まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『母をお願い』子供は皆、親不孝ってことで・・・

2017-04-10 20:13:19 | その他の国の作家
엄마를 부탁해 (PLEASE LOOK AFTER MOM) 
2008年 申 京淑(シン・ギョンスク)

韓国ドラマとK-POP好きでありながら、韓国の作家の本は1冊も読んだことがなかったです。
だって本屋さんに行くと、ドラマの原作か脚本、続編しか見かけなかったから…
で、表紙の美しさに惹かれ、ドラマの原作本じゃなさそうだし、と購入してみました。
(実際にドラマ化・映画化されているかどうかはわかりません)

なんか、痛々しい物語だったなぁ…

故郷から誕生祝のために上京した年老いたオンマ(お母さん)が、ソウル駅で父親とはぐれ
行方不明になってしまって1週間経ったところから物語が始まります。

ソウルに暮らしている三男二女の子供たちは、新聞広告を出したり、ビラを配ったり
必死になってオンマを探すわけなんだけど、いっこうに見つかりません。

この物語は五つの章に分かれています。

第一章は作家になった長女ジホニがメイン、第二章は長男ヒョンチョリ
第三章は夫である父親が、それぞれオンマのことを回想します。

このオンマが本当に働き者でキレイ好きで料理上手、家族を大事にし
親戚や近所の人に好かれていて言うことなし!なのね。

一方父親は、酒飲みですぐ家を出て行っちゃうし、女は連れ込むし
オンマには優しくなくて… という、遊び人タイプ。
貧しい家系を助けるというより支えるために、オンマは苦労のし通しでした。

そんな人生を送ってきたオンマが、子供たちが立派になってお金の苦労は無くなったのに
脳の病気になり、足取りもおぼつかなくなってきたところで行方不明に…

子供たちも夫である父親も、オンマがどれだけ自分たちに尽してくれたか
どれだけ苦労をかけたかを思い出し、近頃のオンマに対する態度を反省します。

わかるんだけどさぁ…
誰しも母親の大切さとか母親への恩を忘れがちになるじゃない?
いなくなってからそのことに気づくというパターン。
それが、これでもか! これでもか!! という感じで描かれていて、少し疲れちゃった…

第四章、ほぼ1年近く経った頃、オンマが、三人の子の母になっている次女の前に
やっと姿を現します。
ああ、しかし、その姿は…

わたしには、いなくなった母親も、探し続けている父親と子供たちも哀れにしか思えない
ラストだったんだけどな… どういうふうに感じるのが正解なんだろう?

妻や母親が元気なうちに孝行しなさい、ということなんだろうか?
それとも、こういう人生でも、妻・母親として生きることが幸せだということか?

よく韓国は儒教の国だから、祖父母や両親を敬い大事にすると聞きますよね?
韓国ドラマでもそういうシーンが多くて、うちの姑なんかはそれが羨ましい〜っと
いつも言ってます(すみませんね、従順な嫁でなくて…)

だからこの物語の子供たちも、わたしにはすごく親孝行に思えます。
毎年誕生日にはお祝いに故郷に帰ったり、ソウルの料理店に招いたりしてるし
立派になって毎月仕送りをしたり実家を改築したり、まめに電話をかけたりしています。
父親はおおいに悔やんでいただくとして、子供たちは何も反省する点はないんじゃないのか?

それなのに、まだまだ母の愛に報いるべきだった… と考える子供たち。
でも、そういうものかもしれませんね。
母親は子供がいくつになっても、まず第一に気にかけてくれているものだけど
子供はそうじゃないものね… どうしても親は後回しになっちゃう。

わたしなんて、なんという親不孝者なんでしょう… そして鬼嫁なんでしょう。
すごく反省させられてしまいました。

お母さんをだいじにしていますか?
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとことドラマコーナー
とんでもないものが始まったものです! 『やすらぎの郷』!! へいちゃんとルリルリが共演するってんで見てみたら
このドラマはいったいどこへ向かうのか気になって録画予約しちゃったよ!!! シルバータイムっていう枠らしい…
 

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『誰もいないホテルで』 “ おーい! もどってこーい!!”

2016-09-06 07:47:20 | その他の国の作家
SEERUCKEN
2011年 ペーター・シュタム

オビに “ イングマール・ベルイマン的な味わいもある ” って書かれてたんで
まったく名前を知らない作家なのですが、購入してみました。
わたしはベルイマンの『秋のソナタ』っていう映画が、なんだか好きなんです。
その上に書かれてた “ チューリヒのカミュもしくはカフカ ” という部分が
少し気にかかったんですけどね…

と、思っていたら、『スウィート・ドリームス(Sweet Dreams)』という話しは
以前、村上春樹さん訳の『恋しくて』の中で『甘い夢を』という邦題で紹介されてました。

10編おさめられていますが、どれも静かなせせらぎみたいな、気持ちよい読み心地でした。
特に印象に残ったお話しをいくつか。

『誰もいないホテルで(Sommergaste)』
静かに執筆しようと、同僚が教えてくれた山の中のホテルを訪れた。
そのホテルでは、従業員のアナという女性以外に誰もいないようだった。
電気もガスも使えず、食事はカンづめばかり… すぐにホテルを出ようと思ったが
なぜかそうできなかった。

ものすごく人気があって、その後廃れてしまった観光地なんかに行くと
営業してなくて、うち捨てられた感がハンパじゃないホテルとかペンションがありますよね?
まだそんなに古くなってない物件もあったりして「これ、どうすんだろ?」なんて
思ったりしますが、こんなふうに活用する人もいるかもね。 幽霊が出なきゃいいけど…

『氷の月(Eismond)』
守衛のビーファーとサンドスが年末に退職し、守衛室は閉められた。
ビーファーは退職前、カナダに土地を買ってあり、そこでB&Bを開業すると言っていた。
しかし、ビーファーの妻の死亡広告が出た後、彼は再び守衛室に通ってくるようになった。
ビーファーは誰とも口をきかず、ただ守衛室の窓ガラスの向こうに座っているだけだった。

これを読んでいる間、ビーファーと、村上春樹さんの『遠い太鼓』に出てくる
ミコノスのレジデンスの管理人ヴァンゲリスさんがカブっちゃってカブっちゃって…
たぶん、見た目とかパーソナリティーは(人種からして違うし)全然違うはずなんだけど。
彼が語る退職後の話しは、夢がいっぱいでいいなぁ、なんて思ってたのになぁ…

『スーツケース(Der Koffer)』
ヘルマンは、妻ロスマリーのために、リストにのっている物をスーツケースにつめた。
しかし病院に行くと、ロスマリーは集中治療室で裸同然で寝かされていて
看護士から、今は何も必要ないと言われてしまう。
スーツケースを抱えて病院を出たヘルマンは、最初に来た列車に乗り、終着駅で降りた。

この夫婦が若くないのはわかるけど、いくつぐらいなんだろ?
家事を妻にまかせっきりの、すべての夫に読んでほしい…
急に妻が運ばれて行ってしまった後の、夫のオロオロぶりが目に浮かんで哀しいわ。
どうか希望を捨てずに早く立ち直ってほしい… 旦那さんがしっかりしないと!

で、シンプルで静かで落ち着いてて、読み心地はよかったんですけど
ほとんどの物語のラストで、主人公が心ここにあらず状態で終わってる感じでして
仲良くおしゃべりしてた相手に、急にプイッとされて、ポカーンとしてしまう感覚に
似ている読後感でした。

急に走り出してどこかに消えちゃいそうで「もどってこーい!」と言いたくなったさ。
でも追いかけようとは思わないけどね。
みんなちゃんと帰って来て、普段の生活に戻っていればよいが…

さすが!新潮クレスト!とうなずける一冊
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとことK-POPコーナー
SHINeeのソウルコンは、今回もインスタやTwitterで垣間みてましたが、オニュの足が心配よぉ〜
救急車に乗ったっていうからものすごく心配でしたが、今月末のカムバックまでには治るということなので
とりあえずひと安心です
無理しないでちゃんと治してくださいね


そんなSHINeeの迫力のソウルコンを観てみたいな!という方
前回の SHINee World IV はいかがでしょう? 下の画像をクリックしてね



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『山の郵便配達』爆買い前夜の静けさ

2016-09-02 08:36:23 | その他の国の作家
那山 那人 那狗 
1997年 彭見明(ポンヂエンミン)

わたしは商業施設で働いていますのでね、中国の方が来ると「売り上げが上がる!」と
浮き足立ってしまいます。

で、お客様たちからわき上がる「さぁ、買うぞー!」という熱気と
売れないものまで「お金ならあるのよー!」と言ってひかない押しの強さが
まったく感じられないようで、ちょっと垣間見える一冊。
なに言ってるかわかんないでしょ? わたしもだ… 今説明しますね。

主に地方の町や村を舞台にした、6つのエピソードがおさめられている短篇集で
時代背景は、1970年代〜80年代ぐらいみたいです。
主人公は皆、多くを欲さず、黙々と働き、あまり語らず主張せず、というタイプ。
確かに自分を曲げないような頑固さはありますが、よくテレビで見かける
パワフルで自信たっぷりの中国人像はあまり感じられません。

ただ、主人公のまわりをとりまいているのが、訪れた中国の超高度成長期を体現し始め
裕福さと贅沢さを追い始めてるって感じの、精力的な人々が多い気がします。
彼らは経済とか未来について、多くの期待を持っている印象があります。

では、気になったお話しをいくつか。

『山の郵便配達(那山 那人 那狗)』
足がいうことをきかなくなった山の郵便配達は、息子に仕事を引き継ぐため
まだ誰も起きていない早朝、息子と犬をつれて3日間の配達にでかける。
配達の日程や山の難所、各々の村での注意点や人々について気をつけることなど
できるだけ多くを息子に教えておかなければ、と思っている。

雄大な自然や、夜明け・夕暮れの風景など、映画化もうなずける美しいお話しです。
まさか、今ではこんなに手間ひまかかる配達をしてるとは思えないんですけれど
先日テレビで、断崖絶壁のすごく危険な通学路を通ってる小学生たちの映像を見て
もしかしたら… なんて思ってしまいました。

『南を避ける』
老田(ラオテイエン)は、次女の容(ロン)が美しく成長したのに気づき
彼女が「広東に行きたい」と言い出すのではないかと不安が募る。
村の若者たちがどんどん広東に行ってしまっていたが、美しい娘たちが広東へ行き
悪い結果になってしまった話しがいくつも思い出される。

若者が、親たちよりよい暮らしを求めて、都会を目指すというのは
なにも中国に限った話しではないですよね。
でも、日本でも欧米でも中華街に行くと、彼らの “ 大挙して動く ” 感は
ハンパない気がしてね… 都市の人口集中率がすごそうよね。
余談ですけど、以前リヴァプールで、中国の人がごっそり他の土地に移動して
もぬけの殻になっちゃった中華街ってのを見たことがあります。 寂しくて恐かったよぉ。


『愛情』
恋人がいないまま三十歳になった坤正(クンジヨン)は、ひとりの女性と知り合う。
友人の同僚だという余娟(ユージユアン)は、心臓病のせいで結婚ができないという。
しかし、余娟は坤正に好意をもったようで、坤正は食事に誘われたり家に呼ばれたりする。

実は、これより好きな話しが他にもあるんだけど、なんか、あまりにひねりがない
ハッピーなエピソードに好感が持てました。
文中、やけに年増扱いされてる二人の幸せが、末永く続きますように…

他の3編も、素朴な語り口と、淡々とした流れが読み易い、美しい話しです。
(最後の『振り返って見れば』は少しアクティブですけど)
静かに、しみじみと読み終えることができました。

中国の作家といえば、以前( 8年前だった)イーユン・リーさんの『千年の祈り』
読んで以来の2冊目になります。

こちらにも文化大革命の話しとか、共産党の序列のこととか出てくるのですが
ほとんど政治的な言及や批判的な表現はなくて、日常的なエピソードが書かれてます。
もう少し現代の、近頃の市民生活を描いたお話しがあったら読んでみたいです。

最近見知った中国の方々のイメージが変わるかも…
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



美しく厳かな風景が堪能できる(と思う)映画DVDが観てみたい!という方は
下の画像をクリックしてね



ひとことクラフトコーナー

  これ、カタログで見かけてかわいかったので、オパールで編んでみました 。 なにかっていうと…
 イヤホンをクルクル巻きつけて
 半分に折ると、あら!イヤホンホルダーに
 iPodを立ててみたりして
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『微笑みを誘う愛の物語』“ やる、やらない ” を高尚に語ってみる?

2016-01-22 17:29:31 | その他の国の作家
SMESNE LASKY 
ミラン・クンデラ

私の中で、トマス・ピンチョン、ポール・ボウルズ、ミラン・クンデラは
難解な巨匠というイメージが勝手にできあがってまして、一生読むことはないと
思って生きてきたわけですが、なぜか、各一冊づつ本棚にあってビックリし
とりあえず、短篇集だったミラン・クンデラを読んでみたわけですけれど…

ダメだった…やっぱり
この一冊におさめられている作品を読む限りっていうことですが
どこがよくて愛読者がたくさんいるのかさっぱりわからないっす。

難解な話しには思えないのですが、きっと深い意味が込められているんでしょうね?
まったくもって読み取ることができませんでした。

7篇おさめられているんですが、ストーリーのテーマは、すごく簡単に言うと
男性による、セックスへの美学とか、究極の愛はセックスで完成するのか否か、とか
そんな感じ? それを噛み砕いて庶民的に描いて下さっています。

つまりは、「やる」「やらない」の話しなのよぉ。
性的な描写はほとんど出てきませんが、思考で、会話で、態度で
「やる」「やらない」「やりたい」「やっちまった」を表現しています。

うーん、なんて説明したらいいかわからないぞ…

だからあらすじを書くのもやめとくね。
なにひとつ吸収も消化も共感もできてない感じで、頭の中は???です。

物語が書かれているのは1963~1969年です。
その時代のチェコが、どういう政治体制だったのかはよく知らないんですけど
休暇とか旅行の許可をとるのが難しかったようですし、相手を「同志」と呼ぶし
目をつけられると監視役に呼び出されるし… 東側の国でしたっけ?

そんな厳しい環境の中、セックスのことばかりを考えていられる男性陣があっぱれですね。
女性もなんですけど…
それしか自由に考えられる娯楽がなかったということでしょうか?

本当は、極限状態にある男女の性に対する心理とか、どんな主義や体制や規制も
コントロールできない愛の意味について、深く鋭く書き表した名作かもしれないです。
でも私には理解できないので、これ以上ミラン・クンデラについて考えるのはやめときます。

ついでに、トマス・ピンチョンとポール・ボウルズも、読むのは当分やめときます。

ひとことアイドルコーナー
私はもとハードロックファンで、現K-POPファンで、ジャニーズとはあまり関わりをもたずに生きてきたわけですが
さすがにSMAPの成り行きにはドキドキしました。 5人でいるのが当たり前みたいに思ってたのに…
東方神起のこともあるし、K-POPアイドル好きとしては人ごとではなく、ひとまずホッとしているところです

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『ジャンプ 他十一篇』シンボル、フォーカス、プリズム

2015-05-18 21:27:33 | その他の国の作家
JUMP AND OTHER STORIES 
1991年 ナディン・ゴーディマ

私は先日、『バージェス家の出来事』で、人権とか難しいことを考える本は避けたいな… 的な
ことを書いてまして、本来の読書スタイルはそのとおりなんですが
今回は自らどっぷり身を投じてしまった…

ナディン・ゴーディマは、ノーベル賞をとっていたので名前だけは知っていましたが
読むのは初めてです。

南アフリカ出身の白人作家が描くアパルトヘイト末期のエピソード…
どちらかというと、差別問題の云々よりも、アパルトヘイト撤廃直前の南アフリカで暮らす
黒人、白人双方の戸惑いや本心を知りたいという理由から手にしてみました。

ものすごく考えるところが多かった一冊でしたが、正直言って何に対して考えればいいのか
まだまとめきれずにいます。
読んでいて楽しくもなく、好きなタイプのストーリーでもないのですが
とても入りやすい文章で、けっこう没頭することができましたね。

内容は、やっぱり大きく人種問題にウエイトが置かれているのですがケースは様々です。
説明するのはすごく難しいのですが、読み終えて一冊まるごとの印象をひと言で言うなら
登場人物の温度差でしょうか?

本当は12話全部書きたいぐらいなんですが、特に印象的だったいくつかをご紹介します。

『究極のサファリ』
おかあちゃんが買物にいったきり戻って来ないので、おばあちゃんの家に行ったが
何も食べるものが無く、何人かの人たちと村を後にすることに決めた。
何日も何日も、誰にも見つからないようにクルーガーパークを越えて行く。
白人がキャンプで焼く肉の匂いを嗅ぎながら餓えたからだで歩き続ける。

幼い少女の目線で進められる物語です。
死と隣合せで歩く彼女は、バーベキューをしながら余暇を楽しいんでいる白人に対して
恨みや妬みはないみたいで、当たり前のことだと思っているようです。

『幸せの星の下に生まれ』
一家は息子の部屋が空いている間、ラッドという黒人の青年を下宿させた。
ラッドはおとなしく礼儀正しかった。
17歳の娘ヴェラは、彼とほとんど口を聞くことがなく、意識もしていなかったが
酔って帰ったある夜ラッドに介抱されてから彼に惹かれていく。

舞台はイギリスかな? ヨーロッパのどこかだと思われますが、テロの恐怖が
だんだん人ごとではなくなっている今日この頃、この話しには微妙な気にさせられます。
国を取り戻そうとする志と正当性と手法のギャップを
外国人はどういう立ち位置で見ていればよいのでしょうね?

『銃が暴発する寸前』
アフリカーナー(白人支配階級)ファン・デル・ファイヴェールは
自分の農場の使用人を撃って死なせてしまう。
狩りに行く途中の事故だったが、ファイヴェールはこの事故が世界中に報道され
彼らの運動の恰好のターゲットになると、きっとそうなると知っていた。

アパルトヘイトでも奴隷制でもそうだと思うけど、残酷な雇い主がいた一方
制度は制度として利用しながらも、人と人の付合いをしていた雇い主もいたと思うのね。
ただ、その制度下で起こったことはすべてが同一視されてしまう場合もありますよね。
一度糾弾が始まれば、どんなに違うと叫んでもその声はかきけされてしまうかもしれません。

『どんな夢を見ていたんだい?』
彼のために車を止めてくれる白人がいるわけもなく、黒人は金を要求するので
照りつける太陽の下をずっと歩き続けている。
しかし、青年と年配の女性の白人二人が乗った車が止まった。
青年の次から次への質問に、彼は白人が気に入りそうな返事を考えて返す。

“ 彼 ” はカラードといって、白人と黒人の両方の血を持っている人らしいのね。
だからどちらのこともけっこう冷静に、冷笑的に見ているような気がします。
助けてくれた人に対して、喜ぶような返事を(作り上げてでも)しようとする姿勢は
卑屈になっているわけではなくて、自然に身についたみたい。

ある問題を外部から眺める時、特に象徴的なものに焦点が当てられますね。
この問題にはこれ、この問題にはこれ、と刷り込まれているイメージに
ピッタリの対照が見つかった時、世間は容赦が無くなります。
事実とは多少違っても、イメージに合うように屈折してしまう危険もあります。

彼女が白人だからというわけではないと思いますが、悪制の象徴にされてしまった
南アの白人たちの戸惑いが読み取れるストーリーが印象的でした。

この『JUMP AND OTHER STORIES』は、アパルトヘイト完全撤廃の3年前に書かれていて
内外の撤廃運動が最高潮に盛り上がっていた時期だと思われます。

でも、渦中にいる人々の中にも、猛烈に反対運動をする人がいるかと思えば
なんの疑問も抱えずにいる人もいたり、当事者でありながら部外者みたいな人が
いたりするということが、なんとなく伺い知れますし
白人の中に広がる危機感の温度差も垣間見えました。
撤廃後も平坦な道のりではないんだろうな… という予感も抱かせます。

考えさせられることはたくさんありましたが(ここまで書いといていうのもなんですが)
あまり人種問題ということにとらわれすぎると難しく思えて、せっかくの良書を
私みたいに手にするのを避けて生きてしまうことになるかもしれませんね。
ストーリーだと思えば、面白いというと誤解を招くのかな?文章もテンポも良い一冊なので
興味がある方はぜひ読んでみて下さい。

フィクションとノン・フィクションの狭間を感じられる名著
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとことおやつコーナー
『マツコの知らない世界』でとりあげられ、すぐ売りきれちゃうというポテチが久々に入荷されたと聞き買ったさ!
塩は食べちゃったんだけどさ… 久々のポテチなので美味しかったけど… のりにはもっと期待しちゃうぞ


今でも入荷するとすぐ無くなっちゃうポテチ
食べてみたいな!という方は上の画像をクリックしてね


ひとことK-POPコーナー
ソウル公演行った方、うらやますぃぃぃ! こんな時に、なぜなのぉ? スマホもパソコンも速度ダウン状態になって
YouTubeが見られなくなっている  Oddを聞いて妄想を膨らましております

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『窓から逃げた100歳老人』強運と幸運が長寿をつくる!

2015-04-28 23:17:50 | その他の国の作家
HANDRAARINGEN SOM KLEV UT GENOM FONSTRET OCH FORSVANN 
2009年 ヨナス・ヨナソン

人間って、何も病気をしなければ120歳ぐらいまで生きられるらしいですね。

この物語は、そんな病気知らずの100歳の老人アラン・カールソンが主人公。
病気知らずでまだまだ元気ってだけでもすごい幸運なのに
このじいさん、ちょー幸運というか、度を超した幸運の持ち主です。

物語は、100歳の誕生日をむかえたカールソンが、老人ホームで開かれる
自分の誕生パーティの直前に窓から逃げ出すところから始まります。
題名どおりですね。

着の身着のままで出て来たカールソンは、何か着るものが入っているかも…と
バス停で会った若者がトイレに入っている間に彼のスーツケースを持って
出発直前のバスに乗り込みます。

しかし、そのスーツケースに入っていたのは着るものや靴ではなくて…
カールソンは悪の組織に追われることになります。

カールソンが追われながらいろいろな人に出会って逃げ回る約2ヶ月の日々と
これまで生きてきた100年の出来事が交互に描かれながら物語は進むのですが
どっちもラッキーすぎる!!

まず現在のカールソンですが、最初のスーツケースの置き引きなんてかわいいもんで
その後はもっと犯罪がエスカレートしていくわけよ。
しかもすべてうまい具合に偶然が重なり、警察やマスコミの目をすり抜けていきます。

そしてこれまでの100年!
フランコ将軍、トルーマン、宋美鈴、江青、チャーチル、スターリン、金日成
金正日、毛沢東、ド・ゴール、リンドン・ジョンソン などなど
そうそうたるメンバーと渡り合い、何度も危険に遭いながら生き延びてきた!!

運が強い! 強すぎる!!

しかもカールソンがいなかったら、ナガサキ・ヒロシマはなかったかもしれないし
スペイン革命は違う方へ動いていたかもしれないし
中国と台湾も今みたいな関係になっていなかったかもしれないとは…
おそるべき老人カールソン… そばでこんな過去を語られたら病院に入れちゃいそうだ。

私は常々 “ 抱腹絶倒 ” とか “ 涙が止まりませんでした、笑いで ” みたいなオビは
信用しちゃならんね! と思っていましたが、今回ほど痛切に感じたことはありません。

ナンセンス小説だからと目くじらをたてなければ面白いのかもしれませんね。
でも、私は「フィクションだ!」と開き直られちゃってるみたいに思えて
なんだかバカにされたみたいな悔しさを感じています。
100歳の老人が世に出て織りなす含蓄のあるストーリーを期待した私がバカでした。

ユーモアがわからない私が読んで悪かったよ。
最後に、失礼を承知で言えば、1,500円返してほしい…

ひとことクラフトコーナー
こないだホビーショーに行ってワークショップでがま口作りました
私はがま口あんまり得意じゃないんだけど20分でできた! 針も糸も使わないでできるなんて! 勉強になったわ~
コメント (2)
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『旅のスケッチ』若さみなぎらない短篇集

2015-02-26 22:08:47 | その他の国の作家
SKISSER FRAN UTLANDET 
トーベ・ヤンソン

1月にまたもや職場異動がありました。
前回は紀伊国屋書店でしたが、今回はそばに有隣堂があります。
しかし、有隣堂は海外文学が少なく、岩波文庫も少なく
新潮クレストコーナーも無い…ということで、あまりのぞいてないのですが
こないだ初めて一冊購入。

『トーベ・ヤンソン短篇集』『黒と白』に続くトーベ・ヤンソンの短篇集です。

表紙もちょっぴりコミカルですが、内容も前に読んだ二冊よりぐっと明るい雰囲気でした。

前読の二冊は1970年~80年代、ヤンソンが50代後半~60代にかけて書いているものを
まとめたものでしたが、『旅のスケッチ』は1930年代、ヤンソンが若い頃に書かれたものが
8篇がおさめられています。

舞台はパリ、ドレスデン、セルムランド、ヘルシンキ、ヴェローナ、カプリで
ヤンソンが留学したり、旅行をした時の印象や経験が描かれているのだと思います。

いくつかご紹介しますね。

『鬚(Skagget)/1938年』
舞台はパリ、春のある日、パリを訪れた18歳のクリスティナは、セーヌ川岸で
カンバスに向かっているひとりの青年画家に目を留めます。
彼は鬚を生やしていて、クリスティナは、前々から鬚を生やした男性に憧れていました。
クリスティナの恋が始まり、一週間後、彼のアトリエを訪ねることになりました。

急に熱が冷めた女性と、その女性を責めたあげく別れを切り出す男性の話しなんですけど
最後が平和ですごくおかしいの。
お互いのことを知らずに一気に燃え上がった恋って、やはり持続するのは難しいのかしらね?
ヤンソンも行く先々でこんな想いを味わったのでしょうか?

『手紙(Brevet)/1936年』
昼間は寝ていて夜起き出すという暮らしをしているフォーベル氏は、ある夜駅に向かい
無力感に襲われて、架空の姪の所在をたずねます。
するとロッテという女性が到着して旅行者救護施設の寮にいると聞かされました。
数日後、彼女のことが気になっていたフォーベル氏は寮を訪ねます。

ヤンソンが22歳ぐらいの時の作品ですが、お若いのにもう老境の人の哀しみを描いてます。
若いロッテはそんなことはおかまいなしに天真爛漫にふるまってます。
こういうの、普通は年配の男性作家が書きそうな内容なんだけどね… とにかく驚いた。

『サン・ゼーノ・マッジョーッレ、ひとつ星
        (San Zeno Maggiore,1Stajarna)/1940年』
暑さで死んだような午後のヴェローナで、女性が壁に向かって空壜を投げているのを見て
こらえきれず笑い出してしまいました。
彼女に謝罪し少し話しをすると、彼女は教会を案内すると言って私を連れ回しました。
ヨランダと名乗るその女性は、その後自分の家に来て泊まれとしつこく誘ってきました。

どうなるの? どうなるの? と何度も思わされました。
夜の街にくり出すところなんか、作中の “ わたし ” ならずともドキドキよ~
いったいヨランダの正体はなんなのよ? って感じで。
でも本当は、かなり悲哀に充ち満ちた作品じゃないかと思うんですけどね。

やはり若い頃の作品だけあって、男女の恋模様なんかがちょこちょこ描かれたいたり
ちょっとおどけた感じのユーモアも盛り込まれています。
少し読み手を意識しすぎてるような気がしないでもありませんが、やはりトーベ・ヤンソン!
後年の悲哀たっぷりぶりを彷彿とさせる内容や展開がすでに垣間見えています。

各物語にヤンソンの挿絵が入っています。
まさかのキス・シーンや、お茶目な絵もあって楽しめます。

けれども、ドイツの影、戦争の影がしのび寄っていたこの時代
画家を目指していたヤンソンは、暗めの色彩で描いた絵も多かったらしく
それが後のムーミンのグレーっぽい絵面に影響したのかしら?

また、フィンランドはナチスドイツの影響下に入っていった時代でもあったらしく
書きたいことが書けず、それならば、と、以前訪れた旅先のエピソードを
少し愉快に描いてみせたのかもしれません。

そんなことを考えると、少し若さが感じられて、いつにないユーモアがあるこの短篇集も
なんだか意味深げに思えてきたりして…
ただ私は、後年の作風の方が好きですが…

ムーミン以外の、ヤンソンの魅力を知りたい方へ
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとことK-POPコーナー
わりとギリギリで行けることになった22日の代々木のINFINITE。 公式ペンラがGetできなそうよ! ってことで
作ったよ、ウチワ… お友達の分もあわせて5個… ウヒョン、ホヤ、ごめんね。 久しぶりに徹夜しちゃったよ
 メンバーカラー合ってる?



キレッキレのダンスとパワフルなステージをご自宅で!
観てみたいな!という方は上の画像をクリックしてね
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『七つのゴシック物語 I・II』ね、眠いよぉ・・・

2014-01-28 23:09:33 | その他の国の作家
SEVEN GOTHIC TALES I & II 
1934年 イサク・ディネセン

イサク・ディネセンといえば『バベットの晩餐会』が有名ですね。
けっこう面白く読めたので、例によって紀伊国屋書店で見つけた時に買ってみました。

私はだいたい通勤時間に本を読むのですが、開くと寝ちゃう、という本はかなり久しぶり。
ですので、この本は、いつもより読むのに時間がかかりました。

眠いというのが、つまらないという意味でなく…
私は、いつの時代かとか、どこの国の物語かに、そんなにこだわりはないのですが
あまりにもかけ離れた設定のせいでしょうか? 感情移入ほとんどなし! でした。

それから、すぐ聖書とか北欧神話、古典詩の引用があったり
本来のテーマからずれていってるような気がするエピソードが(延々と)
挿入されていたりして、ペースがつかめない一冊でした。

二冊で七つの物語がおさめられています。
余分な部分をとっぱらえば面白いなと思える話は、II集に集中していましたので
そちらから紹介します。

『エルシノーアの一夜』
エルシノーアにあるいかめしい屋敷には、以前は美しい三姉妹弟が暮らしていました。
ある晩、屋敷の管理を任されているベックばあやは、コペンハーゲンに向かい
老いた独身女性となっている姉妹、フェルナンデとエリザを訪ねます。
かなり前に死んだはずの弟モルテンが、最近屋敷に現れるというのです。

これは、ベックばあやの活躍が涙ぐましかったので…

『夢みる人々』
ある満月の夜、ザンジバルへ向かうアラビア帆船の上で、英国人リンカンが語った話。
若い頃ローマで恋に落ち、いきなり姿を消したオララという売春婦は
リンカンの知人フリーデリヒが忘れられない革命家のマダム・ローラ、
ギルデンスタン男爵が虜になった慈善家マダム・ロサルバと同一人物だったというのです。

これは、いちばんスリリングで手に汗握る感があった気がします。

『詩人』
ヒルスホルムで暮らす、元王室顧問官で町の有力者の初老の紳士マティーセンは
地方書記の青年アンデルスの、詩人としての才能を認め援護していました。
ある日、マティーセンの知人の老薬剤師が、ナポリで結婚した後、帰路急死しました。
若き未亡人がヒルスホルムにやってくると、マティーセンは、彼女とアンデルスを
結婚させようと考えましたが、思い直して自分が結婚することにします。

これは、老人のやらしい計略がどうなるのか…っていうのが気になる一篇。

元も子もない話なのですが、作者が物語の要点だけかいつまんで書いてくれていたら
かなり短くなってスラスラ読めたと思うのですが… そして面白かったと思うの。
あるエピソードから始まって、面白くなりそう… と思っていたら
おいおい、いきなり違う話になっちゃたよ、と戸惑いましたね。

ただ、最後の『詩人』は、冒頭にクリスチャン7世妃カロリーネ・マチルデのことが
書かれていまして「お!」と思いましたけどね。
カロリーネ・マチルデの浮気現場が、ヒルスホルム城だったと書かれています。

それから、I の方に入っている『猿』というお話しは、女子修道院が舞台で
未婚の貴族女性たちが、余生を気楽に送る場所というように書かれています。
以前から、貴族の子女が修道院に入る件について「特権なの?罰なの?」と
気になっていたので、興味がわきました。 最初だけ…

この本が書かれたのは1934年ですが、解説によると、
物語の舞台は主に1820~40年代です。 やけに古くさいと思ったよ…

ちなみに、ゴシックというのは、小説界では
中世趣味の猟奇的・怪奇的な物語のことをいうそうです。 古くさくて正解だったんだね。
猟奇的・怪奇的って、私が苦手な分野じゃないの…
知らずに読んだ私が悪かった!

ひとことK-POPコーナー
SHINeeのKeyとINFINITEのウヒョンのユニットって、どうなるのか想像つかなーい!
想像つかないけど興味しんしんです。仲良しでわちゃわちゃしそう… 楽しみですね
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『名もなき人たちのテーブル』心に残る船旅…良いのか悪いのか…

2013-12-29 20:57:23 | その他の国の作家
THE CAT'S TABLE 
2011年 マイケル・オンダーチェ

今となっては、船旅といえば、豪華な客船での◯◯周遊ってことしか思い浮かびませんが
昔は必要な交通手段の一つだったわけですよね。

この小説が書かれたのは2011年ですが、舞台は1954年で、まさに船は交通手段。

主人公のマイケル少年は11歳です。
セイロンの伯父の家から、父と別れた母がいるロンドンに行くために
約3週間かけて航海するオロンセイ号に乗船します。

題名になっているキャッツ・テーブルですが
ディナーの時に最も優遇されない人々が座るテーブルという意味らしいです。

映画『タイタニック』でもあったように、豪華さを満喫できる一等の乗客もいれば
下層の小さな部屋に乗ってた三等客もいましたよね?

オロンセイ号にも、最上階のラウンジや船室を使える客とそうでない客がいて
マイケル少年は使えない方のお客でした。
船長とテーブルを共にできる最上級のお客様からそうでない客と仕分けされ
最終的に残っちゃった人たちが座ったのが、マイケル少年のテーブルでした。

でも、マイケル少年にとっては、気取っててなにひとつ面白味のない会話ばかりしている
船長のテーブルより、キャッツ・テーブルのほうが何十倍も良い席でした。

キャッツ・テーブルに座っていたのは、同じ年ごろのラマディンという心臓が悪い少年と
悪名高いカシウスという少年で、三人はすぐに仲良くなり行動を共にします。
他には、ピアニストをしながら航海をしているマザッパさん、
オロンセイ号の隅々まで知っている大型船の元解体業者ネヴィルさん、
船倉で植物を育てている植物学者ダニエルズさん、謎が多い女性ミス・ラスケティ、
ほとんど口をきかない仕立屋のグネセケラさん、の面々です。

彼らの興味深いエピソードをはじめ、三少年がおこすちょっとした悪戯、などなど
最初はなんだかほのぼのとした気分で読んでたんですけど…

なんか、だんだんそうはいかなくなっていくんですよぉ

なにしろ登場人物が多いのではしょるけど…
マイケル少年はキャッツ・テーブル以外の人たちともたくさん知り合いまして
そういう人たちとも、楽しいエピソードあり、しんみりする話あり、
不思議な体験をさせられたり、大冒険をして大目玉を食らったり、と
楽しく読み進んでいきますと、途中から不穏な空気が…

それは、船に乗せられていた護送中のニーマイヤーという囚人が原因なんですが
彼を取り巻く事件の中に、マイケルの大好きな人たちが巻き込まれていたり
思いもかけなかった人の正体が明らかになっていったり、と
サスペンスぽくなっていきます。

そしてラストは!
というか、ニーマイヤーの件は(あまりいい解決ではないけれど)
船内で一応一件落着するんですよね。
だからそこでラストではないんです。

問題はその後のマイケルの人生だと思うの…

一生の友とも呼べそうなラマディンとカシウスとは疎遠になっていく一方
彼らと関係があった人と深くつながり、傷ついていくマイケル。

そして、偶然同じ船に乗っていた、一番信頼のおける従姉エミリーとの関係。
あの航海がなければ二人はいったいどうなっていたのでしょう?

まだまだ子供って時に国を出て異国へ一人ぼっちで海を渡るというのはすごい体験。
多感な時に、インド洋・アラビア海・紅海・スエズ運河・地中海の素晴らしい景色や
過酷な自然や、多様な人種や習慣を目の当たりにするって、心に残るわね。
その上船の中で、なかなか出くわすことがなさそうな経験をするとは…
感受性が強い子なら、一瞬にして大人に変わってしまいそうです。

だけど、それはそれ、いい思い出として
「もうあの航海のことは忘れたら?」と言ってあげたくなります。

一生忘れられない思い出、というか体験って、いいものなんですかね?
へたしたら人生が左右されてしまう…ということにもなりかねないわけですよね。
成功できればいいんだけれど、「誰か止めてあげて~!」っていう人もいないでもない。

ちなみに、作者のマイケル・オンダーチェは、やはり11歳でセイロンからイギリスに
単身渡ったそうですが、この物語はフィクションだそうです。
でも、少しは実体験が入ってるよね?
その時のときめきが文章に表れているような気がします。

いろいろな要素が含まれている物語でしたが、短篇の集まりのようでもあり
全体的に落ち着いた文章で読み易かったです。
どの場面でも入り込める面白いストーリーでした。

私にはなにかあるかしら? あの体験があって今があるってことが…
ま、無いから、こーんなに平凡な毎日を送っているんだと思うけど

ひとことK-POPコーナー
こんなに幸せなクリスマスは何年ぶり? 24日、25日は代々木のSHINeeに行ってまいりました。
24日はアリーナで、しかもトロッコが止まる位置! 世の中にあんなにきれいな顔の男の子がいるなんて…
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『黒と白』お恥ずかしいことに・・・

2013-03-03 20:55:50 | その他の国の作家
17 SHORT STORIES OF TOVE JANSSON 
トーベ・ヤンソン

『トーベ・ヤンソン短篇集』『誠実な詐欺師』を読んでいる時
私はトーベ・ヤンソンって男性だとばかり思っていました。
今回この『黒と白』を読んでいて、まさか、と思いWikipediaで見てみたら
女性だったのね~! お恥ずかしいことです。

17篇おさめられていまして、最初の方ではまったく気がつかなかったのですが
読み進むうちに、女性としか思えなくなってきました。
かたいとかやわらかいとか、そういうのでなくてテーマかな? 着眼点?
いずれにしろ、なんで今まで男性だと思い込んでいたのでしょう?

あいかわらず孤独感満載です。 孤立感とも言えるかもしれない。
でも女性とわかったことで親近感もわき、さらに好きになってきました。

女性かも? と、気付かせてくれたお話しをいくつかご紹介します。

『灰色の繻子(Gra Duchesse)/1971年』
人の死を悟ることができるマンダは、内なる声に逆らえずそのことを告げてしまいます。
それで村にいられなくなり、街へ出て刺繍で暮らしをたてることにします。
マンダはどんどん腕を上げ、モードサロン内に個室がもらえるほどになりました。

人に媚びず、誰とも馴れ合わず、黙々と手を動かして生きていく… The 職人ですね。
昔はけっこういたのでしょうけど、今の世の中、頑固な職人でいるのも難しいでしょうね。
あ、マンダのサクセスストーリーではないです。 彼女の才能はもうひとつあるのでね。

『花の子ども(Blomsterbarnet)/1978年』
美しく生まれ、とことん甘やかされ、言いよられるままに奔放に育ったフローラは
22歳の時に結婚してアメリカに渡り、華やかな暮らしを告げる便りを送ってきました。
34年後、彼女は夫の破産と死を機に帰国します。

自分だけが快楽の時代にとどまっていたわけで、まわりは現実を生きてるわけです。
「昔みたいに…」と言われても、そうそう付き合ってられないですよね。
美しい人の末路がすべてこうだってわけでなく、むしろごく稀なんだとは思いますが
ドラマティックではありますね。 一昔前のドラマですけどね。

『主役(Huvndrollen)/1978年』
最高の大役ですが、地味でさえないエレン役を手に入れた舞台女優マリアは
いとこのフリーダがエレンそのものだと気づき、観察しようと別荘に招きました。
彼女は申し分の無いエレン役の見本でしたが、家事を始めると活き活きします。

ものすごく利己的なマリアと献身的なフリーダの対比が面白い物語だと思うのですが
そんなマリアがなぜ夫の言うことはおとなしく聞いているのかいまいち不思議?
わがままな女性って得よね…少し優しさを見せると「実は善い人?」って
まわりの人が錯覚してくれるんだもの、と思えたお話しでした。

上の3篇以外に『連載漫画家(Serietecknare)』という
ものすごく印象に残ったお話しがありました。

20年間も新聞に人気マンガ『ブラピー』を描いていた作家がいきなり行方をくらまして
代わりにそのまんがを描く青年が雇われる、という内容なんですけど
『ムーミン』を描いていた本人の苦悩だったのかしら? と想像が逞しくなっちゃいました。

詳しい内容は書きませんが、作家が逃げちゃった理由を推測する他の作家が
とにかくいろいろな商品につけられる『ブラピー』の一切を自分で引き受け
細部にまで妥協を許さず…で疲れちゃったんだろう、と語るシーンがあります。

ムーミンも世界中にたくさんのライセンス商品がありますからねぇ。
全部に目を光らせていたらからだが持ちませんよね。
もし本人がそうしていたなら、タフな人だったとしか考えられません。

編者の冨原眞弓氏が四つのモチーフを設定して選んだという選集で
いろいろな表情のトーベ・ヤンソンが垣間見えますが
ひと言で言えば、生真面目で几帳面で背筋がピンとした女性の姿が浮かび上がってきました。
例によって、本当の彼女はどうだったかは知りませんけどね。

ひとことK-POPコーナー
いきなり売りきれてたテソンの『D'scover』… やっと昨日買えましたよぉ! 良いですねぇ、やっぱり声きれい
ところで、MVに蒼井優が出てて「本当に可愛いね」と思ってたら違う人なんだって!! ビックリです。
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『ヴァレンタインズ』別れ話はこうまとめたいですね

2012-07-23 22:17:48 | その他の国の作家
VALENTINES 
2007年 オラフ・オラフソン

この作家さんは知らなかったのですが、BOOK OFFで見つけて初めて読んでみました。
アイスランドの方だそうです。

静かで落ち着いた文章、多くを語らない登場人物、奇をてらわない展開…
けっして嫌いなタイプの作風ではないのですが、なぜでしょう? 入り込めませんでした。

12篇の短編から成っている一冊で、本国では題名がついているらしいのですが
日本版は一月、二月、~ 十二月、となっていて
各月に相応しい別れのお話しが書かれています。

印象に残った物語をご紹介しますね。

『二月』
ヨウンとリンダはいつもなら夏に訪れる海辺の別荘を訪れました。
ヨウンは自分の浮気で壊れかけた関係を修復しようと考えていました。
しかしリンダは相手の女性が住むクィーンズへ連れて行けと強くせまります。

このお話しは、鋭い人なら途中で真相がわかると思うのよね、詳しくは書きませんが。
読者でもわかる浮気の真相…なぜ妻がわからんかな?
夫が真相を明かしたことは正しかったのか間違いだったのか? 悩むところです。

『五月』
ヨハンはカレンとの結婚生活に満足していましたが
ある冬の日、突然カレンから女性の恋人がいることを聞かされました。
カレンの提案で別れようと決めていた春の日が近づくと、カレンは俄然張り切ります。
彼女は二人の思い出の家具も何もかも売り払うつもりのようです。

別れるというのに元気いっぱいな相手を見るのはつらいし悔しいですよね?
つい「別れてやるもんか!」と言いたくもなりましょう。
だからって…大人しく聞いていた旦那さんがどんなふうになってしまうのか?
衝撃のラストです。

『八月』
仕事が忙しかったヤーコプはカナリア諸島に行きたかったのですが
結局アイリスの希望どおりスロベニアにバカンスに出かけました。
そこはヤーコプが20歳の時にアンナという女性と出会い別れた場所でした。
ヤーコプはホテルのテラスでアンナによく似たウェイトレスを見かけたじろぎます。

ヤーコプにはそれからちょっとした災難がふりかかります。
おかげでアイリスに過去をうちあけるハメになるとは…
過去にとった不誠実な行動が跳ね返ってくる…怖いですね。

何が原因なんでしょう? と自己分析してみるに
不実を働いた方がやけに “ 素直に認めちゃう ” のと
別れを切り出された方がやけに “ 聞き分けが良い ” という印象が残ってます。

何年も付き合った相手だったり夫婦だったりしたのに
そしてそれまでは上手くいっていたのに、あっさりしすぎじゃなくて?
北欧の方はクールなのかしら?

見苦しい態度を見せるとか追いすがる、そういう場面がないんですよ。
(主人公たちが)自分をきれいに見せようとしすぎているような気がします。

まぁ、私は今
「離さない! 離すもんかっ!!」 「必ず取り戻してみせる! 君を!!」満載の
韓国ドラマ & K-POP に夢中ですのでね…
それで物足りなかったのかもしれないっす。
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『花・死人に口なし』愛が極まると・・・

2012-03-26 22:08:11 | その他の国の作家
BLUMEN / DIE TOTEN SCHWEIGEN 
アナトール・シュニッツラー

聞いたことない作家でしたが、というかオーストリアの作家の小説を
読んだことが無い気がするので手に取ってみました。

読みつけていないせいか、好きなタイプなんだか嫌いなタイプなんだか
決めかねている一冊です。

9篇収められていますが、悲しい愛の結末を迎える話が多かったですかね。
いくつかロマンスとファンタジーを併せ持つ物語がありました。
それが見事に融合しているかどうかは、はっきり言ってわからない…

好きだった話は、ちょっと皮肉っぽい愛の終わりを書いた
『わかれ』『死人に口なし』『情婦殺し』あたりなんですが
今回はロマンス&ファンタジー色が強い(と思う)3篇をご紹介します。

『花(Blimen)/1894年』
裏切っておきながら毎月花を送ってきていた女性が亡くなったと
女性の伯父から聞かされました。
しかし、花が届けられる日がやってくると、何ごともなかったように花が届きました。
日々が過ぎ、花は枯れ始めましたが、捨てることができずにいます。

男性は枯れていく花に裏切った女性を投影させていたんでしょうかね?
この男性には新しい恋人がいまして、その女性も何かを感じ始めるんです。
そして男性の心を取り戻すために(だと思うんですけど)思い切った行動に出ます。
上手くいくと良いですね。

『アンドレーアス・タマイアーの最後の手紙
     (Andreas Thameyers Letzter Brief)/1900年』
アンドレーアス・タマイアーは死に臨む前に妻の不実の疑いを晴らす手紙を書きます。
彼の妻は肌の色が違う子供を生みました。
しかし彼は誓って妻が浮気をしたのではないと釈明します。

妻を思う夫の愛の深さが涙を誘うお話しですが、その釈明のしかたがね、
文献から、一見科学的に思えるけど非現実的な検証を引用したもので興醒め…
やけに反論するとよけい詮索されるような気がするんですけどね。
往々にして疑われた時には反論しても誰も耳を貸してくれないものなのよね。

『レデゴンダの日記(Das Tagebuch der Redegond)/1909年』
公園のベンチで話しかけてきた紳士が語った不思議な話です。
彼は小さな町で駐屯中に大尉の妻レデゴンダをひと目見て恋に落ちました。
彼の愛は空想の中で膨らむだけで、実際は何ごともありませんでした。
しかし、レデゴンダが亡くなった後、彼は大尉から猛烈に責められます。

妄想を日記に書き付ける…というのはありがちなことですよね?
誰かに見られたらものすごく恥ずかしいと思うので、厳重に管理しなきゃいかんけど…
妄想があまりにもリアルだったりすると痛い目に遭う人もいるので気をつけましょう。
物語の男性は、違った意味でその日記の内容に驚愕するんですけどね… 不思議ですよ。

けっこう屈折した愛情をを抱えているような主人公だらけの一冊でちょいと疲れました。
訳者のせいかどうなのか… なんか固いんですよね。
見方によってはとてもロマンチックな話しだと思うのですけど。

愛が深いばかりに有りもしない幻想を見てしまうとか
愛の力であり得ないことがおこるとか、そんな風にも見てとれます。

同じ話しをタルンタルンの甘いラブロマンスに展開させてみるのも面白いかもしれません。
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『魅せられて四月』映画にぴったり!の夢物語

2012-02-19 19:10:14 | その他の国の作家
THE ENCHANTED APRIL 
1922年 エリザベス・フォン・アーニム

本棚を整理していたら見つけた一冊です。
たぶん映画化された時に買っていたんでしょうけど
作家は知らないし、内容はまったく覚えてないし… というわけで再読してみました。

で、前書きを読んで驚いた エリザベス・フォン・アーニムは
私の大好きな作家キャサリン・マンスフィールドの従姉妹だそうです。
期待が膨らみましたよ!

そして期待はずれでしたよ~ん

出だしは嫌いじゃなかったんですけどね…

夫や夫の家族に見下され、毎日の家事に疲れた主婦ロッティは
ある日買い物に向かう途中でイタリアの古城を貸し出すという広告を見かけます。
「夢みたいな話」とは思ったものの、やはりその広告に目を留めていた
初対面のローズという女性を、衝動的に誘ってしまいました。

ローズは夫の職業(有名な愛妾の伝記作家)を恥じていて
宗教活動に身を投じています。
かなり迷ったのですが、ロッティの熱気に圧されてその気になりました。

二人は賃貸料をまかなおうと、同行者を募りました。
応募してきたのは二人、過去の栄光に浸っている気難しいフィッシャー夫人と
孤独を求めている美しい貴婦人のキャロライン・デスターです。

年齢も境遇も趣向もまったく違う4人の女性はイタリアへと旅立ちます。

サン・サルヴァトーレの古城は素晴らしい眺めの心地よい所でした。
しかし、4人の旅人は気が合わず、話もかみあわず、ぎくしゃくした日々を送ります。

という感じでスタートする物語なんですけどね。

その後、ロッティを従順な家政婦みたいに思っていたご主人メラーシュと
教会のことにかかりきりのローズをまったく省みなかったご主人のフレデリックが登場。

メラーシュは妻の勝手にブリブリ怒りながらも、弁護士の自分に有利な相手がいるかも、と
期待してやって来ました。
フレデリックは以前からキャロラインに魅せられていて
まさか妻がいるとは思わずに現れてビックリ! です。

さらに古城の持ち主ブリッグスも古城に顔を出しました。
彼はロンドンで一度自分を訪ねて来たローズのことが印象に残っていました。

歪み合うというよりいつまでも理解し合えない女性たちのもとに
何だか不埒な思惑を抱えた男性が集まって… さぁ、物語はどうなる?
もう、ものすごーく良い感じに展開していきますよ

なんというか… 屈託とか憂いとがほとんど感じられない話なのよね。

風光明媚で雰囲気満点な異国へ行きゃあ、誰もがハッピー!
閉ざしていた心を開けばみんなが笑顔!!
妻が美しく見え、夫が頼もしく思えて、冷めていた夫婦愛も甦るってどうよ?

確かに旅行に出かける人は出かけない人より寿命が長いといいますが
このストーリーのご陽気さはどうかと思うよ。

でも、景色もキレイそうだし、(フィッシャー夫人以外は)美しいみたいだから
映像で見るにはもってこいかもしれないですね。
映画はハッピーエンドの方が、見終わって気が重くならず楽しめますもんね。

女性が輝きを取り戻し、前向きに生きていくきっかけを掴むお話しです。
いいですね! 決して貶すつもりはございません。
マンスフィールドの従姉妹だという一点に期待を寄せた私が悪うございました。
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『誠実な詐欺師』“ やさしい嘘 ”も必要かもね

2011-05-10 02:09:17 | その他の国の作家
DEN ARLIGA BEDRAGAREN 
1982年 トーベ・ヤンソン

以前『トーベ・ヤンソン短篇集』を読んで、孤独に支配された世界観が気に入りまして
長編を見つけたので読んでみることにしました。

うーん… 3時間ほどで一気に読んでグッタリしました

フィンランド(たぶん)のヴェスティルビィという町が舞台になっています。
漁業は廃れ、夏の間のボート造りと女性陣の刺繍が入ったみやげ物が主な産業と思われる
厳しい冬が訪れるところです。

登場人物は10人あまり。
短篇集よりは人の交流があって会話も多いのに、やっぱり寂しい…

姉弟二人で暮らしているカトリは、弟のマッツに部屋とボートを与えたくて
一人で暮らしている金持ちの画家アンナ・アエメリンの屋敷に入り込もうと考えました。

ふつう、誰かに取り入ろうとしたら愛想よく、気持よく、丁寧に接するもの。
しかしカトリは違いました。
読んでるこっちがム~っとしちゃうカトリの態度…上手くいくとは思えませんけど。

アンナもカトリといるとなぜか不安を覚えるし怯えてしまうんだけど
なぜかカトリを受け入れてしまうのね。

カトリの最大の武器は正直で誠実であることです。
でも、その誠実さが、人を信じて疑わないお人好しのアンナを変えていきます。

アンナがどんなふうにしてどのように変わっていったかは
イライラしながら読んで頂いた方がいいと思うので詳しくは書きませんけど
正直=善人という観念は捨て去った方がいいかも…
同じく、誠実であることが相手に対して優しいことなのかも疑問になってきます。

この物語の中で、マッツ以外の人々はなにかしらアンナを欺いています。
商品の値段、賃金、手間賃といった小さなごまかしから
印税、契約料など会社ぐるみの搾取
母と父の思い出から友人のありがたい言葉、何から何まで…です。
そしてカトリは誠実でありながら、アンナを最大限に利用しようとしています。

でもね、お金のことはともかく、真実を知らずにいた方が幸せだった…ということも
世の中にはあるはず。

本人に教えてあげなきゃ!と息巻く前に、ちょっと一息入れてもいいかもしれないですね。
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『ブリギッタ・森の泉 他一篇』額縁に入れて飾りたいわ…

2011-04-13 02:31:37 | その他の国の作家
BRIGITTA / DER WALDBRUNNEN 
アーダルベルト・シュティフター

シュティフターは去年『森の小道・二人の姉妹』を読んで
心洗われる文章と心に響かない内容のギャップにがっかりしたものですが
ひとつの作品で作家を判断してはいかん!と思い手に取ってみました。

本当に絵のように美しい風景描写で、ぜひ額縁に入れて飾っときたいです。
でもやっぱり内容が…入りこめないんですよねぇ
こんなに清らかなお話しに感動できないとは…私が汚れた現代人だからかしら?

3篇収められています。

『荒野の村(Das Haidedorf)/1840年』
ロスベルクの荒野を愛し、知りつくしている少年フェリックスは
成長すると家を出て行き、数年後、好青年になって姿を現しました。
フェリックスはイェルサレムを訪ねて来たと言います。
その年は雨が降らず人々は困っていました。

なんの話かわかりません…奇跡のお話しなのかしら。
フェリックスはなぜに恋にやぶれたの? いったい何をしていたの?
謎が謎を呼ぶ善き話し…私には主旨が掴めませんでした。

『ブリギッタ(Brigitta)/1884年』
旅先で親しくなった少佐の東ハンガリーの領地を訪ねて、自然や農業に触れ
穏やかな日々を送るうちに、近隣の領主ブリギッタに出会いました。
少佐とブリギッタはお互いを想っているのに、決して一線を越えませんでした。
ある日、ブリギッタの息子グスターフが狼に取り囲まれている場面に遭遇します。

ブリギッタの子供時代を描いた部分は、珍しく人物がいきいきしている印象を受けました。
狼と戦う場面も少し躍動感があったかしら…
本筋とは別に、大地・農耕・労働を余すところ無く讃美している作品だと思います。

『森の泉(Der Waldbrunnen)/1866年』
以前見かけた美しい人を思い出してから、しばらくして耳にした話し。
ある年、一人の老人と孫息子、孫娘の一行が山あいの森に夏の静養に訪れました。
その森の学校には手におえないほど粗暴で不潔な少女がいました。
老人一家と少女一家の、何年にも渡る交流が始まりました。

家柄も身分も越えた、本当に美しいお話しですよ。
この老人がよっぽどの善人じゃないと、当時のオーストリアでこの結末はあり得ないと思う!
なんてことは考えずに浸った方がいいのでしょうね…

解説を読んでないんですけど、旅行ライターとか自然評論家としても活躍したのかしらね?
風景画も描いていたというシュティフターですが、(本人による)表紙の絵を見ると
まさに “ 絵はがきのように ” 美しい風景が好きだったのでしょうね。

文章でも絵でも好きなものを表現できるだけの才能があって
幸せな人生が送れたんじゃないかと思います。
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