フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

9月25日(月) 晴れ

2017-09-26 10:27:02 | Weblog

8時半、起床。

トースト、サラダ、牛乳、紅茶の朝食。

いよいよ『ひよっこ』も最終週である。週のテーマは「グッバイ、ナミダクン」。坂本九のヒット曲「涙くんさよなら」だ。予告編では「家族そろって歌合戦」に谷田部の一家が出演するようなので、たぶんそこで歌われるのだろう。♪涙くんさよなら さよなら涙くん また逢う日まで。

今日の『ひよっこ』は、前菜にあたるのが、「すずふり亭」でのヒデと元治による新メニュー(スコッチエッグ)とみね子考案の新しい制服のお披露目、そしてメインディスは、安倍米店での三男と米子のカップル誕生である。

「返事を聞かせてほしい」という米子に、三男は「僕でよかったら」と答える。米子から好意をもたれ、米子の父親から期待され、自分は幸せ者だ、その好意や期待に応えたいと三男は言う。普通であれば、女性が言いそうなことを、三男は言う。1960年代といえば、まだまだ「男らしさ」が跋扈していた時代であるが、若者が歌うフォークソングには「やさしさ」というキーワードが登場してくる時代でもあった。三男はやさしい男のさきがけである。

その三男が米子と恋人になるにあたって1つだけ条件をつけた。「家族(米子と父親)が仲よくすること」である。ここで思い出すのは、みね子が純一郎との別れの場面で口にした、「私は親不孝な人は嫌いです」という言葉だ。われわれの社会は愛情至上主義社会であると同時に、家族中心(大切)主義社会である。愛情至上主義と家族中心主義は、家族(家庭)を愛情の場所と考えることでつながっている。家族が愛情を媒介とした相互作用を行う場所、それが家庭であり、したがって家庭は暖かな、心安らぐ場所である(あるべき)とする考え方である。1960年代はこうした考え方のピークの時代であった。

それがオイルショック(1973)=高度経済成長の終焉以降、徐々に崩れていく。家庭は単純に愛情の場所ではなく、むしろ愛憎の場所であり、したがって幸福の物語の舞台ともなりえるが、不幸の物語の舞台にも容易に反転する。山田太一は『それぞれの秋』(1973)や『岸辺のアルバム』(1977)でそうした家族のドラマを描いた。大学生のときにそれを観た私はその新鮮さに魅了された。岡田恵和は中高生のときにそうした山田のドラマを観ていた。彼の初のオリジナル脚本作品『若者のすべて』(1994)は彼がいかに山田太一の影響を受けていたかが見てとれる。『ひよっこ』は 家族が愛憎の物語であることを十分承知している岡田があえて家族中心主義的に作り上げた世界であるが、唯一、世津子の生い立ちの中に家族の愛憎の物語が挿入されている。

午後も2時を過ぎた頃、「phono kafe」に昼食を食べに行く。店内に入ると、大原さんやお客さんたち(常連さん)がびっくりしたように私を見るので、一体どうしたのかと思ったら、ちょうど私のことが話題になっていたらしい。

カレーライスを注文。サラダとスープも付けてもらう。

ライスは軽めにしてもらった。久しぶりに食べる「phono kafe」のカレーライスはサラサラとして美味しい。

常連さんの妹さんという方に初めてお会いしたが、私のブログはよくご覧になっていて、私の声がブログの写真から想像していた声とは全然違っていて、「とても若々しくて、素敵なお声」だと言われる。「声に恋しちゃいそうです」と言われる。ど、ど、どうも。『ひよっこ』の愛子にひと目ぼれされる省吾の戸惑いがわかる気がした。

食後のコーヒーを「あるす」に飲みに行く。

「あるす」は閉まっていた。室内に奥様のいる気配はない。午後3時。もう少し早い時間に来るべきだったか。

そう思ってると、近所に買い物に行っていた奥様が戻って来られた。「いま、開けますね」

「あるす」は(かつて)ギャラリー・カフェだったのか。いままで気づかなかった。

そういう目で室内を眺めると、たしかに「ギャラリー・カフェ」の名残は感じられる。

モカを注文。前回同様、ご主人が淹れるより薄めのコーヒーだ。

「薄いですか?」と聞かれたので、「アメリカンな感じです」と答える。

サービスで供された御煎餅が美味しい。

今日は一人も客が来なかったそうだ(私以外)。

「このままお店を続けるのは難しいでしょうね」と奥様が言われた。 「でも、昼間、ここにいて、通りを行き交う人たちを見るのが好きなの」とも言われた。

「あるす」を出て、駅の方に買い物に行く。

東の空の低いところに群れから離れてしまった仔羊のような雲が浮かんでいる。

駅前広場から西の空を見ると、雲の向こうか太陽が光を放射していたい。駅ビルの屋上から見たらきっときれいだろう。

東急プラザの屋上(かまた園)から見た夕暮れの空。

ここには23区内で唯一の屋上観覧車がある。「幸せの観覧車」という名前である。

ラインの「友だち」の何人かに夕暮れと観覧車の写真を送る。「幸せ」のおすそわけ。

やがて雲の中から出てきた夕日が街を染めている。

夕食はアジフライ&ウィンナーフライ、栗を練り込んだ伊達巻(?)、茄子の味噌汁、ごはん。

妻は、アジの開きを売っているのを見て、急遽、アジフライにしようと思ったそうだ。ふっくらとして美味しいアジフライ。

デザートは巨峰。

3時、就寝。