まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『アイルランド短篇選』妖精が住む島の哀愁

2008-07-31 01:36:26 | イギリス・アイルランドの作家


特にイギリス文学とアイルランド文学を分けて考えたことなど無かったわたくし。
一冊にまとめていただくと、たしかに何か確立したものを感じました。

何かしら?
まず、妖精や伝説の存在や、強固なカトリック信仰があり
搾取されてきた過去と独立運動の存在なんかが、決定的に違うところでしょうか。

特に好きだったものをあげてみます。

『ミスター・シング(Mr Sing My Heart's Delight)/ブライアン・フリール』
人里離れた岬の突端に暮らす祖母の家を訪ねて来たインドの行商人。
がらくたのような売り物に、少女のようにはしゃぐ祖母は
彼に一夜の宿とたっぷりの夕食を提供します。
翌朝、無口な行商人は美しい赤い石の指輪を置いて去っていきます。

このおばあさんがいいのよ!!
素朴な人柄を存分に見せてくれます。涙がでちゃうくらい。

『国外移住(Going into Exile)/1924年 リアム・オフラハティ』
貧しい祖国を出てアメリカに向かう長男と長女を送る、前夜の祝宴風景。
あわただしさがふと途切れた時、晴れ着を着た子供たちを見送る両親の
やりきれない切なさが涙を誘います。

当時、どれぐらいの人たちがこういう思いをしてアイルランドを後にしたのかしら?
『アンジェラの灰』とか『タイタニック』とかもありましたね。
今や屈指の高GDPを誇る国からは想像できないですけれども。

『ロマンスのダンスホール(The Ballroom of Romance)/W・トレヴァー
片足を失った父親と山の農場で暮らす、ハイ・ミスのフライディーが
週に一度通う、辺鄙な泥炭地にあるダンスホール。
場末の娯楽場で哀しい恋が生まれては消えていきます。

境遇に逆らえない人びとが哀れです。
せっかく遊びにいっても、いつも同じ顔ぶれ、同じ出来事。
それでも出かけずにはいられないの。

これ以外の短篇もひとつひとつが特徴的なものでした。

こう言ってはなんだけど、小さな国とはいえ
国中からいろいろな作家がいろいろな物語を持ち寄っても
“らしさ”って出るんもんなんですね。 時代もあるのかもしれないけど。

アイルランド短篇選 岩波書店


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『ボヌール・デ・ダム百貨店』今あったら行っちゃうね!

2008-07-30 00:53:07 | フランスの作家
AU BONHEUR DES DAMS 
1883年 エミール・ゾラ

すごくおもしろいから!!
平たく言うと若い女性のサクセスストーリーなのですが
その舞台というのが、当時姿を見せ始めた大型小売店鋪、いわゆる百貨店です。

百貨店の躍進と、それをとりまく商店街の衰退があからさまに描かれたこの物語。
どうしても一歩先を行って、小さな専門店を倒していく百貨店は
極悪非道の象徴のように見えますが、やはり人間は利便性を求めてしまう生き物なのね。
今でもよく問題になる、さびれゆく商店街というテーマは19世紀に始まっていたのですな。

百貨店はバーゲンやキャンペーン、ディスプレイなどあの手この手で
女性の心をくすぐろうとします。 今と同じね。

変わらないのは、お客さんも。
物欲の女、クレーマー、バーゲン狙い、万引き常習犯、と
今でもよく見かけるお客様パターンが多数登場します。
違いはドレスを着ていて、口ぶりが「~ですの」みたいに上品ってだけ。

ストーリーは、田舎から叔父を頼ってパリに出て来たドゥニーズという娘が
叔父の洋品店の向かいにある巨大なボヌール・デ・ダム百貨店に心奪われ
その経営者の愛と信頼を勝ち得るまで、というお話なんですが、
時代の移り変わりについていけない商店主たちの悲哀や
ドゥニーズに絡み合う百貨店の人びとのキャラクターがなにしろ絶妙で
最後まで飽きることがありません。請け合います!

ちなみに、パリにおけるデパート第一号は、1852年の“ボン・マルシェ”だそうで
続いて“ルーブル” “プランタン” “サマリテーヌ”などが登場し、
華やかな帝政時代の象徴として、パリに君臨します。
(さらにさらに、ロンドンのハロッズは1835年、リバティは1875年創業)

その裏には泣く泣く店をたたんだ小さなお店たちが無数に存在するのね・・・
がんばれ!元住吉ブレーメン通り!!

ボヌール・デ・ダム百貨店 論創社


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こちらの表紙も風情がありますね
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『密会』思い出横町のような一冊

2008-07-29 00:55:11 | イギリス・アイルランドの作家
A BIT ON THE SIDE 
2004年 ウィリアム・トレヴァー

これって21世紀の物語?と思えるような、レトロな短篇がつまった一冊。

よくよく思い起こせばW・トレヴァーは1928年生まれで、発刊当時、御歳76歳。
1958年から執筆をしていらっしゃる大御所です。

決して古くさいのではなく、郷愁ただよう12篇の中から
特に私が好きだったものをあげてみます。

『死者とともに(Sitting with the Dead)』
馬のことばかり考えていた気難しい夫が死んだ晩
訪ねて来た慈善団体の姉妹に、夫の愚痴を言ってしまう妻。
慰める姉妹と、次から次へと夫への恨みつらみが口をついてしまう妻の静かなる葬送。

世の気難しい旦那様と長い月日を過ごした妻ならこうですよね!という一篇。
旦那様は泣いてくれろと思っているしょうが、肩の荷が下りた感が漂うかもね。
もちろん、もちろん、悲しいのよ。

『密会(A Bit on the Side)』
毎日のように密会を重ねてきた二人なのに、女が夫との離婚を決めると
男の態度が変化していきます。
女は“その日”がやってくるのを覚悟しながらも
次にいつ会えるか聞かずにはいられないのです。

だ~か~ら~、週に6日ちゃんと家に帰る男と不倫したってダメなんだってば!
“大人の関係”ってだいたい男の人に都合良くできてると思いますよ。

『路上で(On the Street)』
シェリルが地下での仕事を終えて路上に出ると、またもや別れた夫が待っていました。
彼はいつも同じことを繰り返し彼女に聞かせますが
話しが尽きれば、もう彼女の後を追おうとはしません。

夫も妻も、とても不幸な気がする先行きが真っ暗なお話ですが
特に理由は無いんですけど、好きなんです。

登場する女の人たちがドレス着ててもおかしくないかもしれません。
まったく現代を感じさせないけど、かといって一昔前の話しでもない
不思議な世界観がある一冊でした。
裏道に一歩入ると、程よく寂れている横町があって
妙に落ち着く、そんな感じでしょうか。

ノスタルジーに浸りたい方はぜひ!
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね


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『モル・フランダーズ』“盗人猛々しい”というお話し

2008-07-28 00:30:17 | イギリス・アイルランドの作家
THE FORTUNES AND MISFORTUNES OF THE FAMOUS MOLL FLANDERS 
1722年 ダニエル・デフォー

本当は☆無しかなあ、と思うわ。

ものすごい悪女の赤裸々な物語かと期待したのにハズレでした。

主人公であるモル・フランダーズの告白という形をとっているんだけど
全編、これ、言い訳と自己弁護のオンパレード
「仕方がありませんでした」とか「私になにができたでしょう?」ってね。
もう少し開き直ってほしかったな。

牢獄で産み落とされてジプシーに育てられ、ある街に置き去りにされたという
ベティ(モル・フランダーズ)は、引き取られた裕福な家の長男との関係から始まり
結婚5回、その他もろもろの男性と付き合いながら生活していたわけですが
中年にさしかかった頃、貧困に耐えかねて盗みに手を出します。

その後は次々と罪を重ね、やり手の女泥棒と言われるようになりますが
とうとう捕まって牢獄に入ります。

しかし、不幸中の幸い。
やはり名うての強盗になっていた4人目の夫に再会した彼女は
あの手この手で彼と同じ流刑地に行けるよう画策し、アメリカに渡ります。

そこでは3人目の夫の息子が農園をやっていて、手厚くもてなされた上に
金銭的な援助ももらって、たいそう幸せに暮らし
良き老人となってイギリスに戻りましたとさ

この女の自慢がスゴいわけ!
男が自分をほっとかないことと、泥棒としての腕の良さを惜しみなく披露します。
中学生がケチな犯罪をひけらかすようなもんです。

それからこの女は何人か子供を産んでるんだけど、一人も自分で育ててないのよね。
それなのに、アメリカの息子からは温かくしてもらって
つくづくラッキーだとしか言えませんね。

『ロビンソン・クルーソー』は読んでないんだけど
それに並ぶ名作って言われてもねえ・・・
ハラハラもしないし、とにかく後味の悪い話しですよ。
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ラーメン博物館に行って来ました

2008-07-27 23:58:44 | もろもろ
ラーメン好きの聖地、新横浜ラーメン博物館に行って来ました。
と言っても、ものすごく久しぶりでお店も変わっていましたね。

各店ミニラーメンなるものが登場していたので
何杯食べれるかにチャレンジ!!
しかし結局2杯で限界 口ほどにもありませんでした。

● カフェバー 35ノット 
 暑くて喉が渇いていたので、とりあえずビールを1杯
 ギネスビールをのんで一息つきました。
 BGMは甲斐バンド 全ての曲名を言い当てる旦那さんにびっくり!!

● 和歌山 井出商店 
 前回来た時は長蛇の列であきらめましたが、今回は5分待ちだったので
 並んで食べました。
 初めて池尻で食べた“マッチ棒”ほどじゃなかったけど
 「これよ!この味」と思えた気がするよなしないよな・・・

● 博多 ふくちゃんラーメン 
 博多出身のわたくし、これを博多ラーメンと言われてはたまりませんなっ!
 「まさか、あのふくちゃん? あのガッカリな?」と思ってたらやっぱりそう。
 コク無し、臭み無し、深み無し、のダメダメな味でした。
 2杯目に食べてしまったのが悔やまれてなりません。

お口直しにアイスキャンデーのオレンジをいただきましたわ。
余計なものを食べちゃったじゃないの・・・

無料券を頂いたので、また行きたいと思っています。
次は何を食べようかしら? ふくちゃん以外で。
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『居酒屋』華の都の中の地獄

2008-07-26 01:27:42 | フランスの作家
L'ASSOMMOIR 
1876年 エミール・ゾラ

時代はパリ万博前夜、華やかなる雰囲気に沸き立つパリです。

気のいいおじさんたちが集う、愉快な社交場が舞台のような印象の題名からは
想像もつかない、息苦しい作品です。

この物語はものすごくインパクトがあって、一気に読み終えたけど
再度読み直すことはないだろうと思っています。
“目を背けたい”というのが正直な気持ちかも。

主人公ジェルヴェーズを取り巻く、圧倒的な貧しさと、絶望的な不人情。
働き者で一度は這い上がった彼女も、ずるずると地獄へ堕ちていくことになります。

何もかも金次第の人たちを酷いと言うのは簡単だけど、自分だってそうでしょう?
まるで作者ゾラにそう問われているみたいで、心苦しくなりました。

貴族や大富豪は許せても、ちょっとした金を持つ隣人は許せないパリ下層の庶民たち。
親兄弟でも同じことで、ジェルベーズは夫の姉に忌み嫌われ
死に瀕してのも助けてもらうことができないし
親身にしていた人びとにも落ちぶれるたと同時に露骨に背を向けられてしまいます。

夫クーポーは酒浸りで死んでいまい、娘ナナは夜の街に消えてしまって
寂しいというには残酷すぎる末路をたどるジェルベーズ。
自業自得な部分は少なからずあるにしても、なんの保障もない当時の労働階級の
おかれた状況も、かなり厳しかったことが伺い知れます。

この物語の中で救いとも言える、心ある人は4人。
しかし彼らもジェルベーズを助けることはできませんでした。

でも、根っからの悪人である元夫ランチエは別として
他の貧しい人たちが、もっと貧しい人に救いの手をさしのべないからといって
悪人だと責めることができるかな?
それより、自分はどうだろう?やっぱり何もしないだろうな、と思うと
どんより沈まずにはいられない一冊でありました。

この物語の中には、それこそ貧しい人たちのエピソードが多々登場しますが
中でも私は、貧しさのために8歳にして死ななければならなかった
ラリーという女の子の最期がたまらなかったな・・・物語とはいっても。

居酒屋 新潮社


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『アンナ・カレーニナ』ロシア版“男女七人夏物語”

2008-07-24 00:50:09 | ロシアの作家
АННА КАРЕНИНА 
1873年 レフ・ニコラエヴィチ・トルストイ

ロシア版 “ 金曜日の妻たちへ ” でもいいんですけどね…
なんなら“不揃いの林檎たち”でも。(どっちにしても古い例え…)

文豪トルストイですから面白くないわけなかろう、と言いたいところですが
私はあまり楽しめなかったんですよねぇ。
なぜかというと、なんだか自分勝手な不倫妻の話しに思えちゃって…すみませんね。

題名に『アンナ・カレーニナ』とついているくらいですから
アンナと夫カレーニン、情夫ウロンスキィ伯爵はもちろんのこと
アンナの兄オブロンスキィ公爵とその妻ドリィ
オブロンスキィの友人で裕福な農園主レーヴィンと、ドリィの妹キチィの
3カップル、7人の男女の恋愛や結婚を軸に物語が展開します。

発端は、兄を諌めようとモスクワにやってきたアンナがウロンスキィと出会い
恋に落ちて、夫も子供も捨てて家をでたこと。

別居をし(夫のお金で)ウロンスキィと優雅な暮らしを続けるものの
アンナは息子のこともあって、夫からの離婚の申し出を断固拒否します。
ここでは夫かレーニンは体面ばかり気にする男性のように描かれています。

ところがアンナは歳をとるにつれて、ウロンスキィが自分から離れていくのでは?
と不安にかられるわけね。
そこで一転して夫と離婚しウロンスキィと結婚して保証を得ようとします。
しかし今度は夫が世間のアドバイスを受けて離婚を拒みます。
ここでも夫はいやみったらしい男性に書かれています…可哀想。

一方、ウロンスキィにふられたキチィは、彼女を一途に思ってくれるレーヴィンと結婚し
それなりに幸福な毎日を送ります。

またドリィは、夫が浮気や政治的根回しで浪費し
どんどん家が傾いていくことにじっと耐えながら日々を送っています。

この二組の夫婦のあり方も興味深いところです。

ウロンスキィの言葉が信じられなくなり、小さな行き違いも手伝って
次第に絶望を感じていくアンナ…彼女がだした結論とは?

うーん…やっぱりアンナの人生、同情できない。
浮気をする人全てがいい気なもんだとは思いません。
ほぼ完全に理解できる不倫もあります。
でもアンナの浮気には “ 陰翳 ” ってものが感じられないのよね。

なにしろ夫カレーニンが悪人扱いなんですけど、逆に彼に同情しちゃうわ。
真面目な堅物で何が悪い! 世間体を気にしてどこがいけない? しかも当時のロシアで。
ここらへんのトルストイのお考えがよくわかりません。
もう一度読んで考えなおしてみたいと思います。

ところで、ドストエフスキーもそうだったけど
ストーリーからみて農園改革とか政策を長々と語る必要あるのかな?
ロシアの作家の人は、検閲とかがあるので自分の主張を作中人物に語らしてたのかしら?
よくわかりませんが、物語を堪能する上では少し邪魔な気がします。
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『息子と恋人』◯ ◯ 三兄弟みたいな・・・

2008-07-21 17:49:24 | イギリス・アイルランドの作家
SONS AND LOVERS 
1913年 D・H・ロレンス

早い話しがマザコン・ブラザーズの物語です。
特に最後まで親元を離れなかった次男が、どうしようもなく困った人なわけ。

モレル家三兄弟は、どうやらみなさん男前のようにお見受けしますが
もったいないことね。

三兄弟+娘一人は、だらしない夫に愛想をつかした母親の愛情を受けて
完全にママッ子として育ちます。
母親の寵愛は、長男の死後次男ポオルに注がれ
ポオルもそんな母親が自分にとって第一の女性だと思うようになってしまいます。
そのため二人の女を愛しながら、母親のもとを去ることができません。

人妻であったクララにも、ずっとポオルを愛し続けていたミリアムにも
母親以上の愛を見いだせなかったポオル。
母親が亡くなった時彼は…? そしてふたりの女性は?

うだうだそれっぽい理屈を並べてはいるものの
ポオルは女性二人と関係を重ねるうちに、最初の感動が薄れていくってことに悩むの…
あたりまえでしょーが!!
変な下着買ったりセーラー服買ったりしなきゃいけないじゃないの!
それでなくても変わり者の二人を相手にしてるっていうのに
いったい女性に何を望むんでしょうか?

それから、全編通してお父さんが可哀想すぎます
お酒は飲むけどさ、とりあえず一家6人暮らせるように炭坑で働いて
浮気もせず、朝が早いからって自分で朝ご飯の用意して出かけるのに。
家族中に嫌われるってどうよ?
妻が死んで泣いている姿まで憎まれるとは…

とにかく、時がきたら少し親と距離をおいてみては?
親子ベッタリはけっこう気持ち悪いかもよ。

余談ですが何がショックって
この本、上、中、下の三巻ものなんだけど、ネットで買ったら
上だけ装丁が違うっていうじゃんか!復刊のやつで。
本棚見るたびにブルーになるんです。
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コロー展に行って来ました

2008-07-21 08:01:30 | もろもろ
国立西洋美術館にコロー展を観に行って参りました。

退屈な絵だとおっしゃる人もいるでしょう。
でも、コローの風景画には随所に小さい人びとが登場していて
それがストーリーを感じさせるの。

そして何より、木漏れ日と雲。
鬱蒼とした森の中で木陰からちらつく陽の光が
ここかしこで遊んでいるような印象。

コローのお人柄が現れているような、穏やかな絵の数々を観てから
上野公園を歩くと、なんだか木々が美しく見えたわけです。
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『ドゥミ・モンデーヌ』のぞいてみたい世界かも

2008-07-20 00:20:30 | 日本の作家
DEMI-MONDAINE 
山田 勝

“ドゥミ・モンド”とは今で言う高級娼婦か高級コールガールってところでしょうか?
それにしても、この本を読むと『プリティ・ウーマン』なんてみみっちいよ。

この本では、19世紀フランスの帝政時代のドゥミ・モンドの中でも
とりわけ有名な7人が紹介されています。

有名人をバックに政界を牛耳ったエステル・ギモン
敵であるプロイセンに身を売ったラ・ヴァイパ
貯蓄に励んだアリス・オジー
『椿姫』のモデルとなったマリー・デュプレシス
贅沢を享受し尽くしたイギリス人、コーラ・パール
『ナナ』のモデルとなったブランシュ・ダンティニー
そして、『ドゥミ・モンドの心得』を記した、“最高に高くつく女”レオニード・ルブラン

同時に、世相や、イギリスとフランスの社交界の比較、
裏社交界の役割取りなどをおりまぜながら紹介します。
もう、スケールが違い過ぎ

実際、政治家・作家・作曲家なんかは結構彼女らに取り入っていて
彼女らは莫大な資金をバックに、彼ら芸術家やジャーナリストを保護していました。
作家はけっこう彼女たちからインスピレーションを得ていたかも。
アレクサンドル・デュマやテオフィール・ゴーティエなんか常連
「不倫は文化だ」って言った人いましたけど、あながち間違いじゃないような気がします。

この時代、フランスには他にも有名な娼婦はたくさんいたわけで
(例えばローラ・モンテスとか)身を破滅に追い込んだ男が何人いても足りませんな

モームの『サミング・アップ』によれば、当時フランスでは
女のために破滅した男は英雄視される傾向があったようで
だからこそ彼女たちの商売は成り立ったわけですね。
なにしろゴージャス!!
下手な貴族なんかよりすごい贅沢な暮らしをしていた彼女たち。

(色あせた)写真を見ると決して美人じゃないんだけどなにか秘策があったんでしょうね。
知的でユーモアに富んでるとか、いろいろね

彼女たちの末路はいろいろあって、落ちぶれた人、若くして死んだ人
寂しく人待ち顔で余生を送る人、いろいろいたわけです。
有名どころはマリー・デュプレシス。
“天使のような娼婦”という、永遠の称号を手に入れた薄幸の女性ですね。

でも私に言わせりゃ、アリス・オジーみたいのはいやだな。
たんまり溜め込んで、悠々自適な老後を送るなんて。
パーッと使って落ちぶれて欲しかったわ。
だって、夢みたいな毎日を送ってるんですもの。夢は儚いものなんだってば。
そうじゃなきゃ、夢の後で自殺した男の人が浮かばれないと思いません?

THE 女! の生き様をのぞいてみましょう!
読んでみたいな!という方は下の画像をクリックしてね

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『白衣の女』男心の摩訶不思議

2008-07-19 19:10:48 | イギリス・アイルランドの作家
THE WOMAN IN WHITE 
1860年 ウィルキー・コリンズ

内容はね、面白いんです。特に文句ありませんが・・・
ローラっていう女がおバカさんなのよぅ

物語はウォルター・ハートライトという画家が
ある晩全身白ずくめの女にロンドンへの道を聞かれたことから始まります。

ちょっとドキドキする出だしでしょう?

ウォルターはその後、絵の家庭教師のために訪れた館で、莫大な遺産の相続人で
白ずくめの女にそくっりなローラという娘に会って恋をします。

彼女には既に親の決めた婚約者グライド卿がいて、二人の恋は実を結びませんが
ウォルターはその後、ローラの財産を巡る陰謀に巻き込まれ
ローラを救うために、彼女の異父姉マリアンとともに戦います。

“白衣の女”アンとローラの関係は? グライド卿の過去とは? など
様々な謎を解き明かしながら、核心に迫っていき
ついにローラの正当な権利を取り戻します。

手に汗握る、とまではいかなくでも、それなりに楽しめたんですけどね。

けどね!
重ねて言いますが、ローラってなんっにもしないわけ
全てあなたまかせでオロオロしてるだけなの。もう、すごい足手まといな女なの。
この人さえしっかりしてりゃ、皆が右往左往しなくてもよかっただろうに。

マリアンはあまり美しくない、無骨な顔らしいけど、献身的にローラを助けて
判断力も勇気もあって、一緒にいて楽しそうな感じにお見受けするがね。
男の人って、ボーーーっとしてても、やっぱり美人がいいですかね?
ローラって「どうしましょう?」しか言わないんだぜ それでもいいの?

白衣の女(上) 岩波書店


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とりあえず上巻で・・・
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『虚栄の市』世間を渡る鬼娘

2008-07-19 18:06:39 | イギリス・アイルランドの作家
VANITY FAIR 
1847~48年 ウィリアム・M・サッカリー

あの手この手で上流社会にのし上がる、身寄りのない貧しい娘の半生と
裕福な家が落ちぶれてしまい貧しい身の上になっても、愛する夫を信じ
何もかも受け入れて貞淑に暮らす娘の半生を、対比させながら進んで行く物語です。

レベッカ・シャープという女は、今で言うなら
デート商法のトップセールスレディというところでしょうか?
あらゆる人に取り入り、丸め込み、嘘をついて
力ずくで自分の望む物を手に入れていきます。
そのために親切にしてくれた人が破産しようと死のうと平気なのです。

女学校時代、たった一人自分に優しくしてくれたアミーリアの兄まで騙して
搾り取った挙げ句死に追いやります。

一方、アミーリア・セドリの方は、優しく慎ましいのが売り。
夫のジョージという人は、男気を見せて落ちぶれた彼女と結婚したものの
実は生活力のないどうしようもない男性でした。
遊び好きでレベッカにも言い寄る始末です。
最後にはちょっと勇気をみせて立派に戦死しますが。

彼女にはドビンという熱烈な信奉者がついていて、彼が常に彼女を見守り
陰ながら助けたおかげで、様々な危機を乗り切っていきます。
もちろん、彼女はそうとは知らずに…です。

そりゃあ、アミーリアが幸せになって、レベッカがとことん不幸になりゃ
万々歳というところですが、それじゃあねぇ…という結末です。

それにしても長いのよ
この当時イギリスでは、“1ページいくら” というふうに新聞社が小説を買っていて
作家はむりくりエピソードを入れ込んだらしいけど
確かにどうでもいい “ くだり ” が多々ありました。
しかし、ページを稼ぐために次々とエピソードを考えだせるっていうのも
スゴいことではありますね。

完全に大衆小説だと思います。
連載なので「次はどうなる?」とハラハラドキドキさせる展開に
ちょこちょこ盛り込まれる小ネタなど、読者を飽きさせないように必死です。

だから、長い物語ですが比較的だれずに面白く読み通すことができました。
心に残ることはありませんし、ためになる教訓もないと思います。
でも新聞を待ちこがれていた人々にとって、まさに娯楽! といえる偉大な物語だと思います。

虚栄の市 全六冊セット 岩波書店


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4冊のはずなんだけど・・・まぁいいか。
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私の育て方、間違いだらけ

2008-07-19 17:12:41 | 鉢植え
キム様 コメントありがとうございます
お察しのとおり第1号ですよ。
うちのかすみ草はアブラムシにもやられず元気です。 でも蟻がすごいことに・・・

立ち読みしていたらどうしても欲しくなって、こんな本買ってみました。

花別に育て方が書かれていてとっても解り易いんですけど
私の育て方は間違いだらけだと言うことに気がつきましたわ

次回、9月の秋植えの種は間違いのないように育ててみたいと思います。
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『SONY 世界遺産』を嘆く

2008-07-19 17:03:13 | もろもろ
放送開始当時から大好きだった『SONY 世界遺産』
数年前から自分で編集してとっておいたDVD-Rを
先日、やっと購入したハイビジョンTVで観てみたら・・・

画像ザラザラだっていうじゃない!!

ああ、ものすごく期待してたのに、どうしようDVD-R。

今の『世界遺産』、なんか雰囲気変わっちゃったもんで
録ってはいるんだけど観てなかったりして・・・

やっぱり『ちびまる子ちゃん』のウラでやる番組じゃないんじゃないかなぁ。
一家そろっての夕飯時ですもの。
ワイワイ言いながらテレビ観たいよねぇ。
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『ハワーズエンド』訳者に完敗です

2008-07-14 01:01:55 | イギリス・アイルランドの作家
HAWARDS END 
1910年 エドワード・モーガン・フォースター

ううぅ、吉田健一氏の訳でした
私はこの人の訳は苦手なの。
S.V.O.C の順に日本語で並べてあるし、接続語が“そして” “~で” ばっかりで
“しかし” “~が” がないんだよね、すごいイライラする
ちなみに他の方が訳した『眺めのいい部屋』は二倍速で読めたっつーの!

吉田健一氏はさておき
面白くないわけじゃないんだけど、嫌いかなぁ・・・マーガレットって人。
主人公ですけど、やな女だと思います。
「自分は分かってるけど、周りの人は理解できないだろうから黙ってよう」って態度がさ
慎ましいとか謙遜してるとかではなく、すごく思い上がった感じです。
芸術にも造詣が深いのは勝手ですけど、「でも彼らにはそれが分からないのだから」って
なんぼのもんじゃいっ! って言いたくなりますね。

この人が夫ヘンリー・ウィルコックスに向かって
「あなたは許しがたいほど頭が悪いんです」って言う場面があるんだけど
うちなら確実に埋められてるね。
よく元の鞘におさまったと思います。
妹のヘレンは観念くさいところがハナにつくけど、まだ素直で許せるかな。

ものすごくかいつまんで言うと
“ハワーズエンド”という屋敷を愛していたヘンリーの亡き妻の導きで
マーガレットが再婚相手となり、そこに暮らすようになるまでの話です。

それまでには、妹ヘレンの恋愛事件や反抗があり、妊娠して逃走したりします。
また、ヘンリーの息子が殺人を犯すなど紆余曲折があるわけだけど
少なくともマーガレットとヘレンには、ハッピーエンドになりました。
他の関係者にはそうじゃないと思うけど・・・

でも、内容はともかく、他の人の訳でもう一度『ハワーズ・エンド』を読もう!
と誓った私でした。

ハワーズ・エンド 集英社


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これも吉田健一であったか・・・
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