東久留米 学習塾 塾長ブログ

東京都東久留米市滝山の個別指導型学習塾 塾長白井精一郎のブログ

日本数学オリンピックの簡単な問題(25)

2016-07-12 13:11:00 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

今日も晴れの蒸し暑い日になりましたが、天気は下り坂で、夕方から雲が多くなり、明日には雨になるようです。降雨のおかげで気温は低くなるようで、少し過ごしやすくなってくれるといいのですが。

さて、今回は2011年日本数学オリンピック予選に出題された場合の数の問題を取り上げます。

問題は、
「赤い玉、青い玉、黄色い玉合わせて12個を横一列に並べるとき、以下の条件をみたす並べ方は何通りあるか。ただし、並べる玉の色が2種類以下の場合も考えるものとする。

条件:どの玉に対しても、その玉と同じ色で、その玉に隣接するような玉が存在する。」
です。

早速、取り掛かりましょう。

12個の玉の列を2個以上のグループに分割して、それらのすべての場合について玉の並べ方を勘定し、それらを足し合わせても正解にたどり着けそうですが、とても煩雑そうなので、ここは漸化式を利用するのがよさそうです。

そこで、問題の条件を満たすn個の玉の並べ方の場合の数をA(n)とします。

ここで、下図のように、n-2個の玉の列からn個の玉の列を作る場合を調べます。


▲図.n-2個の玉の列からn個の玉の列を作る場合を調べます(n-2個目を赤い玉にしました)

n-2個目の玉の色と同じ色の玉をn-1個目に置くと、条件を満たすn-1個の玉の列を作ることができて、その場合の数はA(n-1)です。

さらに、n個目に玉を置いて、条件を満たすn個の玉の列を作る場合を考えると、n個目にはn-1個目の玉と同じ色の玉を置くしかなく、その場合の数はA(n-1)になります。

次に、n-2個目の玉の色と異なる色の玉をn-1個目に置く場合、n個目も同じ色の玉を置かなければなりません。このとき、n-2個目の玉の色と異なる色は2色なので、その場合の数は、2A(n-2)になります。

したがって、条件を満たすn個の玉の場合の数A(n)は、
A(n)=A(n-1)+2A(n-2)              (1)
という漸化式になります。

あとは、(1)を解くだけです。

まず、(1)の特性方程式x^2-x-2=0の解x=-1、2から、(1)は
A(n)-2A(n-1)=-(A(n-1)-2A(n-2))   (2)
A(n)+A(n-1)=2(A(n-1)+A(n-2))     (3)
と変形することができます。

まず、(2)について、
B(n)=A(n)-2A(n-1)                (4)
とすると、(2)は、
B(n)=-B(n-1)
で、
B(n)=(-1)^(n-3)・B(3)
    =3・(-1)^n
です。(B(3)=A(3)-2A(2)=3-6=-3)

これを(4)に代入して、
A(n)-2A(n-1)=3・(-1)^n             (5)
です。

次に、(3)について、
C(n)=A(n)+A(n-1)                 (6)
とすると、(3)は、
C(n)=2C(n-1)
で、
C(n)=2^(n-3)・C(3)
    =6・2^(n-3)
    =3・2^(n-2)
です。(C(3)=A(3)+A(2)=3+3=6)

これを(6)に代入して、
A(n)+A(n-1)=3・2^(n-2)               (7)
です。

最後に、(5)と(7)からA(n-1)を消去して、
A(n)=2^(n-1)+(-1)^n                  (8)
と、A(n)を求めることができました。

ここで、(8)にn=12を代入すると、
A(12)=2^11+(-1)^12
     =2048+1
     =2049
で、問題の条件を満たす玉の並べ方は2049通りで、これが答えです。


3項間漸化式を解くのが面倒なときは、
A(2)=3
A(3)=3
A(4)=A(3)+2A(2)=3+6=9
A(5)=A(4)+2A(3)=9+6=15
     ・・・・・
A(12)=A(11)+2A(10)=1023+1026=2049
と順番に計算するとよいでしょう。