東久留米 学習塾 塾長ブログ

東京都東久留米市滝山の個別指導型学習塾 塾長白井精一郎のブログ

ジュニア数学オリンピックの簡単な問題(32)

2016-07-23 11:30:25 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

天気予報には久しぶりの晴れマークがでていますが、今のところ、どんよりとした曇り空です。オホーツク海高気圧からの涼しい風のおかげで、気温は高くないのですが、少し蒸し暑く感じます。

さて、今回は2009年ジュニア数学オリンピック予選に出題された計算問題を取り上げます。

問題は、
「実数a、b、c、d、e、fが
(a+1999)(b-1999)(c+1999)+(d-1999)(e+1999)(f-1999)=1
(a+2000)(b-2000)(c+2000)+(d-2000)(e+2000)(f-2000)=10
(a+2001)(b-2001)(c+2001)+(d-2001)(e+2001)(f-2001)=100
をみたすとき、
(a+2009)(b-2009)(c+2009)+(d-2009)(e+2009)(f-2009)を求めよ。」
です。

早速、取り掛かりましょう。

与式に、1999や2000など大きい数があるので、ここは、
A=a+2000
B=b-2000
C=c+2000
D=d-2000
E=e+2000
F=f-2000
とおき、与式を簡単な式に書き換えるのがよいでしょう。

すると、
(A-1)(B+1)(C-1)+(D+1)(E-1)(F+1)=1       (1)
ABC+DEF=10                            (2)
(A+1)(B-1)(C+1)+(D-1)(E+1)(F-1)=100     (3)
のとき、
(A+9)(B-9)(C+9)+(D-9)(E+9)(F-9)          (4)         
の値を求めることになります。

そこで、
P(x)=(A-x)(B+x)(C-x)+(D+x)(E-x)(F+x)
というxの3次式(実は2次式です)を考えると、(1)(2)(3)は、それぞれ
P(1)=1                                  (5)
P(0)=10                                 (6)
P(-1)=100                                (7)
になり、(4)は
P(-9)=(A+9)(B-9)(C+9)+(D-9)(E+9)(F-9)    
になります。

一方、P(x)を展開すると、
P(x)= x^3+(-A+B-C)x^2+(-AB-BC+CA)x+ABC
     -x^3+(-D+E-F)x^2+4(DE+EF-FD)x+DEF
    =(-A+B-C-D+E-F)x^2+(-AB-BC+CA+DE+EF-FD)x+ABC+DEF
で、P(x)はxの2次式になることが判ります。

そこで、
p=-A+B-C-D+E-F
q=-AB-BC+CA+DE+EF-FD
r=ABC+DEF
とおいて
P(x)=px^2+qx+r
を作り、これにx=1、0、-1を代入します。

すると、(5)(6)(7)から
P(1)=p+q+r=1                            (8)
P(0)=r=10                                (9)
P(-1)=p-q+r=100                          (10)
が成り立ちます。

続いて(8)(9)(10)の連立方程式を解いて、p、q、rを求めると、
p=81/2
q=-99/2
r=10
で、
P(x)=81/2・x^2-99/2・x+10                   (11)
になります。

ここでは、P(-9)の値を求めればよいので、(11)にx=-9を代入して、
P(-9)=81/2・9^2-99/2・(-9)+10
    =6561/2+891/2+10
    =3736
で、これが答えになります。


(1)から(3)を展開してAB+BC-CA-DE-EF+FD、A-B+C+D-E+Fの値を求め、(4)の展開式に代入しても答えを求めることができます。興味のある人は試してみてください。