東久留米 学習塾 塾長ブログ

東京都東久留米市滝山の個別指導型学習塾 塾長白井精一郎のブログ

日本数学オリンピックの簡単な問題(48)

2016-09-30 12:30:17 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

秋晴れを楽しみにしていたのですが、いまひとつパッとしない天気です。明日は雨模様ですが、明後日には回復するようなので、秋晴れの日曜日を期待しましょう。

さて、今回は2001年日本数学オリンピック予選に出題された図形問題を取り上げます。

問題は、
「∠ABC=2∠ACBとなる三角形ABCにおいて、∠BACの二等分線と辺BCとの交点をDとする。AB=CDのとき∠BACは何度(°)か。ただし、線分XYの長さをXYで表す。」
です。

早速、図1のように、問題の図を描きましょう。


▲図1.問題の図を描きました

AB=CDという条件が離れていて扱い難いので、図2のように、線分CDを上方に平行移動させ平行四辺形ADCFを作りましょう。


▲図2.平行四辺形ADCFを作りました

すると、平行線の錯角は等しいことから、
∠CAE=∠ACD=
で、平行四辺形の対辺は等しいことから
AD=EC        (1)
です。

次に図3のように、BとEを直線で結び、辺ACとの交点をFとし、△ABCと△ECBが合同であることを示します。


▲図3.BとEを直線で結び、辺ACとの交点をFとしました

まず、△ABCの内角の和から
∠ABC(2)+∠ACB()+∠BAC(2)=3+2=180°    (2)
です。

一方、△ABEの内角の着目すると、
∠BAE(+2)+∠ABE+∠AEB=180°
で、
∠ABE+∠AEB=180°-(+2
です。

すると、(2)から
∠ABE+∠AEB=2
になります。

ところが、△ABEは二等辺三角形なので、
∠ABE=∠AEB=
です。

したがって、
∠EBC=∠ABC(2)-∠ABE(
    =
    =∠ACD
    =∠ACB     (3)
です。

また、△FBCと△FAEはどちらも二等辺三角形なので、AF=EF、BF=CFが成り立ちます。

すると、
AC=AF+CF
  =EF+BF
  =FB         (4)
です。

さらに、
BC=CB         (5)
で、以上(3)(4)(5)から△ABC≡△ECBです。

したがって、AB=ECで、(1)から
AB=AD
です。

つまり、図4に示すように、△ABDは二等辺三角形で、
∠ABD=∠ADB=2
になります。


▲図4.∠ABD=∠ADBです

最後に、△ABCと△ABDの内角の和に着目すると、
△ABCから
+2=180°
で、△ABDから
=180°
が成り立ちます。

この2式から
=36°
になり、
∠BAC=2
    =2×36°
    =72°
で、これが答えです。


他には、図5のように、辺ABをAの方向に延長して二等辺三角形BCGを作るよき方も簡単そうです。興味のある人は調べてみてください。


▲図5.二等辺三角形BCGを作ります

日本数学オリンピックの簡単な問題(47)

2016-09-29 12:05:11 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

予報通り昨日より5℃ほど下がって、過ごしやすい日になりました。さらに、今朝のラジオでは、明日はすっきりとした秋晴れと言っていました。今秋初めての秋晴れを楽しみにしています。

さて、今回は2005年日本数学オリンピック予選に出題された図形問題を取り上げます。

問題は、
「正五角形ABCDEの内部に∠ABP=6°、∠AEP=12°となるように点Pをとる。このとき∠PACの大きさを求めよ。」
です。

早速、図1のように、問題の図を描きましょう。


▲図1.問題の図を描きました

図1を眺めていると、線分EAとEPが同じ長さのような感じです。もし、これが正しければ、△EAPは二等辺三角形になり、∠EAPの角度が判るので、∠PACを求めることができそうです。

そこで、EA=EPを示す方針で進めましょう。

まず、図2のように、AEを一辺とする正三角形AEQを作ります。(補助線として、正三角形や正方形などはよく使われます。参考:正三角形を作って解く図形問題


▲図2.正三角形AEQを作りました

ここで、△ABQについて調べると、
AB=AE=AQ
から、△ABQは二等辺三角形であることが判ります。

また、
∠BAQ=∠BAE+∠EAQ
     =108°+60°
     =168°
から、△ABQの底角(∠ABQと∠AQB)の大きさは、
(180°-168°)/2=6°
で、仮定から∠BAP=6°なので、点Pは辺BQ上にあることが判りました。

一方、
∠EQP=∠EQA-∠AQB
     =60°-6°
     =54°
で、
∠PEQ=∠AEQ+∠AEP
     =60°+12°
     =72°
なので、
∠EPQ=180°-∠EQP-∠PEQ
     =180°-54°-72°
     =54°
です。

つまり、∠EQP=∠EPQから△EPQはEP=EQの二等辺三角形で、さらに△AEQは正三角形であることからEQ=EAです。したがって、EA=EPが成り立ちます。

これで当初の目標(EA=EPを示すこと)を達成することができました。あとは前述したように、∠EAPを計算して進めてもOKですが、ここでは、中心角と円周角の関係を使いましょう。

そこで、図3のように、対角線ACとBEとの交点をRとすると、四角形CDERはひし形なので、ER=CDで、CD=EAからER=EAです。

一方、EA=EPなので、これらをまとめると、
EA=EP=ER
が成り立ち、したがって、頂点Aと点P、Rは頂点Eを中心とする円の周上にあることになります。


▲図3.頂点Aと点P、RはEを中心とした円の周上にあります

すると、∠REPと∠RAPは中心角と円周角の関係で、
∠RAP=1/2∠REP
です。

ここで、
∠REP=∠DEA-∠DER-∠AEP
     =108°-72°-12°
     =24°
なので、
∠RAP=1/2・24°
     =12°
です。

また、∠CAP=∠RAPから、
∠CAP=12°で、これが答えです。


正三角形の補助線に気が付けば簡単な問題です。

日本数学オリンピックの簡単な問題(46)

2016-09-28 12:09:30 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

もうすぐ10月だというのに、正午の東久留米の気温は31℃と真夏日になりました。しかし、これから天気は下り坂で、明日は5℃ほど下がるようです。また、南の海上には台風18号が発生し、それは17号の進路をたどる予想ですが、いつ向きを変えるか判らないので、十分に注意しましょう。

さて、今回は2007年日本数学オリンピック予選に出題された図形問題を取り上げます。

問題は、
「平面上に長さ7の線分ABがあり、点Pと直線ABとの距離は3である。AP×BPのとりうる最小の値を求めよ。」
です。

早速、図1のように、問題の図を描きましょう。


▲図1.問題の図を描きました

ここで、点と直線の距離というのは、点から直線に下ろした垂線の長さのことで、図1では、線分PHの長さが3になり、つまり、図2のように、直線ABとの距離が3である直線L上に点Pがあることになります。


▲図2.点Pは直線L上にあります

したがって、問題は、点Pが直線L上を動くとき、AP×BPの最小値はいくつかということになります。

そこで、図3のように、直線APに点Bから垂線を下ろし、その足をQとしましょう。


▲図3.直線APに点Bから垂線を下ろし、その足をQとします

ここで、△ABPの面積を考えます。

まず、線分ABを底辺とした場合、
(△ABPの面積)=AB×PH×1/2
           =7×3×1/2
           =21/2
で、線分APを底辺とした場合、
(△ABPの面積)=AP×BQ×1/2
になります。

つまり、
AP×BQ×1/2=21/2
AP×BQ=21
が成り立ちます。

このとき、BP≧BQなので、
AP×BP≧AP×BQ=21
で、等号はBP=BQのとき成り立ちます。

したがって、AP×BPの最小値は21で、これが答えです。

具体的には、図4に示すように、AH=(7-√13)/2≒1.7、AH’=(7+√13)/2≒5.3の場合です。


▲図4.AH=(7-√13)/2とAH’=(7+√13)/2の場合、AP×BPが最小になります


他の解き方としては、AH=xとおいて、AP×BPをxの式で表し(混合のなかがxの4次式になります)、それを微分して最小値を求めることもできます。興味のある人は調べてみてください。

日本数学オリンピックの簡単な問題(45)

2016-09-27 12:37:52 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

昨日と同じような空模様ですが、気温は少し高く、より蒸し暑く感じます。今は北に上がっている秋雨前線が、明後日には東京辺りまで南下してきて、雨模様になり、素晴らしい秋晴れはもう少し先のようです。

さて、今回は2008年日本数学オリンピック予選に出題された図形問題を取り上げます。

問題は、
「凸四角形ABCDは、AB=BC=2、CD=2√3、DA=2√5をみたす。また、AC、BDの中点をそれぞれM、Nとすると、MN=√2となる。このとき、四角形ABCDの面積を求めよ。
 ただし、XYで線分XYの長さをあらわすものとる。」
です。

早速、図1のように、問題の図を描きましょう。


▲図1.問題の図を描きました

線分MNが浮いた位置にありますが、中点連結定理を使って、四角形ABCDの辺の長さの条件を、線分MNの周りに集めることができます。

例えば、図2のように、辺ADの中点をEとすると、△ACDにおいて、M、Eはそれぞれ辺AC、ADの中点なので、線分MEの長さは線分CDの長さの1/2になり、つまり、ME=√3です。


▲図2.中点連結定理からME=√3、NE=1です

さらに、△DABにおいて、N、Eはそれぞれ辺DB、DAの中点なので、NE=1/2・AB=1です。

すると嬉しいことに、△MNEの3辺の長さは、MN=√2、NE=1、ME=√3で、ME^2=MN^2+NE^2が成り立ちます。つまり、△MNEは、∠MNE=90°の直角三角形です。

次に、図3のように、辺ABの中点をFとしましょう。


▲図3.辺ABの中点をFとしました

ここで、△BADにおいて、N、Fはそれぞれ辺BD、BAの中点なので、NF=1/2・DA=√5です。

一方、線分MNの延長と辺ABとの交点をHとすると、NE//BA、∠MNE=90°から∠MHA=90°です。

ここまでで、線分MNの周りに四角形ABCDの辺の長さの条件を集めることができました。

続いて、△BACに注目しましょう。

△BACは二等辺三角形で、Mは底辺ACの中点なので、BM⊥ACです。

したがって、図4のように、Fは△ABMの外接円の中心になり、FM=FA=1になります。


▲図4.FM=1です

ここで、図5のように、いままでに判った線分の長さをまとめましょう。


▲図5、いままでに判った線分の長さをまとめました

図5で、線分MH、FHの長さをそれぞれx、yとして、2つの直角三角形NFH、MFHに三平方の定理を適用すると、
△NFHで、
NF^2=NH^2+FH^2
から
√5^2=(√2+x)^2+y^2
x^2+y^2+2√2x=3     (1)
です。

さらに、△MFHで、
MF^2=MH^2+FH^2
から
1^2=x^2+y^2
x^2+y^2=1          (2)
です。

そして、(1)(2)から
2√2x=2
x=√2/2
y=√2/2
になります。

これで、NH=MN+MH=√2+√2/2=3√2/2と判ったので、△DABの面積は、辺AB(=2)を底辺とすると、その高さはNH×2(=3√2)から、(△DABの面積)=1/2・2・3√2=3√2と求めることができます。

さらに、直角三角形BNHに三平方の定理を適用してBNを求めると、△DBCの3辺の長さが判るので、その面積を計算することができます。

しかし、ここでは、図6のように、四角形AFMEと四角形ABCDが相似比2の相似図形であることを利用しましょう。


▲図6.四角形AFME∽四角形ABCDでその相似比は2です

つまり、四角形AFMEの面積を求め、それを4倍すれば、四角形ABCDの面積を求めることができます。

ここで、
(四角形AFMEの面積)=(台形AHNEの面積)-(△MNEの面積)-(△MFHの面積)
から
(四角形AFMEの面積)=1/2・(AH+EN)・NH-1/2・MN・NE-1/2・MH・FH
               =1/2(1+√2/2+1)(√2+√2/2)-1/2・√2・1-1/2・√2/2・√2/2
               =1/2((2+√2/2)・3√2/2-√2/2-1/2)
               =1/2(2√2+1)
なので、
(四角形ABCDの面積)=4(四角形AFMEの面積)
               =4√2+2
で、これが答えです。


楽しい問題でした。

日本数学オリンピックの簡単な問題(44)

2016-09-26 13:34:27 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

時々陽が射す曇り空で、気温も湿度も高めなので、少々蒸し暑くなりました。明日も同じような天気で、明後日から雨模様になるようです。

さて、今回は2007年日本数学オリンピック予選に出題された図形問題を取り上げます。

問題は、
「凸四角形ABCDは、AB=3、BC=4、CD=5、DA=6、∠ABC=90°をみたす。ABCDの面積を求めよ。」
です。

早速、図1のように、問題の図を描きましょう。


▲図1.問題の図を描きました

まず図2のように、AとCを結びましょう。


▲図2.AとCを結んで△ABCを作りました

ここで、△ABCは直角三角形なので、三平方の定理から
AC^2=AB^2+BC^2
    =3^2+4^2
    =9+16
    =25
で、
AC=5
です。(いちいち計算しなくても、3辺の長さの比が3:4:5の直角三角形です)

すると、△CADは、CA=CD=5の二等辺三角形であることが判ります。

そこで、図2のように、Cから辺ADに垂線を下ろし、その足をHとすると、Hは辺ADの中点なので、DH=3です。


▲図3.Cから辺ADに垂線を下ろしその足をHとするとDH=3です

ここで、△CDHは3辺長さの比が3:4:5の直角三角形なので、
CH=4
です。

以上から、
(四角形ABCDの面積)=(△ABCの面積)+(△CADの面積)
               =1/2・AB・BC+1/2・AD・CH
               =1/2・3・4+1/2・6・4
               =6+12
               =18
で、これが答えです。


Bを原点、直線BC、BAをそれぞれx、y軸、A(0,3)、C(4,0)とし、三平方の定理を使ってDの座標を計算すると、(144/25,117/25)になり、これから四角形ABCDの面積を求めることもできます。興味のある人は調べてみてください。

ジュニア数学オリンピックの簡単な問題(75)

2016-09-25 11:34:08 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

久しぶりに晴れて、気温も26℃と快適な日になりました。明日からは、また曇りがちの日が続くようですが、南の海上にある台風は日本に近づいてこないようで、一安心です。

さて、今回は2004年ジュニア数学オリンピックに出題された図形問題を取り上げます。

問題は、
「平面上に一辺の長さが1の正六角形がある。正六角形の少なくともどれか一つの頂点からの距離が1以下である部分のうち、正六角形の外側の部分の面積をSとする。一辺の長さが1の正六角形の面積をTとしたとき、S-Tを求めなさい。
 ただし、円周率はπとする。」
です。

早速、図1のように、問題の図を描きましょう。


▲図1.問題の図を描きました

図1の青色部分の面積がSになります。

初めにSを求めましょう。

図1の青色部分は、図2の青色部分を6個並べたものなので、図2の青色部分の面積を求め、それを6倍してSを求めます。


▲図2.青色部分の面積を求めます

図2の青色部分の面積sは、
s=(半径1の半円の面積)-((半径1、中心角60°の扇形の面積)-(一辺1の正三角形の面積))
です。

そこで、右辺の各項を計算すると、
(半径1の半円の面積)=π/2
(半径1、中心角60°の扇形の面積)=π/6
(一辺1の正三角形の面積)=√3/4
なので、
s=π/2-π/6+√3/4
 =π/3+√3/4
です。

したがって、
S=s×6
 =2π+3√3/2
になります。

一方、一辺の長さが1の正六角形の面積Tは、
T=(一辺1の正三角形の面積)×6
 =3√3/2
です。

以上から、
S-T=2π+3√3/2-3√3/2
   =2π
で、これが答えです。

また、半径1の円の面積をUとすると、図3のように、
((半径1、中心角60°の扇形の面積)-(一辺1の正三角形の面積))×6=U-T
になります。


▲図3.扇形の面積と正三角形の面積の差の6倍は半径1の円の面積と一辺1の正六角形の面積の差になります

したがって、
S-T=U/2×6-(U-T)-T
   =3U-U
   =2U
   =2π
と、正六角形や正三角形の面積を計算しなくても答えを求めることができます。


簡単な問題でした。

日本数学オリンピックの簡単な問題(43)

2016-09-24 11:13:39 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

近くにある東久留米市の地域センターでダンス大会が開催されるようで、多くの小学生が予行練習をしていました。曇り空ですが、どうにか天気はもちそうなので良かったです。始まったら見に行こうと思います。

さて、今回は2004年日本数学オリンピック予選に出題された図形問題を取り上げます。

問題は、
「三角形ABCの辺BC上に点Dがあり、AB=AD=2、BD=1、∠BAD=∠CADである。CDの長さを求めよ。」
です。

早速、図1のように、問題の図を描きましょう。


▲図1.問題の図を描きました

図1を一見すれば、三平方の定理と角の二等分線定理で片付きそうです。

まず、図2のように、Aから辺BCに垂線を下ろし、その足をHとすると、△ABDは二等辺三角形なので、Hは線分BDの中点になります。


▲図2.Aから辺BCに垂線を下ろし、その足をHとしました

ここで、直角三角形ADHに三平方の定理を適用すると、
AD^2=AH^2+DH^2
が成り立ち、これにAD=2、DH=1/2を代入して、
AH^2=2^2-(1/2)^2
   =15/4
AH=√15/2
です。

次に、図3のように、CD=x、AC=bとして、直角三角形ACHに三平方の定理を適用すると、
AC^2=AH^2+CH^2
b^2=(√15/2)^2+(x+1/2)^2
b^2=15/4+(x+1/2)^2         (1)
です。


▲図3.三平方の定理と角の二等分線定理を使います

さらに、角の二等分線定理から
AB:AC=BD:CD
が成り立ち、これに、AB=2、AC=b、BD=1、CD=xを代入して、
2:b=1:x
b=2x                     (2)
です。

そこで、(1)に(2)を代入して整理すると、
(2x)^2=15/4+(x+1/2)^2
3x^2-x-4=0
を得ることができます。

これを因数分解すると、
(x+1)(3x-4)=0
になり、x>0から
x=4/3
です。

したがって、CDの長さは4/3で、これが答えです。


三角関数の余弦定理、2倍角の公式を使っても解くことができます。興味のある人は調べてみてください。

ジュニア数学オリンピックの簡単な問題(74)

2016-09-23 13:27:43 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

秋雨前線が関東にかかっていて、小雨が降ったり止んだりの空模様です。この秋雨前線は、明後日には東に遠ざかり、晴れ間が見られるようです。ところが、南の海上に、また台風が発生して、今は台湾に向かって西進しています。来週末あたりに日本に近づいてきそうです。

さて、今回は2007年ジュニア数学オリンピックに出題された図形問題を取り上げます。

問題は、
「四角形ABCDの対角線AC、BDは四角形の内部の点Pで交わっている。AC=2、BD=3、∠APB=60°であるとき、AB+BC+CD+DAがとりうる最小値を求めよ。」
です。

初めに、図1のように、問題の図を描きましょう。


▲図1.問題の図を描きました

2点間の距離が最小になるのは、2点を直線で結んだときなので、両端が固定点になる2点の間に、四角形の4辺を上手く並べることができれば、それらの和の最小値は2つの固定点間の距離になり、簡単に最小値が判るのですが、これは少しハードルが高そうです。

そこで、4辺を2辺ずつに分けて、それぞれが両端が固定点になるように並べましょう。(←これは簡単です)

まず、図2のように、線分ACを平行移動して線分BFと線分DEをつくり、さらに、BDを平行移動して線分FEをつくります。(このとき、四角形ABCDが決まれば、E、Fは決まるので固定点になります)


▲図2.線分AC、BDを平行移動して、線分DE、FEをつくりました

すると、四角形ACED、ABFCはどちらも平行四辺形なので、AD=CE、AB=CFになり、四角形の2辺DAとBCと同じ長さ線分を固定点BとEの間に、また、2辺ABとCDと同じ長さの線分を固定点DとFの間に上手く置くことができました。

そこで、AB+BC+CD+DAをLとすると、
L=AB+BC+CD+DA
 =CF+BC+CD+CE
 =(CB+CE)+(CD+CF)
で、Lが最小になるのは、Cが四角形BFEDの対角線の交点になるときであることが判ります。

一方、四角形BFEDは、BF//DE、BD//FEなので、平行四辺形で、∠BFG=60°です。(直線EFにBから垂線を下ろし、その足をGとしました)

そこで、図3のように、平行四辺形BFEDを抜き出し、その対角線の交点をC’としましょう。


▲図3.平行四辺形BFEDと対角線の交点をC’にしました

すると、
(Lの最小値)=(C’B+C’E)+(C’D+C’F)
        =BE+DF
で、BE、DFの長さは、三平方の定理から
BE^2=EG^2+BG^2
   =4^2+√3^2
   =19
BE=√19
になり、
DF^2=FH^2+DH^2
   =2^2+√3^2
   =7
DF=√7
になるので、
(Lの最小値)=√19+√7
です。

したがって、四角形ABCDの4辺の和AB+BC+CD+DAがとりうる最小値は、√19+√7で、これが答えです。


四角形ABCDが平行四辺形のとき、つまり、Pが対角線ACとBDの中点のときに、Lは最小になり、余弦定理を使って、
(Lの最小値)=2√(PA^2+PB^2-2・PA・PBcos60°)+2√(PC^2+PD^2-2・PC・PDcos120°)
       =2√(1+9/4-2・1・3/2・1/2)+2√(1+9/4-2・1・3/2・(-1/2))
       =2√(7/4)+2√(19/4)
       =√7+√19
と求めることができます。興味のある人は調べてみてください。

日本数学オリンピックの簡単な問題(42)

2016-09-22 10:28:30 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

昨夜からしっかりとした雨が降っています。東久留米の気温は20℃で、涼しいを通り越して少し寒いほどです。明日は暖かくなるようですが、風邪など引かぬよう気をつけましょう。

さて、今回は2005年日本数学オリンピック予選に出題された図形問題を取り上げます。

問題は、
「OA=2、OP=a、∠AOP=90°なる直角三角形AOPの辺OAの中点を点Bとする。このとき∠APBを最大にするようなaの値を求めよ。」
です。

以前に取り上げた京大入試問題に同じようなものがあります。(中学生でも手が届く京大入試問題(12)

初めに、図1のように、問題の図を描きましょう。


▲図1.問題の図を描きました

次に、図2のように、AとBを通り、直線OPに接する円Cを描きます。


▲図2.AとBを通り、直線OPに接する円Cを描きました

ここで、円Cと直線OPとの接点をP’とすると、P’を除く直線OP上のすべての点Pは、円Cの外部にあるので、∠AP’B>∠APBになり、PがP’に一致するとき、∠APBは最大になります。

そこで、図3のように、Pを接点とした図に描き直しましょう。


▲図3.Pを接点にしました

図3で、Cから辺OAに垂線を下ろし、その足をDとします。

このとき、△CABは二等辺三角形なので、Dは線分ABの中点で、AD=BD=1/2、さらに、OD=1+1/2=3/2です。

一方、DO=CPで、CPは円Cの半径なので、CP=CAが成り立ち、したがって、CA=3/2になります。

そこで、直角三角形CADに三平方の定理を適用して、
CA^2=AD^2+CD^2
(3/2)^2=(1/2)^2+CD^2
CD^2=9/4-1/4
    =2
から
CD=√2
です。

ここで、CD=OP=aですから、∠APBが最大になるのは
a=√2
のときで、これが答えです。


続いて、高校で勉強する三角関数を使って解いてみましょう。

図5のように、∠APB=θとします。


▲図5.三角関数を利用します

図5で、辺APと線分BPの長さは、三平方の定理から、それぞれ、√(a^2+4)および√(a^2+1)です。

ここで、△PABに余弦定理を適用すると、

が成り立ちます。

このとき、0°<θ<90° (θ=90°になるのは、Pが線分ABを直径とする円の周上にあるときで、この円は図5の直線OPと交わりません)なので、θが最大になるのは、cosθが最小になるときです。

つまり、上式の根号のなかにある、a^2+5+4/a^2 が最小のとき、cosθが最小になり、θが最大になります。

そこで、相加相乗平均の不等式から

が成立し、ここで等号は、
a^2=2
のとき成り立ちます。

したがって、a=√2のとき、θは最大になります。


前半の解き方のA、Bを通り、直線OPに接する円を描くテクニックを頭に入れておくと役に立つことがあるかも知れません。

ジュニア数学オリンピックの簡単な問題(73)

2016-09-21 13:15:17 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

台風一過で秋晴れとはなりませんでしたが、明るい曇り空で過ごしやすい日になりました。明日の秋分の日は雨模様で、次に晴れ間が見られるのは日曜日になるようで、秋の長雨です。

さて、今回は2014年ジュニア数学オリンピック予選に出題された図形問題を取り上げます。

問題は、
「辺BC、ADが平行である台形ABCDがあり、AB=1、BC=1、CD=1、DA=2が成り立っている。辺BCの中点をMとする。辺AD上に2点E、Fが、辺CD上に点Gがあり、∠EMG=∠FGM=90°およびEF=3/2をみたしている。このとき、線分DCの長さを求めよ。ただし、XYで線分XYの長さを表すものとする。」
です。

早速、図1のように、問題の図を描きましょう。


▲図1.問題の図を描きました

四角形ABCDは等脚台形で、その平行線から相似三角形ができそうで、∠BAD=∠CDA=60°から三角定規の直角二等辺三角形でないほうも作ることができそうです。

さらに、∠EMG=∠FGM=90°から三平方の定理も使えそうです。

このように使えそうな材料はたくさんありそうなのですが、EF=3/2が少しそっぽにあるので、これを、図2のように、主戦場になる右下に移してしまいましょう。(あとで判ったのですが、DからEMに垂線を引けば必要ありませんでした)


▲図2.線分EFを平行移動して線分CNを作りました

図2で、GからCNに垂線を下ろし、その足をHとすると、∠GCH=60°なので、△GCHは三角定規の直角二等辺三角形でないほうと相似になります。

また、△MGHと△MNGは相似なので、これも利用できそうです。

そこで、図3のように、求める線分DGの長さをxとして、必要な線分の長さをxで表すことにしましょう。


▲図3.線分DGの長さをxとして、必要な線分の長さをxで表します

まず、
CG=1-x
で、CH:CG:GH=1:2:√3なので、
CH=(1-x)/2             (1)
GH=√3(1-x)/2           (2)
です。

また、△MGHは直角三角形なので、三平方の定理から
MG^2=MH^2+GH^2        (3)
が成り立ちます。

ここで、(1)から
MH=MC+CH
  =1/2+(1-x)/2
  =(2-x)/2             (4)
で、(3)に(2)(4)を代入して、
MG^2=((2-x)/2)^2+(√3(1-x)/2))^2
   =(4-4x+x^2)/4+(3-6x+3x^2)/4
   =(4x^2-10x+7)/4     (5)
です。

続いて、図4で示したように、△MGH∽△MNGから、


▲図4.△MGH∽△MNGです

MG::MH=MN:MG
MG^2=MH・MN
が成り立ち、これに(4)(5)とMN=3/2を代入して、
(4x^2-10x+7)/4=(2-x)/2・3/2
4x^2-10x+7=6-3x
4x^2-7x+1=0
とxの2次方程式を得ることができました。

これを解の公式で解くと、
x=(7±√33)/8
で、0<x<1から
x=(7-√33)/8
です。

したがって、線分DGの長さは、(7-√33)/8 でこれが答えです。


他にもいろいろな解き方がありそうです。興味のある方は調べてみてください。

ジュニア数学オリンピックの簡単な問題(72)

2016-09-20 12:16:55 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

中3の塾生が今日から京都、奈良に修学旅行なのですが、台風と鉢合わせになってしまいました。今日の奈良見物は大変そうですが、明日から天気は回復するので、楽しい京都になるでしょう。

さて、今回は2016年ジュニア数学オリンピック予選に出題された図形問題を取り上げます。

問題は、
「三角形ABCの辺BC上に点D、Eがあり、B、D、E、Cはこの順に並んでいる。∠BAD=∠DAE=∠EAC=45°であるとし、三角形ABEの外接円と直線ACとの交点のうち、Aでない方をFとする。AC=3、AD=1のとき、線分DFの長さを求めよ。
 ただし、XYで線分XYの長さを表すものとする。」
です。

早速、図1のように、問題の図を描きましょう。


▲図1.問題の図を描きました

図1を一見すると、三平方の定理、角の二等分線定理、方べきの定理など利用できそうなツールが思い浮かびます。

そこで、ここでは、角の二等分線定理と三平方の定理から△ABEの外接円の半径を求め、続いて、方べきの定理で線分AFの長さを計算し、最後に、直角三角形ADFに三平方の定理を適用して線分DFの長さを求めることにしましょう。

まず、図2のように、直角三角形ACDに三平方の定理を適用して、
CD^2=AC^2+AD^2
   =3^2+1^2
   =10
から
CD=√10
です。


▲図2.直角三角形ACDに三平方の定理と角の二等分線定理を適用します

次に、△ACDに角の二等分線定理を適用して、
DE:EC=AD:AC
      =1:3
で、これとCD=√10から
DE=√10/4
EC=3√10/4
です。

さらに、図3のように、Aから辺BCに垂線を下ろし、その足をHとすると、
(△ACDの面積)=1/2×AC×AD
           =1/2×CD×AH
から
1/2×3×1=1/2×√10×AH
AH=3√10/10
になります。


▲図3.Aから辺BCに垂線を下ろし、その足をHとします

また、直角三角形AHCに三平方の定理を適用して、
AC^2=AH^2+CH^2
3^2=(3√10/10)^2+CH^2
9=9/10+CH^2
から
CH=9√10/10
です。

次に、図4のように、△ABEの外接円の中心をOとすると、∠BAE=90°なので、Oは線分BEの中点になります。


▲図4.△ABEの外接円の中心Oは線分BEの中点です

ここで、△ABEの外接円の半径をrとし、直角三角形OAHに三平方の定理を適用して、rを求めましょう。

OA=r
AH=3√10/10

OH=OE+CE-CH
  =r+3√10/4-9√10/10
  =r-3√10/20
です。

これらを
OA^2=AH^2+OH^2
に代入して、
r^2=(3√10/10)^2+(r-3√10/20)^2
  =9/10+r^2-3√10/10・r+9/40
から
3√10/10・r=45/40
r=3√10/8
になります。

続いて、図5の線分CB、CFに方べきの定理を適用します。


▲図5.線分CB、CFに方べきの定理を適用します

CF・CA=CE・CB
で、ここで、
CF=CA+AF
  =3+AF
CA=3
CE=3√10/4
CB=CE+2r
  =3√10/4+3√10/8×2
  =3√10/2
を代入して、
(3+AF)・3=3√10/4・3√10/2
        =45/4
AF=3/4
です。

最後に、図6の直角三角形ADFに三平方の定理を適用して、
DF^2=AD^2+AF^2
    =1^2+(3/4)^2
    =1+9/16
    =25/16
から
DF=5/4
で、これが答えです。


▲図6.直角三角形ADFに三平方の定理を適用します



ゴリゴリ計算して答えにたどり着きましたが、もっとスマートな解き方があるかもしれないです。興味のある方は探してみてください。

ジュニア数学オリンピックの簡単な問題(71)

2016-09-19 13:52:31 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

天気図を見ると、台風16号が九州に上陸し、その後、四国、紀伊半島、東海、関東と日本を横断しそうな様子です。今年は上陸する台風が多いですね。十分に注意しましょう。

さて、今回は2014年ジュニア数学オリンピック予選に出題された図形問題を取り上げます。

問題は、
「円に内接する五角形ABCDEがあり、AB=2、BC=5、CD=2、DE=5、AD=8である。このとき線分BEの長さを求めよ。ただし、XYで線分XYの長さを表すものとする。」
です。

早速、図1のように、問題の図を描きましょう。


▲図1.問題の図を描きました

図2のように、五角形ABCDEの残りの対角線を引くと、AC=BD=CEとなるので、ここではトレミーの定理がぴったりです。


▲図2.AC=BD=CEです

ここで、AC=BD=CE=a、BE=xとしましょう。

まず、図3に示す四角形ABCDについて、トレミーの定理から
AC・BD=AB・CD+BC・AD
a^2=2・2+5・8
  =44           (1)
です。


▲図3.四角形ABCDに注目します

次に、図4に示す四角形BCDEについて、トレミーの定理から
BD・CE=BC・DE+CD・BE
a^2=5・5+2x
  =25+2x        (2)
です。


▲図4.四角形BCDEに注目します

(1)を(2)に代入して、
44=25+2x
x=19/2
です。

したがって、線分BEの長さは19/2で、これが答えです。


トレミーの定理は、以前の記事(トレミーの定理)で取り上げたように、三角形の相似を使って証明することがでます。覚えやすい式で役に立つので頭に入れておくとよいでしょう。

ジュニア数学オリンピックの簡単な問題(70)

2016-09-18 13:55:22 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

気温は25℃なのですが、湿度は92%と肌がべたつく感じです。秋雨前線が関東にかかっていて、雨模様の天気が続くようです。また、台風も近づいているので注意しましょう。

さて、今回は2016年ジュニア数学オリンピック予選に出題された図形問題を取り上げます。

問題は、
「頂点Bにおける内角が180°よりも大きい四角形ABCDがあり、AB:CD=√2:1、AD=2、BC=1が成り立っている。直線BCと辺ADの交点をE、直線ABと辺CDの交点をFとおくと、∠CED=∠AFD=45°が成立した。このとき、四角形ABCDの面積を求めよ。
 ただし、XYで線分XYの長さを表すものとする。」
です。

▲問題図

問題図にいくつかの相似三角形が見つけられるので、それを使って簡単に解けそうですが、やってみると一筋縄ではいかないようです。(上手い手があるのかも知れませんが)

そこで、与えられた角度45°と与えられた線分比√2:1から連想される三角定規の直角二等辺三角形を作ることにしましょう。

図1のように、線分CDをCがBと一致するように平行移動しその線分をBGとすると、△ABGは底角が45°の直角二等辺三角形になります。


▲図1.線分CDをCがBと一致するように平行移動しました
さらに、四角形BCDGは平行四辺形になるので、BE//DGで、その錯角は等しいことから、
∠BED=∠EDG=45°
です。

すると、∠ABG=∠ADG=45°から、図2のように、四角形ABDGは円に内接します。


▲図2.四角形ABDGは円に内接します

すると、円周角の定理から
∠ADB=∠AGB=90°
で、△ABDは直角三角形になります。

ここで、CD=BG=AG=aとおくとAB=√2・aになり、これらと三平方の定理から
AB^2=AD^2+BD^2
2a^2=2^2+BD^2
BD=√(2a^2-4)
です。

さらに、円に内接する四角形ABDGについて、トレミーの定理から
AD・BG=AB・DG+AG・BD
2・a=√2・a・1+a・√(2a^2-4)
が成り立ち、
a^2=5-2√2
になり、
BD=√(2(5-2√2)-4)
  =√(6-4√2)
  =√(6-2√8)
  =2-√2
です。

いよいよ本丸の面積計算に取り掛かりましょう。

図3のように、直線ADにCから垂線を下ろし、その足をHとしましょう。


▲図3.直線ADにCから垂線を下ろし、その足をHとしました

すると、△CEHは底角が45°の直角三角形で、BC=1から
DH=√2/2
です。

一方、BD//CHなので、(△BCDの面積)=(△BHDの面積)で、
(四角形ABCDの面積)=(△ABHの面積)
になります。

以上から
(四角形ABCDの面積)=(△ABHの面積)
            =1/2・AH・BD
            =1/2・(AD+DH)・BD
            =1/2・(2+√2/2)・(2-√2)
            =(3-√2)/2
で、これが答えです。


相似を使った解き方ももう少し調べてみるつもりです。興味のある方は調べてみてください。

ジュニア数学オリンピックの簡単な問題(69)

2016-09-17 11:31:26 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

朝は晴れていたのですが、だんだん雲が増えてきて、これから雨になるようです。明日以降も降水確率が高い日が1週間ほど続き、祝日が2日ある来週の天気は、残念ながら、あまりぱっとしないようです。

さて、今回は2016年ジュニア数学オリンピック予選に出題された図形問題を取り上げます。

問題は、
「円に内接する四角形ABCDがあり、AC=28である。線分BDの中点Mは、∠AMB=∠CMB、AM=20、CM=16をみたしている。このとき、BA:BCを求めよ。
 ただし、XYで線分XYの長さを表すものとする。」
です。

早速、図1のように、問題の図を描きましょう。


▲図1.問題の図を描きました

まず、△ABMと△BCMの面積比を求めましょう。

図2のように、AとCからBMに垂線を下ろし、それぞれの足をPおよびQとします。


▲図2.△ABMと△BCMの面積比を求めます

すると、仮定から、∠AMP=∠CMQ、∠APM=∠CQMなので、△AMP∽△CMQで、
AM:CM=AP:CQ=20:16=5:4       (1)
です。

一方、(△ABMの面積)=1/2・BM・AP、(△BCMの面積)=1/2・BM・CQなので、(1)から
(△ABMの面積):(△BCMの面積)=5:4     (2)
になります。

次に、△ABMと△BCMが相似であることを示しましょう。

まず、△BCMと△DC’Mが合同であることを示します。

図3のように、AMの延長と円の交点をC’、円の中心OとMを結んだ直線と円の交点をR、Sとします。


▲図3.△BCM≡△DC’Mを示します

図3で、対頂角は等しいので、∠AMB=∠DMC’で、仮定から∠AMB=∠BMCですから、
∠DMC’=∠BMC
です。

また、線分BDは円の弦で、Mはその中点ですから、BDとOMは直交するので、
∠CMS=∠BMC+90°
      =∠DMC’+90°
     =∠C’MS
です。

ここで、線分RSは円の直径ですから、CとC’は直線RSを対称軸とする対称の点になります。

したがって、
CM=C’M
BM=DM
∠BMC=∠DMC’
から
△BCM≡△DC’M
になります。

次に、△ABMと△C’DMが相似であることを示します。

図4のように、∠BAC’と∠BDC’は弧BC’の円周角なので、
∠BAC’=∠BDC’
です。


▲図4.△ABM∽△C’DMを示します

さらに、対頂角は等しいので、
∠AMB=∠DMC’
です。

したがって、
△ABM∽△DC’M
です。

以上をまとめると、△BCMと△DC’Mが合同で、△ABMと△DC’Mが相似なので、△ABMと△BCMは相似になります。

ところが、(2)から△ABMと△BCMの面積比は5:4なので、それらの相似比は√5:2になり、したがって、
AB:BC=BA:BC=√5:2
で、これが答えになります。


AC=28の意味が判らないので調べているところです。ご存知の方はご教示ください。

ジュニア数学オリンピックの簡単な問題(68)

2016-09-16 13:01:20 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

東久留米の気温は25℃と低めなのですが、湿度が90%近くで、蒸し暑く感じます。明日、明後日は気温が上がるようで、不快な週末になりそうです。

さて、今回は2014年ジュニア数学オリンピック予選に出題された整数問題を取り上げます。

問題は、
「500以下の正の整数nについて、A、B、C、Dの4人が以下のように話している:
 
 A「nは2でちょうど3回だけ割り切れる。」
 B「nは3でちょうど2回だけ割り切れる。」
 C「nは7でちょうど1回だけ割り切れる。」
 D「nの各桁の数字の和は15だ。」

このうち3人の発言は正しいが、残りの1人の発言は誤りである。このときnを求めよ。」
です。

早速、取り掛かりましょう。

A、B、Cの発言から、nは少なくともそれぞれ8の倍数、9の倍数、7の倍数になります。

このとき、8、9、7は互いに素ですから、もし、A、B、Cの発言が正しいとすると、nは8×9×7=504の倍数になり、nが500以下という条件に反します。

つまり、A、B、Cの誰かの発言が誤っていて、したがって、Dの発言は正しいことになります。

そこで、Dの発言を調べてみましょう。

もし、nが9の倍数であれば、nの各桁の数字の和は9の倍数になります。ところが、Dはそれが15と言っているので、nは9の倍数ではありません。

したがって、4人のうち誤りの発言をしたのは、Bになります。

あとは、
(A)2で3回だけ割り切れる
(C)7で1回だけ割り切れる
(D)各桁の数字の和が15 → 3の倍数
(*)500以下
の条件を満たすnを見つけるだけです。

(A)(C)(D)から
n=8×7×3m
 =168m
になり、(4)から
m=1、2
です。

ところが、m=2のとき、nは2で4回割り切れてしまい(A)に反するので、m=1になります。

つまり、
n=168
で、この各桁の数字の和は1+6+8=15と、(3)を満たします。

したがって、nは168で、これが答えです。


楽しい問題でした。