上砂理佳のうぐいす日記

銀座中央ギャラリー「10×10版画展」は無事終了。お越しいただいた皆様、ありがとうございました★

版画展会合に行く。が…

2005-06-28 | うぐいすとお仕事
最近、「自分のことばかりしゃべる人」って急増してんじゃないだろうか。
私は絵の仕事をしてるせいか、その類の人と知り合う事が多い。「私が」「私が」という人。閉口する。話をしても、目の前の相手が何をする人で、何を考えて生きてるか、なんて事はお構い無しである。興味を示さない。とかく「自分は~」話に持っていこうとする。
「私は正しい」…として譲らないから、相手の出す別意見に「ああ、それもいいですね」と共感する事がない。一方が折れなければ、もう一方が折れるしか打開策は無い。それで、私はいつも「折れるほう」に回る。あるいは、その場を去る。
ご近所同士の立ち話や遊びの場なら、それでも構わないが、一緒に仕事をする段になると、それはかなり苦しい事になる…というわけで、私はずっとモンモンとしているのです。

先週、来春に京都で行われる「女流版画四人展」の会合に行った。
これは、先輩画家のKさんが企画して誘ってくれたもの。Kさんと私以外のメンバーは、同じ銅版画家のUさんとYさんである。お二人とも私より一回り年上でキャリアもある。私は、雑誌やネットで版画を見ていて「素敵だなあ~」と思っていた。そんな人達と一緒に展覧会をやれることに、とまどいと誇らしい気持ちの両方もあった。が、誘ってくれたKさんは気さくな人で「年上だとか実績とか、関係ないんちゃう?」と言ってくれてたので、かなり気楽になって京都まで出かけたのだった。
初対面で「お名刺交換」「ごあいさつ」までは良かった。会場となる三条河原町の画廊もオーナーさんも素敵だった。ところが…。
会合場所をホテルラウンンジに移しのだが、な~んとなくムードが固い。Kさん以外の2人は、どうも私の画風やキャリアは知らないみたいである。Kさんに「自分の絵を見せたら?」とうながされ、個展のDMやらカードを見せる。通常はここで「まあ、こういう絵を描いてらっしゃるんですかー。○○ね」という反応が返ってくる。社交辞令でも。ホンネでも。ところが絵を見せても、UさんとYさんは「ひたすら沈黙」なのである。反応無し(!)
Yさんはさっきからチラチラと腕時計ばかり気にしてる。携帯のメールは鳴りっぱなし(私は、会合のテーブルに、自分の携帯電話をデンと置く人間が大ッキライ)。「超・急いでるYさん」を優先して、Yさんのご意見を聞く。自己紹介をしようとしていた私は、あわわ…と引っ込める。Yさんは早口で、「言うだけ言って」走って帰って行った。
場所を、ホテルラウンジから居酒屋に移す。
KさんとUさんは、最近の各自の仕事の話で盛り上がる。特にKさんは、先月初めて東京の有名画廊に売り込みに行ったので、口からアワを飛ばさんばかりの興奮状態だ。私は「はあ。はあ」と丁重に頷きビールを飲む。
待てど暮らせど「○○さん(私の本名)の仕事はどう?」と、話を振ってくれる気配は無く、Uさんは私と目すら合わせない。Kさんと共通の話題か「自分の仕事話・苦労話」に終始している。私は横で頷くばかり。いくら「私も、こないだこういう事がありまして~」と入っていっても、アッという間に違う話に持っていかれる。段段わかってきた…。私は「歓迎されてない」のである。あきらかに。
Uさんは、私がまだ学生だった時に、イラスト雑誌に若手ホープとして掲載されていた。その版画はとても美しく優しく、女性的なイメージだった。それから○○年を経て、作者御本人と一緒に版画展が出来る、という運びになった。それは私にとって「夢々しいこと」であっても、Uさんにとっては「別にどーでもいいこと」なのだろう。Uさんは出版の仕事も多く手がけていて、版画界の有名人でもある。私はそんな知名度も無いし、いわば「格下」なのである。
私がUさんのファンでいても、Uさんが私の絵のファンになってくれるとは限らない。それは理解出来るが、見下されている、ということを知るのはとてもツライ。私自身や私の作品に(たとえ義理でも)興味を示して貰えない、という事はショックだった。一応、もう10年以上コレで生活してきている以上、私にもささやかなプライドがあったのだが、そんな事は露知らず、といった風情だった。
Uさんの「自分話」はえんえんと続いた…。

疲労して帰宅。丸一日考えて、翌々日、誘ってくれたKさんに「Uさん・Yさんと気が合わない。一緒に企画展をする話から降りたい」と言った。Kさんは驚いていた。
「画家って皆、自分が一番って思ってるからさー。気にしないほうがいいよ。仲良くなくても一緒に仕事する例だって、た~くさんあるんやし」と諭されるが納得がいかない。
性格が合わなくても、お互いの仕事(絵)に尊敬の念を抱いていなければ、企画を一緒にやる、ということは不可能だ。相手の良いトコロを認めていなければ、得られるものなど何も無い。それは私の直感だ。が、
「いつも、仲良しな人とばかり仕事しないでさー。たまにはケンカしながらやってみたらー?自分のフトコロが大きくなるかもよ」というKさんの助言もまた正解かも。そこから私は反論できず、電話を切った。
私はへこむ。どうしようかな…とずっとずっと思っている。
コメント (5)
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