東久留米 学習塾 塾長ブログ

東京都東久留米市滝山の個別指導型学習塾 塾長白井精一郎のブログ

中学生でも解ける東大大学院入試問題(104)

2015-01-31 12:01:55 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

今日は自宅の雪かきをしなければと思っていたのですが、ほとんど融けていてその必要もないようです。とは言っても、滑りやすいところもあるので転ばないように注意しましょう。

さて、今回は平成16年度東大大学院工学系研究科環境海洋工学の入試問題です。

問題は、
「△ABCの面積をSとする。BX:XC=1:1、CY:YA=2:3のとき、△OAZをSで表せ。」
です。

▲問題図

まず、図1のように与えられた条件などを書き込みましょう。Xは辺BCを1:1に、Yは辺CAを2:3に内分しています。このことからチェバの定理を思い出せば簡単です。


▲図1.与えられた条件を書き込みました

チェバの定理から、
AZ/BZ・BX/CX・CY/AY=1
が成り立ち、これにBX/CX=1、CY/AY=2/3を代入すると、
AZ/BZ=3/2
となります。

したがって、△OAZ:△OBZ=3:2から
△OAB=5/3・△OAZ    (1)
となります。

一方、△OAC=△OABで、これと(1)から
△OAC=5/3・△OAZ
で、
△ACZ=△OAC+△OAZ
    =8/3・△OAZ     (2)
です。

ここで、△ACZ=3/5・Sなので、(2)から、
8/3・△OAZ=3/5・S
△OAZ=9/40・S
となり、これが答えです。

もし、チェバの定理を思い出さなければ、図2に示すように△ABC内の小さな三角形の面積をx、a、b、c、AZ:BZ=m:1とし、それらの方程式を解いて答えを求めます。


▲図2.方程式を使って解きます

まず、△ABCの面積はSなので、
S=x+2a+5b+c       (3)
です。

△ABX:△ACX=1:1
から、
x+a+c=a+5b
x-5b+c=0          (4)
です。

△BAY:△BCY=3:2
から、
2(x+3b+c)=3(2a+2b)
x-3a+c=0          (5)
です。

△ACZ:△BCZ=m:1
から、
x+5b=m(2a+c)      (6)
です。

さらに、△OAZ:△OBZ=m:1
から、      
x=mc              (7)
です。

ここで、まず、(4)(5)から、
5b=3a             (8)          
を得ます。

次に、(6)(7)から、
5b=2ma          
で、これと(8)から
m=3/2 (←チェバの定理です) (9)
となります。

さらに、(5)から
x+c=3a
で、
(7)(9)から
x=3/2・c
なので、
x=9/5・a           (10)
c=6/5・a           (11)
です。

そこで、(8)(10)(11)を(3)に代入して、
S=9/5・a+2a+3a+6/5・a
 =8a
から、、
a=S/8             (12)
となります。

最後に、(12)を(10)に代入して、
x=9/5・S/8
 =9/40・S
とチェバの定理を使った答えと一致しました。


後半の式での解法はもっとスマートにできるかもしれませんが、やはりチェバの定理を使うのが手っ取り早そうです。チェバの定理を覚えておくとよいでしょう。

中学生でも解ける東大大学院入試問題(103)

2015-01-30 11:52:51 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

午前中の早い時間には、雪が雨に変わると思っていたのですが、昼までしっかり雪が降っていました。教室の前にも雪が積もっています。しばらくしたら雪かきします。

さて、今回は、平成15年度東大大学院工学系研究科環境海洋工学の入試問題です。

問題は、
「暗号文「DPLKVXNXI」は「福島」、暗号文「HWDZL」は「岩手」と解読することができるという。このとき「神奈川」を暗号にするとどうなるか示せ。」
です。

暗号問題です。アルファベットの文字数を数えると、「DPLKVXNXI」は9文字、「HWDZL」は5文字です。

一方、「福島」をローマ字で書くと「FUKUSHIMA」、「岩手」は「IWATE」とそれぞれ9文字、5文字になるので、アルファベット同士が対応している換字暗号と想像できます。

その対応関係を見つけるのですが、着目ポイントは2つの暗号文「DPLKVXNXI」と「HWDZL」に共通する文字と、「FUKUSHIMA」と「IWATE」に共通する文字になります。

2つの暗号文に共通する文字は「D」と「L」で、「FUKUSHIMA」と「IWATE」に共通する文字は「I」と「A」ですから、
「D」⇔「I」、「L」⇔「A」
または、
「D」⇔「A」、「L」⇔「I」
となることが予想できます。

そこで下表のようにアルファベットを書き並べ、「D」「L」と「I」「A」との位置関係を調べてみると、「D」から前に3文字移動すると「A」、「L」から前に3文字移動すると「I」があることが判ります。

つまり、アルファベット順に、暗号文の文字から前に3文字移動すれば、暗号文の文字を換字できそうです。


▲表.アルファベット表

そこで、この規則を利用して暗号文「DPLKVXNXI」と「HWDZL」を換字してみると、それぞれ、「AMIHSUKUF」と「ETAWI」となり、文字を逆さまに並べると、
「FUKUSHIMA」、「IWATE」になります。

以上より、暗号文を復号する規則は、「暗号文の文字をアルファベット順の3つ前の文字に換字し、逆さまに並び変える」ということです。

問題では「神奈川」を暗号化することを求められているので、早速やってみましょう。

「神奈川」をアルファベットで書くと、「KANAGAWA」で、これらの文字を逆さまにして、「AWAGANAK]とします。

ここで換字するのですが、暗号化するにはアルファベット順で3つ後ろの文字にすればよいので、「DZDJDQDN」が答えの暗号文になります。

もう一ひねりされると格段と難しくなり手が付けられなくなるのでしょうが、時間制限のある試験に出題される暗号はこの程度なのでしょう。しかし、難しくないと言っても、実際に解けると嬉しくなるのが暗号問題の魅力です。

中学生でも解ける東大大学院入試問題(102)

2015-01-29 12:09:15 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

昨日より強くはありませんが、今日も北風が吹いていて寒い日になりました。積もることはないのでしょうが、明朝は雪が降るかもしれないようです。受験生の皆さんは暖かくして勉強してください。

さて、今回は平成25年度東大大学院工学系研究科システム創成学の入試問題です。

問題は、
「E1~E7はそれぞれ1桁の偶数、および、O1~O4はそれぞれ1桁の奇数である。以下の掛け算を満たすように、それぞれに具体的な数字を当てはめよ。ただし、同じ数字を何度使ってもよい。」


▲問題の掛け算
です。

添字があると書き難いので問題の掛け算を図1のように書き直します。大文字が偶数、小文字が奇数です。


▲図1.問題の掛け算を書き直しました

一目で判るのは、F=K、G=Iですが、これらの関係はあまり役に立ちません。掛け算の部分の「Ab×D→eF」と「Ab×c→Gh」の桁が繰り上がらないところがポイントです。

「Ab×D→eF」に着目すると、その積が2桁で、かつ、A、Dは偶数なので、これを満たすA、Dの組合せ(A,D)は、
(2,2)
(2,4)
(4,2)
のいずれかになります。そこで、これで場合分けして調べていきましょう。

(A,D)=(2,2)の場合

「Ab×D→eF」において、A(2)×D(2)=4ですが、eが奇数なので1の位から奇数繰り上がらなければなりません。ところが、「b×D(=2)」は最大で18なので、十の位に1繰り上がることになり、
e=5
で、さらに、
b=5、7、9    (1)
のいずれかになります。

次に、「Ab×c→Gh」において、その積は2桁で、A=2、cは奇数であることから、
c=1、3
となります。

仮に、c=1とすると、(1)からh=b×c≧5になり、e+hが繰り上がらないことに反するので、
c≠1
です。

そこで、c=3とすると、(1)からb×cは、15、21、27となり、hは、それぞれ5、1、7になりますが、先程と同じく、e+hが繰り上がらないことから
h=5
b=7
になります。

これで、掛け算をする2数が、27と32に決まったので、実際に計算すると、
27×32=54+810
     =864
で、(A,b,c,D,e,F,G,h,I,J,K)は、
(2,7,3,2,5,4,8,1,8,6,4)
になり、それらの偶奇性もOKです。

次に、(A,D)=(2,4)の場合です。

「Ab×D→eF」において、A(2)×D(4)=8でeが奇数なので1の位から1だけ繰り上がらなければなりません。したがって、
e=9
になります。

ところが、e=9であると、h≧1なので、e+h≧10となり、繰り上がらないことに反してしまいます。

したがって、(A,D)≠(2,4)です。

続いて、(A,D)=(4,2)の場合ですが、これも(A,D)=(4,2)の場合と同様で、「Ab×D→eF」において、A(4)×D(2)=8でeが奇数なので1の位から1だけ繰り上がらなくてはなりません。したがって、
e=9
になります。

ところが、e=9であると、h≧1なので、e+h≧10となり、繰り上がらないことに反してしまいます。

したがって、(A,D)≠(4,2)です。

以上から、、(A,b,c,D,e,F,G,h,I,J,K)は、
(2,7,3,2,5,4,8,1,8,6,4)
となり、念のため、図2に計算式を示します。


▲図2.答えの計算式


掛け算で桁が上がらないことは厳しい制限になるので、それを利用すると絞り込みができます。覆面算を解く機会はあまりないでしょうが、頭にいれておくと役に立つこともあるかも知れません。

中学生でも解ける東大大学院入試問題(101)

2015-01-28 13:25:52 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

強い北風が吹いていて寒い日になりました。明日以降はもっと寒くなり、明後日は雪になるかもしれないようです。受験生の皆さんは暖かくして勉強してください。

さて、今回は平成25年度東大大学院新領域科学研究科海洋技術環境学の入試問題です。

問題は、
「23100枚の同じ大きさの正方形の板がある。これらをすべて使い、重ねることなく、隙間なく敷き詰めて、縦M枚、横N枚の長方形を作るものとする。長方形の縦の長さが、横の長さより大きく、横の長さの2倍より小さい場合、MとNの組み合わせをすべて求めよ。
(参考:√23100=151.9868...)」
です。

まず、問題に書かれている条件を立式しましょう。

MN=23100    (1) 
2N>M>N      (2)
(M、Nは正の整数)
です。

(1)を見ると素因数分解したくなるので、
MN=2^2×3×5^2×7×11  (3)   (2^2は2の2乗を表します)
として、(2)(3)でMまたはNを絞り込む方針でいきましょう。(但し、M、Nの因数をすべて書き出しても、3×2×3×2×2=72通りなのですべての場合を調べる方法もあります)

初めに、(2)にNを掛けて、
2N^2>MN>N^2
から、(3)を代入して、
2N^2>2^2×3×5^2×7×11>N^2   (4)
を得ます。

ここで、(4)の右側の不等式から、
N^2<2^2×3×5^2×7×11
で、問題にある(参考:√23100=151.9868...)を使って、
N≦151
となります。

次に、(4)の左側の不等式から、
2N^2>2^2×3×5^2×7×11
で、
√2N≧152
から
N≧108
です。

したがって、
108<N≦152    (5)
とNを絞り込むことができました。

あとは、23100の因数[2,2,3,5,5,7,11]を適当に組み合わせたNで(5)を満たすものを見つければOKです。

そこでNの因数の個数を調べてみましょう。

Nの因数が1個のとき、
2≦N≦11
なので、(5)を満たすNはありません。

Nの因数が2個のとき、
4≦N≦77
なので、(5)を満たすNはありません。

Nの因数が3個のとき、
12≦N≦385
なので、(5)を満たすNがある可能性があります。

Nの因数が4個のとき、
60≦N≦1925
なので、(5)を満たすNがある可能性があります。

Nの因数が5個のとき、
300≦N≦5775
なので、(5)を満たすNはありません。

Nの因数が6または7個のときは、それぞれ
2100≦N11550
および
N=23100
なので、(5)を満たすNはありません。

つまり、Nの因数は、3または4個となります。

そこで、まずNの因数が3個のときを調べます。

因数に11があるとき、(5)から
10≦N/11≦13   (6)
となり、残りの因数[2,2,3,5,5,7]のなかの2つの組み合わせで(6)を満たすのは、(2,5)の組み合わせだけで、Nは、2×5×11=110です。

次に、因数に7があるとき、(5)から
16≦N/7≦21    (7)
となり、残りの因数[2,2,3,5,5,11]のなかの2つの組み合わせで(7)を満たすものはありません。

因数に5、3または2があるときは、それぞれ
22≦N/5≦30  残りの因数[2,2,3,5,7,11]→(2,11)
36≦N/3≦50  残りの因数[2,2,5,5,7,11]→なし
54≦N/2≦76  残りの因数[2,3,5,5,7,11]→(5,11)
で、(5,2,11)(2,5,11)が条件を満たしますが、これらは前のNと同じです。

したがって、Nの因数が3個のとき、条件を満たすN(M)は、110(M=210)となります。

次にNの因数が4個のときを調べるのですが、その代わりにMの因数が3個のときを調べましょう。

(5)からMの変域は、
152≦M≦213   (8)
になります。

まず、Mの因数に11があるとき、(8)から
14≦M/11≦19   (9)
となり、残りの因数[2,2,3,5,5,7]のなかの2つの組み合わせで(9)を満たすのは、(2,7)と(3,5)の2組で、それぞれ、2×7×11=154、および、3×5×11=165 となります。

次に因数に7があるとき、(8)から
22≦M/7≦30    (10)
となり、残りの因数[2,2,3,5,5,11]のなかの2つの組み合わせで(10)を満たすのは、(2,11)(5,5)ですが、前者は前のMと同じなので、新たなMは、5×5×7=175 となります。

さらに因数に5、3または2があるとき、それぞれ、
31≦M/5≦42   残りの因数[2,2,3,5,7,11]→(3,11)(5,7)
51≦M/3≦71   残りの因数[2,2,5,5,7,11]→(5,11)
76≦M/2≦106  残りの因数[2,3,5,5,7,11]→(7,11) 
となりますが、これらはすべて前のMと同じです。

したがって、Mの因数が3個のとき、つまり、Nの因数が4個のとき、条件を満たすM(N)は、154(N=150)、165(N=140)、175(N=132)の3通りになります。

以上をまとめると、条件を満たすM、Nの組み合わせ(M,N)は、
(210,110)(175,132)(165,140)(154,150)の4通りで、これらの組み合わせが答えになります。

少し力ずくと言った感じがしますが、スマートな解答があれば教えてください。

中学生でも解ける東大大学院入試問題(100)

2015-01-27 12:59:38 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

雨の予報でしたが外れたようで、昨日と同様暖かくなりました。都立高校推薦入試の2日目で受験生にとっても良かったですね。

さて、今回は平成24年度東大大学院工学系研究科システム創成学の入試問題です。

問題は、
「A、B、Cの3人で試合を行う。1試合目は、A対Bで行い、次の試合からは、勝者が残りの1人と試合を行う。2回連続して勝てば優勝であり、誰かが優勝するまで繰り返す。A、B、Cのいずれも、各試合で勝つ確率が5割であるとする。

(1)4試合以内にAが優勝する確率を求めよ。
(2)Aが優勝する確率を求めよ。」
です。

大相撲などで行われる巴戦の問題です。例えば、3人で巴戦をした場合、各試合での勝つ確率が1/2のとき、計算上では、初めに待機した人が不利になることは有名な話です。

では、問題に取り掛かりましょう。

まず、(1)ですが、勝った人を順に並べ、最終的にAが優勝する場合を調べていきましょう。例えば、[ACB・・・]は、1試合目でAが勝ち、2試合目でC、3試合目でB、・・・、と勝ったことを示します。

1試合目はAとBが対戦するので、Aが勝つ場合とBが勝つ場合があり、それらで場合分けします。

(1試合目でAが勝つ場合)
Aが優勝するのは、
[AA] ←2試合目でAが優勝
[ACBAA] ←5試合目でAが優勝
[ACBACBAA] ←8試合目でAが優勝
[ACBACBACBAA] ←11試合目でAが優勝
・・・・・
です。

したがって、4試合以内にAが優勝するのは、[AA]のときだけで、その確率は、
(1/2)^2=1/4
になります。

(1試合目にBが勝つ場合)
Aが優勝するのは、
[BCAA] ←4試合目にAが優勝
[BCABCAA] ←7試合目にAが優勝
[BCABCABCAA] ←10試合目にAが優勝
[BCABCABCABCAA] ←13試合目にAが優勝
・・・・・
です。

したがって、4試合以内にAが優勝するのは、[BCAA]のときだけで、その確率は、
(1/2)^4=1/16
になります。

以上より、4試合以内にAが優勝する確率は、
1/4+1/16=5/16
になります。

これを樹形図を使って解く場合は、図のように優勝が決定するしないにかかわらずすべての場合を書き出します。


▲樹形図

樹形図から、2試合目までのすべての場合の数が4通りに対して、Aが連勝して優勝するのは1通りなので、2試合目でAが優勝する確率は1/4になります。

3試合目までのすべての場合の数は8通りですがAは連勝していないので、Aが優勝する確率は0/8になります。

4試合目までのすべての場合の数は16通りに対して、Aが連勝するのは3通りありますが、そのうち2通りは、それ以前にAまたはBが優勝してしまっているので、結局、4試合目でAが優勝する確率は、1/16になります。

したがって、4試合以内にAが優勝する確率は、
1/4+0/8+1/16=5/16
になります。

次に(2)です。

(1)の[  ]を眺めると、1試合目にAが勝ってAが優勝する場合は、[AA]以外は、ACBを何回か繰り返したあと、AAがきてAが優勝する経過を辿ります。

つまり、Aが優勝するのは、2、5、8、11、14試合目、・・・となり、Aが優勝する確率は、
(1/2)^2+(1/2)^5+(1/2)^8+(1/2)^11+(1/2)^14+・・・
となります。

ここで、
S=(1/2)^2+(1/2)^5+(1/2)^8+(1/2)^11+(1/2)^14+・・・
とすると、
(1/2)^3・S=(1/2)^5+(1/2)^8+(1/2)^11+(1/2)^14+・・・
で、
S-(1/2)^3・S=(1/2)^2
(1-(1/2)^3)S=(1/2)^2
7/8・S=1/4
S=2/7
になります。 (等比数列の和の公式を導く手順です。高校で勉強します)

一方、1試合目にBが勝ってAが優勝する場合は、BCAを何回か繰り返したあと、AがきてAが優勝する経過を辿ります。

つまり、Aが優勝するのは、4、7、10、13、16試合目、・・・となり、Aが優勝する確率は、
(1/2)^4+(1/2)^7+(1/2)^10+(1/2)^13+(1/2)^16+・・・
となります。

ここで、
T=(1/2)^4+(1/2)^7+(1/2)^10+(1/2)^13+(1/2)^16+・・・
とすると、上記と同じように、
T-(1/2)^3・T=(1/2)^4
7/8・T=1/16
T=1/14
になります。

したがって、Aが優勝する確率は、
S+T=2/7+1/14
   =5/14
になります。

因みに、Bの優勝確率はAと同じなので5/14となるので、Cの優勝確率は、
1-5/14-5/14=4/14=2/7
になります。

他にもいろいろな解法があるので興味のある方は調べてみてください。

中学生でも解ける東大大学院入試問題(99)

2015-01-26 12:20:36 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

今日から都立高校の推薦入試が始まりましたが、晴れて暖かい日になってよかったです。受験生の皆さんは頑張ってください。

さて、今回は平成23年度東大大学院新領域創成科学研究科海洋技術環境学の入試問題です。

問題は、
「45人の男女にアンケート調査を行った。そのうち、車を所有している者は17人、自転車を所有している者は、19人いた。また、車も自転車も所有していない者が15人いた。男性でかつ車も自転車も所有している者は4人いたが女性で車も自転車も所有していない者が7人いた。男性が所有する車と自転車の台数は、女性が所有する車と自転車の台数より10台多い時、男の人数を求めよ。ただし、車及び自転車をそれぞれ2台以上所有している者はいない。」
です。

このような問題を扱うには、図1のようなベン図を使いましょう。


▲図1.ベン図を描きました

図1のベン図から男性で車も自転車も所有していないのは8人と判ります。

また、車または自転車を所有しているのは、全員(45人)から車も自転車も所有していない人数(15人)を引いたもの、つまり、30人です。

さらに、車または自転車、またはその両方を所有しているのは、合わせて36人なので、その両方を所有しているのは、36人から車または自転車を所有している30人を引いたもので、それは6人になります。

そして、車と自転車の両方を所有している男性は4人なので、車と自転車を所有している女性は2人になります。

図2のベン図に、ここまでに判ったことを追記しました。


▲図2.新たに判ったことを追記したベン図

問題では男性の人数を問うているので、図2の情報を男女別に分けて表にすると良さそうです。車だけを所有する男性と女性の人数をそれぞれaとb、自転車だけを所有する男性と女性の人数をそれぞれcとdとして表を作ります。


▲表.男女別の表を作ります

あとはこの表に基づいて立てた式と残りの条件「男性が所有する車と自転車の台数は、女性が所有する車と自転車の台数より10台多い」を連立させて、男性の人数a+c+4+8を計算すればお仕舞いです。

まず、車だけ所有している人数は11人なので、
a+b=11      (1)
です。

自転車だけ所有している人数は13人なので、
c+d=13      (2)
です。

「男性が所有する車と自転車の台数は、女性が所有する車と自転車の台数より10台多い」から、
a+c+2×4=b+d+2×2+10
a-b+c-d=6   (3)
となります。

そこで、(1)+(2)より、
a+b+c+d=24  (4)
となり、(3)+(4)より、
2(a+c)=30
a+c=15      (5)
となります。

一方、
男性の人数=a+c+12
なので、(5)より、
男性の人数=15+12
     =27(人)
となり、これが答えになります。

小学校レベルの簡単な問題ですが、ベン図などの図表を使うとより簡単になります。面倒臭がらずに図表を書く習慣をつけましょう。

中学生でも解ける東大大学院入試問題(98)

2015-01-25 12:32:41 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

風がなく陽射しがあるので日向は暖かく過ごしやすい日になりました。しかし、明日から天気は下り坂で、週の後半は寒さが厳しくなるようです。受験生の皆さんは暖かくして頑張ってください。

さて、今回は平成24年度東大大学院工学系研究科システム創成学の入試問題です。

問題は、
「(n+2)!-n!が11^6で割り切れるような最小の自然数nを求めよ。」
です。 (11^6 は11の6乗を表します)

“!”(階乗)は高校で勉強する記号で、n!は、1からnまでの掛け算、つまり、
n!=n・(n-1)・(n-2)・・・・2・1
のことです。

すると、問題のなかの式は、
(n+2)!-n!=(n+2)(n+1)n!-n!
         =n1((n+2)(n+1)-1)
         =n!(n^2+3n+1)      
となり、n!(n^2+3n+1)が11^6で割り切れるような最小の自然数nを求めるということになります。

仮に、n^2+3n+1の因数に11がない場合、n!が11^6の倍数、つまり、因数として6個の11を持つことになります。

そこでまず、n!が11の因数を6個持ち、かつ、nが最小の自然数になる場合を調べます。

11は素数なので、n!が因数として11を6個持つのは、11、22、33、44、55、66を因数として持つ場合で、nが最小の自然数になるのは、n=66の場合です。

したがって、n!(n^2+3n+1)が11^6で割り切れる最小の自然数nは、n≦66であることが判りました。

次に、n^2+3n+1の因数に11がある場合を調べます。

まず、n≦66から、
n^2+3n+1≦66^2+3・66+1
       =4555
       <11^4
となり、仮に、n^2+3n+1に因数として11があったとしても、それは最大3個になります。

そこで、n^2+3n+1に因数として11が3個ある場合、すなわち、
n^2+3n+1=m・11^3
       =1331m  (mは自然数)   (1)
と表される場合を調べます。

この場合、n!にある因数11は3個(11、22、33の3個)になるので、
34≦n≦43     (2)
となります。

そこで、(1)(2)から、
1259≦1331m≦1979
となり、
m=1
となります。

これを(1)に代入すると、
n^2+3n+1=1331
で、これを整理して、
n^2+3n-1330=0    (3)
となります。

つまり、このnの2次方程式が自然数の解を持てば、n^2+3n+1は因数として11を3個持つことになります。

実際に(3)を解の公式を使って解くと、
n=(-3±√(3^2-4・(-1330))/2
 =(-3±73)/2
 =-38、35
で、n≧1なので、n=35となります。

すなわち、nが35のとき、n!は、11、22、33という3個の11の倍数を持ち、n^2+3n+1 は、1331=11^3 と因数11を3個持つので、n!(n^2+3n+1)は因数として11を6個、つまり、11^6で割り切れることになります。

以上より、求める答えはn=35となります。


もっとスマートな解法がありそうな気もするので考えてみます。興味のある方は考えてみてください。

中学生でも解ける東大大学院入試問題(97)

2015-01-24 13:11:42 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

朝は雲が多かったのですが昼過ぎから晴れてきました。少し寒く感じますが、明日は今日より気温が上がるようです。

さて、今回は平成22年度東大大学院新領域創成科学研究科海洋技術環境学の入試問題です。

問題は、
「1)円に内接する正三角形の全ての頂点を直線で結んで分割される円の領域の数を求めよ。
正方形、正五角形の場合も同様に求めよ。
2)円に内接する任意の六角形の全ての頂点を直線で結んで分割される領域の最大数を求めよ。」
です。

これはレオ・モーザーの円分割問題ですが、六角形程度であれば実際に図を描いて分割される領域を数えれば簡単です。図1から図4に正三角形、正方形、正五角形および六角形の場合を示します。


▲図1.正三角形の場合の分割数



▲図2.正方形の場合の分割数



▲図3.正五角形の場合の分割数



▲図4.六角形の場合の最大分割数


以上の4つの図から、
正三角形の場合⇒4
正方形の場合 ⇒8
正五角形の場合⇒16
六角形の場合 ⇒31
が答えになります。

ここで、正三角形、正方形、正五角形について、それらの頂点数をnとした場合、分割数snは、
sn=2^(n-1)   (1)   (2^(n-1) は2のn-1乗を表します)
となるので、六角形では(1)にn=6を代入し、
sn=32
としてしまいそうですが、これは間違いなので注意しましょう。

そこでn角形での最大分割数Snとnの関係を調べてみましょう。

弦同士がお互いに交わらない弦によって、円は(弦の数+1)個に分割され、弦同士が交点をもつ場合は、1交点につき分割数が1つ増加します。

つまり、最大分割数Snは、
Sn=(弦の数+1)+(交点の数)
になり、弦の数と交点の数をnで表せば出来上がりです。

そこでまず、弦の数については、n個の頂点から2点を選んで結んだ線分の数ですから、
nC2=n(n-1)/(2・1)
  =n(n-1)/2
です。(高校で勉強する組合せを使いました)

次に、交点の数については、n個の頂点から4点を選び2本の対角線を引くことで1個の頂点ができるので、
nC4=n(n-1)(n-2)(n-3)/(4・3・2・1)
  =n(n-1)(n-2)(n-3)/24
となります。

したがって、
Sn=n(n-1)/2+1+n(n-1)(n-2)(n-3)/24
  =(n^4-6n^3+23n^2-18n+24)/24
になります。

n=3、4、5、6で確かめてみると、
S3=4
S4=8
S5=16
S6=31
と図から求めた分割数と一致しました。

Snを求めるには、頂点がnからn+1に増えたときの分割数の増分Sn+1-Snを調べて漸化式を解く方法もあります。興味のある方は調べてみてください。

中学生でも解ける東大大学院入試問題(96)

2015-01-23 12:02:55 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

風があるのですが冷たい風ではなく気温も9℃と過ごしやすい日になりました。週末も暖かい日が続くようです。

さて、今回は平成26年度東大大学院工学系研究科システム創成学の入試問題です。

問題は、
「点A、Bはそれぞれ直線y=x、y=2x上にある。線分ABの長さが6であるとき、線分ABを2:1に内分する点Pの軌跡を表す方程式を求めよ。」
です。

図1にグラフを示します。点A、点Bおよび点Pの座標をそれぞれ、(x1,y1)、(x2,y2)、(x,y)としました。


図1.グラフを書きます

解答の方針は、次の3つの条件、
(あ)点A、点Bがそれぞれ直線y=x、y=2x上にあること
(い)線分ABの長さが6であること
(う)点Pは線分ABを2:1で内分する点であること
を使って、点P(x,y)の関係式を求めることになります。

まず、(あ)の条件から、
y1=x1    (1)
y2=2x2   (2)
なので、点A、Bの座標は、A(x1,x1)、B(x2,2x2)になります。

次に(い)の条件から、三平方の定理を使って、
(x2-x1)^2+(y2-y1)^2=6^2   (3)  (X^2はXの2乗を表します)
となり、(3)に(1)(2)を代入して、
(x2-x1)^2+(2x2-x1)^2=36  (4)
となります。

最後に(う)の条件から、
x=(x1+2x2)/3    (5)
y=(y1+2y2)/3    (6)
となり、(6)に(1)(2)を代入して、
y=(x1+4x2)/3    (7)
となります。

したがって、(4)(5)(7)を使って、xとyの関係式を求めることになります。
(x2-x1)^2+(2x2-x1)^2=36  (4)
x=(x1+2x2)/3           (5)
y=(x1+4x2)/3           (7)

ここでは、(5)(7)からx1、x2をxとyの式で表し、それを(4)に代入してxとyの関係式を導きましょう。

(5)(6)を、
3x=x1+2x2     (8)
3y=x1+4x2     (9)
と変形し、(8)×2-(9)、(8)-(9)から
x1=3(2x-y)     (10)
x2=3(-x+y)/2   (11)
を得ます。

続いて、(10)(11)から、
x2-x1 =3(-x+y)/2-3(2x-y)
     =-15x/2+9y/2        (12)
2x2-x1=3(-x+y)-3(2x-y)
     =-9x+6y            (13)
をつくり、これを(4)に代入して、
(-15x/2+9y/2)^2+(-9x+6y)^2=36
とし、これを整理して、
61x^2-78xy+25y^2=16       (14)
とxとyの関係式を求めることができました。

これが点Pの軌跡を表す方程式で答えになります。

この(14)の式は2次式で中学数学でもお馴染みの放物線やその他に双曲線、楕円などを表します。

2次式の一般形を
Ax^2+Bxy+Cy^2+Dx+Ey+F=0
とした場合、
AC-(B/2)^2>0 ⇒楕円
AC-(B/2)^2=0 ⇒放物線
AC-(B/2)^2<0 ⇒双曲線
と判別できます。

ここで、(14)を調べてみると、
61×25-(-78/2)^2=1525-1521
              =4>0
で楕円になることが判ります。

(14)はxとyの項がないので、x軸、y軸を適当量回転させるだけで単純な楕円の式を導くことができますが、これは大学で勉強する範囲なのでスキップして、ここでは(14)の楕円がどんなイメージかを調べてみます。

点Aが原点から遠くなると、点Aを中心にした半径6の円とy=2xの交点がなくなります。

そこで、点Aを中心にした半径6の円とy=2xが接する場合を調べることにします。

高校数学の範囲では、円の方程式とy=2xを使って2次方程式をつくり、これが重解を持つ条件で円の方程式を決定することができますが、ここでは円が直線と接するとき半径が接点で接線と直交することを使って接点を求めましょう。

y=2xに直交する直線y=-x/2+b、y=2x上の接点を(x2,2x2)とすると、
2x2=-x2/2+bより、
b=5x2/2
となり、y=2xに直交する直線は、
y=-x/2+5x2/2
となります。

この直線とy=xとの交点は、(5x2/3,5x2/3)で、接点からの長さが6なので、三平方の定理により、
(x2-5x2/3)^2+(2x2-5x2/3)^2=6^2
を導くことができます。

これを解くと、
x2=±18√5/5
で、
接点の座標は(±18√5/5,±36√5/5)
円の中心の座標は(±6√5,±6√5)
になります。

すると、円の中心と接点とを結ぶ線分を2:1に内分する点のx、y座標は、それぞれ、
(±6√5±36√5/5)/3=±22√5/5
(±6√5±72√5/5)/3=±34√5/5
になります。

つまり、(22√5/5,34√5/5)と(-22√5/5、-34√5/5)が楕円の長径の両端になります。正確ではありませんが図2に(14)の楕円のイメージを示します。


▲図2.答えの楕円のイメージ図


放物線、双曲線や楕円などの2次曲線はたいへん面白いので調べてみるとよいでしょう。

中学生でも解ける東大大学院入試問題(95)

2015-01-22 13:15:55 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

昨日と同様、雨が降り寒い日になりました。明日から天気は回復し、少し暖かくなるようです。受験生の皆さんは暖かくして勉強してください。

さて、今回は平成24年度東大大学院工学系研究科システム創成学の入試問題です。

問題は、
「6^2011を100で割った余りを求めよ。」
です。(6^2011 は6の2011乗を表します)

よく目にする問題で、累乗数の余りは必ず循環することを思い出せば簡単です。

実際に6^1、6^2、6^3、・・・の100で割った余りを計算してみましょう。

6^1÷100=0     ・・・ 6
6^2÷100=0     ・・・36
6^3÷100=2     ・・・16
6^4÷100=12    ・・・96
6^5÷100=77    ・・・76
6^6÷100=466   ・・・56
6^7÷100=2799  ・・・36
6^8÷100=16796 ・・・16
6^9÷100=100776・・・96
・・・
と余りが36→16→96→76→56→36→・・・と循環しています。

つまり、指数が2以上のとき、6^5n、6^(5n+1)、6^(5n+2)、6^(5n+3)および6^(5n+4)を100で割った余りは、それぞれ、76、56、36、16、96 となります。

あとは、指数の2011を5n+pで表したときのpを求めればOKで、それは、
2011=5×402+1
なので、p=1となります。

つまり、6^2011を100で割った余りは、6^6を100で割った余りと等しく56で、これが答えです。

この種類の問題は、上記のように累乗数の余りを実際に書き出して周期性を調べる方法や合同式、二項定理を使う方法があります。合同式は旧教育課程では扱わなかったのですが、新教育課程では「整数の性質」に登場します。興味のある人は調べてみてください。

中学生でも解ける東大大学院入試問題(94)

2015-01-21 11:35:31 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

外気温が3℃で雪が降っています。インフルエンザで学級閉鎖も増えているようです。寒い日は暖かくして勉強しましょう。

さて、今回は平成23年度東大大学院新領域創成科学研究科海洋技術環境学の入試問題です。

問題は、
「黒い球と白い球が合計5個、左から右に一列に並んでいる。
黒い球同士は隣り合って並んでいない。
黒と白の配列は非対称になっている。
黒い球に-1点、白い球に+1点を与え、奇数番目の球の点数の合計から偶数番目の球の点数の合計を引くと1点になる。
以上の条件を満たす球の色の配列をすべて示せ。」
です。

黒または白の球を5個並べるわけですから、その配列の場合の数は、2×2×2×2×2=32通りで、この程度の樹形図ならそれほど手間なく書くことができます。

その樹形図を見ながら、与えられた3つの条件に合致するか否かを調べれば正解できます。

ところが、7個の球を並べるとすると、その配列の場合の数は128通りになり、樹形図を書くのは大変そうです。

と言うことで、ここでは樹形図を使わずに解いてみましょう。

まず、与えられた3つの条件を使って、黒球と白球の個数を絞り込みます。

1番目の条件「黒い球同士は隣り合って並んでいない」から導きだせる必要条件は、「5個の球の内、黒球は3個以下」ということでしょう。

2番目の条件「黒と白の配列は非対称になっている」から導きだせる必要条件は、「5個全部黒球または白球ではない」ということでしょう。

この2つの必要条件から、黒球の個数が1、2または3個と絞り込み、さらに場合分けして調べていってもOKですが、それより残りの3番目の条件が一番厳しそうなので、それを使うのが良さそうです。

そこで、3番目の条件を使うため、奇数番目が白球3個、白球2個黒球1個、白球1個黒球2個、黒球3個、偶数番目が白球2個、白球1個黒球1個、黒球2個 とした場合の(奇数番目の合計点数-偶数番目の合計点数)を計算してみます。その結果を表1に示します。


▲表1.3番目の条件

表1から(奇数番目の合計点数-偶数番目の合計点数)=+1 となるのは、
(1)奇数番目:白球3個、偶数番目:白球2個
(2)奇数番目:白球2個黒球1個、偶数番目:白球1個黒球1個
(3)奇数番目:白球1個黒球2個、偶数番目:黒球2個
の3つの場合であることが判ります。

ところが(1)は2番目の条件「黒と白の配列は非対称になっている」に反するので不適となり、(3)は1番目の条件「黒い球同士は隣り合って並んでいない」に反するので、これも不適となります。

そこで残った(2)をさらに調べていきましょう。

まず2番目の条件については、偶数番目に白球と黒球を割り当てるのですからその配列は非対称になり、2番目の条件はクリアします。

次に1番目の条件については、中央(左から3番目)に黒球があった場合、2番目または4番目に黒球が割り当てられるので不適です。

さらに奇数番目の黒球が1番目にあるとき偶数番目の黒球は4番目、奇数番目の黒球が5番目にあるとき偶数番目の黒球は2番目になります。

以上をまとめると、
●○○●●
○●○○●
の配列が答えになります。

ついでに球が7個の場合を調べてみましょう。先程と同様、表2をつくりました。


▲表2.球が7個の場合

表2から(奇数番目の合計点数-偶数番目の合計点数)=+1 となるのは、
(4)奇数番目:白球4個、偶数番目:白球3個
(5)奇数番目:白球3個黒球1個、偶数番目:白球2個黒球1個
(6)奇数番目:白球2個黒球2個、偶数番目:白球1個黒球2個
(7)奇数番目:白球1個黒球3個、偶数番目:黒球3個
の4つの場合ですが、(4)は2番目の条件、(6)(7)は1番目の条件に反するので、残りは(5)になります。

(5)では、奇数番目と偶数番目に黒球を1個ずつ割り当てるので2番目の条件はクリアします。

そこで、1番目の条件に注意して配列をつくると、
●○○●○○○
●○○○○●○
○○●○○●○
○●○○●○○
○●○○○○●
○○○●○○●
の6つの配列が答えになります。

都立高校入試の「場合の数・確率」の問題では、大きな樹形図にはならないので、抜けがないようにしっかり樹形図を書くようにしましょう。さらに、数学好きの人は樹形図を使わない絞り込み方法を考えてみると面白いと思います。

中学生でも解ける東大大学院入試問題(93)

2015-01-20 11:34:14 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

少し風がありますが気温は9℃と過ごしやすい日になりました。しかし、明日から天気が崩れるようです。受験生の皆さんは最後の一踏ん張りです。頑張ってください。

さて、今回は平成24年度東大大学院工学系研究科システム創成学の入試問題です。

問題は、
「下図には“BORROW OR ROB”という文を綴るための文字が並んでいる。文字列を1文字ずつ順に進んでこの文を綴る異なる方法は何通りあるか。ただし、進み方は上下左右のみであり、斜めには進めない。」


▲問題図
です。

少し問題の意味が掴み難いかもしれませんが、そんなときには実際に鉛筆で図をなぞってみましょう。2、3例やってみると、問題のポイントがはっきりすることがあります。

この問題で実際に“BORROW OR ROB”をなぞってみると、“B”は図の最外周部だけにあって、一方、“W”が図の中心に一つしかないので、最外周部のいずれかの“B”から出発し図の中心に向かって移動して“BORROW”を綴ることが判ります。

またそれと反対に、後半の“OR ROB”は、中心の“W”から出発して最外周部のいずれかの“B”に向かって移動することになります。

次に最外周部の“B”から中心の“W”への移動の仕方を調べてみましょう。

図1のように図の左上側の“B”から出発する場合、右または下への移動は可能ですが、左および上への移動はできません。


▲図1.“B”から“W”への移動

これは、左上側以外の“B”から出発する場合にも同様で、出発位置と可能な移動方向の関係は次のようになります。
右上側→左または下
左下側→右または上、
右下側→左または上、
真上 →下
真下 →上
真左 →右
真右 →左

これらのことから本問は、図2のような格子経路での最短経路数を求めるものと判ります。


▲図2.3×3格子経路の最短経路数

そこで、格子経路の最短経路数について簡単な例で調べてみましょう。

図2は、SからGに向かって移動する例で、全ての格子点にSからの最短経路数が示してあります。

例えば、Gに到着する直前は、一番右で上から2番目の格子点または右から2番目で一番上の格子点にいる必要がありますが、それらの格子点までのSからの最短経路数はどちらも10通りなので、SからGまでの最短経路数は10+10=20通りになります。

これは、次のように求めることもできます。

まず、右への移動を「→」、上への移動を「↑」とすれば、SからGまで移動するために3個の「→」と3個の「↑」が必要で、最短経路数はその並べ方の場合の数になります。

そこで、3個の「→」を1列に並べ、その両端を含む4つの間隔に、「↑」を割り当てることを考えます。

このとき、
(1)3個の「↑」を1つのグループとする場合
(2)2個の「↑」と1個の「↑」の2つのグループとする場合
(3)1個の「↑」で3つのグループとする場合
の3種類に場合分けします。

(1)の場合、「→」が並んだ列で割り当てることができるのは4ヶ所なので4通りです。

(2)の場合、2個の「↑」のグループを割り当てることができるのは4通りで、続いて1個の「↑」を割り当てることができるのは3通りになるので、4×3=12通りになります。

(3)の場合、4ヶ所の割り当て可能な場所で、「↑」を割り当てない場所を決めることと同じなので4通りになります。

これらの(1)(2)(3)の場合を合計して、
4+12+4=20通り
と計算することができます。

さらに、高校で勉強する「同じものを含む順列」を使うと簡単に計算することができます。

前と同じように、右への移動を「→」、上への移動を「↑」とすれば、SからGへの最短経路数は、「→」を3個と「↑」を3個を1列に並べる順列に等しくなり、それは、
6!/(3!・3!)=6・5・4・3・2・1/(3・2・1・3・2・1)=20通り
と計算できます。

では、そろそろ本問に戻りましょう。

まず、“B”から“W”に移動する経路は、問題図を図3のように4つに分けて、その一つについての経路を4倍して求めましょう。


▲図3.4つに分けます

ここでは、左上側の赤色部分の経路を調べます。「→」を右移動、「↓」を下移動とします。

真上の“B”から“W”へは、5個の「↓」を並べる場合の数なので、1通りです。

1つ左の“B”からは、4個の「↓」と1個の「→」を並べる場合の数なので、5通りです。

2つ左の“B”からは、3個の「↓」と2個の「→」を並べる場合の数なので、10通りです。

3つ左の“B”からは、2個の「↓」と3個の「→」を並べる場合の数なので、10通りです。

4つ左の“B”からは、1個の「↓」と4個の「→」を並べる場合の数なので、5通りです。

以上を合計すると、左上側の(赤色部分の)“B”から出発して中心の“W”に移動する経路数は、
1+5+10+10+5=31通り
です。

したがって、全領域からの経路数は、
31×4=124通り
になります。

次に、中心の“W”から最外周の“B”に移動する経路数は、その逆の最外周の“B”から中心の“W”に移動する経路数と等しいので、124通りになります。

したがって、求めるべき“BORROW OR ROB”を綴る方法は、
124×124=15376通り
で、これが答えになります。

問題の意味が掴み難いときには、具体例を当てはめてみて問題を理解することが有効なので実践するとよいでしょう。

中学生でも解ける東大大学院入試問題(92)

2015-01-19 12:18:14 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

昨夜は息子と夕食(ほとんど飲んでいましたが)に出てしまったので、楽しみにしているNHK大河ドラマ「花燃ゆ」を観ることができませんでした。録画してあるので早めに観たいと思います。出足から低視聴率で第2回放送でもさらに下がりましたが、昨夜の第3回放送では少し持ち直したようで良かったです。

さて、今回は平成24年度東大大学院工学系研究科システム創成学の入試問題です。

問題は、
「最初、テーブルの上にトランプのカード52枚が全て裏向けにして一列に並べられていた。1人目がやってきて、全てのカードを表にして行った。2人目がやってきて、左から偶数枚目のカードを全てひっくり返して行った。3人目がやってきて、左から3枚目、6枚目、9枚目、・・・と3枚おきにカードをひっくり返して行った。N人目がやってきて、左からN枚目ごとのカードをひっくり返して行った。最後に52人目がやってきて、右端のカードをひっくり返して行った。52人目が行ってしまった後、表を向いているカードは何枚あるか。」
です。

算数、数学の問題を解く上で図表を描いてみることは大切です。そこで次の表を作りました。


▲問題の操作を表にしました

この表から52名の人が自分の順番の倍数となるカードをひっくり返して行くことが判ります。

そして、あるカードが何回ひっくり返されたかでそのカードの最終的な表裏が決まりますが、初めは全て裏向けだったので、奇数回ひっくり返されたカードが表向きになることが判ります。

つまり、1から52までの自然数について、約数の個数が奇数個持つものがいくつあるかを調べればよいことが判ります。

ここまでくればあとは簡単で、1から52までの自然数の約数を数え上げてもOKですし、少しい工夫するのも良いでしょう。

但し、カードが1000枚とか多い場合には数え上げるのは一仕事なので、ここでは少し工夫して調べていきましょう。

まず、自然数と約数の個数の関係を思い出しましょう。

ある自然数nを素因数分解して、
n=a^p・b^q・・・c^r
と表すと、nの約数の個数mは、
m=(p+1)(q+1)・・・(r+1)
になります。

ここで、もしp、q、・・・、rが全て偶数であれば、p+1、q+1、・・・、r+1は全て奇数になるので、mは奇数になります。(もし、p、q、・・・、rのいずれか一つでも奇数であれば、mは偶数になります)

これを手掛かりにして調べていきます。

n(1≦n≦52、nは自然数)を素因数分解して、
n=a^p・b^q・・・c^r     (1)
と表すことができるとすると、
p、q、・・・、rが全て偶数のとき、nの約数は奇数個となります。

そこで、p=2p'、q=2q'、・・・、r=2r' (p'、q'、・・・、r'は自然数)
とおき、(1)に代入すると、
n=a^2p'・b^2q'・・・c^2r'
 =(a^p'・b^q’・・・c^r')^2
となり、これはnが平方数であることを表します。

したがって、1から52までの自然数のうち、平方数であるものの個数を調べればOKで、それは、1、4、9、16、25、36、49の7個ですから、答えは7枚になります。


繰り返しになりますが、算数、数学の問題を解くときは、図表を使って考えることが大切なので、面倒臭がらず図表を描く習慣を身につけましょう。

中学生でも解ける東大大学院入試問題(91)

2015-01-18 12:22:44 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

近くの地域センターで餅つきがあるようで臼などが置いてありました。底冷えする寒い日ですが、餅つきすれば直ぐに温まるでしょうから、今日は餅つき日和でしょう。

さて、今回は平成23年度東大大学院新領域創成科学研究科海洋技術環境学の入試問題です。

問題は、
「1から9まで書かれたカードがN枚ずつ、合計9N枚ある。ただしNは1以上の整数である。任意に2枚抜き出したカードに書かれた数字の合計が10になる確率を求めよ。」
です。

確率の問題です。場合の数・確率の問題は樹形図を描いて対応できますが、本問ではカードの枚数が9N枚と変数になっているので、樹形図に描ききることができません。そのため“・・・”などを使って表すのですが、今回は、確率の加法・乗法定理を使いましょう。

まず、1から9までの数字で2つの組合せが10になる組合せは、1と9、2と8、3と7、4と6、5と5、6と4、7と3、8と2、9と1です。

ここで注意したいのは、5と5の組合せで、例えば、N=1の場合、抜き出した2枚のカードの両方に5が書かれていることはないということです。

と言うことで、N=1とN≧2に場合分けして調べていきましょう。

(1)N=1の場合
例えば、1枚目のカードが1のとき2枚目のカードが9であれば、和が10になります。さらに、和が10となる組合せは8通りあるので、求める確率は、
(1/9・1/8)・8=1/9
です。

(2)N≧2の場合
1枚目のカードが1である確率は、
N/9N=1/9
で、
2枚目のカードが9である確率は、
N/(9N-1)
です。

つまり、1枚目カードが1で2枚目カードが9である確率は、
1/9・N/(9N-1)=N/9(9N-1)
になります。

1枚目と2枚目のカードの数字が、2と8、3と7、4と6、6と4、7と3、8と2、9と1の場合も同様なので、5以外の数字で、1枚目と2枚目のカードの数字の和が10となる確率は、
N/9(9N-1)・8=8N/9(9N-1)   (1)   
となります。

一方、1枚目のカードが5である確率は、
N/9N=1/9
で、
2枚目のカードも5である確率は、
(N-1)/(9N-1)
です。

つまり、1枚目と2枚目のカードが両方5である確率は、
1/9・(N-1)/(9N-1)=(N-1)/9(9N-1)  (2)
となります。

以上より、求める確率は(1)と(2)の和なので、
8N/9(9N-1)+(N-1)/9(9N-1)
=(9N-1)/9(9N-1)
=1/9
となります。

以上の結果をまとめると、N=1の場合でも、N≧2の場合でも、求める確率は1/9となります。

蛇足になりますが、(1)(2)を変形してそれらの極限を調べると、Nが大きくなると、5以外の数字で、1枚目と2枚目のカードの数字の和が10になる確率は小さくなり、1枚目と2枚目のカードの数字が両方5で和が10になる確率は大きくなることが判ります。

さらに、それらの和は、Nに依存せず、1/9と一定というのですから面白いものです。

今年の都立高校入試の大問1の小問7は、「資料の整理」から出題されるのか、「場合の数・確率」から出題されるのか判りませんが、これらの単元に自信のない受験生はしっかり見直ししておきましょう。 

中学生でも解ける東大大学院入試問題(90)

2015-01-17 13:00:19 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

気温は11℃なのですが風があるので寒く感じます。センター試験が始まり本格的な入試シーズンに突入です。中学、高校、大学受験生の皆さん、体調に気をつけて頑張ってください。

さて、今回は平成22年度東大大学院新領域創成科学研究科海洋技術環境学の入試問題です。

問題は、
「濃度の異なる3種類食塩水A、B、CがそれぞれXグラムある。食塩水Aの初期濃度a、食塩水Bの初期濃度b、食塩水Cの初期濃度cの関係は、0<a-b=b-cである。各食塩水からYグラムずつ同時に取り、食塩水Aから取った食塩水を食塩水Bのところに、食塩水Bから取った食塩水を食塩水Cのところに、食塩水Cから取った食塩水を食塩水Aのところに入れ混ぜる。この交換作業を2回繰り返した後、食塩水Bと食塩水Cの濃度が等しくなる場合のXとYとの関係を求めなさい。」
です。

中学入試で頻出の食塩水問題です。問題文は長いですが内容は簡単で、図1のように、3種類の食塩水においてバケツリレーのようにYグラムの食塩水を隣の食塩水に2回移したところ、2つの濃度が等しくなったということです。これは、1回目の交換作業後の濃度を求めれば簡単に立式することができます。


▲図1.交換作業

まず初めに、食塩水問題で定番の表1を作りましょう。この表1の空欄を埋めれば、ほとんどお仕舞いです。


▲表1.食塩の質量と濃度

では早速、表1を完成させましょう。

まず1回目の交換作業で、食塩水Aの食塩質量は、aY(g)減ってcY(g)増えるので、
aX-aY+cY=a(X-Y)+cY(g)
になります。

そして、濃度は、
(a(X-Y)+cY)/X
です。

同様に、食塩水B、Cについても、
[食塩水B]
食塩質量:b(X-Y)+aY(g)
濃度  :(b(X-Y)+aY)/X

[食塩水C]
食塩質量:c(X-Y)+bY(g)
濃度  :(c(X-Y)+bY)/X
となります。

これらを表2に書き入れます。


▲表2.1回目交換作業終了時の結果

続いて2回目の交換作業です。(少し式が長くなります)

食塩水Aの食塩質量は、(a(X-Y)+cY)/X・Y(g)減って、
(c(X-Y)+bY)/X・Y(g)増えるので、
a(X-Y)+cY-(a(X-Y)+c)/X・Y+(c(X-Y)+bY)/X・Y(g)
になります。

同様に、食塩水B、Cの食塩質量についてもそれぞれ、
b(X-Y)+aY-(b(X-Y)+aY)/X・Y+(a(X-Y)+cY)/X・Y(g)
c(X-Y)+bY-(c(X-Y)+bY)/X・Y+(b(X-Y)+aY)/X・Y(g)
となります。

これらを表3に書き入れます。


▲表3.2回目交換作業終了時の結果

2回目の交換作業後、食塩水Bと食塩水Cの濃度が等しくなったのですから、それらの食塩質量が等しくなります。(食塩水質量はどちらもX(g)なので)

つまり、
b(X-Y)+aY-(b(X-Y)+aY)/X・Y+(a(X-Y)+cY)/X・Y
=c(X-Y)+bY-(c(X-Y)+bY)/X・Y+(b(X-Y)+aY)/X・Y
が成り立ちます。

あとは、この式と問題にあるa-b=b-cを使って、XとYの関係も求めれば出来上がりです。

食塩質量の式の両辺にXを掛けて整理すると、
b(X-Y)X+aXY-b(X-Y)Y-aY^2+a(X-Y)Y+cY^2
=c(X-Y)X+bXY-c(X-Y)Y-bY^2+b(X-Y)Y+aY^2

bX^2-bXY+aXY-bXY+bY^2-aY^2+aXY-aY^2+cY^2
=cX^2-cXY+bXY-cXY+cY^2-bY^2+bXY-bY^2+aY^2

(b-c)X^2+2(a-2b+c)XY-3(a-b)Y^2=0
となり、a-b=b-c(⇒2b=a+c)を代入して、
X^2=3Y^2
となり、したがって、
X=√3Y
となります。

途中の計算が煩雑でしたが、食塩水問題の基本は食塩の質量と食塩水の質量に分けて調べることです。そのとき表を使うと判りやすくなるので図表を活用しましょう。