９時、起床。
トーストとサラダの朝食。
１０時に家を出て、大学へ。
春一番が吹いている。ただでさえ風の強い工学院通りには、歩くのも難儀なほどの強風が吹いている。係員が立って、多少とも風の弱い呑川沿いの道へ自転車に乗った人を誘導している。
放送大学の坂井先生が研究室にやってくる。すぐに食事に出るつもりでいたら、坂井先生がいま執筆中の放送大学のテキストの資料を机の上に広げられたので、お土産にいただいたパンをつまみながら、１時間ほどディスカッション。坂井先生はこのところずっと自宅に引きこもってテキストの執筆をしているそうである。仕事中毒の気配が濃厚である。
さしあたりの用件が済んだところで、「SKIPA」に昼食を食べに行く。本日の定食は鶏団子のカレースープ煮。
先日頂戴した『社会的協力論』は「協力」という社会的行為をめぐる考察であったが、「協力」と近いところに、私がいま関心をもっている「社交」という社会的行為がある。２０１５年度の開講に向けて準備を始めている講義「現代人とライフスタイル」ではこの「社交」というものがキーワードになっている。『社会的協力論』が「社交」という領域にきわめて近いところまで接近しながら、「社交」という言葉は一度も登場しない（と思う）のはなぜなのか尋ねたことろ、坂井先生がいうには、「実は、「社交」をめぐっては別のテキストで取り上げようかと構想中なので、意図的に触れなかったのです」とおっしゃったのでびっくりた。そうでしたか、坂井先生も「社交」に狙いを定めているのですか。というわけで、しばし「社交」をめぐるおしゃべりが展開することになった。おしゃべりそのものがすでに「社交」であるわけだが、「社交」という主題をめぐるおしゃべりは、二重の意味で社交的である。
コーヒーを飲むために隣の「トンボロ」に移る。坂井先生は香りと酸味のブレンドＡを、私はこくと苦味のブレンドBを注文する。マスターがコーヒーを運んできたとき、二人のカップと皿は同じ柄のものだったので、「どちらがAでどちらがＢか間違ったりしませんか？」と尋ねたところ、「実は、スプーンが違うのです」とのことだった。なるほど！手品の種明かしをしてもらったような気がした。
坂井先生はチーズケーキを、私はスイーツの代わりにクロックムッシュを注文。
坂井先生は何度か「トンボロ」にはいらしているという。それも木曜日に。えっ？木曜日？ 木曜日は定休日で、何かの勘違いではありませんか。いや、木曜日でしたという。確かめたら、驚いたことに、三男の方が「夜トンボロ」を始められてから、木曜日も夕方（４時くらい）から「トンボロ」はやっているのだという。そうだったのか、知らなかった。ちなみに「夜トンボロ」は日曜日が定休日とのこと。
坂井先生は５時に大手町で息子さんと待ち合わせているというので、それまでの時間、「トンボロ」でおしゃべりを続けた。
「トンボロ」を出て、神楽坂の駅へ向かって歩きながら、「社交」についての論文を共同で書きませんかと坂井先生が提案される。往復書簡スタイルの論文（エッセー）なんかどうでしょうと私の方からも提案する。とりあえず、社交の社会学的考察の古典であるジンメルの社交論を対話の糸口にしましょうか。
坂井先生とは大手町のホームで別れる。
大井町で途中下車して、「pottery」へ寄って行くことにする。
改札口や駅前のビルの壁面に都立小山台高校の甲子園出場を祝う幕が張られている。大井町は品川区なんだね。品川区にある他の駅にも出ているのだろうか？
堤の上の道を歩く。この前、「pottery」のマダムｊに聞いたことろでは、この道に特別な名称は付いていないようである。
「pottery」に着いたのは６時ちょっと前。先客はいなかった。ホットチョコレートを注文し、食器棚の写真を撮らせていただく。
ホットチョコレートは、ココアに似ているが、ココアがココアパウダーから作るのに対して、ホットチョコレートはチョコレートを溶かして作る。ココアを出すカフェは多いが、ホットチョコレートを出すカフェは少ない。
「pottery」は今月の２３日で、開業２５周年を迎えるのであるが、その日は日曜日で、定休日である。「これまで〇〇周年ということで何かしたことはないんです」とマダム。淡々と日々の仕事をして２５年。３月２３日はその中の一日に過ぎないというわけですか。それもいいですね。
閉店の６時半までおしゃべりをして、本日最後の客として店を出た。
