B、Cの最大値と最小値の差になります。


図.C<B<Aの場合を示しました

したがって、

が成り立ちます。

このことから、3つの整数xy+zw、xz+yw、xw+yzの最大値と最小値の差d1は、

で、したがって、M-mは(x,y,z,w)すべての組についてのdの和になります。

また、1≦x、y、z、w≦1000から、(x,y,z,w)すべての組についてのlx-wlly-zlの和とlx-yllz-wlの和とlx-zllw-ylの和は等しくなり、したがって、

としたとき、M-mは(x,y,z,w)すべての組についてのd2の和になります。

さらに、lxーwl=x-w(x>w)またはーx+w(x>w)、ly-zl=yーz(y>z)または-y+z(y<z)なので、(x,y,z,w)すべての組について、lx-wlとly-zlの組はそれぞれx-w(x>w)とy-z(y>z)の組の2倍になり(x=w、y=zのときはM、mの和に寄与しません)、したがって、

としたとき、M-mはx>w、y>zを満たす(x,y,z,w)すべての組のdについての和になります。

ここで、x>wを満たすx-wの組は、
x-w=1 → 999組
   =2 → 998組
    ・
    ・
    ・
   =999 → 1組
で、これは、y-zについても同様です。

したがって、(ここから一気にいきます)

です。

したがって、M-mの約数の個数は、
(5+1)×(5+1)×(6+1)×(2+1)×(2+1)×2+1)×(2+1)
=6×6×7×3×3×3×3= 20412(個) で、これが答えです。


Σを使えば簡潔になります。

2021年日本数学オリンピック予選の問題(6)

2021-03-20 10:40:50 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

今回は、2021年日本数学オリンピック予選の問題です。

問題は、
「三角形ABCの辺BC上に点P、Qがあり、三角形ACPの垂心と三角形ABQの垂心は一致している。AB=10、AC=11、BP=5、CQ=6のとき、辺BCの長さを求めよ。
ただし、XYで線分XYの長さを表すものとする。」
です。

△ABCは、AB=10、AC=11、BC≧CQ=6なので、∠B,∠C<90°になり、このとき、Aから辺BCに下した垂線の足をDとすると、辺BC上のP、Q、Dの位置関係は、図1ー1のように、
B-P-Q-D-C
B-P-D-Q-C
B-D-P-Q-C
と並ぶ場合と、図1-2のように、
B-Q-P-D-C
B-Q-D-P-C
B-D-Q-P-C
と並ぶ場合があります。(図では、△ACP、△ABQの垂心をそれぞれHCとHBで表しました)


▲図1-1.PがQよりB側にある場合のB、P、Q、D、Cの考えられる位置関係


▲図1-2.QがPよりB側にある場合のB、Q、P、D、Cの考えられる位置関係

これらの図1-1、2の両端の場合、2つの三角形の組合せが鋭角三角形と鈍角三角形になり、それぞれの垂心が三角形の内部と外部に存在することになります。

ここでは、△ACPの垂心HCと△ABQの垂心HBは、辺BCの上側と下側に分かれ、2つの垂心が一致することはありません。

これに対して、2つの図の中央の場合、2つの三角形の組合せが鋭角三角形同士または鈍角三角形同士になり、それぞれの垂心が三角形の内部と外部に存在することになります。

ここでは、HBとHCは、辺BCの上側または下側のどちらかになり、2つの垂心が一致する可能性があります。

つまり、図1ー1の中央のようにB-P-D-Q-Cと並んだ場合と、図1-2の中央のようにB-Q-D-P-Cと並んだ場合の2つの場合を調べる必要があることになるのですが、実は、これらの2つの場合の辺BCの長さは同じになります。

そこで、ここでは図1-1の中央のようにB-P-D-Q-Cと並んだ場合を調べていきます。(B-Q-D-P-Cの場合も以下の方法で解けます)

初めに図2のように、問題の図を描きました。


▲図2.問題の図を描きました

ここで図3のように、Aから下した垂線の足をD、△ACPと△ABQの垂心をH、PHとACの交点をE、QHとABの交点をFとします。


▲図3.D、H、E、F定めました

すると図4に示すように、∠ADB=∠QDH、∠BAD=90°-∠B=∠BQF=∠HQDから、△ABD∽△QHDです。


▲図4.△ABD∽△QHDです

したがって、

が成り立ちます。

一方、図5に示すように、∠ADC=∠PDH、∠CAD=90°-∠C=∠CPE=∠HPDから、△ACD∽△PHDです。


▲図5.△ACD∽△PHDです

したがって、

が成り立ちます。

すると(1)と(2)から

になります。

このとき、直角三角形ABDに三平方の定理を適用すると、

が成り立ち、これに、

を代入し整理して、

を得ます。

さらに、直角三角形ACDに三平方の定理を適用すると、

が成り立ち、これに、

を代入し整理して、

を得ます。

ここで、(4)-(3)から

になり、したがって、

で、これが答えです。


簡単な問題です。

2021年日本数学オリンピック予選の問題(5)

2021-03-18 10:17:37 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

今回は、2021年日本数学オリンピック予選の問題です。

問題は、
「正の整数nに対して、正の整数mであってmとnが互いに素であり、m+1とn+1も互いに素となるようなもののうち最小のものをf(n)で表す。このとき、

のうちに現れる正の整数は何種類あるか。」
です。

素数を小さい順に、
1,p2,・・・,pk,・・・,pl 
(k、lは正の整数、k≦l)
として、

とします。

このとき、αxは整数で、
α1,α2,・・・,αk-1≧1
αk=0
αk+1,・・・,αl≧0
です。(つまり、pkがn+1の約数ではない最小の素数になります)

初めに、
1≦m<pk-1
を満たすmを調べます。

上記の不等式の各辺に1を加えると、
2≦m+1<pk
になり、これからm+1はpkより小さい素数prを因数にもちます。

このとき、prはp1、p2、・・・、pk-1のいずれかで、するとprはn+1の約数になり、n+1とm+1は互いに素ではありません。

したがって、条件を満たすmは、
m≧pk-1
になり、
f(n)≧pk-1   (★)
です。

次に、
k-1<pk
から、pk-1の約数は p1、p2、・・・pk-1 のいずれかなので、

と表すことができます。

このとき、βxは整数で、
β1,β2,・・・,βk-1≧0
です。

すると、

から、nとpk-1は互いに素で、さらに、

から、n+1とpkも互いに素になります。

これは、pk-1はmの条件を満たす整数であることを示していて、このとき(★)から、pk-1がmの最小値になるので、
f(n)=pk-1
であることが判りました。

続いて、

について、最大になるpkを求めます。

そこで、素数を小さい方から順に掛け合わせいくと、

から、pkの最大値は31です。
(2から31までの素数を1つずつ掛け合わせた積が

を超えるので、

以下の整数のなかに2から31までのすべての素数で割り切れるものはありません)

したがって、pkがとりうる値は、
2、3、5、7、11、13、17、19、23、29、31
の11種類で、これらのそれぞれについて、条件を満たす最小のm、つまり、f(n)が、
1、2、4、6、10、12、16、18、22、28、30
になるようなnが存在することを確かめればお仕舞です。


のとき、n+1と互いに素になる最小のm+1は31で、したがって、

です。

同様に、

になり、11種類のf(n)に対して、

が存在します。

以上から、

に現れる正の整数は 11 種類 で、これが答えです。


簡単な問題です。

2021年日本数学オリンピック予選の問題(4)

2021-03-16 10:03:50 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

今回は、2021年日本数学オリンピック予選の問題です。

問題は、
「黒板に3つの相異なる正の整数が書かれている。黒板に実数a、b、cが書かれているとき、それぞれを
 
に同時に書き換えるという操作を考える。この操作を2021回行ったところ、最後に黒板に書かれた3つの数はすべて正の整数だった。このとき、最初に書かれていた3つの正の整数の和としてありうる最小の値を求めよ。」
です。

最初に書かれていた3つの相異なる正の整数を a0、b0、c0 とします。このとき、対称性から 1≦a0<b0<c0 としても一般性は失いません。

また、1以上2021以下の整数nについて、n回目の操作後に黒板に書かれている数をan、bn、cn とすると、

が成り立ち、これらの式の辺々を足し合わせると、

になり、したがって、

で、これらから、

になります。ここで、最初に書かれていた3つの正の整数の和をsとしました。

続いて(2)を(1)に代入すると、

になり、これらの漸化式を解くと、

です。

ここで(4)から bn-an、cn-an をつくり、さらにn=2021とすると、

で、これらから、

になります。

一方(5)から、

になり、このとき a2021、b2021 はともに整数なので、

です。

さらに(5)から

になり、このとき a2021、c2021 はともに整数なので、

です。

すると、a≧1 、(6)(7)(8)から、

が成り立ちます。

ここから、

のとき、(6)の不等式の等号が成り立ち、かつ、a2021、b2021、c2021 が正の整数になるかを調べます。


なので、(6)の不等式の等号は成り立ちます。

また(4)から、

で、a2021、b2021、c2021 は正の整数になり、与えられた条件を満たします。

以上から、最初に書かれていた3つの正の整数の和としてありうる最小の値は、

で、これが答えです。


簡単な問題です。

2021年日本数学オリンピック予選の問題(3)

2021-03-14 10:09:23 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

今回は、2021年日本数学オリンピック予選の問題です。

問題は、
「AB=ACなる二等辺三角形ABCの内部に点Pをとり、Pから辺BC、CA、ABにおろした垂線の足をそれぞれD、E、Fとする。


BD=9、CD=5、PE=2、PF=5のとき、辺ABの長さを求めよ。ただし、XYで線分XYの長さを表すものとする。」
です。

どうでもよいことなのですが、問題図の線分の長さの比をより正確に作図すると図1のようになったので、これを使って進めていきます。


▲図1.線分の長さの比をより正確に作図しました

図2のように、AからBCにおろした垂線の足をH、Pを通りBCと平行な直線とAC、AB、AHとの交点をそれぞれQ、R、Sとします。


▲図2.H、Q、R、Sを定めました

このとき、Hは線分BCの中点なので、
CH=7
になり、したがって、
DH=2
です。

一方、△PFR∽△PEQでその相似比は5:2なので、
 PR:PQ=5:2
→PR:QR=5:7
で、さらにSは線分QRの中点なので、

になり、したがって、

が成り立ちます。

するとPS=DH=2から、図3のように、

になります。


そこで、直角三角形PFRに三平方の定理を適用すると、

が成り立ち、これに、

を代入して整理すると、

です。

あとは△ABH∽△PRFを利用して、

で、これが答えです。


簡単な問題です。

2021年日本数学オリンピック予選の問題(2)

2021-03-12 09:31:21 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

今回は、2021年日本数学オリンピック予選の問題です。

問題は、
「下図のような正十角形がある。


全体の面積が1のとき、斜線部の面積を求めよ。」
です。

図1のように、正十角形の各頂点をA、B、C、D、E、F、G、H、I、J、CHとDIの交点をO、ADとBEの交点をK、BDとCKの交点をLとし、左側の図の斜線部の図形をその面積が等しい図形に変形していきましょう。


図1.左側の図の斜線部の図形をその面積が等しい図形に変形します

左側の図→中央の図
△GHI≡△BCDから、左側の図の斜線部の図形の面積と中央の図の斜線部の図形の面積は等しくなります。

中央の図→右側の図
AD//BC、BE//CD、BC=CDから四角形BCDKはひし形です。

すると△BCL≡△DKLから、△BCDの面積と△CDKの面積は等しく、したがって、中央の図の斜線部の図形の面積と右側の図の斜線部の図形の面積は等しくなります。

このとき、対角線CHは正十角形ABCDEFGHIJの対称の軸なので、
CH⊥BD
で、一方、ひし形BCDKの対角線は垂直に交わるので、
CK⊥BD
になり、したがって、KはCH上に存在します。

あとは図2のように、新しく作った図形を、正十角形の隣り合う2つの頂点とOを結んでできる、その面積が0.1の4つの三角形に分割すればお仕舞です。このとき、四角形AKOJは平行四辺形なので、△OAJ≡△AOKです。


▲図2.面積0.1の正十角形の隣り合う2つの頂点とOを結んでできる4つの三角形に分割しました

以上から、問題に与えられた図の斜線部の面積は 0.1×4= 0.4 で、これが答えです。


簡単な問題です。

2021年日本数学オリンピック予選の問題(1)

2021-03-10 09:00:40 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

今回は、2021年日本数学オリンピック予選の問題です。

問題は、
「互いに素な正の整数m、nが m+n=90 をみたすとき、積 mn としてありうる最大の値を求めよ。」
です。

mとnの対称性から m≧n としても一般性を失いません。

そこで、

とすると、 mn が最大の値をとるのは、
・ m=45のとき
  n=45になり、mとnは互いに素でないので条件をみたしません

・ m=46のとき
  n=44になり、mとnは互いに素でないので条件をみたしません

・ m=47のとき
  n=43になり、mとnは互いに素なので条件をみたします
から、m=47、n=43のときです。

したがって、積 mn としてありうる最大の値は 47×43= 2021 で、これが答えです。


簡単な問題です。

高校入試問題R3(2)[灘高]

2021-03-08 09:54:05 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

今回は、令和3年度灘高の問題です。

問題は、
「a、bは等式
 
を満たしている。

(1) p=2ab+3a+4 とする。

をaのみを用いて表せ。

(2)a、bはどちらも、0でない整数とする。等式①を満たすa、bの値を求めよ。」
です。


です。

また、①から

で、これを〈1〉に代入すると、

で、これが(1)の答えです。

続いて(2)です。

(1)の答えから、

が成り立ちます。

いま

で、このときa、bは整数なのでpは整数になり、したがって、〈2〉を満たすp-aとp+aの組(p-a,p+a)は、
(±1,±16)、(±2,±8)、(±4,±4)、(±8,±2)、(±16,±1)[複合同順]
です。

一方、
・ p-aとp+aの偶奇は一致し、また、それらの積が偶数(16)なので、p-aとp+aはともに偶数
・ p-a=p+aのとき、a=0
であることから、(±2,±8)または(±8,±2)が残ります。

ここから場合分けして調べていきます。

(p-a,p+a)=(±2,±8)の場合
p-a=±2、p+a=±8 から、(p,a)は(5,3)または(-5,-3)で、これらを〈3〉に代入すると、

・(p,a)=(5,3)のとき

で、bは整数なので不適です。

・(p,a)=(-5,-3)のとき
-5=2×(-3)×b+3×(-3)+4
→b=0
で、b≠0なので不適です。

●(p-a,p+a)=(±8,±2)の場合
p-a=±8、p+a=±2から、(p,a)は(5,-3)または(-5,3)で、これらを〈3〉に代入すると、

・(p,a)=(5,ー3)のとき

で、bは整数なので不適です。

・(p,a)=(-5,3)のとき
-5=2×3×b+3×3+4
→b=-3
で、これは条件を満たします。

以上から、等式①を満たすa、bの値は a=3、b=-3で、これが(2)の答えです。


簡単な問題です。

高校入試問題R3(1)[都立日比谷高]

2021-03-06 09:37:49 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

今回は、令和3年度都立日比谷高の問題です。

問題は、
「1、2、3、4、5の数字が1つずつ書かれた同じ大きさの5枚のカード
 
が入っている袋Aと、1、2、3、4、5、6の数字が1つずつ書かれた同じ大きさの6枚のカード
 
が入っている袋Bがある。

2つの袋A、Bから同時にそれぞれ1枚のカードを取り出し、袋Aから取り出したカードに書かれた数をa、袋Bから取り出したカードに書かれた数をbとするとき、aと3bの最大公約数が1となる確率を求めよ。

ただし、2つの袋A、Bそれぞれにおいて、どのカードが取り出させることも同様に確からしいものとする。」
です。

下表にa、3bの値とそれらの最大公約数をまとめました。


▲表.a、3bの値とそれらの最大公約数をまとめました

この表から、すべての事象の場合の数は 30通りで、最大公約数が1となる事象の場合の数は 17通りなので、最大公約数が1となる確率は

で、これが答えです。

また、表を作るのが煩雑ならば、いきなりaと3bの最大公約数が1となる組の個数を勘定すればOKです。

aと3bの最大公約数が1となるのは、
・ a=1の場合:bは何でもOK→6組
・ a=2の場合:bは偶数はNG→3組
・ a=3の場合:bはすべてNG→0組
・ a=4の場合:bは偶数はNG→3組
・ a=5の場合:bは5はNG →5組
なので、合計6+3+0+3+5=17(組)です。

このとき、aと3bのすべての組は5×6=30(組)なので、求める確率は

になります。


簡単な問題です。

中学生でも手が届く京大入試問題(68)

2021-03-04 10:04:54 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

今回は、令和3年度京大入試問題(前期、文系)です。

問題は、
「pが素数ならば
 
は素数でないことを示せ。」
です。

pを3で割った余りが1または2、つまり、p=3n±1(nは1以上の整数;1は素数でないのでp≠1→n≧1です)の場合、

の定数項が15になり、これは3の倍数なので、(★)は素数ではありません。

また、pを3で割った余りが0の場合、p=3を除くすべてのpは素数でないので、p=3の場合を調べればOKです。

そこで、p=3n±1 とp=3の場合について、(★)が素数でないことを示すことにします。

p=3n±1 の場合

から(★)は3の倍数です。

このとき、

から

なので、(★)は素数ではありません。

p=3 の場合

から(★)は素数ではありません。

以上から、
pが素数ならば

は素数でないことを示すことができました。


簡単な問題です。

中学生でも手が届く東大入試問題(47)

2021-03-02 09:38:10 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

今回は、令和3年度東大入試問題(前期、理系文系共通)です。

問題は、
「以下の問いに答えよ。

(1) 正の奇数K、Lと正の整数A、Bが KA=LB を満たしているとする。Kを4で割った余りがLを4で割った余りと等しいならば、Aを4で割った余りはBを4で割った余りと等しいことを示せ。

(2) 正の整数a、bが a>b を満たしているとする。このとき、
 
に対して KA=LB となるような正の奇数K、Lが存在することを示せ。

(3) a、bは(2)の通りとし、さらに a-b が2で割り切れるとする。
 
を4で割った余りは
 
を4で割った余りと等しいことを示せ。

(4)
 
を4で割った余りを求めよ。」
です。

K=4k+r
L=4l+r
とすると、KとLは奇数なので、r=1または3 です。

ここで、これらを KA=LB に代入して整理すると、
 (4k+r)A=(4l+r)B
→ 4(kA-lB)=r(B-A)
になり、このとき4とrは互いに素なので、B-Aは4の倍数です。

したがって、Aを4で割った余りはBを4で割った余りと等しくなります。

次に(2)です。


を使ってAを展開すると、

になります。

ここで、分子、分母の各因数を4で割ったときの余りでまとめると、

になります。

このとき、

なので、

になり、ここで、

とすると、KとLはいずれも正の奇数です。

したがって、KA=LBとなるような正の奇数K、Lが存在することを示すことができました。

次に(3)です。

正の整数mとすると、

で、これをKに代入すると、

になります。

このとき、KとLの因数を4で割った余りは、左側から順に同じ値になり、さらにKとLの因数の個数は同じなので、KとLを4で割った余りは等しくなります。

したがって、(1)から

を4で割った余りは等しくなります。

最後の(4)です。

(3)で示したように、


505-9=496=2×248
から

を4で割った余りは、

を4で割った余りと等しくなります。

さらに、


126-2=124=2×62
から

を4で割った余りは、

と等しくなります。

このとき、

から、

を4で割った余りは3になります。

したがって、

を4で割った余りは で、これが(4)の答えです。


簡単な問題です。

中学生でも手が届く京大入試問題(67)

2021-02-28 09:48:49 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

今回は、令和3年度京大入試問題(前期、文系)です。

問題は、
「10進法で表された数 6.75 を2進法で表せ。また、この数と2進法で表された数 101.0101 との積として与えられる数を2進法および4進法で表せ。」
です。


から、6.75 の2進法記数は 110.11 です。

2進法で表された 101.0101 を

のように10進法に変換し、これと 6.75 の積をつくると、

になり、したがって、積の2進法記数は 100011.110111 です。

(2進法の加算表、乗算表を利用して計算することもできます)

さらに、この積を4進法に変換すると、

になり、したがって、積の4進法記数は 203.313 です。

以上をまとめると、
6.75 の2進法記数 : 110.11
積の2進法記数    : 100011.110111
積の4進法記数    : 203.313
で、これらが答えです。


簡単な問題です。

中学入試問題R3(20)[桜蔭中]

2021-02-26 09:44:44 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

今回は、令和3年度桜蔭中の問題です。

問題は、
「円周率は、3.14を使って計算することが多いです。しかし、本当は3.14159265・・・とどこまでも続いて終わりのない数です。この問題では、円周率を3.1として計算してください。

図のように点Oを中心とした半径の異なる2つの円の周上に道があります。


Aさんは内側の道を地点aから反時計回りに、Bさんは外側の道を地点bから時計回りに、どちらも分速50mの速さで同時に進みはじめます。
AさんとBさんのいる位置を結ぶ直線が点Oを通るときに、ベルが鳴ります。ただし、出発のときはベルは鳴りません。

(1) AさんとBさんが道を一周するのにかかる時間はそれぞれ何分ですか。
(2) 1回目と2回目にベルが鳴るのは、それぞれ出発してから何分後ですか。
(3) 出発してから何分かたったあと、2人とも歩く速さを分速70mに同時に変えたところ、5回目にベルが鳴るのは速さを変えなかったときと比べて1分早くなりました。速さを変えたのは、出発してから何分後ですか。」
です。

道を1周するのにかかる時間は、
・Aさん
50×2×3.1÷50= 6.2(分)

・Bさん
60×2÷3,1÷50= 7.44(分)
で、これが(1)の答えです。

続いて(2)です。

図1のように、Bさんが外側の道上にある地点dにいるとき、中心Oと地点dを結んだ直線と内側の道の交点を地点cとすると、おおぎ形Oacとおおぎ形Obdは相似なので、
弧ac : 弧bd=Oa : Ob=50:60
です。


▲図1.おおぎ形Oacとおおぎ形Obdは相似です

したがって、Bさんが外側の道を時計回りに分速50mで進むとき、Bさんの影B’は、内側の道を時計回りに、

の速さで進むことになります。

ここで、ベルが鳴るときのAさんとB’の位置関係を考えてみると、図2に示すPとQのように、2人が中心Oに対してそれぞれ反対の位置にいる場合と、Rのように同じ位置にいる場合があります。


▲図2.ベルが鳴るときのAさんとB’の位置関係です

いま、AさんとB’は同じ位置(地点a)から出発するので、1回目にベルが鳴るのは、図2のPとQのような位置関係のとき、つまり2人の進んだ道のりの和が半径50mの円周の半分になるときで、2回目にベルが鳴るのは、図2のRのような位置関係のとき、つまり2人の進んだ道のりの和が半径50mの円周になるときです。

そこでAさんとB’の速さの和が、

であることから、1回目のベルが鳴るのは、出発してから

で、2回目のベルが鳴るのは、

になり、まとめると、

が(2)の答えです。

最後の(3)です。

5回目にベルが鳴るのは、AさんとB’の道のりの和が半径50mの円周の

になるときで、その道のりは、

です。

このとき2人が速さを変えない場合、この道のりを進むのに要する時間は

なので、途中で2人が速さを変えた場合に要した時間は、

になります。

また、Bさんが外側の道を分速70mで進むとき、内側の道を進むB’の速さは、図1と同じように、

なので、Aさんの速さとB’の速さの和は、

です。

そこで、2人が速さを変えてから進んだ時間をt分間とすると、
 (初めの速さの和)×(5回目のベルが鳴るまでの時間)
+(変えた後の速さの和-初めの速さの和)×t
=(5回目のベルが鳴るまでの道のり)
になるので、

が成り立ち、これからtを計算すると、

で、初めの速さで進んだ時間は、

になります。

したがって、速さを変えたのは、出発してから

で、これが(3)の答えです。


簡単な問題です。

中学入試問題R3(19)[麻布中]

2021-02-24 09:49:10 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

今回は、令和3年度麻布中の問題です。

問題は、
「同じ形と大きさのひし形の紙がたくさんあります。これらの紙を、縦横何列かずつはり合わせます。このとき、となりのひし形と重なり合う部分はひし形で、その1辺の長さは元のひし形の

となるようにします。最後にこの図形の一番外側を太線で囲みます。

例えば、縦2列、横3列の計6枚のひし形の紙をはり合わせてこの図形の一番外側を太線で囲んだ場合は、下図のようになります。太線の内部には、紙が重なり合う部分が7か所あり、紙のない所が2か所できます。


この方法で、縦10列、横20列の計200枚のひし形の紙をはり合わせて、この図形の一番外側を太線で囲みました。以下の問いに答えなさい。

(1) 太線の内側に、紙が重なり合う部分は何か所ありますか。

(2) 太線の内側の面積は、ひし形の紙1枚の面積の何倍ですか。ただし、太線の内側の面積には、紙のない所の面積も含むものとします。」
です。

ひし形の紙をはり合わせたとき、図1のように、ひし形の左右が重なり合う部分を、ひし形の上下が重なり合う部分をとします。


▲図1.ひし形の左右と上下が重なり合う部分をそれぞれにしました

今、縦10列、横20列のひし形の紙をはり合わせるので、は横方向に19個、縦方向に10個並ぶことになり、したがって、太線の内側のの個数は、19×10=190(個)です。

一方は、横方向に20個、縦方向に9個並ぶので、太線の内側のの個数は、20×9=180(個)で、したがって、の合計は190+180=370(個)です。

以上から、太線の内側の紙が重なり合う部分は 370(か所)で、これが(1)の答えです。

続いて(2)です。

(太線の内側の面積)=(ひし形の紙1枚の面積)×200
          -(重なり合う部分1か所の面積)×370
          +(紙のない部分1か所の面積)×(紙のない部分の個数)(★)
です。

ここでひし形の紙1枚の面積をSとすると、図2のように、

になります。


また、紙のない部分の個数は、横方向に19個、縦方向に9個並ぶので、太線の内側の個数は、19×9=171(個)です。

そこで、これらの値を(★)に代入して計算すると、

になり、したがって、太線の内側の面積はひし形の紙1枚の面積の

で、これが(2)の答えです。


簡単な問題です。