まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『ディア・ライフ』引退するなんて言わないでね ・・・

2014-01-30 01:30:18 | カナダの作家
DEAR LIFE 
2012年 アリス・マンロー

日本人ですから、ノーベル賞の時期はつい村上春樹さんに注目してて
アリス・マンローがノミネートされていることも知らなかったのですが
受賞したと知って嬉しかった反面、不思議な気もしました。

あまり世界を揺さぶりそうな内容でもないし、前衛的でも政治的でもなく
テーマも文章も、極めてシンプルな作家だと思うのですが…
それが面白いから不思議なのよねぇ! 文才とはそういうものなのね。

発売を待ちに待っていた一冊でしたので、すぐ買って読んでみました。
14篇おさめれていて、最後の4篇は連作です。
全てが印象深いお話しでしたが、特に面白く読めたものをいくつかあげてみますね。

『安息の場所(Home)』
13歳の時、両親がアフリカに赴任中の1年間、叔父の家で暮らしました。
叔父は限られた人としか付き合わず、ぜったいに家に客を招きませんでした。
ピアニストである自分の姉の話もタブーでした。
叔父にぜったい服従の叔母が、ある日隣人と叔父の姉を招く決心をしました。

叔父さんが若干横暴な気がしないでもないですが
家庭内の小さなもめごとがテーマ、というお話しなんですよ、本当は。
なのに、この、ハラハラどきどきはどうしたことでしょう?
後半ものすごく怖くて鳥肌たっちゃったよ。

『プライド(Pride)』
オナイダ、通称アイダは、あまりにも金持ち過ぎて町の人々と交流がありませんでした。
銀行家の父親が金銭上の問題で失脚して亡くなった後
アイダが家を売りたいと相談してきました。
その後アイダはたびたび訪ねてくるようになり、夕食を共にする晩が増えました。

語り手は男性ですが、二人の間に恋愛沙汰のようなことはおこりません。
そのまま長い長ーい月日が流れていく物語なのですが、究極の恋愛小説に思える!
尽くして尽くされてというわけでも、いつも気づかっているわけでもない二人なのに
もう、ぜったい、結ばれなくちゃいけない! と思わせるお話しでした。

『列車(Train)』
戦争から帰還中のジャクソンは、列車から飛び降り、家とは反対の方向へ歩いていて
荒れ果てた農場の持ち主ベルと出会い、そのまま農場で暮らすようになりました。
長い時がたち、ベルに腫瘍が見つかりました。

恋愛小説だと思った方、違うんですよぉ。
ジャクソンは自由人で、考え方によっては、ものすごい薄情者です。
なんだけど、寡黙な働き者ジャクソンが、だんだん素敵に思えてくるんです。
そして最後はいい話に思えてしまうという… 不思議だ。

小説も売れたり話題になれば、映画化っていう流れになりそうですが
アリス・マンローの物語を映像にするのは、かなり難しい気がします。
ドラマになっているものもあるようですけど、見たことないからね。

なぜかというと、感情を表す場面があまりないんだよね。
違うな… はっきり「これ!」とわかる感情表現が、あまり多くない、という感じかしら?
嬉しかった、哀しかった、悔しかった、ムカついた、という大前提がなくて
俳優さんがどのように感情を表現すればいいというのでしょうか?

物語を読んで、自分なりに感じながら読み進めていくという読書独特のテンポが
とっても適している作家のような気がします。

それから、物語のスパンが、何年から何十年まで長いものが多いですね。
人間には、いくつになっても何かが起こり得るという希望を与えてくれます。
作者自身の年齢がそうさせている作風だとしたら、引退するなんて言わないで
まだまだ書いてほしい… と思うのは、読者のわがままでしょうか?

とりあえず、新潮クレストから出ている
『イラクサ』『林檎の木の下で』『小説のように』は全部読んだから、他のを探そう。
ノーベル賞効果で、まだ翻訳されていないものも日本で発売されると嬉しいですね。

独特のマンロー・ワールドが楽しめます
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね



ひとことK-POPコーナー
えー! KARAにつづきNine Musesも? 二人いなくなっちゃうの?
好きだったんだけどなぁ… 9人じゃなくなるけどどうするんでしょう?
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『七つのゴシック物語 I・II』ね、眠いよぉ・・・

2014-01-28 23:09:33 | その他の国の作家
SEVEN GOTHIC TALES I & II 
1934年 イサク・ディネセン

イサク・ディネセンといえば『バベットの晩餐会』が有名ですね。
けっこう面白く読めたので、例によって紀伊国屋書店で見つけた時に買ってみました。

私はだいたい通勤時間に本を読むのですが、開くと寝ちゃう、という本はかなり久しぶり。
ですので、この本は、いつもより読むのに時間がかかりました。

眠いというのが、つまらないという意味でなく…
私は、いつの時代かとか、どこの国の物語かに、そんなにこだわりはないのですが
あまりにもかけ離れた設定のせいでしょうか? 感情移入ほとんどなし! でした。

それから、すぐ聖書とか北欧神話、古典詩の引用があったり
本来のテーマからずれていってるような気がするエピソードが(延々と)
挿入されていたりして、ペースがつかめない一冊でした。

二冊で七つの物語がおさめられています。
余分な部分をとっぱらえば面白いなと思える話は、II集に集中していましたので
そちらから紹介します。

『エルシノーアの一夜』
エルシノーアにあるいかめしい屋敷には、以前は美しい三姉妹弟が暮らしていました。
ある晩、屋敷の管理を任されているベックばあやは、コペンハーゲンに向かい
老いた独身女性となっている姉妹、フェルナンデとエリザを訪ねます。
かなり前に死んだはずの弟モルテンが、最近屋敷に現れるというのです。

これは、ベックばあやの活躍が涙ぐましかったので…

『夢みる人々』
ある満月の夜、ザンジバルへ向かうアラビア帆船の上で、英国人リンカンが語った話。
若い頃ローマで恋に落ち、いきなり姿を消したオララという売春婦は
リンカンの知人フリーデリヒが忘れられない革命家のマダム・ローラ、
ギルデンスタン男爵が虜になった慈善家マダム・ロサルバと同一人物だったというのです。

これは、いちばんスリリングで手に汗握る感があった気がします。

『詩人』
ヒルスホルムで暮らす、元王室顧問官で町の有力者の初老の紳士マティーセンは
地方書記の青年アンデルスの、詩人としての才能を認め援護していました。
ある日、マティーセンの知人の老薬剤師が、ナポリで結婚した後、帰路急死しました。
若き未亡人がヒルスホルムにやってくると、マティーセンは、彼女とアンデルスを
結婚させようと考えましたが、思い直して自分が結婚することにします。

これは、老人のやらしい計略がどうなるのか…っていうのが気になる一篇。

元も子もない話なのですが、作者が物語の要点だけかいつまんで書いてくれていたら
かなり短くなってスラスラ読めたと思うのですが… そして面白かったと思うの。
あるエピソードから始まって、面白くなりそう… と思っていたら
おいおい、いきなり違う話になっちゃたよ、と戸惑いましたね。

ただ、最後の『詩人』は、冒頭にクリスチャン7世妃カロリーネ・マチルデのことが
書かれていまして「お!」と思いましたけどね。
カロリーネ・マチルデの浮気現場が、ヒルスホルム城だったと書かれています。

それから、I の方に入っている『猿』というお話しは、女子修道院が舞台で
未婚の貴族女性たちが、余生を気楽に送る場所というように書かれています。
以前から、貴族の子女が修道院に入る件について「特権なの?罰なの?」と
気になっていたので、興味がわきました。 最初だけ…

この本が書かれたのは1934年ですが、解説によると、
物語の舞台は主に1820~40年代です。 やけに古くさいと思ったよ…

ちなみに、ゴシックというのは、小説界では
中世趣味の猟奇的・怪奇的な物語のことをいうそうです。 古くさくて正解だったんだね。
猟奇的・怪奇的って、私が苦手な分野じゃないの…
知らずに読んだ私が悪かった!

ひとことK-POPコーナー
SHINeeのKeyとINFINITEのウヒョンのユニットって、どうなるのか想像つかなーい!
想像つかないけど興味しんしんです。仲良しでわちゃわちゃしそう… 楽しみですね
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『ぼくは静かに揺れ動く』納得いかんぞ!男性はどう?

2014-01-24 22:35:39 | イギリス・アイルランドの作家
INTIMACY 
1998年 ハニフ・クレイシ

今書きかけの読書感想文がすごーくたまっているのですが
その中で、この本は内容があんまりよく思い出せないのよね。
読んだ時にあきれちゃって、ムッとしたのは覚えているのですが…

でも頑張って思い出す…

主人公はジェイという脚本家の男性で、妻と二人の息子がいます。

ジェイは、翌日家を出て行こうとしています。
それは別居するとか、離婚の話し合いがついたわけではなくて
とにかく、これ以上はやってられないぜ! と思って、黙って出て行くわけ。
で、しばらく知人の家に身を寄せて、後日連絡しようかな、という計画です。

それでね、内容はね、出て行こうとしている前の晩にジェイが考えたこと
過去のこと、その夜起こったことなどをとりまぜて書いてあります。

なぜ妻のスーザンと一緒にいられないのか?
不幸だった母親のこと。
転がり込もうとしている友人ヴィクターが家を出た時のこと。
よき家庭人アジフとその妻ナジマのこと。
ニーナに会いたいよぉ… まぁ、いろいろ、とりとめなくね。

それから、出て行こうかやめようか…いや出て行かねば、ということが
いくつかおこります。

これを葛藤というのか、逡巡というのか、どう思う? とジェイに聞かれたとしたら
私は即座に「ふざけんな!」って言うわね。

もう、言い訳三昧にしか聞こえないんですけど。

そりゃあ、スーザンにも悪いところはあったでしょうよ。
詰問口調やバカにした言い方もムカつくわよね、一方的にそういう風に書かれているし。
でもジェイにもどうかと思うところはあるわけですよ。
特にニーナの件ね。

結局ニーナとヨリを戻したいだけなんじゃないのよ~
それで、妻に子供たちをおしつけてプイと家を出て行くわけでしょ。
自分を正当化するために、なんだか文学的に小難しくひねくりまわしたことを
小賢しく書いてるだけじゃないのさ。 あらら、興奮してしまいました。

私としましては、無責任な男性のお話しにしか思えません。
友人がそうして幸せそうだから、自分もしていいということにはなりません。
妻がやり手で収入があるからといって、捨てていいわけではありません。
若い愛人をとっかえひっかえするのは、妻の性格とはなんの関係もありません。

訳者の中川五郎さんは、同じ男として100パーセント理解できて
自分が考えたり感じていることややっていることと同じで
共感できて、興奮できて、感動する、と書かれていますが、本当に?

ヴェトナム反戦や学園闘争を経験した人はみんなこうなのぉ?
ビートルズやボヴ・ディランを愛してた男は、無責任でいいというのか?

作者は脚本家としても有名で、アカデミー賞にもノミネートされています。
作家としても英国を代表されているそうで、読んだことなくてすみませんでした。

もしかしたら、ものすごく深遠なテーマを抱えた一冊なのかもしれませんね。
読む人が読めば、とんでもなく心に響く名作かもしれないです。
女で、しかも能天気な私が読んでしまって、本当に申し訳ありませんでした、ってことで。

ひとことK-POPコーナー
先日のお休みに新大久保に行って来ました。 BIGBANGの東京ドームの日以来だから一ヶ月ぶり?
えへへ…今回は戦利品が多くて、ここ数日寝不足気味です
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ポーランド公ヘンリク2世妃 アンナ

2014-01-17 20:46:06 | ポーランド王妃
さすが妻!すごい秘密で亡き夫を探す
ヘンリク2世妃 アンナ・プシェミシュルデカ


1204~1265/在位 1238~1241

若い頃から賢公として知られ、ポーランド再統合を目指していたヘンリク2世の妃アンナは
ボヘミア王オットカル1世の王女で、母親はハンガリー王ベーラ3世王女コンスタンツェです。
        
12歳ぐらいでヘンリクと結婚しました。

当時の入り組んだ中欧情勢の中、もちろん政略結婚だったと思うのですが
特にエピソードは残っていないけど、仲睦まじかったのではないかと思われます。
お子様が10人生まれています。

当時、中欧にはモンゴル軍が侵攻していました。
他国に先駆け戦いに出向いたヘンリク2世は、援軍を得られないまま
レグニツァの戦いでモンゴル軍に惨殺されました。

その殺害のしかたっていうのがひどい! 詳しく書きませんけどね。
あまりのひどさにヘンリクの遺体は見分けがつかなかったようですが
アンナは、ヘンリク2世の左足には指が6本あるという驚くべき特徴を伝え
夫を探すように伝えました。

想像なのですが、当時身体的に変わった特徴があったとしたら
神聖なもののシンボルとして崇められるか、異端として迫害されるか
なにかしら世間のリアクションがあったと思うんですよ、特に王族なんかは。

この特徴もものすごい秘密で、親と嫁以外誰も知らなかったかもしれないですよね。
きっと夫婦で「変わってるだろ? 俺の足の指」「あら、すっごーい、触らせて」なんて
イチャイチャしていたかもしれない…(想像じゃなくて妄想?)
だとしたら、夫の遺体を探すための拠り所になってしまうなんて、むごいことです。

ヘンリク2世の遺体は見つかり、アンナによってヴロツワフの修道院に埋葬されました。
この修道院は、ヘンリク2世が建設を始めたものです。
アンナが夫の遺志をついで1242年に完成させました。

義母聖ヤドヴィカとともに、レグニツァのレグニツキエ・ポレにも修道院を創設しました。
ヘンリク2世が戦死したところでしょうか?
追悼の意味が込められていたのかもしれませんね。

ヘンリク2世は勇ましい男性だったとお見受けしますが、アンナの性格はよくわかりません。
ただ、二人の間に生まれたクラクフ公ボレスワフ2世の残虐な性格に
非常に悩んでいたらしいので、心優しい人だったのかなぁ?
義母ヤドヴィカや、後述の聖キンガがそうだったように
特に慈善に励んだというエピソードはないのですけどね。

公女のうち3人は他家のポーランド公妃になりました。
他国との争いを避けるための政略結婚あり、国内の権力維持のための政略結婚あり…
当時の王侯貴族の娘さんたちは、本当に大きな役割と責任を担っていたんですね。

(参考文献 Wikipedia英語版)

ひとことK-POPコーナー
KARAはニコルとジヨンがいなくなってしまうのね。特にKARAが好きというわけではないのですが、寂しいですね。
熾烈なK-POP界でせっかくここまで頑張ってきたのにもったいないなぁ…と思って
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『古都』観光局においとくっていうのは…?

2014-01-15 01:29:28 | 日本の作家

1961年 川端 康成

私は谷崎潤一郎の『細雪』が、京都の名所案内にもってこいだと思っていましたが
この『古都』も負けていない一冊です。
どちらかといえば、伝統行事や由緒などはこちらの方が細かくて
京都観光局に置いといてもいいのじゃない? と思いましたよ。 置いてんの?

物語の舞台はもちろん京都です。
戦後とはいえ、呉服屋と着物や帯を織る機屋がかろうじて軒を連ねている時代でした。

主人公は中京の呉服屋の美しい娘、佐田千恵子です。
千恵子は、生まれてすぐ捨てられた娘で、捨てられていた呉服屋の夫婦に
実の娘のように育てられました。

千恵子は自分が捨て子だったことを知っています。
しかし両親は、千恵子が実の子ではないことは公言していますが
千恵子には「あまりにも可愛いのでさらって来た」と言い続けていました。

で、詳しいことは省くけど、ある日千恵子の前に、同じ顔をした娘が現れるのね。
千恵子はびっくり! 相手は大喜び!!

苗子というその娘は、杉山の材木問屋で奉公をしています。
捨てられた双子の姉妹を探していて、千恵子に会えて嬉しくて仕方がありません。

千恵子も今の両親を本当の親のように思っていますが、やはり実の親は知りたいわけで
これからどうしたらいいのか迷います。

千恵子を育ててきた父親の太吉郎と母親しげも複雑な心境…

そしてなにより、千恵子に想いを寄せていた男性陣も衝撃を受けます。

生き別れの双子なんて、韓国ドラマにありがち~
しかも千恵子をめぐる男性陣三人のうち二人は兄弟で
もうひとりは身分違い… ぞくぞくする布陣ですね。
だけど、これだけのお膳立てがありながら、この物語の人々は皆お人好しなのか
ドラマ的ドロドロは無くて、お話しはまったりと展開していきます。

あらすじより気になったのは、同じ母親から同じ日に生まれても
育った境遇ででこんなに差がでちゃうのか? という二人の性格。

たぶん根本的な部分はあまり違わず、二人ともいい娘さんなのですが
千恵子は育ちがいい分、どうしても上から目線になってるのよね。
苗子も、姉妹なんだからもう少し気楽に接すればいいのに
千恵子をお嬢さん扱いして下手に出ているし…
しつこいけど、ドラマなら逆に下心がありそうな行動に思えちゃいます。

せっかく斜陽をむかえそうな京都の伝統工芸や祭りに言及しといて
尻つぼみな感じも否めません… もったいない気がします。

ただ京都弁も手伝ってか、すごくのんびりゆったり読めた一冊でした。
しかし、面白いかといえばそうでもない…

丸くおさまりそうに見えて、二人のまっすぐで純粋な娘のせいでそうはいかず
え! そこで終わる? と、消化不良気味にラストを迎える物語でした。
読んでいる途中で妄想が広がっちゃって、ちょっとがっかりしちゃったのね。

ひとことHard Rockコーナー
夜中に『リッチー・ブラックモア・スペシャル』をやるっていうから録画して、旦那と二人でワクワクしながら見たら
通販番組~? がっかり… でも買うかどうか迷っちゃったさ… 買わなかったけど
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『ブルックリン・フォリーズ』いいじゃない!夢物語

2014-01-13 21:02:17 | アメリカの作家
THE BROOKLYN FOLLIES 
2006年 ポール・オースター

ドラマや娯楽映画などではハッピーエンドが喜ばれるものですが
小説では大団円だと、できすぎた話だとか言われがちな気がします。
なんとなく不幸を引きずっていそうだったり、曖昧な結末な方が深みがありそうでね…
勝手な思い込みですが。

このあいだ読んだオースターの『最後の物たちの国で』がまさにそんな感じでした。
ものすごく面白かったので、すぐにこの本を買って読んでみました。

この『ブルックリン・フォリーズ』もとても楽しく読んだのですが
『最後の~』とはまったく違うタイプの面白さで、正直びっくりしました。
本当に同じ作者&訳者(柴田元幸氏)なの?

舞台はニューヨークのブルックリンです。
主人公はネイサン・グラスという59歳の男性です。
肺癌を宣告されて仕事を早期退職し、そのうえ妻から離婚されてしまい
「もうな~んにも無い」と、静かな死に場所を求めて
3歳の時に離れたブルックリンに56年ぶりに戻ってきました。

道楽以外に特にやることもなくブラブラしているネイサンなのでしたが
ある日、たまに行く古本屋で7年ぶりに甥に再会します。

甥のトム・ウッドは子供の頃から頭がよくて、国文学の博士になるのでは?と
ネイサンが期待をよせていたのですが、2年前に大学をやめてタクシーの運転手になり
半年前から古本屋の店員として働いていました。

物語の中心は、この、全て無くして世捨て人のようになった初老の男性と
すっかり太っちまった、エリート脱落者のがっかりな甥の二人なのですが
トムと再会したことで、ネイサンはいろいろな人と繋がりを持つようになり
彼らのトラブルに巻き込まれ、忙しい毎日を送ることになります。

あらすじはやめといて、主な登場人物を紹介しますね。

オーロラ、通称ローリーはトムの美しい妹です。
二人の母、すなわちネイサンの妹が再婚した後家を飛び出して、未婚の母になり
アダルトビデオの女優になり、ミュージシャンと駆け落ちして別れ
その後一度トムに「結婚する」と言いにきたきり3年間行方不明になっています。

ルーシーはローリーが生んだ9歳の娘です。
ある日ひょっこりトムのアパートを訪ねて来ますが、絶対に母親の居所を言いません。
幼いけれど、絶対自分の意志を通そうとする頑固者です。

トムが働く書店のオーナーは、ハリー・ブライトマンという愉快なゲイですが
過去にシカゴで絵画詐欺を働き服役したことがあります。
ネイサンとトムに、大金を手にするチャンスをつかんだと打ち明けます。

トムが想いを寄せるナンシー・マズッケリは、アクセサリーを作っている人妻で
子供たちに愛情を注ぐ “ B.P.M(ビューティフル・パーフェクト・マザー )” です。

ナンシーの母ジョイスは数年前に夫を亡くした寛大な未亡人で
ネイサン&トム一族は後々とってもお世話になります。

ここまでが主要な人物で、物語の展開に欠かせないのが以下の方々。

ネイサンが妻と離婚後にけんかしてしまってから音信不通の、母親似の娘レイチェル。
古本屋の店員でハリーの恋人、ドラッグ・クィーンでもあるルーファス。
ネイサンとトムとルーシーが数日間泊まったインのオーナー、スタンリーと娘ハニー。
ローリーの夫で、ある宗派の狂信者デイヴィッド・マイナー。
ハリーの元恋人で画家のゴードン・ドライヤーは、シカゴの詐欺の首謀者でした。

もっともっといるのですが、とりあえずこれぐらい押さえておけば大丈夫かと…

あとは死ぬだけ… と思っていたネイサンですが、ここからはスーパーマン並みに活躍!

ある人を窮地から救い出し、ある人の不正を暴き、ある人の恋を(少し)手助けし
誰かが悲しんでいれば話を聞いてあげて、誰かが迷っていれば相談相手になり
店番もするし、シッターもするしで、皆から頼られっぱなし。
ちなみに、ネイサンはもと保険外交員、しかも成績優秀だったらしい。
そういうことも頼りにされる人柄になにか関係しているのでしょうか?

そんなわけで、物語は皆ハッピーにラストを迎えます。
あ、不幸かもしれない人が二人いますけど… 考えようによっては三人かな?

まぁ、それはおいといて…
ネイサンには恋人ができるし、あることがきっかけでレイチェルの愛を取り戻すし
癌は転移してないしといいことだらけ。
トムはやりたかったことができるだけの大金を手にし、結婚もしたし、痩せたしね。

ローリーも幸せ、ナンシーも幸せ、ハニーもジョイスも幸せ、ばんざーい!!

どーよ? これ。
少しぐらいひねりがあるかと思いましたが、そんなことはなく、紙面は幸せ一杯よ。
この屈託の無さ、いいですね。
しかも “ いい話~ ” “ 泣けます~ ” 臭がしないところがよいですね。
そういうのはウンザリ

ひねりは無いと書きましたが、少し読者に刺激を与えてあげようという小技は効いています。
読み終える頃にはこっちもハッピーになって、まさに言うこと無しでした。

けれども最後の最後に「幸せ!」とも言ってられない、世界的な不幸が示唆されます。
もしかすると、登場人物の中に、この不幸に巻き込まれてしまう人がいるのかも…
その不幸の影と、主人公の最後のひと言が印象的で、やけに気にかかるラストでした。

最後の最後の行だけ書いちゃうね。
「わが友人たちよ、かつてこの世に生きた誰にも劣らず、私は幸福だったのだ。」

ね! 気にならない?

ひとことK-POPコーナー
SISTERのヒョリンがソロ出したでしょ? 2曲MV見ましたが… さすがいろっぽい… いろっぽすぎる
でも曲はいいんだよねぇ、歌が上手いからさらに良く聞こえるのね
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『店員』上質紙じゃなくてもいいと思うの…

2014-01-11 02:25:20 | アメリカの作家
THE ASSISTANT 
1957年 バーナード・マラマッド

今まで短篇ばかり読んできたマラマッドの長篇を初めて読んだ感想は…
この本、感想を書くのが難しい~

短篇でグッときた、まっすぐで我慢強いユダヤ人たちを凝縮したような主人公の
頑張って生きているのに上手くいかないことの悲しさが全篇に溢れている一冊でした。

あらすじを書きますね。

60歳のモリス・ボーバーという男性がいます。
彼は若い頃アメリカに渡ってきたユダヤ人で、食料品店を営んでいます。
ボーバーの食料品店は良い時も悪い時もありましたが、生活はずっとカツカツでした。
そして今はどん底… 近所に新しいドイツ人経営の食料品店がオープンして
少なかったお客までもっていかれました。

口やかましい妻アイダはそんな亭主をあきらめていますが
やはり人並みの生活がしたいのよ!というわけで
店を売りたがり、娘には良い相手と結婚してもらいたいと望んでいます。

一人娘のヘレンは23歳の美しい女性ですが、大学をあきらめて就職し
同じことを繰り返す毎日と悪くなる一方の家の状況に、絶望さえ覚えていました。

ボーバーが店を開いているブロックはユダヤ人街ではありませんが
隣ではジュリアス・カープというユダヤ人が酒屋を営んで繁盛しています。
そしてドイツ人に近所の店を売ったのはこの人、ってわけで、ボーバーは彼が嫌いです。

その隣ではサム・パールというユダヤ人がキャンディ・ショップをやっています。
商売はそこそこですが、競馬にめっぽう強くてそちらで食べているという噂です。

アイダは、羽振りの良いカープの跡取り息子ルイスか
奨学金で大学に通い、ゆくゆくは弁護士になるであろうパールの息子ナットと
ヘレンを結婚させたがっています。

物語冒頭、ボーバーの貧しい暮らしと哀しいやりくりが細か~く描かれていて
読んでるこっちまでドーンと落ち込みそうな雰囲気
いい人なんだけどね…

その上、ボーバーは強盗にあって大けがをする始末… とことん不運。

ただでさえ稼ぎの無い店で怪我人抱えてどうするの? というところで
ふらりとフランク・アルバインという青年が現れます。

彼はたびたび店に来るうちに、どーにもこーにも強引に店員になってしまいます。
将来店をやりたいから、ただでもいいから、モリスがよくなるまで…
でも、これは本音じゃないらしい… では目的はなんでしょうね?

はしょりますけど、物語はこの後もボーバー一家をおそう不幸と不運のオンパレードで
けっして楽しい展開ではないです。

だからあらすじはおいといて気になったことだけ書いちゃうわね。

しつこいほど書いてますけど、私は韓国ドラマ大好き!
見どころは、なんといってもヒロインに献身的な男性陣です。
特に、 “ 影からヒロインを見つめる ” 攻撃と “ 好きだ!って言い続ける ” 攻撃、
“ どこへでもついて行く ” 攻撃なんですけどね。 羨ましいったらありゃしない。
とにかくいつも近くにいるのよぉ、旦那に言わせりゃストーカーってことになるんですが…

なんだけど、映像で観てると素敵なことが、文字で読むと恐ろしいぞ…

ご想像通り! フランクはヘレンを想うようになりまして
店員になった時同様の粘り強さと強引さを発揮するんだけど、そしてとても献身的なんだけど
これが(私は)かなり気持ち悪かったんですよね。

騎士道精神とか、人生を捧げる愛とか、だぶんハーレクィン・ロマンスなんかにもあって
ときめく内容になってるのでしょうけど、これはそうじゃない…

なぜだかはわかりません。
ただ、フランクという人のキャラクターにその行動が似会わないような気がしています。

どうなんだろう? 映像になったらフランクの行動も「これこそ愛 」って思えるかしら?
映像は文章よりストレートに、考える間もなくうったえかけられるからね。
でも文章は映像より細かい心の動きが感じられそうだし… 難題です。 今後の課題にします。

暗い、暗いと書きましたが、けっして面白くないわけではないのでね。
なんだかんだ言ってするする読み終えました。

街の片隅で生きる名も無き一家をテーマにして、ほぼその家だけが舞台になっているのに
ちゃんと読み応えがある物語になっているあたり、さすがです。
それから、登場人物の箇々のパーソナリティーが明確で入り込み易かったです。

こんな終わり方ってひどい~… と思った後も物語は続きまして
最後は少しだけ明るい未来、いや、微々たる光が見えるラストが訪れます。
この一家の今後に幸あれ! と祈るばかりです。

ところでこの本、表紙も銀の箔とか使っちゃって立派なんですが
中面に光沢の真っ白い紙使ってるんですよね。
紙は普通でいいからもう少し安くしてくれるとありがたいんだけどなぁ…

ひとことK-POPコーナー
SHINeeのオニュが『ミス・コリア』のOSTで歌ってるじゃないですかぁ『Moonlight』
ここ何日かずーっと聞いてるんですけど、やっぱりきれいな声ですよねぇ… 癒されるわぁ
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『シカゴ育ち』都市的で詩的、不思議な一冊

2014-01-06 21:10:02 | アメリカの作家
THE COAST OF CHICAGO 
1981~1990年 スチュアート・ダイベック

例によって紀伊国屋書店で衝動買いしてしまった一冊ですが、すごく不思議な読後感です。
すごーく面白いか? 好きな話か? と聞かれたら、そうでもないのですが
良い後味が残っています。
内容云々というより、印象に残る一行が多い… という感じでしょうか?

アル中、ヤク中、暴力的な映画やら男に襲われそうになって死んだ娘などなど
決して美しいものがテーマではないのに、なんだかきれいな詩を読んだみたい。
吟味に吟味を重ねた単語をつなげて書いているというわけでもなさそうなのですが
なぜかいちいち心にひっかかりました。

六つのショートショートと六つの短篇、二つの連作から構成されていて
どれが一番好きとかそうでもないとかいうのは難しいのですが…
気になったものをいくつかあげてみますね。

『荒廃地域(Blight)』
朝鮮戦争とベトナム戦争の間のある年、町が公認荒廃地域に指定された。
バットで頭を殴られてから有名人や聖人を見続けているジギー、
モリーナに恋をし続けているペパー、完成しない小説を書き続けているディージョと
4人でバンドを結成し、荒廃団(ブライターズ)と名付けた。

これは以前、『and other stories』で読んだ時には、特に良いと思わなかったのですが
この短篇集で読んだらとても印象的だったのよね。
訳者(柴田元幸氏)も同じなのに… やはり同時掲載作品とか掲載順て重要なんですね。
若者がアメリカ的無茶をやっているようで、かなりせつない物語に思えます。

『夜鷹(Nighthawks)』
これは九つのお話しから成る連作で、各々に関連性はないけれど
主に夜中の風景・眠れない人たちがテーマになっています。
特に好きだったのは『不眠症』という話で
これはもう、完全にホッパーの “ ナイトホークス ” の世界!
          
これね! これがこのまんま頭の中に浮かびます。

『熱い氷(Hot Ice)』
これも五つのお話しからなる連作で、こちらは続き物です。
ええっとですね、これは、最初に書いたアル中、ヤク中、死んだ娘云々に加えて
刑務所に入ったイッちゃってる人が登場する話で、けっこうワイルドな内容なのですが
たとえば、娘が死んでいる情景がオフィーリアの絵画みたいに頭に浮かんだりして
おとぎ話的にキレイな印象が残っています。

『ペット・ミルク(Pet Milk)』
インスタントコーヒーにペットミルクを入れて飲んでいる。
ペットミルクがコーヒーの中で描く渦を見るのが好きだ。
ガールフレンドと通ったチェコ料理店のカクテルで見た渦を思い出す。

貧しいわけではないの、渦が好きなの。
コーヒーではなく、ミルクの渦にこだわる… 違いがわかる人ではないが詩的ではある。

私は “ ワル ” とかダーティーさを前面に押し出す話はあまり好きではないのですが
この一冊はまったく不快感を感じずに読み通せました。
話の中に垣間見える風景や情景が美しく儚く感じられたのが大きかったような気がします。
それが文章によるものだとしたらまさにペンによるミラクル!

柴田元幸さんは(背表紙によると)これまで訳した中で最高の一冊と断言していらっしゃる。
申し訳ないことに、私にとっては最高の一冊ではないのですが
ダイベックがとても気になる作家になったことは間違いない! と断言できます。

ひとことK-POPコーナー
BSで東方神起の日産スタジアムのライブやってたのを録っていたので観てみました。 さすがにすごーい迫力!
ところで 日産スタジアムって何人入るの? 後ろの方の人見えるのかしら? ドームだって小さ~いのに
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