まりっぺのお気楽読書

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『世界短編名作選 イギリス編』らしくない…? 代表作

2010-09-07 00:09:00 | イギリス・アイルランドの作家


私は短篇選が大好きで、作家ごとにまとめられたものから、テーマ別、国別と
見かければ手に取ってしまいます。
この本は渋谷古本市で見つけて購入しました。

集英社版岩波文庫版 などに続くイギリスの短篇選ですが
本書は収載されている数が少ないだけに、ちょっぴり物足りなさが残ります。

作家陣はハーディ、モーム、ジョイス、G・グリーンなどの短篇選常連組をはじめ
シリトーやS・ヒルなどの新顔を含む13人です。

短篇選は選者の好みやテーマで、選ばれる物語が変化するところも面白いですよね。

この『世界名作選・イギリス編』は、ちょっと “ らしくない ” 作品が
選ばれているんじゃないかしら? (あくまでも私の感想です)
わかりやすい大御所のものからいくつか…

『追いつめられて(Hunted Down)/1859年 C・ディケンズ』
保険会社の支配人サンプソンは、スリンクトンが初めて事務所を訪ねて来た時から
嫌悪感を感じていましたし、その思いはずっと変わりませんでした。
しかし、スリンクトンは申し分ない紳士で、からだの弱い姪の面倒もみているのです。

これはかなりのサスペンスタッチ…良くできた短篇だと思います。
そういえばディケンズは集英社、岩波版では選ばれてなかったですね。
やはりディケンズと言えば長篇が魅力!なんでしょうか?

『母(The Mother)/1942年 S・モーム』
スペインの安アパートに越して来たラ・カチーラは、殺人を犯したことがあるらしく
住民たちとも没交渉でした。
しばらくすると彼女の愛しい息子クリットが訪ねてきます。
クリットはアパートの住人ロザリアに恋をしたようでした。

モームはかなり短篇集を持っていますが、この話しは初めて見ました。
短篇なら、やっぱり『雨』とか『手紙』などの植民地ものを期待しちゃうんだけど…
スペインが舞台だからか、モームにしては躍動的な物語でした。
女性陣の燃えるような瞳のぶつかりあいが目に浮かびます。

『歌って踊って(A Bit of Singing and Dasncing)/1973年 S・ヒル』
口うるさい母が死んだので、家を売り自由を満喫するつもりだったエズミですが
下宿屋と間違えてミスター・エイマス・カリという男性が訪ねてきました。
断りきれず下宿させてしまったエズミですが、彼は申し分のない下宿人でした。
聞けばミスター・カリには夏の間だけの副業があるそうです。

不謹慎な話しですが「もし◯◯がいなくなったら、こんなこともあんなこともしたい」と
考えることってありませんか?
でもいざとなると大きく生活を変えるのって勇気がいるんですよね。
今までの窮屈に思える生活の方が居心地がよかったりして…

大好きなC・マンスフィールドは『ひたむきな愛』という物語が選ばれていましたが
彼女だったらやっぱり少女や女性を主人公にした物語の方がファンには嬉しい…

しかし、私もまだまだ読んでいない物語が多いから、何が誰らしいのか掴めていないし
選者が意図的に他の短篇選とかぶらない物を選んだのかもしれないですね。

気になったのでネットでアメリカ版とロシア版を買ってみました。
早速読んでみます。

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