林若菜美さんが、ハエにこだわり始めたきっかけは、ハエにされた威嚇でした。
実は私も、とても似ている体験をしているのです。
それは簡単に言えば、ハエがはっきり怒りの意志を持って、顔に向けて飛んで来るという。
いや、若菜美さんはハエを逃がそうとした。
私は実は、ハエを殺そうとしていた。
考えてみれば全然違うか。
そしてその時に、私が感じたのはかなりの恐怖でした。
今でもちょっとトラウマ。
若菜美さんは、感動をして、ハエの世界を知ろうとします。
『かわいい!すごい!今の描きたい!』って
何気ない言葉に気持ちを突然突かれてしまう私は、この言葉の美しさに、ちょっと泣きそうになりました。
『かわいい!すごい!今の描きたい!』
色んな画材で描き続け。
そして、ハエの記憶が薄れてからも、自分の描いたハエの形が残って。
それでも描きたくて仕方なくて。
若菜美さんとハエの共通点は目が悪いこと。(ついでに私も)
メガネを外して、ハエの気持ちを知ろうとします。
『ハエはやっぱりこの部屋から出たかったんだ』
『ハエはもっと遠くを目指していたんだ』
ハエに怒りをぶつけられて恐怖しかなかった、勝手な事を言えば、それは私のもう一つの物語。
私のなれなかった私がいました。
林若菜美さんの展示、間に合って見られてよかったです。
3/28(木・最終日は17時終了)まで。