こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。
朝は涼しかったのですが、その後気温がぐんぐん上がって、今日は真夏日になるようです。天気図では、梅雨前線が千切れてきました。梅雨明けも近そうです。
さて、今回は2011年ジュニア数学オリンピック予選に出題された整数問題を取り上げます。
問題は、
「5倍しても各桁の和が変わらないような1000以下の正の整数はいくつあるか。」
です。
早速、取り掛かりましょう。
まず、1000の各桁の和が1であるのに対し、それを5倍した5000の各桁の和は5なので、1000は与えられた条件を満たしません。
したがって、条件を満たす正の整数kは、
n=100a+10b+c (1)
0≦a,b,c≦9、 a、b、cは整数 (2)
と表すことができます。
次に、nの各桁の和をS(n)とすると、与えられた条件は、
S(n)=S(5n) (3)
です。
ここで、
5n=100・5a+10・5b+5c (4)
なので、(1)(4)を(3)に代入して、
S(100a+10b+c)=S(100・5a+10・5b+5c) (5)
が成り立ちます。
続いて、(5)の両辺を調べます。
(5)の左辺は、(2)から
S(100a+10b+c)=S(a)+S(b)+S(c) (6)
です。
次は、(5)の右辺です。
ここで、ある1桁の整数を5倍したときを考えると、その1桁目の数は0または5で、2桁目の数は最大4(9×5=45です)なので、繰り上がりは起きません。
つまり、
S(100・5a+10・5b+5c)=S(5a)+S(5b)+S(5c) (7)
が成り立ちます。
したがって、(6)(7)から、与えられた条件を満たすn(=100a+10b+c)は、
S(a)+S(b)+S(c)=S(5a)+S(5b)+S(5c)
(S(5a)-S(a))+(S(5b)-S(b))+(S(5c)-S(C))=0 (8)
を満たすことが判りました。
次に、0≦k≦9、(kは整数)について、k、S(k)、5k、S(5k)およびS(5k)-S(k)を下表のようにまとめましょう。
▲表.k、S(k)、5k、S(5k)およびS(5k)-S(k)をまとめました
この表から、kが偶数のとき、S(5k)-S(k)は0以下、kが奇数のとき、S(5k)-S(k)は0以上であることが判ります。
つまり、(8)が成り立つのは、
【1】a、b、cのうち、1つが偶数、2つが奇数
【2】a、b、cのうち、2つが偶数、1つが奇数
【3】a、b、cが、すべて0
【4】a、b、cが、すべて9
のいずれかの場合です。
そこで、これらの【1】から【4】の場合を調べていきましょう。
●【1】の場合
・(1つの偶数)=0の場合
S(5・0)-S(0)=0で、残りの2つが奇数が9と9のとき、(8)が成り立ちます。
したがって、nは、0、9、9の並べ方3!/2!=3通りです。
・(1つの偶数)=2の場合
S(5・2)-S(2)=-1で、残りの2つの奇数が7と9のとき、(8)が成り立ちます。
したがって、nは、2、7、9の並べ方3!=6通りです。
・(1つの偶数)=4の場合
S(5・4)-S(4)=-2で、残りの2つの奇数が5と9、および7と7のとき、(8)が成り立ちます。
したがって、nは、4、5、9の並べ方3!=6通りと、4、7、7の並べ方3!/2!=3通りの和で9通りです。
・(1つの偶数)=6の場合
S(5・6)-S(6)=-3で、残りの2つの奇数が3と9、および5と7のとき、(8)が成り立ちます。
したがって、nは、3、6、9の並べ方3!=6通りと、5、6、7の並べ方3!=6通りの和で12通りです。
・(1つの偶数)=8の場合
S(5・8)-S(8)=-4で。残りの2つの奇数が1と9、3と7、および5と5のとき、(8)が成り立ちます。
したがって、nは、3、8、9の並べ方3!=6通りと、3、7、8の並べ方3!=6通りと、5、5、8の並べ方3!/2!=3通りの和で15通りです。
●【2】の場合
・(1つの奇数)=1の場合
S(5・1)-S(1)=4で、残りの2つの偶数が0と8、2と6、および4と4のとき、(8)が成り立ちます。
したがって、nは、0、1、8の並べ方3!=6通りと、1、2、6の並べ方3!=6通りと、1、4、4の並べ方3!/2!=3通りの和で15通りです。
・(1つの奇数)=3の場合
S(5・3)-S(3)=3で、残りの2つの偶数が0と6、および2と4のとき、(8)が成り立ちます。
したがって、nは、0、3、6の並べ方3!=6通りと、2、3、4の並べ方3!=6通りの和で12通りです。
・(1つの奇数)=5の場合
S(5・5)-S(5)=2で、残りの2つの偶数が0と4、および2と2のとき、(8)が成り立ちます。
したがって、nは、0、4、5の並べ方3!=6通りと、2、2、5の並べ方3!/2!=3通りの和で9通りです。
・(1つの奇数)=7の場合
S(5・7)-S(7)=1で、残りの2つの偶数が0と2のとき、(8)が成り立ちます。
したがって、nは、0、2、7の並べ方3!=6通りです。
・(1つの奇数)=9の場合
S(5・9)-S(9)=0で、残りの2つの偶数が0と0のとき、(8)が成り立ちます。
したがって、nは、0、0、9の並べ方3!/2!=3通りです。
●【3】の場合
n=0になり、nが正の整数であることに反します。
したがって、nは、0通りです。
●【4】の場合
n=999です。
したがって、nは、1通りです。
以上をまとめると、nの個数は、3+6+9+12+15+15+12+9+6+3+1=91個で、これが答えです。
ある整数を5倍したとき、繰り上がりが起きないということがポイントです。面白い問題でした。
朝は涼しかったのですが、その後気温がぐんぐん上がって、今日は真夏日になるようです。天気図では、梅雨前線が千切れてきました。梅雨明けも近そうです。
さて、今回は2011年ジュニア数学オリンピック予選に出題された整数問題を取り上げます。
問題は、
「5倍しても各桁の和が変わらないような1000以下の正の整数はいくつあるか。」
です。
早速、取り掛かりましょう。
まず、1000の各桁の和が1であるのに対し、それを5倍した5000の各桁の和は5なので、1000は与えられた条件を満たしません。
したがって、条件を満たす正の整数kは、
n=100a+10b+c (1)
0≦a,b,c≦9、 a、b、cは整数 (2)
と表すことができます。
次に、nの各桁の和をS(n)とすると、与えられた条件は、
S(n)=S(5n) (3)
です。
ここで、
5n=100・5a+10・5b+5c (4)
なので、(1)(4)を(3)に代入して、
S(100a+10b+c)=S(100・5a+10・5b+5c) (5)
が成り立ちます。
続いて、(5)の両辺を調べます。
(5)の左辺は、(2)から
S(100a+10b+c)=S(a)+S(b)+S(c) (6)
です。
次は、(5)の右辺です。
ここで、ある1桁の整数を5倍したときを考えると、その1桁目の数は0または5で、2桁目の数は最大4(9×5=45です)なので、繰り上がりは起きません。
つまり、
S(100・5a+10・5b+5c)=S(5a)+S(5b)+S(5c) (7)
が成り立ちます。
したがって、(6)(7)から、与えられた条件を満たすn(=100a+10b+c)は、
S(a)+S(b)+S(c)=S(5a)+S(5b)+S(5c)
(S(5a)-S(a))+(S(5b)-S(b))+(S(5c)-S(C))=0 (8)
を満たすことが判りました。
次に、0≦k≦9、(kは整数)について、k、S(k)、5k、S(5k)およびS(5k)-S(k)を下表のようにまとめましょう。
▲表.k、S(k)、5k、S(5k)およびS(5k)-S(k)をまとめました
この表から、kが偶数のとき、S(5k)-S(k)は0以下、kが奇数のとき、S(5k)-S(k)は0以上であることが判ります。
つまり、(8)が成り立つのは、
【1】a、b、cのうち、1つが偶数、2つが奇数
【2】a、b、cのうち、2つが偶数、1つが奇数
【3】a、b、cが、すべて0
【4】a、b、cが、すべて9
のいずれかの場合です。
そこで、これらの【1】から【4】の場合を調べていきましょう。
●【1】の場合
・(1つの偶数)=0の場合
S(5・0)-S(0)=0で、残りの2つが奇数が9と9のとき、(8)が成り立ちます。
したがって、nは、0、9、9の並べ方3!/2!=3通りです。
・(1つの偶数)=2の場合
S(5・2)-S(2)=-1で、残りの2つの奇数が7と9のとき、(8)が成り立ちます。
したがって、nは、2、7、9の並べ方3!=6通りです。
・(1つの偶数)=4の場合
S(5・4)-S(4)=-2で、残りの2つの奇数が5と9、および7と7のとき、(8)が成り立ちます。
したがって、nは、4、5、9の並べ方3!=6通りと、4、7、7の並べ方3!/2!=3通りの和で9通りです。
・(1つの偶数)=6の場合
S(5・6)-S(6)=-3で、残りの2つの奇数が3と9、および5と7のとき、(8)が成り立ちます。
したがって、nは、3、6、9の並べ方3!=6通りと、5、6、7の並べ方3!=6通りの和で12通りです。
・(1つの偶数)=8の場合
S(5・8)-S(8)=-4で。残りの2つの奇数が1と9、3と7、および5と5のとき、(8)が成り立ちます。
したがって、nは、3、8、9の並べ方3!=6通りと、3、7、8の並べ方3!=6通りと、5、5、8の並べ方3!/2!=3通りの和で15通りです。
●【2】の場合
・(1つの奇数)=1の場合
S(5・1)-S(1)=4で、残りの2つの偶数が0と8、2と6、および4と4のとき、(8)が成り立ちます。
したがって、nは、0、1、8の並べ方3!=6通りと、1、2、6の並べ方3!=6通りと、1、4、4の並べ方3!/2!=3通りの和で15通りです。
・(1つの奇数)=3の場合
S(5・3)-S(3)=3で、残りの2つの偶数が0と6、および2と4のとき、(8)が成り立ちます。
したがって、nは、0、3、6の並べ方3!=6通りと、2、3、4の並べ方3!=6通りの和で12通りです。
・(1つの奇数)=5の場合
S(5・5)-S(5)=2で、残りの2つの偶数が0と4、および2と2のとき、(8)が成り立ちます。
したがって、nは、0、4、5の並べ方3!=6通りと、2、2、5の並べ方3!/2!=3通りの和で9通りです。
・(1つの奇数)=7の場合
S(5・7)-S(7)=1で、残りの2つの偶数が0と2のとき、(8)が成り立ちます。
したがって、nは、0、2、7の並べ方3!=6通りです。
・(1つの奇数)=9の場合
S(5・9)-S(9)=0で、残りの2つの偶数が0と0のとき、(8)が成り立ちます。
したがって、nは、0、0、9の並べ方3!/2!=3通りです。
●【3】の場合
n=0になり、nが正の整数であることに反します。
したがって、nは、0通りです。
●【4】の場合
n=999です。
したがって、nは、1通りです。
以上をまとめると、nの個数は、3+6+9+12+15+15+12+9+6+3+1=91個で、これが答えです。
ある整数を5倍したとき、繰り上がりが起きないということがポイントです。面白い問題でした。