東久留米 学習塾 塾長ブログ

東京都東久留米市滝山の個別指導型学習塾 塾長白井精一郎のブログ

日本数学オリンピックの簡単な問題(29)

2016-07-29 11:35:57 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

空には夏らしい雲が見られますが、相変わらず太平洋高気圧は現れず、いつもの夏とは少し違った様相です。しばらく気温が30℃前後の日が続き、暑さが増すのは少し先のようです。

さて、今回は2012年日本数学オリンピック予選に出題された場合の数の問題です。

問題は、
「次の条件をみたすように正の整数の列を書く方法は何通りあるか。
 条件:最初に2012を書き、最後に1を書く。 nを書いた次には√n未満の正の整数を書く。」
です。

早速、取り掛かりましょう。

様子が判りづらいので、少し小さな数で調べてみましょう。

例えば、最初の数が2のとき、√2=1.414・・・なので、次にくる数は1になり、このときの整数列は、[2,1]で1通りです。

最初の数が3と4のときも、√3=1.732・・・と√4=2なので、このときの整数列は、それぞれ[3,1]で[4,1]で、どちらも1通りです。

それでは最初の数を5にしてみると、√5=2.236・・・なので、このときの整数列は、[5,2,1]、[5,1]の2通りになります。

次に、少し飛んで最初の数が10のとき、√10=3.162・・・なので、このときの整数列は、[10,3,1]、[10,2,1]、[10,1]で、3通りです。

ここで少し考えをめぐらしてみると、
・2^2=4以下の数が最初の数の場合、次にくる数は1
・最初の数が4より大きくて9以下の数の場合、次にくる数は2または1
・最初の数が10の場合、次にくる数は3、2または1
と、平方数を境にして、次にくる数の個数が増えていくことが判ります。

さらに、最初の数が10のときの整数列[10,3,1]と[10,2,1]の個数は、それぞれ整数列[3,1]と[2,1]の個数に等しくなります。

以上から、問題に与えられた条件を満たす整数列の個数の規則が判りました。

そこで、最初の数をkとして、条件を満たす整数列の個数をAkとしましょう。このとき、√2012=44.855・・・なので、最初の数が2012の場合、次にくる数は44以下になります。つまり、A44までを調べればOKです。

すると、
A1=A2=A3=A4=1
A5=A6=A7=A8=A9=A1+A2=2
A10=A11=・・・=A16=A1+A2+A3=3
A17=A18=・・・=A25=A1+A2+A3+A4=4
A26=A27=・・・=A36=A1+A2+A3+A4+A5=6
A37=A38=・・・=A44=A1+A2+A3+A4+A5+A6=8
になり、
A2012=A1+A2+・・・+A44
    =  (A1+A2+・・・+A4)
     +(A5+A6+・・・+A9)
     +(A10+A11+・・・+A16)
     +(A17+A18+・・・+A25)
     +(A26+A27+・・・+A36)
     +(A37+A38+・・・+A44)
    =1×4+2×5+3×7+4×9+6×11+8×8
    =4+10+21+36+66+64
    =201
です。

したがって、問題に与えられた条件を満たす整数列は201通りです。


簡単な具体例を調べてみると見通しが良くなります。意味の判りづらいときは試してみてください。