東久留米 学習塾 塾長ブログ

東京都東久留米市滝山の個別指導型学習塾 塾長白井精一郎のブログ

平成28年度都立高校入試問題(理科)

2016-02-29 12:03:42 | 理科の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

曇っていて、これから雨になるかもしれないようですが、気温が17℃と暖かい日になりました。明日、明後日は、また少し寒くなるようですが、それ以降は暖かい日が続くようです。すっかり、春めいてきました。

さて、今回は平成28年度都立高校入試の理科を取り上げます。

問題構成は、6つの大問から成り、大問1と2は物理、化学、生物、地学の4分野から合わせて10個の小問が出題され、大問3は天体、大問4は生物、大問5は化学、大問6は電気についての出題でした。

早速、大問1から調べていきましょう。

問1は、岩石についての基本問題で簡単です。

問2は、摩擦力の作用点で迷って難しく感じた受験生もいたと思います。

問3、4、5、6は、それぞれ消化、質量パーセント濃度、レンズおよび地震の基本問題でしっかり正解したいところです。

大問2は、「二十四節気は、・・・」で始まりますが、その後の問題にはあまり関係ないようで、この難しい語句で慌てなければ簡単です。

問1は、食物連鎖に関する問題ですが、ミミズが第一次消費者であることと、問題のなかのカビが有機物を無機物に分解するとあることから、正解するのは簡単だったでしょう。

問2、3、4は、それぞれ音、飽和水蒸気量および密度の基本問題でしっかり正解したいところです。

大問3は、金星と月の満ち欠けの問題ですが、難しかったと思います。問題文にある「金星を天体望遠鏡で観察し、観察した像を上下左右逆にして用紙に記録した」というのは、天体望遠鏡での観察像が肉眼に対して上下左右逆になるので、月と同じように肉眼で見た状態に合わせたということです。

問1は、地球上の観察者の位置、金星と火星の位置関係、観察した金星の形、(または、金星と月の位置関係)から判断するのですが、少し難しいかもしれません。

観察2と結果2は、「よいの明星」の観測で、5月23日は、金星が半月状に見えるので最大離角(東方最大離角)のときで、7月22日は内合直前のときです。

問2は、9月11日の明け方の東の空の観察についてですが、これは内合後の金星で、「明けの明星」と呼ばれ、金星(月)に対する地球から見た太陽の位置が反対になるので、「よいの明星」と線対称な形になります。

問3は、結果2に記してある「地球と金星と月がそれぞれ公転する面はほぼ一致している」、月が真夜中に見られること、地球と金星の公転周期の違い、一連の観察で金星も月も満ち欠けしていることから正解できるでしょう。

大問4は、アサガオについての出題です。

問1は、茎の維管束と根の構造、生殖についての基本問題で簡単です。

問2は、丸葉が劣性形質であることが判り、DNAがデオキシリボ核酸ということを知っていれば正解できたでしょう。

問3は、遺伝の基本問題で簡単です。

問4は、各代ですべての個体を自家受粉させていくので、優性と劣性の形質になる遺伝子の比は変わらないということが判れば正解できますが、少し難しいかもしれません。

大問5は、水の電気分解についてです。

問1は、電極aから水素が発生することは容易に判ったでしょうが、水素を確認する方法で、マッチの火を近付けるのか線香を使うのか迷った受験生がいたかもしれません。助燃性のない水素の中に、マッチやろうそくの炎を素早く入れると火は消え、助燃性のある酸素のなかに、火のついた線香を入れると激しく燃えます。

問2は、沈殿物ができたということは、生成した硫酸バリウムが水に溶けない、つまり、硫酸バリウムが水の中でイオン化しないことが判れば正解できますが、少し難しいかもしれません。

問3は、化学反応式を書く問題で、反応式自体は代表的なものですが、忘れてしまった受験生も少なくなかったと思います。

問4は、難しかったかもしれません。ここで、BTB溶液を加えた水溶液の色が緑色になるということは、水溶液が中性になったということで、つまり、水溶液中の水素イオンがなくなったということです。そして、用いた塩酸と硫酸を中性にするために必要な水酸化ナトリウムの量は、それぞれ20cm3と10cm3なので、硫酸にあった水素イオンは塩酸の1/2と判ります。

大問6は電気の問題です。

問1は、電流計の使い方で簡単な基本問題です。

問2は、図1が直列回路、図2が並列回路で、それぞれについて、モーターにかかる電圧または電流を求めて電力を計算する必要があるので、難しかったと思います。

問3は、CoolからHotに切り換えることで、吹き流しの傾きは変わらない=モーターの回転数は変わらない、温度が高くなった=電熱線に流れる電流が大きくなったので、モーターと電熱線が「並列つなぎ」であることが判るのですが、何を言っているのか判らなかった受験生もいたと思います。

問4は、電気エネルギーが、電熱線で熱エネルギー、モーターで力学的エネルギーに変換されたことは容易に予想できるので簡単だったと思います。

以上をまとめると、今年の予想平均点は、昨年より難しくなって平均55点(昨年は出題ミスもありました)くらいだと思います。(因みに昨年の予想は、「若干易しくなった」で、実際は、平均57.3(H26)→平均59,4(H27)でした。出題ミスを考慮すると、外れということでした)


今回で平成28年度都立高校入試問題のおさらいはお終いです。新中3生の皆さんは、来年に向かってしっかり勉強してください。

平成28年度都立高校入試問題(社会)

2016-02-28 11:36:10 | 社会の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

午前中は少し冷たい風が吹いていて昨日より寒く感じましたが、予想最高気温は昨日より高いので、これから暖かくなるのでしょう。明日は天気が崩れ、明後日は寒くなるようですが、それ以降は3月らしい陽気が続くようです。

さて、今回は平成28年度都立高校入試の社会を取り上げます。

問題構成は、例年通り、6つの大問からなり、大問1は地理、歴史、公民の基本問題、大問2は世界地理、大問3は日本地理、大問4は歴史、大問5、6は公民に関する出題です。

まず、大問1です。

問1は、時差と経度の問題で、15度/時間(360度/24時間)から簡単に計算できます。

問2は、キーワードの「徳川家の一族」、「尊王攘夷」「桜田門外の変に関与する者もいた」「徳川光圀」「大日本史」などから水戸藩と判ります。

問3は、答えは「三審制」ですが、これは教科書に太字で記してあるので、しっかり覚えておきたいところです。

次に、大問2です。

問1は、世界地図、穀物の生産量、雨温図から国を同定する問題ですが、雨温図から南半球にある国、つまり、オーストラリアということは簡単に判りますが、穀物生産量の資料からオーストラリアを同定するのは難しかったと思います。

問2も同様で、人口、国民総所得、家畜頭数、漁獲量、日系現地法人数の資料からアルゼンチンを同定する問題で、正解するためには、幅広い知識が必要です。

問3は、南欧と香川県に共通する農産物を問う問題ですが、最近、小豆島産のオリーブオイルの広告を頻繁に目にするので、正解しやすかったかもしれません。また、挙げられている4つの農産物から消去法で正解できそうです。

大問3に進みます。

問1は、キーワードの「第二次世界大戦前から鉄鋼業、化学工業・・・」、「自動車工場」で、これらから福岡県と判ります。自動車工場で愛知県を選んでしまった人もいたかもしれません。

問2は、「この県の西部及び中部地域には、北から南に向かって流れる複数の河川があり、」の件から、静岡県ということは簡単で、さらに上位5位の農産物にある荒茶を見つければ正解できます。

問3は、地図記号を覚えていなくても正解できそうな感じです。

大問4です。

問1の奈良時代は簡単だと思いますが、問2は、伊能忠敬を知らないと難しいです。資料にある「日本最初の実測図」から一番新しい期間を選んで正解した人もいたかもしれません。

問3の馬借は、馬上に荷を乗せて運んだ運送業者ですが、手元の教科書では太字で記されていないので、難しかったと思います。

問4は、東海道新幹線は簡単ですが、残りの3つについては、なかなか手強かったでしょう。

大問5です。

問1は、基本的人権に関する問題ですが、これは教科書で大きく取り上げられているので、簡単だと思います。

問2は、問題文を素直に読めば正解できます。

問3は、グラフを読み取る問題ですが、期間ごとに調べればOKです。

問4は、新聞やTVなどで頻繁に報道されていることなので簡単です。

最後の大問6です。

問1は、資料の文章に述べられている国が、資料の表の「ウ」であることは計算すれば判り、表の4つの国の森林面積やその他の針葉樹伐採高から「ウ」がフランスであることが判るのですが、少し煩雑で難しかったかもしれません。

問2は、ソ連のペレストロイカが1980年代後半、日本の環境庁設置が1971年、欧州連合の発足が1992年、中華人民共和国の建国が1949年なので、正解は「イ」となるのですが、これは難しかったと思います。

問3は、資料の文章からアフリカ州であることが判り、資料のグラフ、表から人口増加による食料の増産の必要から森林を農地に転換したことが簡単に見て取れます。

以上で、すべての問題を見てきたのですが、全体としては、例年並みか若干難しくなったと思います。予想平均点は、58点と言ったところでしょうか。(因みに、昨年の予想は、「昨年並みか若干簡単になった」で、平均57.4点(H26)→平均59.1点(H27)と当たりでした)


明日は理科を取り上げます。

平成28年度都立高校入試問題(英語)

2016-02-27 10:39:19 | 英語の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

晴れのいい天気になりました。寒さも少し和らぎ、外を歩くときも手袋なしで大丈夫です。明日はさらに暖かくなるようです。

さて、今回は平成28年度都立高校入試の英語を取り上げます。

問題の構成は、例年通り、大問1がリスニング、大問2が3つの短文読解と3文英作文、大問3が長い会話文、大問4が長文読解です。

大問1は省略して、大問2から見ていきましょう。

大問2は、歌舞伎を観る劇場や座席を決める話と、観劇後の感想を記したEメールについて出題されています。

英文は平易ですが、判り難いところを強いて挙げるならば、
“Let’s make a quick search on the Internet.”(ちょっとインターネットで調べてみようよ)
“Our house is right here,・・・”(僕らの家はここだよ)
あたりでしょうか。とは言っても、解答には関係ない部分なので、問題はなかったと思います。

問2では、チケット2枚で4000円と言っているところを1枚4000円と早とちりした人がいたかもしれません。

3文英作文のテーマは、「外国から日本を訪れた人に日本で楽しんで欲しいこと」ですが、その題材は、寿司、富士山、新幹線(思い浮かばなかったら歌舞伎)などたくさんあるので苦労はなかったと思います。

また、書き出しについては、Eメールの英文のなかにある、
“I want you to enjoy a kabuki play someday.”
を利用して、
“I want people from other countries to ~”
とすればスムーズに筆を進めることができたでしょう。(別の書き出しでも全く問題ありません)

大問3は着物の話です。

受け身、現在分詞、関係代名詞が出てくるので、意味が判りづらかった人が少なくなかったかもしれません。

特に、
“My brother is having his wedding ceremony.”(兄が結婚披露宴をする予定なのよ)
で、現在進行形が未来の予定を表すことがあることを知らずに、「兄が結婚披露宴をしている」 と解してしまうと、次の日曜日に着物を着ると言っているのに何故?と言うことになります。(ただし、解答には関係ない部分ですが)

語句では、 “tea ceremony” (茶会) と屋外での茶会 “nodate” (野点)が、中学生にとってイメージし辛いでしょう。

設問には、登場人物の心情を思い量る問いがあるので、迷った受験生もいたことでしょう。

大問4は、職場体験の話です。

英文で難しそうなところは、
“Kyoko wasn’t interested in it, but Jennifer was because ~ ”(キョウコは職場体験に興味がなかったが、ジェニファーは、~なので、職場体験に興味があった)
で、“Jennifer was” のあとに、“interested in it” が省略されています。

さらに、
“Mr.Takeda asked them to put the cards by the rolls”(タケダ店主は彼女たちにカードをロールケーキのそばに置くように頼んだ)
で、 “by~” に 「~のそばに」 という意味があることを忘れていると意味が判らなくなってしまいます。

設問は素直で、特に、本文の内容の順に並び替える問題には回想がないので簡単だったと思います。さらに、従来英文で記述していた問4も選択式になり、受験生は気が楽だったかもしれません。

全体としては、昨年より少し難しくなって、平均60点くらいだと予想します。(因みに、昨年の予想は、「かなり易しくなった」で、平均53.7(H26)→平均63.4(H27)で当たっていました)


明日は、社会を取り上げます。

平成28年度都立高校入試問題(数学)

2016-02-26 11:36:25 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

ここ暫く寒い日が続いています。

都立高校を受験した塾生たちの自己採点結果を聞くと、概ね合格ラインを超えているようで、取りあえずホッとしていますが、実際のところは合格発表を待つしかありません。「果報は寝て待て」ということでしょう。

さて、今回は平成28年度都立高校入試問題の数学を調べます。

問題構成は、例年通りで、大問1は9つの基本問題、大問2は九九の表を題材にした創作問題、大問3は二次関数のグラフと関数問題、大問4は平行四辺形の平面図形問題、大問5は三角柱の立体図形問題でした。

大問1では、確率・場合の数は出題されず、資料の整理の相対度数を求める問題でした。このところ、資料の整理に関する出題が定着しているので、過去問を演習した人にとっては、確率・場合の数の問題より扱いやすかったかもしれません。

図形の求角問題は、円周角の大きさを求めるものでしたが、補助線を引いて、円の中心と円周上の2点でできる三角形が二等辺三角形になることを知らないと正解できないので、少し難しかったと思います。

大問2の問1は、例年、力ずくで調べ上げれば正解できますが、今回も9通りの場合を計算すればOKなので、下手に立式して解くよりも確実かもしれません。

問2については、数字を囲む範囲が可変になっているので、例年より難しくなっています。

大問3は、素直な問題で、多くの受験生は易しく感じたでしょう。

大問4の平面図形では平行四辺形を取り上げていますが、問1、2の角度問題、証明問題は、例年並みかそれより易しいです。それに対して、問3の面積比を求める問題は、少々複雑で、例年並みといったところでしょう。

大問5の問1では、対象の2本の線分の長さの和が最小になるのは、三角柱の展開図上で2本の線分が直線になるときであることを知っていれば簡単ですが、それを知らなかった受験生はお手上げだったでしょう。

問2の四角錐の体積を求める問題は、四角錐の底面積と高さを求めて体積を計算してもいいですし、三角柱から不要な部分を除いてもOKです。見通しがよいので難しくはありませんが、計算ミスに注意が必要です。

全体としては、昨年より少し難しくなって、平均58点くらいになるのではないでしょうか。(因みに昨年予想は、「易しくなった」でしたが、実際、平均57.6点(H26)→62.0(H27)と当たりでした)


明日は英語を取り上げます。

平成28年度都立高校入試問題(国語)

2016-02-25 12:22:36 | 国語の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

昨日の日中は、曇り空で気が滅入るほど寒かったのですが、今日は、寒いことは寒いのですが、陽射しがあって少しはましなようです。今日から国公立大学の前期試験が始まりました。受験シーズンも終わりに近づいています。

都立高校入試の次の日の朝刊に掲載される入試問題(特に国語)を楽しみにしていて、昼前に国語を終えて、数学はさらっと見終わったところです。

国語の問題は、例年通り、漢字、小説、説明文、古典を題材にした説明文の構成でした。

難しい漢字はありませんが、強いて挙げれば、読みでは「拭いながら」(ぬぐいながら)、書き取りでは「がくたい」(楽隊)あたりでしょうか。

小説は、主人公の心情が判りやすく、解答にも紛らわしいものがなく、親切な問題だと思います。

説明文は、昨年の問題に比べて論旨が明快でよいと思います。二百字の作文は、テーマが「基本を身につけること」で、中3生にとって扱いやすい題材だったと思います。

最後の枕草子を題材にした説明文は、問4の「よもや~ない」や問5の「たわむれに」(軽い気持ちで)は難しかったかもしれません。

昨年は、国語が難しくなったとした予想しながら、実際の平均点は61.6(H26)→65.6(H27)と、全く見当違いだったので、今年の予想をするのはおこがましいのですが、敢えて予想すると、去年より簡単で平均点は68点超えになると思います。


午後から英語を調べてみるつもりです。

高校入試で思い出すこと

2016-02-24 11:54:21 | 学習塾塾長の日記
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

昨日は晴れの予報したが、どんよりとした曇り空で、おまけに冷たい風も吹いています。このなか、中3の塾生は都立高校入学試験の真っ最中で、少し落ち着かない気分です。

私は、40年以上前に都立高校を受験したのですが、そのときの試験会場やその様子などほとんど覚えていません。ところが、一つだけはっきり覚えていることがあります。

当時、試験は国語、数学、英語の3教科でした。(塾生は羨ましがります)

その国語の問題で、「流麗」の読みを答える問題が出題されて、直ぐに「りゅうれい」と書いたのですが、そのあとの問題に取り掛かっている途中、「りゅうれい」ではあまりにも当たり前過ぎるよなと思い直し、「るれい」と書き直しました。(正解は「りゅうれい」で誤答したわけです)

高校入試の他のことはすっかり忘れてしまっているのに、「るれい」に書き直すときの心状はしっかり覚えていて、この時期になるといつも思い出します。

因みに、この「流麗」を広辞苑で調べてみると、
『詩文の語句や書きぶり、音楽の調子などが、なだらかで麗しいこと。「流麗な文体」「筆致流麗」』
とあり、主に文学や音楽に関することに用いられるようです。

さらに、「流麗」をライトハウス和英辞典で引いてみると、
(流れるような)flowing、fluent;(美しい)refined;(優雅な)elegant
とあり、
“He writes in a flowing and elegant style.”(彼は流麗な文章を書く)
という例文が挙げてあります。


さて、そろそろ最後の理科の試験が始まるころです。最後までしっかり取り組んでいることでしょう。そして、全員合格することを願っています。

都立グループ作成校入試作図問題(12)

2016-02-23 12:26:49 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

日本列島が4つの低気圧に囲まれているせいか、どんよりとした曇り空になりました。都立高校入試の明日は、晴れ間が見られるようです。受験生の皆さんは、元気に受験してください。

さて、今回は平成18年度八王子東の入試問題です。

問題は、
「△ABCと、頂点Aを通り辺BCと交わる直線lがある。
 直線l上にあり、∠ACB=∠APBとなる点Pを、定規とコンパスを用いて、作図によって求めよ。
 ただし、作図に用いた線は消さないでおくこと。」
です。

▲問題図

∠ACB=∠APBとなる点Pを求めるわけですが、△ABCと△ABPは辺BCが共通なので、ここは円周角を利用するのがよいでしょう。

頂点A、B、Cを通る円の中心は、図1のように、辺ABと辺ACの垂直二等分線m、nの交点になり、これをOとしましょう。


▲図1.頂点A、B、Cを通る円Oを求めました

この円Oの周上で頂点Cと同じ側にある任意の点をXとすると、∠ACBと∠AXBは、弧ABに対する円周角になるので、∠ACB=∠AXBです。

そして、求める点Pは直線l上にあるので、∠APB=∠ACBを満たす点Pは、円Oと直線lとの交点で、これで作図が完成です。

別の方法として、直線lと、∠ACBと同じ大きさの角を成す直線を引き、それと平行で、かつ、頂点Bを通る直線と直線lとの交点を求める作図も可能です。

図2のように、辺BCと直線lとの交点をDとし、△ACDと合同な△AC’D’を作ります。このとき、点C’は直線l上にあります。


▲図2.∠ACDと同じ大きさの角を∠AC’D’に作りました

続いて、線分C’D’に垂線EFを引き、さらに、点Bを通り直線EFに垂直な直線を引くと、この直線と直線lとの交点がPになります。


明日は都立高校の入学試験ですが、いままで取り上げてきた作図が、受験生の皆さんの参考になれば幸いです。皆様の合格を祈念いたします。

都立グループ作成校入試作図問題(11)

2016-02-22 12:48:54 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

今日、明日は曇りがちの天気ですが、都立高校入試の水曜日には晴れ間が戻ってくるようです。しかし、この1週間の気温は10℃前後で推移するようですので、受験生の皆さんは暖かくして風邪など引かぬよう気をつけてください。

さて、今回は平成17年度国分寺の入試問題です。

問題は、
「下の図で、線分BCを底辺とし、頂角の大きさが45°の二等辺三角形ABCを1つ、定規とコンパスを用いて作図せよ。
 ただし、作図に用いた線は消さないこと。」
です。

▲問題図

前回の八王子東高の問題に似ていますが、今回は与えられた線分BCが二等辺三角形の底辺です。つまり、線分BCの垂直二等分線上に点Aがあることになります。

ポイントは、45°の∠Aをどのように作図するかということですが、ここは、中心角と円周角の関係を利用するのが簡単そうです。

まず、図1のように、線分BCの中点をMとして、点Mが中心で、点B、Cを通る円Mと線分BCの垂直二等分線との交点をOとすると、∠BOC=90°です。


▲図1.∠BOC=90°となる点Oを求めました

続いて図2のように、点Oが中心で、点B、Cを通る円Oと線分BCの垂直二等分線との交点をAとすると、∠BOCと∠BACは、それぞれ弧BCの中心角と円周角になるので、∠BAC=∠BOC×1/2=45°となり、求める二等辺三角形ABCが完成です。


▲図2.∠BOCと∠BACは、それぞれ弧BCの中心角と円周角です


他の作図法としては、先に底角B(=67.5°)を作る方法もあります。

67.5°=22.5°×3ですから、45°を2等分して、その1つを3倍すれば∠Bを作ることができます。

例えば、図3のように、∠OBMの2等分線lを引きます。


▲図3.底角Bの67.5°を作ることから始める作図

次に、点Bが中心で、任意の大きさの円Bを描き、円Bと直線lとの交点をP、円Bと線分BOとの交点をQとします。

そこで、PQの距離を測り取り、点Qから距離がPQとなる円B上のもう一つの点を求め、それを点Rとすると、∠RBCが67.5°になります。

あとは、線分BRをR側に延長したものと線分BCの垂直二等分線との交点を求めると、それが点Aになり、点Aと点Cを直線で結べば、求める二等辺三角形ABCが完成です。


他にも、いろいろな作図方法があると思います。興味のある人は調べてみてください。

都立グループ作成校入試作図問題(10)

2016-02-21 12:43:44 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

朝のラジオでは西風、北風が強く吹くと言っていましたが、それ程でもなく、暖かい日になりました。天気予報では、明後日の火曜日に少し崩れるようですが、幸いなことに、都立高校入学試験日の水曜日は晴れになるようです。

さて、今回は平成17年度八王子東の入試問題です。

問題は、
「線分ABを1辺とする△ABCのうち、∠ABC=150°である二等辺三角形を1つ、定規とコンパスを用いて作図せよ。
 ただし、作図に用いた線は消さないでおくこと。」
です。

▲問題図

この問題では、150°というのがポイントになるわけですが、180°-150°=30°なので、150°の角を作ることは、30°の角を作ることと同じことになります。

そして、30°の角は正三角形の内角を2等分して得ることができますし、また、辺の比が1:2:√3の直角三角形(内角が30°、60°、90°の三角定規)を描いて得ることもできます。

ここでは、正三角形の内角を2等分する方法を採りましょう。

まず、△ABCは、∠ABCが150°の二等辺三角形なので、∠ABCが頂角になります。つまり、BA=BCです。

そこで図1のような、点Bが中心で線分BAの長さを半径とする円Bを描くと、点Cはその周上にあることになります。ここで、線分ABをBのある側に延長した直線と円Bとの交点をPとしました。


▲図1.点Cは円Bの周上にあります

続いて、∠ABC=150°の作図です。

ここで、∠PBC=∠ABP-∠ABC=180°-150°=30°なので、∠PBC=30°となるように線分BCを引けばOKです。

そのために、まず、1つの頂点をBとする正三角形を描きましょう。

この正三角形の大きさは何でもよいのですが、円Bを描いたので、図2のように、同じ半径で点Pを中心とする円を描くのが簡単で、ここで円Bと円Pの1つの交点をQとすると、△BPQが正三角形になります。


▲図2.△BPQは正三角形です

あとは、∠PBQの二等分線と円Bとの交点をCとすれば、∠ABC=150°の二等辺三角形ABCの完成です。(角の二等分線の作図は省略しました。曖昧な人は教科書などで確認しましょう)

他の作図法としては、図3のように、内角が15°、75°、90°の直角三角形を利用する方法があります。


▲図3.内角が15°、75°、90°の直角三角形の辺の比

この直角三角形の辺の比は、4:√6+√2:√6-√2なので、長さが4、√6+√2、√6-√2の線分を作ることで、三角形を作図することができます。

この√6±√2の作図ですが、以下に記すように三平方の定理を利用します。

線分ABの長さを4としたとき、その1/4の長さ(=1)の2本の線分を測りとり、それらを直交させて直角三角形を作ると、その斜辺の長さが√2になります。

同様に、線分ABの長さの1/2(=2)と√2の長さの線分を直交させて直角三角形をつくると、その斜辺の長さが√6になります。

このようにして作った√2、√6の線分を組み合わせて、√6±√2の長さの線分を作ることができます。(勿論、前回紹介した方べきの定理を利用しても可能です)


4、√6±√2の長さの線分を作って△ABCを作図する説明図は作りませんでしたが、興味のある人は作図してみてください。

都立グループ作成校入試作図問題(9)

2016-02-20 11:51:02 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

朝は雨が降っていませんでしたが、昼前から降り始めて夕方からは強い雨になるようです。明日は晴れて少し暖かくなるようです。

さて、今回は平成18年度立川の入試問題です。

問題は、
「下の図で、線分OAの長さを2cmとする。
 解答欄に示した線分OAをもとにして、線分OA上にあり、点Oからの距離が√2cmである点Pを、定規とコンパスを用いて作図によって求めよ。
 ただし、作図に用いた線は消さないでおくこと。」
です。

▲問題図

1辺1cmの正方形の対角線の長さが√2cmなので、これを利用すれば簡単に作図できます。

図1のように、線分OAの垂直二等分線lを引き、線分OAと直線lとの交点をBとします。


▲図1.1辺1cmの正方形の対角線を求めます

続いて、直線l上にBO=BCとなる点Cを求めると、線分OCが1辺1cmの正方形OBCDの対角線になります。

最後に、コンパスの針を点Oに置いて、線分OCの長さを線分OA上に移せば、点Pの作図がお仕舞いです。

同じような方法として、図2のように、1辺2cmの正方形の対角線を2等分して√2を求めてもOKです。


▲図2.1辺2cmの正方形の対角線を求めます

次に、方べきの定理を利用した方法を紹介します。

図3のように、線分OAの中点をBとし、点Bと点Aを通る任意の大きさの円を円Qとします。


▲図3.方べきの定理を利用した作図法


そして、点Oを通る円Qの接線をOS(接点SはOQを直径とする円Rと円Pとの交点になります)とすると、方べきの定理から、
OB・OA=OS・OS
が成り立つので、
OS=√(OB・OA)
です。

ここで、OB=1cm、OA=2cmを代入して、
OS=√2cm
となり、√2cmを求めることができました。

最後に、コンパスの針を点Oに置いて、線分OSの長さを線分OA上に移せば、点Pの作図が完成です。


方べきの定理を利用すると、開平だけでなく乗法や除法の作図もできます。興味のある人は調べてみてください。

都立グループ作成校入試作図問題(8)

2016-02-19 13:22:39 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

晴れて陽射しもあって、気温が15℃と暖かい日になりました。あいにく、明日の土曜日は雨模様で寒くなりますが、日曜日には晴れが戻ってきて暖かい日になるようです。

さて、今回は平成17年度国立高の入試問題です。

問題は、
「下の図で、2点A、Bは、直線l上の点であり、半円Oは、線分ABを直径とする半円である。
 中心Oを通る直線をmとし、直線mと半円Oとの交点をPとする。
 ただし、∠POBは鋭角とする。
 解答欄に示した図をもとにして、点Pにおける半円Oの接線と、線分OP上に中心があり半円Oと線分OBに接する円を、定規とコンパスを用いて作図しなさい。
 ただし、作図に用いた線は消さないでおくこと。」
です。

▲問題図

まず、点Pにおける半円Oの接線を片付けてしまいましょう。

円の接線は、円の中心と接点を結ぶ直線と垂直に交わることを知っていれば簡単で、図1のように、点Pを通り直線mに垂直な直線が求める接線になります。(直線上のある点を通りその直線に垂直な直線の作図は省略しました。これが曖昧な人は、教科書などで確認してください)


▲図1.接線を作図しました

続いて、線分OP上に中心があり半円Oと線分OBに接する円の作図に取り掛かりましょう。

先ほど作図した点Pにおける半円Oの接線と直線lとの交点をQとします。

ここで、円の2本の接線の交点から2つの接点までの長さは等しくなることを思い出しましょう。

作図を求められている円の接線は直線PQと直線lで、2本の接線の交点、つまり、点Qから2つの接点までの長さは等しくなります。

そこで図2のように、直線l上にあり、点Qからの長さが線分PQの長さと等しくなるような点Rを求めると、これが求める円の接点になります。


▲図2.接点Rを求めました

あとは簡単で、図3のように、点Rを通り直線lに垂直な直線と直線mとの交点をCとすると、この点Cが求める円の中心になります。そこで、点Cにコンパスの針を置いて、脚の開きを線分CPまたは線分CRの長さに調整して円を描けばお仕舞いです。


▲図3.円の中心を求めて円を描きました

このとき、∠PQBの二等分線と直線mとの交点をCとしてもOKです。さらに、求める円の半径をxとして、それを作図で求めることもできそうです。(近いうちに紹介したいと思います)


昨年は円の接点を作図する問題が出題されました。円の中心、接点、接線の関係をしっかり押さえておきましょう。

都立グループ作成校入試作図問題(7)

2016-02-18 13:03:35 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

昨日と比べて若干寒くなりましたが、明日は気温が8℃ほど高くなり暖かい日になるようです。受験生の皆さんは暖かくして勉強してください。

さて、今回は平成14年度西高の入試問題です。

問題は、
「下の図で、△ABCは∠C=90°の直角三角形である。点D、E、Fはそれぞれ辺AB、BC、CA上にあり、四角形DECFは正方形である。
 解答欄にある△ABCをもとにして、正方形DECFを定規とコンパスを用いて作図せよ。
 ただし、作図に用いた線は消さないでおくこと。」
です。

▲問題図

問題図から、CDが正方形DECFの対角線になることが簡単に判ります。

したがって、図1のように、∠Cの二等分線と辺ABの交点が点Dになります。あとは、点Dから辺BCおよび辺CAに垂線を下ろすと、それぞれの足が点Eおよび点Fになり、それらを順番に結べば正方形が完成です。(角の二等分線と垂線の作図は省略しているので、曖昧な人は教科書などで確認してください)


▲図1.∠Cの二等分線を引いて点Dを求めました

他の作図方法として、相似を利用してもOKです。

例えば、図2のように、適当な辺の長さの正方形CHIGを作図します。そして、点CとIを結ぶ直線と辺ABとの交点を求めると、そこが点Dになり、あとは先ほどと同じです。


▲図2.相似を利用する作図



以前に、相似を利用する方法を取り上げたことがあります。興味のある人は確認してみてください。(以前の記事:相似を利用した作図問題

都立グループ作成校入試作図問題(6)

2016-02-17 12:18:56 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

午前中は晴れていたのですが、午後から雲が広がり、陽射しがなくなってしまいました。明日は、気温が若干下がるようですが、晴れるようです。都立高校の入試まであと1週間になりました。受験生の皆さん、風邪など引かぬよう気をつけてください。

さて、今回は平成23年度日比谷高の入試問題です。

問題は、
「下の図で、△ABCは3つの内角がすべて鋭角の三角形である。
 頂点Bから辺ACに垂線を引き、辺ACとの交点をDとした場合を考えたとき、線分BD上にあり、∠ABD=1/2∠APDとなる点を、定規とコンパスを用いて作図によって求め、点Pの位置を示す文字Pも書け。
 ただし、作図に用いた線は消さないでおくこと。」
です。

▲問題図

まず図1のように、どのような図になるのか描いてみましょう。


▲図1.どのような図になるか描いてみました

ここで△ABPに着目すると、∠APBの外角が、それと隣り合わない内角の∠ABPの2倍になっています。このことから、もう一つの内角の∠BAPが∠ABPと等しくなることが判ります。

つまり、図2のように、△ABPは二等辺三角形になるわけです。


▲図2.△ABPは二等辺三角形です

これが判ってしまえばあとは簡単で、二等辺三角形ABPの底辺ABの垂直二等分線と線分BDの交点が求める点Pになります。(垂直二等分線の作図は省略すいたので、曖昧な人は教科書などで確認してください)

また、∠ABP=1/2∠APDから、円周角と中心角がピンときた人も多いでしょう。

この円周角と中心角との関係を利用すると、図3に示すように、点Pを中心とする円の周上に点Aと点Bがあり、AP=BPです。つまり、△ABPが二等辺三角形になることを利用した作図と同じ方法で点Pを求めることができます。


▲図3.点Pは点Aと点Bが周上にある円の中心になります

ここで中心角と円周角を確認するため、図3のように、線分BDを点Dのほうに延長し、円Pとの交点をFとすると、∠APFと∠ABFが中心角と円周角の関係になっていることが判ります。

他の作図法としては、図4のように、線分ABと成す角が∠ABDと等しくなる直線Lを引き、そして点Aを通り直線Lに平行な直線を引きます。すると、この直線と線分BDとの交点がPになります。


▲図4.線分ABと成す角が∠ABDと等しくなる直線Lを引きました



最後の線分ABと成す角が∠ABDと等しくなる直線Lを作図するには、∠ABDと∠ABLが対応する合同な三角形を作図すれば簡単です。興味のある人は作図してみてください。

都立グループ作成校入試作図問題(5)

2016-02-16 12:39:39 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

晴れて良い天気になりましたが、気温は昨日より低く、冷え込みが厳しい日になりました。明日は暖かくなりますが、その後、寒くなったり、暖かくなったりを繰り返すようです。受験生の皆さんは体調に気をつけましょう。

さて、今回は平成23年度西高の作図問題です。

問題は、
「下の図のように、点Aは直線l上にある点で、2点B、Cは直線l上にない点であり、直線lに対して互いに反対側にある。
 点Pは直線l上にあり、∠APB=∠APCである。
 解答欄に示した図をもとにして、直線l上にあり、∠APB=∠APCとなる点Pを、定規とコンパスを用いて作図によって求めよ。
 ただし、作図に用いた線は消さないでおくこと。」
です。

▲問題図

∠APB=∠APCから、直線lが∠BPCの2等分線になるので、この2等分線をどうにかして・・・、と着想した人は大変かもしれません。

ここは、直線lで折り返すと線分PBと線分PCが重なる(部分的に)ことに気が付けば簡単です。

それでは、直線lを対称軸としたとき、点Cの対応する点を求めましょう。

まず、図1のように、点Cを通り直線lに垂直な直線を引き、その直線上で点Cと反対側に、直線lから点Cまでの長さと等しくなる点をC’とします。


▲図1.直線lで折り返すと線分PBと線分PCが重なることを利用しました

すると、線分PBと線分PC’は重なるので、点Bと点C’を結んだ直線と直線lとの交点が点Pになり、これでお仕舞いです。

あまりにもあっけないので、他の作図方法を調べてみましょう。∠APBと∠APCはAPが共通で隣り合っているので、円周角が使えそうです。

そこで、点P、B、Cが円周上にある円を考え、その円と直線lの点Pでない交点をA’とすると、∠APB=∠APCは、∠A’PB=∠A’PCです。

つまり、円周角が等しいということなので、弧A’B=弧A’C⇔A’B=A’Cで、△A’BCは二等辺三角形になり、図2のように、線分BCの垂直二等分線と直線lの交点がA’になります。


▲図2.点A’を求めます

あとは図3のように、線分A’Bと線分A’Cのそれぞれの垂直二等分線の交点Oを求め、点Oを中心として半径OA’(=OB、OC)の円を描いて、その円と直線lの点A’でない交点を求めれば、その点がPになります。


▲図3.円周角を利用しました



初めの作図のほうが簡略ですが、別の作図法を考えて見るのも理解が深まってよいかも知れません。いろいろ工夫してみてください。

都立グループ作成校入試作図問題(4)

2016-02-15 12:02:40 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

昨日と比べて気温がぐっと下がりましたが、覚悟していたほどの寒さではなく、春らしくなってきたことを感じます。梅も見頃の時期になり、暫くすると、桜の季節です。

さて、今回は平成25年度国立高の作図問題です。

問題は、
「下の図で、点Aは直線l上にない点である。
 解答欄に示した図をもとにして、点Aを通り、線分BCの長さを半径とし、直線lに接する円を、定規とコンパスを用いて1つ作図しなさい。
 ただし、作図に用いた線は消さないでおくこと。」
です。

▲問題図

この問題では、円を描かなければならないので、その中心の位置と半径の長さが必要です。その半径については、問題図に線分BCの長さが与えられているので、結局、円の中心位置が決まれば作図可能ということになります。

そこで、円の中心位置についての条件を整理すると、
(1)点Aが円周上にある
(2)円と直線lが接する → 円の半径が直線lと垂直
ということになり、これらの2つの条件を満たす点が円の中心になります。

それでは(1)の条件から調べていきましょう。

点Aが円周上にあるということは、円の中心と点Aとの距離が一定ということです。そして、その長さは線分BCの長さになります。つまり、円の中心は、図1のように、点Aが中心で、半径が線分BCの長さの円の周上にあることになります。


▲図1.円の中心は、点Aが中心で、半径が線分BCの長さの円の周上にあります


次に(2)です。

円の半径が直線lと垂直ということは、円の中心が直線lと平行な直線m上にあり、2つの直線lとmとの距離が円の半径、つまり線分BCの長さということです。

そこで図2のように、直線lの任意の点Dを通る垂線nを引き、点Dから線分BCの長さを点Aがあるほうに測りとり、その点をEとし、点Eを通り垂線nに垂線を引きます。すると、この垂線が直線mになり、円の中心は、この直線m上にあることになります。


▲図2.直線mを作図しました

以上から、(1)で作図した円周と直線mとの交点が作図する円の中心になり、そこにコンパスの針を置いて、点Aを通る円を描けば出来上がりです。

このとき、2個の交点O、O’ができますが、問題では、「1つ作図しなさい」とあるので、どちらか一方を中心とする円を描きましょう。


垂線の引き方は省略しましたが、曖昧な人は教科書などで確認してください。