東久留米 学習塾 塾長ブログ

東京都東久留米市滝山の個別指導型学習塾 塾長白井精一郎のブログ

平成30年度都立高校入試問題(国語)

2018-02-24 12:08:58 | 国語の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

今回は、昨日実施された都立高校入学試験の国語を取り上げます。

国語の問題は、例年通り、漢字、小説、説明文、古典(今回は漢詩)を題材にした説明文の構成でした。

難しい漢字はないのですが、かといって簡単というものでもなく、昨年に比べて全体的に難化しています。

小説は、後半部が難しいのですが、設問の選択肢の違いが明確で、正答しやすいです。昨年と比べて、同程度の難易度です。

説明文は、「意志」をテーマにした少々哲学的な文章で、読解するのに手こずった受験生が少なくなかったと思います。しかし、小説の問題と同様に、設問の選択肢に紛らわしさはなく、問題の前後の文章をしっかり読めば正解できます。

二百字の作文は、「自分の意志をもつこと」というテーマで、中学生にとって疎い題材ではないのでしょうが、それについての具体的な体験や見聞を思い起こすのに苦労した受験生は少なくなかったかもしれません。

最後の漢詩を題材にした説明文は、判りやすく、設問も紛れがない親切な問題です。

今年は昨年より少し難しくなり、平均手は68点くらいだと思います。
(昨年の国語の予想は、一昨年より大幅に難しくなり、平均点が63点としたのですが、実際の平均点は、73.9(H28)→69.5(H29)と下がったものの予想ほどではありませんでした)

いろはがるた

2017-09-09 11:26:35 | 国語の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

ある計測器メーカーの創立30周年記念で頂いた 故事ことわざ辞典(三省堂)の巻末に、東西いろはがるた一覧という項があります。

そこには、江戸、京都、大阪(名古屋)のいろはがるたが記してあって、例えば、「」は、
【江戸】 犬も歩けば棒に当たる
【京都】 一寸先は闇
【大阪】 一を聞いて十を知る

というように、それぞれ異なった諺が挙がっています。

これらの3都市に共通する諺の数を勘定してみると、
江戸・京都・大阪に共通 : 0個
江戸・京都   に共通 : 1個 (「つ」)
江戸・大阪   に共通 : 5個 (「は」「に」「ぬ」「ゆ」「め」)
京都・大阪   に共通 : 9個 (「へ」「ち」「り」「る」「れ」「そ」「や」「ふ」「ゑ」)
となっていて、距離が近いためか、京都・大阪で共通するものが多いようです。

また、今では意味の判り難い諺も多く、例えば、江戸・京都で共通する諺の「月夜に釜を抜かれる」は、「明るい月夜に釜を盗まれる。油断のはなはだしいたとえ」という意味だそうです。

他にも、
盗人の昼寝」:盗人が、夜かせぐために昼のうちに寝ておくこと。何がないふりをしているが、実はちゃんと目的がある、という意。

葦の髄から天井覗」:葦の茎の細い管の穴から天井を見ても、全体を見ることができない。狭い見聞に基づいて大局を判断することはできない。見識の狭いことをいう言葉。

総領の甚六」:長子は他の兄弟に比べてぼんやりしていておとなしい。「総領」は家の跡目を継ぐ者。「甚六」は順禄のなまりで、総領むすこは愚鈍でも順序として父の世禄を継ぐ意という。
など、難解な諺が少なくなく、なかなか面白いです。

興味のある人は調べてみてください。

漢字「生」のはなし

2017-08-02 12:53:49 | 国語の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

読売新聞に連載されている 「なぜなに日本語」 というコラムの今朝のタイトルは、 「音2、訓10 読み多い 『生』」 でした。

その内容は、常用漢字表に 音が2、訓が10、 特別な読み方をする熟語として、芝生(しばふ)、弥生(やよい)が載っている 「生」 は、読み方が一番多い漢字と言われていることと、そのいくつかの例を示すというものです。

実際、常用漢字表にはコラム通りのことが書いてあって、
音読み : セイ、ショウ
訓読み : いきる、いかす、いける、うまれる、うむ、おう、はえる、はやす、き、なま
とあります。

さらに、手元の漢和辞典「漢語林」を引いてみると、
「人名に用いられる特別な読み」 として、
あり、い、うぶ、お、すすむ、たか、なり、ふ、み、よ
が挙げてあり、
「姓氏・地名について特別なよみをするもの、また、当て字の類」 として、
生活(たっき)、生月(いきつき)、生姜(しょうが)、生業(なりわい、すぎわい)、生駒(いこま)、生見(ぬくみ)、生絹(すずし、きぎぬ)、生原(はいばら)、生簀(いけす)、生子(うぶす、せいご、なまこ)、生贄(いけにえ)、生粋(きっすい)、生石(いくし、おいし、おおし)、生憎(あいにく、あやにく)、生地(いくじ)、生天目(なばため)、生田(しょうでん)、生田目(なばため、なまため)、生飯(さば、さんば、さんばん)、生保内(おぼない)、生瀬(なまぜ
が挙げてありました。(赤色でマークは読めなかったものです)

「生」 は小1で習いますが、なかなか奥深い漢字のようで勉強になりました。

大鏡 「弓争い」

2017-06-18 12:58:48 | 国語の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

先日、高2の塾生に高校の古典の授業で何を読んでいるのが尋ねたところ、大鏡の 「弓争い」 とのことでした。

大鏡は大学入試に頻出ということもあって、高校のころから馴染んでいて、今でも枕元に新潮社の 「新潮日本古典集成 大鏡」 が置いてあって、寝る前にちょくちょくそれを開いています。

弓争い」 は、内大臣藤原伊周(これちか)とその叔父道長の弓競技会での様子を描いたものです。

このなかで道長は、 「道長が家より、帝・后たちたまうべきものものならば、この矢あたれ」 と言って矢を射たところ、的のど真ん中に命中し、続く伊周は、すっかり気後れし手も震えてしまったため、的を大きく外してしまいます。

さらに二本目の矢を射る道長は、 「摂政・関白すべきものならば、この矢あたれ」 と言って矢を射たところ、またもや的のど真ん中に当たり、このとき伊周の父道隆は、二本目の矢を射ようとする伊周に、 「何か射る、な射そ、な射そ」 と制止し、座が白けてしまった、という逸話です。

伊周は正暦5年(994)に21歳で、29歳の道長を超えて内大臣に昇進し、翌年には父道隆に代わり関白職を代行しますが、疫病で道隆が没したのち、道長の妹で一条天皇の生母詮子の支持などで、道長が内覧(のちに摂政)になり、藤原氏の氏長者争いに勝利します。(二本目の矢の通りになりました/大鏡が後で書かれているので当然ですが)

さらに道長は、娘4人を皇后や皇太子妃(一条后彰子、三条后姸子、後一条后威子、後朱雀妃嬉子)とし(一本目の矢の通りになりました)、大きな権力を握ります。

大鏡には、他にも多くの面白い話が書かれています。興味のある人は手にとってみてください。

平成29年度都立高校入試問題(国語)

2017-02-25 11:52:41 | 国語の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

雲一つない青空で、風もなく、穏やかな天気になりました。日向は暖かく気持ちのいい土曜日です。

朝、近所の地域センター内にある図書館に向かっていたら宅配便のトラックが止まっていて、予約していた村上春樹氏の新刊が配達されるかなと思い、急いで教室に向かい、判子を持って外で待っていたところ、案の定、「騎士団長殺し」を持ってきてくれました。朝刊に掲載された昨日の都立高校国語入試問題も持っていたので、どちらを先に読むか迷ったのですが、結局、入試問題にしました。

国語の問題は、例年通り、漢字、小説、説明文、古典を題材にした説明文の構成でした。

難しい漢字はありませんが、強いて挙げれば、読みでは「隔てて」(へだてて)、書き取りでは「あびる」(浴びる)あたりでしょうか。

小説は、話の内容は分かりやすいのですが、設問については、心情や状況の描写が昨年のように単純ではなく、少し難しくなっています。

説明文は、昨年の問題と同様に、論旨が明快で分かりやすく、設問も同程度の難易度です。しかし、二百字の作文については、テーマが「食生活と歴史」と、中3生にとって扱い難い題材で、まとめることができなかった受験生も少なくなかったかもしれません。

最後の芭蕉の「古池や蛙飛び込む水のおと」を題材にした説明文は、判りやすく、大変勉強になる内容でした。設問も紛れがなく親切な問題です。

昨年の国語の予想は、一昨年より簡単になり、平均点が68点超としたのですが、実際の平均点は、65.6(H27)→73.9(H28)とびっくりするほど上がっていました。今年は昨年より難しくなり、平均点は63点くらいだと思います。


午後から英語を調べてみるつもりです。

平成28年度都立高校入試問題(国語)

2016-02-25 12:22:36 | 国語の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

昨日の日中は、曇り空で気が滅入るほど寒かったのですが、今日は、寒いことは寒いのですが、陽射しがあって少しはましなようです。今日から国公立大学の前期試験が始まりました。受験シーズンも終わりに近づいています。

都立高校入試の次の日の朝刊に掲載される入試問題(特に国語)を楽しみにしていて、昼前に国語を終えて、数学はさらっと見終わったところです。

国語の問題は、例年通り、漢字、小説、説明文、古典を題材にした説明文の構成でした。

難しい漢字はありませんが、強いて挙げれば、読みでは「拭いながら」(ぬぐいながら)、書き取りでは「がくたい」(楽隊)あたりでしょうか。

小説は、主人公の心情が判りやすく、解答にも紛らわしいものがなく、親切な問題だと思います。

説明文は、昨年の問題に比べて論旨が明快でよいと思います。二百字の作文は、テーマが「基本を身につけること」で、中3生にとって扱いやすい題材だったと思います。

最後の枕草子を題材にした説明文は、問4の「よもや~ない」や問5の「たわむれに」(軽い気持ちで)は難しかったかもしれません。

昨年は、国語が難しくなったとした予想しながら、実際の平均点は61.6(H26)→65.6(H27)と、全く見当違いだったので、今年の予想をするのはおこがましいのですが、敢えて予想すると、去年より簡単で平均点は68点超えになると思います。


午後から英語を調べてみるつもりです。

国語読解力の養い方

2015-09-06 10:00:00 | 国語の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

今、父の七回忌のため、山口県の萩にいます。午後に帰京します。

前回は英文読解力の養い方を取り上げましたが、今回は国語の読解力について取り上げますです。

都立高校入試では、小説文と論説文が出題されますが、どちらとも作者・筆者の最も言いたいことを捉えることが目的になります。

まず、小説文では、登場人物の言動を通して、読者の感性にはたらきかけ、読者の共感を得ることを目的としているので、登場人物の心情を捉えることが大切になります。さらに、登場人物の心情は変化することが多いので、注意が必要です。

そして、登場人物の心情を捉えるためには、ストーリーが展開されている場面や登場人物の性格などを押さえておく必要があります。さらに、自分自身が登場人物になったつもりで考えてみると、より簡単に理解できると思います。

一方、論説文は、筆者が事実に基づいて筆者の言いたいことを論理的に展開するものです。そのため、書かれている文または文章が、事実なのか、例なのか、筆者の意見なのかを見分けることが大切です。そこで、筆者の意見に線を引くなどして、それを明確にしておくことが大切です。

そして両者に共通する大切なことは、たとえ、作者・筆者の言いたいことと自分の意見が合わなくても、作者・筆者のストーリー展開、論理展開に即して答えるということです。

例えば、脳科学者の茂木健一郎氏は、現代国語が苦手だったそうですが、その原因は、「現代国語そのものを誤解していた」ということと著書のなかで述べています。

それは、現代国語の問題を解くときに、自分なりの解釈やオリジナルなアイデアなどを答えに反映させていたことが誤りで、現代国語の問題が求めているのは、「オリジナルで奇抜な発想ではなく、文章に即してあっさりと無機的に答えを返すこと」と言っています。この点は十分気をつけてください。


以上を踏まえて、詳しい解説のある問題集などで演習し、答えにたどり着く筋道を理解するように努めれば、たちまち得意科目になるでしょう。

平成27年度都立高校入試問題(国語)

2015-02-26 11:54:22 | 国語の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

予報通り雨模様の寒い日になりました。しかし、明日は晴天で気温も高くなるようです。

さて、今回は今年の都立高校入試の国語の問題です。

大問1と2の漢字に関する問題は、去年と比べると書き取りが少し易しく感じますが、例年と大差ないと思います。

大問3の小説の読解は、例年通り、解答の選択肢に紛らわしさがないので簡単です。登場人物の会話が続くところは、誰の発言か明記して読み進めると良いでしょう。

また、会話のなかに、突然「ビオトープ」と出てくるのですが、これには注釈を付けたほうが親切だったと思います。

大問4の説明文の読解は難問です。筆者の論理や言葉の定義に判り難いところがあり、解答の選択肢も紛らわしく、迷った受験生も多かったと思います。

小問5の「取り合わせの美」についての200字作文では、問題文の第一段にある、「総じて日本文化のどの場面においても、取り合わせの美の構成を見出すことができる。」に着目して、自分の知っている身近なものについて書けば良いと開き直った(?)受験生はそれなりに作文できたでしょうが、題材について考え込んでしまった人は大変だったと思います。

最後の大問5は能の「安宅」と歌舞伎の「勧進帳」についての対話文ですが、義経、弁慶のことやその時代背景、歌舞伎の「勧進帳」が江戸時代に作られたことなどの知識があれば簡単な問題ですが、それらの知識がなく(多くの受験生がそうだと思うのですが)、問題中の注を頼りに読み進めるのは、なかなか骨が折れたと思います。しかし、解答の選択肢に紛らわしさがないので、正解した受験生も多かったのではないでしょうか。

全体としては、例年より難しくなったという感じで、当たり前のことですが、日本文化や歴史などいろいろな知識を蓄えておく必要を感じさせる問題でした。