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東久留米 学習塾 塾長ブログ

東京都東久留米市滝山の個別指導型学習塾 塾長白井精一郎のブログ

タイルの敷き詰め問題(公立中高一貫校対策問題集)

2017-07-10 12:03:21 | 中学受験
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

毎日暑い日が続きますが、そんな中、小5の塾生は公立中高一貫校対策問題集に一生懸命取り組んでいます。今回はそのなかに出てきた図形問題を取り上げます。

その問題は、
「下図のような厚紙を切って、たてと横の長さが2cmと3cmの長方形のカードをたくさんつくりました。切り取るカードはどちら向きでもよかったので、あまりもなくちょうど55まい切り取ることができました。このとき、図の㋐の部分の長さは何cmでしたか。」


▲問題図

です。

与えられた図形の面積と1枚2cm×3cmの長方形(以下、単位長方形)55枚分の面積が等しくなることを利用して㋐を計算し、その図形を単位長方形で敷き詰めることができることを確認してもOKですが、ここでは次の図のように、元の図形をA、B、Cの3つの領域に分割して調べていきましょう。


▲図.A、B、Cの3つの領域に分割しました

まずAの領域は、6cm×8cmの長方形ですから、単位長方形を、たて3cm、横2cmの向きに2行4列並べて敷き詰めることができます。つまり、Aの領域を敷き詰めるのに必要な単位長方形の枚数は2×4=8枚です。

次にBの領域ですが、これは18cm×9cmの長方形で、単位長方形を、たて2cm、横3cmの向きに9行3列並べて敷き詰めることができます。つまり、Bの領域を敷き詰めるのに必要な単位長方形の枚数は9×3=27枚です。

したがって、AとBの領域を敷き詰めるのに必要な単位長方形の枚数は8+27=35枚になります。

一方、与えられた図形(領域A、B、C)を敷き詰めるのに必要な単位長方形の枚数は55枚なので、領域Cを敷き詰めるのに必要な長方形の枚数は55-35=20枚です。

この20枚の単位長方形を領域Cに敷き詰めることを考えると、領域Cの長方形のたての長さが8cmなので、単位長方形を、たて2cm、横3cmの向きに4行並べることになり、20÷4=5から単位長方形は5列になります。

以上から領域Cの長方形の横の長さ㋐-9は、3cm×5=15cmになり、㋐は 24cm でこれが答えです。


小学5年生には骨の折れる問題と思いましたが、結構すんなり解いていました。大したものです。

ぞうの肉は食されるのか(公立中高一貫校対策問題集)

2017-07-05 10:46:19 | 中学受験
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

好奇心旺盛で頭の回転のよい小5の塾生が「公立中高一貫校対策問題集」に取り組んでいるのですが、そのなかに、

「次のそれぞれのグループには1つだけ種類のちがうものがあります。その言葉を答えましょう。また、それだけちがっている理由を簡潔に書きましょう。
(1)(2)略
(3)ひつじ  ぶた  うま  ぞう  うし 」
という問題がありました。

問題集の正解は、「ぞう」で、その理由は、「ぞう以外は、肉が食用とされる生き物だから」です。

一方、塾生の答えは、「ひつじ」で、その理由は、「ひつじだけ3文字だから」で、問題集の正解に対しては、「マンモスやナウマン象は当時の人類の狩猟対象だったので、ぞうの肉を食べる人がいても不思議ではなく、アフリカでは食べられているに違いない」という意見です。

そこでインターネットで調べてみると、確かにぞうの肉はアフリカやタイなどで食べられているようで、塾生の推論は正しいことが判りました。

問題集の正解にある理由を「ぞう以外は家畜だから」(多分、ぞうは家畜として飼育されていないと思いますが)とすれば良かったのかもしれませんが、いずれにしても、塾生の答えも正解です。(採点で○がもらえるかわかりませんが)

面白い問題でした。

公立中高一貫校の楽しい問題

2017-05-31 12:26:07 | 中学受験
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

小5の塾生の公立中高一貫校対策問題集に、
「(  )のなかに適当な故事・ことわざを書きなさい。
の耳に念仏
さるも木から落ちる
・(               )
・大山鳴動してねずみ一匹
の威を借るきつね   」
という問題がありました。

挙がっている4つのことわざに共通するのは動物で、上から順に、さる、( )、ねずみ(きつね)になっていて、正解への第一歩は、これらの動物の並び方の規則性を見つけることです。

塾生は50音などから規則性を見つけようとしましたが、すぐに十二支を思いつき、「、うし、とら、う、たつ、み、うま、ひつじ、さる、とり、いぬ、い」と書き上げました。

そして、4つのことわざの動物は「うま」から始まり1つおきに並んでいて、( )に登場する動物が犬であることを発見しました。

最後に、解答欄に「犬も歩けば棒に当たる」と書き込み、無事正解です。

公立中高一貫校の問題にはクイズやパズルのようなものも多く、なかなか楽しいです。興味のある人は挑戦してみてください。

大きな桁の整数の割り算

2014-04-24 13:30:35 | 中学受験
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

良い天気が続きます。将棋名人戦は、羽生三冠が2連勝で名人位奪回に幸先良いスタートです。森内名人も巻き返してくるでしょうからこれからの勝負が楽しみです。

公立中高一貫校の適性検査問題では、いくつかの学校で桁数の大きい整数の割り算が出題されます。例えば、都立小石川中では、日本の工業製品出荷額の割合を計算する問題が出題されました。東京、愛知、大阪、福岡の4都府県について、それぞれ、84488、383532、158932、82491を2908029で割り、百分率で小数第1位まで求めるというものです。

これをそのまま筆算しても良いのですが、百分率にして小数第1位まで求めれば良いのですから、少し簡単に計算したいものです。

そこで、割る数をa、割られる数をb、aとbの中で丸める数をαとβとすると、b/aと(b+β)/(a+α)が小数第4位まで一致するようにα、βを決めれば良いということになり、式で表すと、
lb/a-(b+β)/(a+α)l<0.0001   
となります。(ここで lxl は、xの絶対値を表します)

ここで、左辺の2項目の分子、分母をaで除すると、
lb/a-(b/a+β/a)/(1+α/a)l
=lb/a-(b/a)/(1+α/a)-(β/a)/(1+α/a)l  式(1)

そして、1/(1+α/a)=1-α/a+(α/a)^2-・・・
で2次以上の項を無視して、代入すると、
式(1)≒l(b/a)×α/a-(β/a)(1-α/a)l 
    ≒l(b/a)×α/a-β/al       

この式の2項の桁数を考えると、bとαの桁数の和がaの桁数の2倍より5桁小さくなり、βの桁数がaの桁数より5桁少なければ、0.0001より小さくできそうです。

そこで、実際に小石川中の問題を計算してみると、
東京の場合、84500÷2910000=2.903%(2.905%)
愛知では、383500÷2908000=13.187%(13.188%)
大阪では、158900÷2908000=5.464%(5.465%)
福岡では、82500÷2910000=2.835%(2.836%)
【( )の中の数値は、与えられた数字を使った計算値を小数第4位以下を切り捨てたもの】

となり、小数第2位まで一致していることが分かります。

以上のように計算は簡単になりましたが、それ以前が面倒で適性検査には使えないですね。割られる数を丸めるのは簡単ですが、どちらかと言うと割る数を簡単にしたいので、またその方法を考えて見ます。

パズルのような数学の問題

2014-03-30 08:59:16 | 中学受験
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

今は曇りですが午後から本降りになるようです。南風も強く荒れ模様の一日です。

Terence Tao教授の “solving mathematical problems a personal perspective” にはパズルのような面白い、いくつかの問題があります。例えば、6章の “Sundry examples(種々様々な例)” には、カメレオンの問題があります。

その内容は、「ある孤島に灰色(grey)のカメレオンが13匹、茶色(brown)のカメレオンが15匹、深紅色(crimson)のカメレオンが17匹いて、異なる色の2匹のカメレオンが出会うと2匹とも3番目の色に変わります。例えば、灰色と茶色のカメレオンが出会った場合、2匹とも深紅色のカメレオンになります。但し、カメレオンが色を変えるのは1回だけとします。この条件ですべてのカメレオンが同じ色になることがあり得るでしょうか」 というものです。

ちょっと取っ付き難い問題ですが、問題文の条件に沿って立式することを考えましょう。灰色と茶色のカメレオンが出会うと、灰色と茶色のカメレオンがそれぞれ1匹減って、深紅色のカメレオンが2匹増えるということです。そこで、灰色、茶色および深紅色のカメレオンの増減数を(-1,-1,2)と表します。(簡単に記述するためベクトル表示をしました)

同様に、灰色と深紅色および茶色と深紅色のカメレオンが出会った場合も、それぞれ、
(-1,2,-1)
および、
(2,-1,-1)
と表せます。

ところで、最初のカメレオンの色の状態は、灰色、茶色および深紅色の順番に、(13,15,17)なので、何回かカメレオン同士が出会い色を変えた後の色の状態は、
(13,15,17)+L(-1,-1,2)+M(-1,2,-1)+N(2,-1,-1)
となります。

つまり、この式が(45,0,0)、または(0,45,0)、または(0,0,45)
となる整数L、MおよびNが存在するかという問題になります。

この後は、この方程式を解けば良い訳ですが、Tao教授は3を法とする合同式を使い、あっと言う間に解いてしまいます。(日本では合同式をあまり勉強しませんが、欧米ではそうではないようで本書の中でも強力な道具として頻出します)

しかし、合同式を使わなくても、3組の3元1次方程式を解けばOKです。つまり、
(13-L-M+2N,15-L+2M-N,17+2L-M-N)=(45,0,0)、または(0,45,0)、または(0,0,45)
を満たす整数L、MおよびNが存在するかを調べます。

(45,0,0)のとき、3(M-L)=2、
(0,45,0)のとき、3(M-L)=43 
(0,0,45)のとき、3(M-L)=-43
となって、すべての場合において、整数L、MおよびNは存在しないことが判ります。

つまり結論は、すべてのカメレオンが同じ色になることはないと言うことです。難しい問題ではありませんが、形を変えて中学入試などに出題されそうな雰囲気の問題です。

麻布中の算数入試問題(大問6)

2014-02-12 11:17:27 | 中学受験
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

道端には雪が積み上げられていますが、道に雪はなく歩きやすくなりました。しかし、また週末に降雪かもしれないと言っていました。

さて、麻布中の算数入試問題ですが、今日は大問6の図形問題です。4つの小問からなり、前半の(1)、(2)は後半のヒントになっています。

問題は、「正三角形を敷き詰めた平面上で、(1)図1の線分XYを点Yを中心にして反時計回りに60°回転させたときの点Zを図に書き入れなさい。(2)角XOZの大きさは何度でしょう」というものです。


▲図1.麻布中算数入試問題大問6(1)(2)

これは簡単で、平面上に敷き詰めた正三角形の頂点を格子点としてみなして、点Xと点Yまでの長さが線分XYの長さと同じになる点を見つければOKです。すると、△XYZは正三角形になるので、∠XYZ=60°となり、線分XYを点Yを中心に60°回転させたことになります。(2)は、二等辺三角形の頂点と底辺の中点とを結んだ直線は、底辺と直交するので、90°になります。

次に、小問(3)です。問題は、「図2にある正六角形ABCDEFのBDとCFとの交点をIとし、点Aと点Iとを重ねて折り目をつけます。そのとき、折り目が辺EFと辺ABと交わった点をそれぞれ点Pと点Qとした場合、EP:PF、AB:QBの比を求めよ」というものです。


▲図2.麻布中算数入試問題大問6(3)

これは、前半のヒントがないと難しいです。そこで、正六角形ABCDEF内に、それらの頂点と格子点が一致するように、正三角形を敷き詰めてみると図3のようになります。これは小問(1)と同じになり、簡単になりました。ポイントは、点Iも敷き詰めた正三角形の格子点になるということです。


▲図3.麻布中算数入試問題大問6(3)説明図(1)

そこで、平面を隙間なく敷き詰めることができる正多角形として、正三角形以外に正方形と正六角形があるので、正方形で敷き詰めてみます。


▲図4.麻布中算数入試問題大問6(3)説明図(2)

図4で判るように正方形で敷き詰め場合も、点Iは格子点に一致しました。つまり、正方形を敷き詰めても解けるということです。さらに、敷き詰める図形は正多角形でなくても良く、長方形、菱型、平行四辺形でもOKです。繰り返しますが、ポイントは、各頂点が格子点となるように図形を敷き詰めたとき、点Iが格子点と一致することです。

このように小問(1)、(2)をヒントにすると易しく解けるのですが、ヒントを使わずに挑戦してみます。

当然、解析的幾何を使えば簡単ですが、これは、図4のように正方形を敷き詰めた座標系を利用することと同じです。そこで一般的な解き方(?)を示します。

方針は、EFの中点をP’として、これがPと一致することを示します。


▲図5.麻布中算数入試問題大問6(3)説明図(3)

CDの中点をRとすると、BD⊥P’R、DS=ISなのでP’D=P’I。
また、P’D=P’Aなので、P’I=P’A。つまり、△P’AIは二等辺三角形で、AIの中点SとP’を結んだP’SはAIと直交する。つまり、P’Sは点Aを折り返して点Iに重ねてできる折り目となる。従って、P’とPは一致する。
つまり、PはEFの中点である。Q.E.D.

3回に渡り麻布中の問題を見てきましたが、中学高校数学に繋がる正統派の問題が多いという感じです。御三家と言われるだけのことはありますね。

麻布中の算数入試問題(大問5)

2014-02-11 17:48:52 | 中学受験
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

弱い北風が吹いていて寒い日になりました。今日は建国記念の日で通常授業はお休みです。とは言え、中3の受験生は来るはずなのですが、昨日私立高校の受験で疲れたのか、お休みのようです。

昨日に続いて麻布中の算数入試問題大問5を紹介します。

問題は、剰余に関するもので、「1番から9999番のカードに99で割ったときの余りと101で割ったときの余りが書いてあって、それぞれ51と41と書いてあるカードは何枚目のカードか」というものです。

初めに力ずくで解いてみます。

このカードがN枚目(N≦9999)とすると、
N=99p+51=101q+41 式(1)
が成り立ちます。
ここでpとqを0から1ずつ増やして計算すると、p=q=5のとにN=546になり正解に辿り着きます。(0≦N≦9999の範囲に546以外で式(1)を満たすNの有無を調べていないので不完全ですが)

そこで、少し工夫します。
式(1)を変形して、
101q-99p=10 式(2)
とします。

pとqとの大小関係で場合分けすると、
(1)p=qのとき、
101p-99p=2p=10から、p=5、q=5
式(1)にp=5を代入して、N=546

(2)p>q(p=q+r、r≧1を満たす整数)のとき、
式(2)は、101q-99(q+r)=2q-99r=10
2q=99r+10
2q、10が偶数なのでrは偶数となり、r=2とすると、
2q=208より、q=104
q=104を式(1)に代入して、N=10545となり、N≦9999に反する。
r≧4の場合も同じ。

(3)p<q(p=q-r、r≧1を満たす整数)のとき、
式(2)は、101q-99(q-r)=2q+99r=10
2q=10-99r<0より、qの解はなし。

以上より、N=546となります。


他にも連立合同式を使う解法があります。

N≡51(mod99)  式(3)
N≡41(mod101) 式(4)

式(3)、(4)を満たすNは、

N≡51×101×A+41×99×B
〔但し、101A≡1(mod99)、99B≡1(mod101)〕

そこで、A、Bを求めると、
1=99×50+101×(-99)より、A=50
1=99×(-51)+101×50より、B=50

従って、
N≡51×101×50+41×99×50≡460500
 ≡546(mod9999)

0≦N≦9999より、N=546となります。



次の小問(3)は、小問(2)より複雑になります。

問題は、「999900枚のカードで、99、100および101で割ったときの余りが、それぞれ37、15、1となるカードを求めよ」というものです。

まず、合同式を使って解いてみます。

M≡37(mod99)  式(5)
M≡15(mod100) 式(6)
M≡1 (mod101) 式(7)

式(5)、(6)、(7)を満たすMは、

M≡37×10100×D+15×9999×E+1×9900×F
〔但し、10100D≡1(mod99)、9999E≡1(mod100)、9900F≡1(mod101)〕

そこで、D、E、Fを求めると、
1=10100×50+99×(-5101)より、A=50
1=9999×99+100×(-9899)より、B=99
1=9900×51+101×(-4999)より、C=51

従って、
M≡18685000+14848515+504900≡34038415
 ≡41815(mod999900)

0≦M≦999900より、M=41815となります。

合同式を使うとシステマティックに解けるのですが、この問題のように法が大きい数の場合、電卓が欲しいところです。

そこで、合同式を使わないで解いてみましょう。

M=99Q+37   式(8)
M=100R+15  式(9)
M=101S+1   式(10)

Q=R+n、R=S+mとすると、
式(8)、(9)から、
99Q+37=100(Q-n)+15
Q=100n+22

また、式(9)、(10)から、
100R+15=101(R-m)+1
R=101m+14

そこで、
Q=R+nより、
100n+22=101m+14+n
101m-99n=8  式(11)

つまり、式(11)を満たす整数m、nを求めればよい。
(ここで、場合分けは省略して)
m=n=4
従って、Q=422、R=418、S=414

以上より、M=99×422+37=41815
(実は、面倒な場合分けを省略しているので不完全なのですが・・・)

合同式は高校でも詳しく勉強しませんが、整数問題などに威力を発揮するツールです。興味があれば、勉強してみて下さい。

それにしても麻布中の問題は楽しいですね。明日は、大問6を紹介します。

麻布中の算数入試問題(大問1)

2014-02-10 12:53:00 | 中学受験
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

まだ雪が残っている所も多いですが、地域住民の皆さんの雪かきのおかげで歩行通路は確保できています。少し暖かいので雪もじきに融けるでしょう。

麻布中の算数入試問題は興味深い問題が多いです。試験問題は、6つの大問からなっていますが、特に、大問1、5と6が面白そうです。今日は、大問1を紹介します。

問題は、「2、3、5を用いて30を作る方法は何通りあるか。但し、足す順序が異なるだけのものは同じ方法とする」というものです。

まず、この問題を言い換えると、「2L+3M+5N=30 を満たす正の整数L、MおよびNの組み合わせは何通りか」となります。

次に、L、MおよびNの取り得る範囲を求めます。L、MおよびNは正の整数ですから、左辺の2L、3Mおよび5Nの項も正の整数になります。つまり、0≦L≦15、0≦M≦10、0≦N≦6 とそれぞれの範囲が決まりました。

最後に、これらの範囲にある整数の組み合わせが等式を満たすか虱潰しに調べれば正解できます。ポイントは、効率的で系統的な調べ方ということになるのですが、Nについて場合分けしていけばOKでしょう。5=2+3なので、2(L+N)+3(M+N)=30と変形したくなりますが、手間は変わらないようです。いずれにしても簡単に解けるので、合格者は全員正解でしょう。

そこで、この問題を違った視点から眺めて見ます。高校で勉強するのですが、2L+3M+5N=30は、L、MおよびNを軸とする空間での平面を表します。(図1の三角形ABC) つまり、問題は、「三角形ABCの中にある格子点の数はいくつあるか」と言い換えることができます。


▲図1.“2L+3M+5L=30”の表す平面

しかし、三角形ABCは、L、MおよびNの軸に対して傾いているので、三角形ABC上の格子点を数えるのは面倒です。そこで、N=0、1、2、・・・、に対するLM平面に平行な三角形を作り、それらの斜辺(L軸上の点とM軸上の点を結んだ線分)の上の格子点を数えます。

N軸上から見て、N=0~6における格子点(●)を重ね合わせたものを図2に示します。

▲図2.三角形ABC上の格子点

ここで、N=0、1、2、・・・、に対するLM平面に平行な三角形を作ることは、2L+3M+5N=30でN=0、1、2・・・、と場合分けするのと同じことです。しかし、図2のグラフは、N=0、1、2、・・・のとき、それぞれ、2L+3M=30、2L+3M=25、・・・、2L+3M=0となる7本の直線をLM平面に描いたもので、これらの7本の直線と格子点とが交わる点(つまり、2L+3M+5N=30の解)には規則性があることが判ります。

例えば、Mを一定のときのLの間隔は5で、L一定のときのMの間隔も5になります。また、右下に並ぶ点の列にも規則性があります。この特徴は、2L+3M+5L=300など右辺が大きな数になったとき強力な武器になります。

以上のように、数と図形との関係を勉強すると算数・数学が判り易くなり、そして楽しくなるかも知れません。

筑波大附属駒場中の算数入試問題(大問2)

2014-02-09 10:15:44 | 中学受験
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

大変な雪でした。朝、家と教室の雪かきをしたので汗だくです。

さて、筑波大附属駒場中の算数入試問題ですが、昨日の大問1に続いて、今日は大問2に取り掛かります。

大問2は3つの小問からなり、それらのはどれも同じような問題です。それは、隙間なく並べてある正六角形のなかに点A、点B、点Pおよび点Qが与えられていて、ABの長さが30cmのとき、APとPQの長さを求めるというものです。小問(1)から(3)の問題図をそれぞれ図1から3に示します。


▲図1.筑波大附属駒場中 算数入試問題 大問2(1)


▲図2.筑波大附属駒場中 算数入試問題 大問2(2)


▲図3.筑波大附属駒場中 算数入試問題 大問2(3)

一つのセルが正六角形なので、辺や中心(長い方の対角線の交点)から頂点までの長さが等しいことなど使いたくなったり、解析的に解きたくなったりするかもしれませんが、ここは適当な目盛を持つ軸に対して平行射影して比を求めるのが簡単です。

正六角形の2つの頂点を通る直線を引いてそれを軸とした場合、すべての軸は周期性を持ちます。しかし、選んだ頂点同士が離れていては長さの基準(目盛)が大きくなりすぎて、各点を平行射影したときの点の位置が測れません。つまり、それなりの周期性をもつ直線を軸に選ぶことが肝要です。


▲図4.筑波大附属駒場中 算数入試問題 大問2説明図

ごちゃごちゃと書きましたが、実は簡単で、図4のL1、L2およびL3、ならびにM1、M2およびM3はそれを満たしています。(他にも軸として使えるものがたくさんあります)L1、L3、M1、およびM3は、正六角形の長い方の対角線の半分(六角形の辺の長さ)を目盛とした軸で、L2とM2は、正六角形の短い方の対角線の半分を目盛とした軸になっています。

これらの軸に点A、点Pおよび点Qを平行射影します。その際、平行射影の方向はを正六角形の辺の方向に合わせるのがポイントです。例えば、点Aは正六角形の頂点なので辺の方向は3つありますが、点Pや点Qは正六角形の辺上にあるので方向は1つです。そこで、辺上の点Pまたは点Qを辺の方向に射影し、その方向に合わせて点Aを平行射影します。

このようにして軸に点A、PおよびQを平行射影させて、軸の目盛から各点間の長さの比を求めます。そして、ABの長さからAPとAQの長さとPQ=AQ-APを計算して終わりです。

具体的に、軸としてL1とM1を使う場合を示します。点Pを正六角形の辺の方向に(上下方向)にL1上に射影し、その点を点P1とします。次に点Aを同じ方向に平行射影し、点A1とします。するとA1Bの長さは、正六角形の長い方の対角線の半分の長さの3倍で、A1P1の長さは2倍であることが判ります。したがって、AB:AP=A1B:A1P1=3:1となり、ABは30cmなのでAP=10cmとなります。

点Qについても同じ操作をして、AB:AQ=A6B:A6Q6=2:1、AQ=15cmとなり、PQ=AQ-AP=15-10=5cmと正解できます。

さらに、点Pと点Qとが存在する正六角形の辺の方向が異なっているので、2つの方向に平行射影しなければなりませんが、必ずしも2つの軸を必要としません。例えば、図4のL1とM1は同じ軸で、2つの辺と平行でなければ1つの軸で充分です。

小問(2)も(3)も同様に正解できます。大問1もそうでしたが、筑波大附属駒場中の問題は、同じような小問が多く、少し冗長な感じがします。小問(1)を正三角形をセルとした2次元の問題にして、小問(2)を正四面体をセルにした3次元の問題にすると面白かったかも知れません。

今まで、開成中、灘中、そして筑波大附属駒場中の面白そうな問題を見てきましたが、すべて男子中なので、女子中も調べたくなりました。そこで、女子中の筆頭格である桜陰中の問題を見たのですが、残念ながら面白そうな問題はありませんでした。何気なく麻布中を調べると、今回の問題に似た感じのものなど結構面白そうな問題が多かったので、次回は麻布中の入試問題を取り上げたいと思います。

筑波大附属駒場中の算数入試問題(大問1)

2014-02-08 11:28:15 | 中学受験
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

大雪になりました。教室の前を雪かきしたのですが、あっと言う間に白くなりました。

今まで開成中、灘中の算数入試問題を見てきましたが、やはり外せないのは筑波大附属駒場中学校です。昔は、東京教育大附属駒場中学校で「キョーコマ」と言っていました。

その「旧キョーコマ」の問題を一瞥すると、面白そうなのは大問1と2です。

大問1は、4桁整数 1111 および6桁の整数 111111 について、一の位は1から1ずつ、十の位は1から2ずつ、百の位は1から3ずつ、千の位は1から4ずつ、万の位は1から5ずつ、十万の位は1から6ずつ増やし、それぞれ一の位の数を各桁に持つ数についての問題です。

例えば、4桁の 1111 の場合は、順に、5432、9753、3074、7394、1615、・・・ となります。

そのようにして作った数について、(問1-ア)100番目の数はいくつになるか、(問2-イ)1番目から100番目までの数のうち、6の倍数は何個あるか、というものです。

(問1-ア)は、等差数列の知識があればあっと言う間に正解ですが、後の問題を考慮すると、各桁の数がどのように巡回するかを調べて解くのが良いようです。

(問1-イ)の6の倍数の個数については、2の倍数(偶数)でかつ3の倍数であるものを数えればOKです。そのとき、3の倍数は、各桁の数の和が3の倍数になるということを利用しましょう。

6桁の問題では、(問2-ア)1番目から2014番目までの各桁に数字 「1」 は全部で何個あるか、(問2-イ)1番目から2014番目までの数のうち、8の倍数は何個あるか、というものです。

(問2-ア)で等差数列を使うと、2014×6=12084回計算しなければならないので、ここは各桁の数の巡回を調べましょう。

(問2-イ)の8の倍数の個数については、1000=8×125なので下3桁が8の倍数かを調べればOKです。とは言っても、2014個の3桁の数を8で割ってみるというのも骨が折れそうですが、実際は10個の数が巡回するだけで簡単です。

具体的には、下3桁の数が、111、432、753、074、395、616、937、258、579、890、111、・・・、と巡回します。これらから2の倍数でないものを除くと、432、074、616、258、890が残り、次に4の倍数でないもの、つまり、下2桁の数が4の倍数でないものを除くと、432、616になります。この2つの数を8で割ってみれば両者とも8の倍数であることが判ります。

問1、2とも倍数の判定が必要です。2の倍数は一の位の数が偶数、3の倍数は各位の数の和が3の倍数、等々などよく知られていますが、ここでは一般化された倍数の判定法を紹介します。

ある数AがNの倍数か調べたいとき、10進数の基数(1、10、100、・・・)をNで割った余りとAのその基数に対応する桁の数との積和がNの倍数であるかどうかを調べる方法です。

例えば、432が8の倍数かどうかを調べます。100、10および1を8で除した余りは、それぞれ、4、2および1になります。そこで、4×4+3×2+2×1=24となり、24は8の倍数ですから432は8の倍数になります。さらに24について同様な」操作をすると、2×2+4×1=8となり、これは8の倍数です。簡単で覚えやすいので便利です。

大問1は一見取っ付き難いように見えますが、巡回に着目すれば簡単です。まあ、2014個の数を扱うとなれば、何か規則性を見つけて簡単にしなければ時間内に解けない訳ですから、巡回に着目するのは当然でしょう。今日は大問1が長くなってしまったので、大問2は明日にします。

灘中の算数試験問題

2014-02-07 12:07:11 | 中学受験
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

毎日寒い日が続きますが、ついに明日はしっかりした雪が降るようです。この週末は、受験生の皆さんは暖かくして家で勉強しましょう。

開成中入学試験の算数問題に続いて、西の雄・灘中の問題をチェックしました。方程式などの知識があれば難しくはないですが、それを使わないと時間内に正解するのは大変そうです。そのなかで面白そうな問題が大問4のパズルでした。


▲灘中算数試験問題 大問4

1から19までの数を図のように配置して、直線上に並んだ数の合計を38にするという問題です。

一見したところ、空欄の○が11個で、直線上に並んだ数の和が38になるという条件で13式作れるので、11元1次連立方程式を解けば終わりです。しかし、変数が11というのも骨が折れるので手間をかけずに正解したいところです。

図をよく見ると、ア列、ク列、サ列の交点が9になることが判るので、1から19までの19個の数のうち既に使っている(配置されている)数は10個で、残り9個になります。つまり、残りの9個を配置すればよい訳です。

次に、どこの空欄に着目すれば良いかを考えると、空欄が2つある列と3つある列がありますが、ここは当然空欄が2つの列です。例えば、ウ列、カ列、ソ列の交点にある10に着目すると、カ列とソ列のそれぞれ2つの空欄には、和が28となる数が配置されなければなりません。残りの9個の数から2つの数の和が28となる組み合わせは、(12,16)、(13,15)の2通りですから、カ列とソ列の合わせて4つの空欄には、12、13、15および16のどれかが配置されるということです。同じ作業をア列、オ列、コ列にも施してお仕舞いです。

ところで、ア列、ク列、サ列の交点はどうして空欄にしてあったのですかね。灘中受験生に失礼じゃないかなぁ。

開成中算数試験問題大問1の(1)と「ユークリッドの互除法」

2014-02-06 13:52:58 | 中学受験
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

昨夜は身を切る寒さでした。それに比べると、今日はましですが、それでも充分に寒いです。

中1の塾生が空間図形の勉強のあと、開成中の算数入試問題に挑戦しました。好きな問題を選ばせたところ、大問1の(1)の、「3つの整数ア、イ、ウがあります。アとイの最大公約数は21、イとウの最大公約数は35、アとウの最大公約数は98です。また、アとイとウの合計は1000以下です。ア、イ、ウに当てはまる数を答えなさい」という問題を選びました。

大問1の(1)と(2)は易しいのでGood Choiceです。数分間の格闘後、見事に正解に辿り着きました。

塾生の解法は、アは21と98との最小公倍数、イは21と35との最小公倍数、ウは35と98との最小公倍数を求めるというものです。ちょっと不完全ではあるものの合格です。(別解としては、ア=21×p=98×q、イ=21×r=35×s、ウ=35×t=98×u、などと置いて解くのも判り易い方法です。私の好みはこちらです。)

ところで、塾生が解答に時間が掛かったのは、最小公倍数を求めるのに苦労していたためでした。小5で(最大)公約数、(最小)公倍数を勉強するのですが、最小公倍数の求め方は、各々の数の倍数を書き出して同じ数になるものを見つけるというものです。上の問題の35と98との最小公倍数は490なので、35、70、105、・・・と14の数字を書き出さなければならないということです。

この苦労を解決してくれるのが「ユークリッドの互除法」です。図に、今回の問題の21と98、21と35、35と98の最小公倍数の求め方を例に挙げました。


▲ユークリッドの互除法

2つの数字を横に並べて書き、割り算の筆算に出てくる形を上下逆さまにした線を引きます。次に2つの数字の公約数を左に書いて、元の数の下に元の数を公約数で除した数を書きます。左側の例では、21と98の公約数は7なので、横に7と書いて、21の下に3(21÷7=3)、98の下に14(98÷7=14)を書きます。この場合、最下にある3と14には公約数がないのでここで終わりです。(違う数の組み合わせで公約数がある場合は、この操作を公約数がなくなるまで繰り返します)

この計算式から最小公倍数を求めるには、左側の数と最下の数の積を作ります。例では、左側の数が7、最下の数が3と14なので、7×3×14=294で、最小公倍数は294になります。

この「ユークリッド互除法」を中学校の頃、勉強したような気がするのですが、小中学校では扱わないようです。但し、中学入試では最小公倍数や最大公約数が出題されるので、覚えておくと良いでしょう。

開成中の算数試験問題

2014-02-05 11:39:40 | 中学受験
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

昨日午後の早い時間から本格的な雪が降り始めたので積雪を心配したのですが、夕方には止んで良かったです。

そんな雪のせいか小学生の塾生の休みが多かったので、空いた時間に今年の開成中の算数試験問題を見てました。

問題は4つで、どれも攻略方針を決めるのは難しくないのですが、いざ実行するとなかなか大変です。それらのなかで興味深いものが問題3の時計問題です。


▲図1.2014年開成中学校 算数試験問題3

1日が10時間(午前5時間、午後5時間)、1時間が25分、1分が25秒という架空の時計を扱った問題で、3つの小問からなっています。(1)は、現在時刻(図1)午後2時5分0秒から始めて、短針と長針とが重なる時刻を求めて短針、長針および秒針を時計に書き込むという問題で、これは力ずくで簡単に片付けられそうですが、(3)は、3針が100回目に重なるのは何日後の何時何分かというもので、なかなか骨が折れそうです。

結局、各針が0時となす角を時間と回転回数で表して解いたのですが、力ずくでねじ伏せるにしても立式して計算するにしても手間の掛かる問題です。ほとんどの小6生(おそらく中高校生も)には歯が立たないでしょう。合否にかかわらず、これらの難問に挑戦した1,130人の受験生には感心する次第です。

中高一貫校適性検査問題

2014-01-08 12:20:28 | 中学受験
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

午後から雨という予報通り、昼になって段々雲ってきました。久しぶりの雨になりそうです。昨日で冬期講習が終わり、今日から通常授業です。

近ごろ公立の中高一貫校が人気ですが、その適性検査のいくつかの問題を見ると、小学校のころ、楽しく読んでいた多湖輝氏の「頭の体操」シリーズを思い出して楽しいです。

適性検査の問題は、単純な計算問題ではなく目新しいもので、かつ会話形式なのでなかなか面白く、問題作成者のご苦労を感じますが、一方、解答者の小学6年生も苦労が多いことでしょう。というのは、適性検査問題は小学校でのテスト問題と大きく違うので、計算問題と単純な文章問題しか経験のない普通の小6生では正解への手掛かりが掴み難いためです。

では、どうすれば手掛かりを掴めるかというと、問題を読んでその意味を理解すること以外に手はありません。意味が分かり難いときは、単純化したり、実際に数値を代入してみて確かめることが有効です。多くの小学生(中学生も)は、「イミフ~」と口にしますが、その「イミフ」を乗り越えて意味を探りあてる訓練が必要です。

「計算ができる」ことと「計算の仕方を知っている」こと

2014-01-02 10:08:46 | 中学受験
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

少し風がありますが、今日も快晴で明るい一日です。

算数(数学)の問題を解くプロセスは、
(1)問題読解
(2)立式
(3)計算
(4)検算
となり、計算問題の場合は、(1)と(2)がありません。

このプロセスから分かるように「計算ができない」と正しい解答に辿り着けないので、計算はとても大切な要素になります。しかし、多くの生徒は「計算ができる」ことと「計算の仕方を知っている」こととを混同しているようで、例えば、20問の計算問題をやって19問正解であれば100点満点中95点になり、「良くできた。うっかりミスさえなければ100点だったのに」となりがちです。確かに、それはその通りで、普通、経験とともに計算力が向上しうっかりミスも減っていくので、あまり目くじらを立てる必要もないことかもしれません。しかし、あくまでもこの状態は「計算の仕方を知っている」という状態だということを認識する必要があります。

特に、中学受験を考えている小学生の場合、-当然、志望校のレベルによって違いますが-、「計算ができる」状態にすることが望ましいと思います。小学校のテストの計算問題で間違えないのは最低限の計算力でしょう。もし、間違えるのであれば、数字の書き方や大きさなどのテクニカルな問題なのか、集中力不足などの気持ちの問題なのかを見極めて対策する必要があります。

是非、保護者の方はお子さんの答案を確認して「計算ができる」状態なのか、「計算の仕方を知っている」状態なのかを把握することをお勧めします。そして必要と考えるのならば、その原因を探り対策すると良いでしょう。

明日は、苦手と言う人が多い文章題について取り上げる予定です。