こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。
現在の東久留米の気温は29℃で、それほど蒸し暑くなく過ごしやすい日になりました。夕方には滝山名店会で、今年2回目のビアガーデンがあるので、もう少し気温が上がってもOKです。
さて、今回は2012年日本数学オリンピック予選に出題された整数問題を取り上げます。
問題は、
「A君とB君が黒板に2つずつ正の整数を書いた。A君の書いた数の積はB君の書いた数の和の2倍、B君の書いた数の積はA君の書いた数の2倍であり、A君の書いた数の和はB君の書いた数の和以上であった。このとき、B君の書いた数の和として考えられるものをすべて求めよ。ただし、書かれた4つの数は相異なるとは限らない。」
です。
早速、取り掛かりましょう。
A君が書いた2つの正の整数を、P、Q (P≧Q)、B君の書いた2つの正の整数をR、S (R≧S)として、与えられた条件を立式すると、
PQ=2(R+S) (1)
RS=2(P+Q) (2)
P+Q≧R+S (3)
になります。
これらの3つの式とP、Q、R、Sが正の整数という条件から、R+SまたはRとSを求めることになります。
まず、XY-2X-2Y+4=(X-2)(Y-2)が頭に浮かべば、(1)+(2)を作りたくなります。
実際にやってみると、
PQ+RS=2(P+Q)+2(R+S)
PQ-2P-2Q+4+RS-2R-2S+4=8
(P-2)(Q-2)+(R-2)(S-2)=8 (4)
を得ました。
この(4)は、P、Q、R、S≧2のとき、左辺の第1項目も第2項目も0以上で、それらの和が8という制限なので、これを手掛かりにできそうです。
それでは、まずQ=1、S=1のときを片付けておきましょう。
●Q=1のとき
(1)(2)から
P=2(R+S) (5)
RS=2(P+1) (6)
です。
(5)を(6)に代入して、
RS=2(2(R+S)+1)
=4R+4S+2
で、これを変形して、
(R-4)(S-4)=18 (7)
です。
(7)を満たすR-4とS-4の組は、R-4≧S-4なので、
(18,1)(9,2)(6,3)
の3通りで、RとSの組は、
(22,5)(13,6)(10,7)
になります。
すると、(5)からそれぞれの場合のPは、54、38、34で、P、Q、R、Sの組合せ(P,Q,R,S)は、
(54,1,22,5)(33,1,13,6)(34,1,10,7)
で、これらの3つの組は(3)を満たしているので、
R+S=27、19、17
です。
●S=1のとき
(1)(2)から
PQ=2(R+1) (8)
R=2(P+Q) (9)
です。
(9)を(8)に代入して、
PQ=2(2(P+Q)+1)
=4P+4Q+2
で、これを変形して、
(P-4)(Q-4)=18 (10)
です。
(10)を満たすP-4とQ-4の組は、P-4≧Q-4なので、
(18,1)(9,2)(6,3)
の3通りで、PとQの組は、
(22,5)(13,6)(10,7)
になります。
すると、(9)からそれぞれの場合のRは、54、38、34で、P、Q、R,Sの組合せ(P,Q,R,S)は、
(22,5,54,1)(13,6,38,1)(10,7,34,1)
で、これらの3つの組は(3)を満たしていないので、条件を満たすR+Sはありません。
これで、Q=1とS=1の場合を調べ終わりました。
次は、P≧Q≧2、R≧S≧2の場合です。
この場合、
(P-2)(Q-2)+(R-2)(S-2)=8 (4)
の左辺の第1項も第2項も0以上になります。
ここで、Q≧5とすると、Q-2≧3、P-2≧3なので、(P-2)(Q-2)≧9になり、(4)が成り立ちません。
したがって、Q≦4、つまり、Q=2、3、4になります。
そこで、Qについて場合分けしましょう。
●Q=2のとき
(1)から
2P=2(R+S)
P=R+S (11)
です。
(4)から
(R-2)(S-2)=8 (12)
で、これを満たすR-2とS-2の組は、
(8,1)(4,2)
の2通りで、R、Sの組は、
(10,3)(6,4)
です。
すると、(11)からそれぞれの場合のPは、13,10で、P、Q、R,Sの組合せ(P,Q,R,S)は、
(13,2,10,3)(10,2,6,4)
で、これらの2つの組は(3)を満たしているので、
R+S=13、10
です。
●Q=3のとき
(1)から
3P=2(R+S)
で、これからPは偶数です。
また、
P=2/3・(R+S) (13)
になります。
(4)から
(P-2)+(R-2)(S-2)=8 (14)
です。
ここで、P=4、6、8、10で場合分けします。
・P=4のとき
(14)から
2+(R-2)(S-2)=8
(R-2)(S-2)=6 (15)
です。
(15)を満たすR-2とS-2の組は、
(6,1)(3,2)
の2通りで、R、Sの組は
(8,3)(5,4)
です。
すると、(13)からそれぞれの場合のPは、22/3、6ですが、仮定からP=4なので、P、Q、R,Sの組合せはありません。
・P=6のとき
(14)から
4+(R-2)(S-2)=8
(R-2)(S-2)=4 (16)
です。
(16)を満たすR-2とS-2の組は、
(4,1)(2,2)
の2通りで、R、Sの組は
(6,3)(4,4)
です。
すると(13)からそれぞれのPは、6、16/3で、P、Q、R、Sの組合せ(P,Q,R,S)は
(6,3,6,3)
で、これは(3)を満たしているので、
R+S=9
です。
・P=8のとき
(14)から
6+(R-2)(S-2)=8
(R-2)(S-2)=2 (17)
です。
(17)を満たすR-2とS-2の組は、
(2,1)
の1通りで、R、Sの組は
(4,3)
です。
すると(13)からPは14/3ですが、仮定からP=8なので、P、Q、R,Sの組合せはありません。
・P=10のとき
(14)から
8+(R-2)(S-2)=8
(R-2)(S-2)=0 (18)
です。
(18)を満たすのはS=2で、(2)から
2R=2(10+3)
R=13
です。
したがって、P、Q、R、Sの組合せ(P,Q,R,S)は
(10,3,13,2)
で、これは(3)を満たしていないので、条件を満たすR+Sはありません。
●Q=4のとき
(1)から
4P=2(R+S)、
P=1/2・(R+S) (19)
になります。
(4)から
2(P-2)+(R-2)(S-2)=8 (20)
です。
ここで、P=4、5、6で場合分けします。
・P=4のとき
(20)から
4+(R-2)(S-2)=8
(R-2)(S-2)=4 (21)
です。
(21)を満たすR-2とS-2の組は、
(4,1)(2,2)
の2通りで、R、Sの組は
(6,3)(4,4)
です。
すると、(19)からそれぞれの場合のPは、9/2、4で、P、Q、R,Sの組合せ(P,Q,R,S)は,
(4,4,4,4)
で、これは(3)を満たしているので、
R+S=8
です。
・P=5のとき
(20)から
6+(R-2)(S-2)=8
(R-2)(S-2)=2 (22)
です。
(22)を満たすR-2とS-2の組は、
(2,1)
の2通りで、R、Sの組は
(4,3)
です。
すると、(19)からPは=7/2ですが、仮定からP=5なので、P、Q、R,Sの組合せはありません。
・P=6のとき
(20)から
8+(R-2)(S-2)=8
(R-2)(S-2)=0 (23)
です。
(23)を満たすのはS=2で、(2)から
2R=2(6+4)
R=10
です。
したがって、P、Q、R、Sの組合せ(P,Q,R,S)は
(6,4,10,2)
で、これは(3)を満たしていないので、条件を満たすR+Sはありません。
以上をまとめると、R+Sとして有り得るのは、27、19、17、13、10、9、8で、これが答えです。
思った以上に場合分けが大変な問題でした。
現在の東久留米の気温は29℃で、それほど蒸し暑くなく過ごしやすい日になりました。夕方には滝山名店会で、今年2回目のビアガーデンがあるので、もう少し気温が上がってもOKです。
さて、今回は2012年日本数学オリンピック予選に出題された整数問題を取り上げます。
問題は、
「A君とB君が黒板に2つずつ正の整数を書いた。A君の書いた数の積はB君の書いた数の和の2倍、B君の書いた数の積はA君の書いた数の2倍であり、A君の書いた数の和はB君の書いた数の和以上であった。このとき、B君の書いた数の和として考えられるものをすべて求めよ。ただし、書かれた4つの数は相異なるとは限らない。」
です。
早速、取り掛かりましょう。
A君が書いた2つの正の整数を、P、Q (P≧Q)、B君の書いた2つの正の整数をR、S (R≧S)として、与えられた条件を立式すると、
PQ=2(R+S) (1)
RS=2(P+Q) (2)
P+Q≧R+S (3)
になります。
これらの3つの式とP、Q、R、Sが正の整数という条件から、R+SまたはRとSを求めることになります。
まず、XY-2X-2Y+4=(X-2)(Y-2)が頭に浮かべば、(1)+(2)を作りたくなります。
実際にやってみると、
PQ+RS=2(P+Q)+2(R+S)
PQ-2P-2Q+4+RS-2R-2S+4=8
(P-2)(Q-2)+(R-2)(S-2)=8 (4)
を得ました。
この(4)は、P、Q、R、S≧2のとき、左辺の第1項目も第2項目も0以上で、それらの和が8という制限なので、これを手掛かりにできそうです。
それでは、まずQ=1、S=1のときを片付けておきましょう。
●Q=1のとき
(1)(2)から
P=2(R+S) (5)
RS=2(P+1) (6)
です。
(5)を(6)に代入して、
RS=2(2(R+S)+1)
=4R+4S+2
で、これを変形して、
(R-4)(S-4)=18 (7)
です。
(7)を満たすR-4とS-4の組は、R-4≧S-4なので、
(18,1)(9,2)(6,3)
の3通りで、RとSの組は、
(22,5)(13,6)(10,7)
になります。
すると、(5)からそれぞれの場合のPは、54、38、34で、P、Q、R、Sの組合せ(P,Q,R,S)は、
(54,1,22,5)(33,1,13,6)(34,1,10,7)
で、これらの3つの組は(3)を満たしているので、
R+S=27、19、17
です。
●S=1のとき
(1)(2)から
PQ=2(R+1) (8)
R=2(P+Q) (9)
です。
(9)を(8)に代入して、
PQ=2(2(P+Q)+1)
=4P+4Q+2
で、これを変形して、
(P-4)(Q-4)=18 (10)
です。
(10)を満たすP-4とQ-4の組は、P-4≧Q-4なので、
(18,1)(9,2)(6,3)
の3通りで、PとQの組は、
(22,5)(13,6)(10,7)
になります。
すると、(9)からそれぞれの場合のRは、54、38、34で、P、Q、R,Sの組合せ(P,Q,R,S)は、
(22,5,54,1)(13,6,38,1)(10,7,34,1)
で、これらの3つの組は(3)を満たしていないので、条件を満たすR+Sはありません。
これで、Q=1とS=1の場合を調べ終わりました。
次は、P≧Q≧2、R≧S≧2の場合です。
この場合、
(P-2)(Q-2)+(R-2)(S-2)=8 (4)
の左辺の第1項も第2項も0以上になります。
ここで、Q≧5とすると、Q-2≧3、P-2≧3なので、(P-2)(Q-2)≧9になり、(4)が成り立ちません。
したがって、Q≦4、つまり、Q=2、3、4になります。
そこで、Qについて場合分けしましょう。
●Q=2のとき
(1)から
2P=2(R+S)
P=R+S (11)
です。
(4)から
(R-2)(S-2)=8 (12)
で、これを満たすR-2とS-2の組は、
(8,1)(4,2)
の2通りで、R、Sの組は、
(10,3)(6,4)
です。
すると、(11)からそれぞれの場合のPは、13,10で、P、Q、R,Sの組合せ(P,Q,R,S)は、
(13,2,10,3)(10,2,6,4)
で、これらの2つの組は(3)を満たしているので、
R+S=13、10
です。
●Q=3のとき
(1)から
3P=2(R+S)
で、これからPは偶数です。
また、
P=2/3・(R+S) (13)
になります。
(4)から
(P-2)+(R-2)(S-2)=8 (14)
です。
ここで、P=4、6、8、10で場合分けします。
・P=4のとき
(14)から
2+(R-2)(S-2)=8
(R-2)(S-2)=6 (15)
です。
(15)を満たすR-2とS-2の組は、
(6,1)(3,2)
の2通りで、R、Sの組は
(8,3)(5,4)
です。
すると、(13)からそれぞれの場合のPは、22/3、6ですが、仮定からP=4なので、P、Q、R,Sの組合せはありません。
・P=6のとき
(14)から
4+(R-2)(S-2)=8
(R-2)(S-2)=4 (16)
です。
(16)を満たすR-2とS-2の組は、
(4,1)(2,2)
の2通りで、R、Sの組は
(6,3)(4,4)
です。
すると(13)からそれぞれのPは、6、16/3で、P、Q、R、Sの組合せ(P,Q,R,S)は
(6,3,6,3)
で、これは(3)を満たしているので、
R+S=9
です。
・P=8のとき
(14)から
6+(R-2)(S-2)=8
(R-2)(S-2)=2 (17)
です。
(17)を満たすR-2とS-2の組は、
(2,1)
の1通りで、R、Sの組は
(4,3)
です。
すると(13)からPは14/3ですが、仮定からP=8なので、P、Q、R,Sの組合せはありません。
・P=10のとき
(14)から
8+(R-2)(S-2)=8
(R-2)(S-2)=0 (18)
です。
(18)を満たすのはS=2で、(2)から
2R=2(10+3)
R=13
です。
したがって、P、Q、R、Sの組合せ(P,Q,R,S)は
(10,3,13,2)
で、これは(3)を満たしていないので、条件を満たすR+Sはありません。
●Q=4のとき
(1)から
4P=2(R+S)、
P=1/2・(R+S) (19)
になります。
(4)から
2(P-2)+(R-2)(S-2)=8 (20)
です。
ここで、P=4、5、6で場合分けします。
・P=4のとき
(20)から
4+(R-2)(S-2)=8
(R-2)(S-2)=4 (21)
です。
(21)を満たすR-2とS-2の組は、
(4,1)(2,2)
の2通りで、R、Sの組は
(6,3)(4,4)
です。
すると、(19)からそれぞれの場合のPは、9/2、4で、P、Q、R,Sの組合せ(P,Q,R,S)は,
(4,4,4,4)
で、これは(3)を満たしているので、
R+S=8
です。
・P=5のとき
(20)から
6+(R-2)(S-2)=8
(R-2)(S-2)=2 (22)
です。
(22)を満たすR-2とS-2の組は、
(2,1)
の2通りで、R、Sの組は
(4,3)
です。
すると、(19)からPは=7/2ですが、仮定からP=5なので、P、Q、R,Sの組合せはありません。
・P=6のとき
(20)から
8+(R-2)(S-2)=8
(R-2)(S-2)=0 (23)
です。
(23)を満たすのはS=2で、(2)から
2R=2(6+4)
R=10
です。
したがって、P、Q、R、Sの組合せ(P,Q,R,S)は
(6,4,10,2)
で、これは(3)を満たしていないので、条件を満たすR+Sはありません。
以上をまとめると、R+Sとして有り得るのは、27、19、17、13、10、9、8で、これが答えです。
思った以上に場合分けが大変な問題でした。