まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『ティンブクトゥ』犬の人生(?)もいろいろ

2014-06-20 23:00:50 | アメリカの作家
TIMBUKTU 
1999年 ポール・オースター

『最後の物たちの国で』『ブルックリン・フォリーズ』の2冊で
すっかりオースター・ファンになってしまい、また読んでみました、が…

とにかく予測のつかない作家ですね、オースター。
以前読んだ2冊とは、またもやまったく違う印象を受けました。
前半は語って語って語り倒す…っていう感じで、少しうるさい~と思いましたが
後半は落ち着きを散り戻し、やっと感情移入することができました。

主人公はミスター・ボーンズ… 犬です。

ミスター・ボーンズが、破滅型で狂気を孕む放浪の詩人ウィリー・G・クリスマスと
ニューヨークからはるばるボルチモアまで、徒歩で! やって来たところから
物語が始まるのですが、その時点でウィリーは瀕死状態。

ウィリーは高校時代の恩師ビー・スワンソンに、ミスター・ボーンズの世話と
ロッカーに預けてある作品のことを頼もうと最後の力をふりしぼってやって来ました。

この願いが聞き入れられたかどうかはおいといて…
ミスター・ボーンズの飼い主はこの後2回変わります。
暮らしはウィリーといた時より安楽で平和になったみたい。

けれども結局ミスター・ボーンズの心を支配していたのは
長年片時も離れずにいて一緒に放浪を繰り返してきたウィリーだったのね。
最後には… あ、これは書いちゃダメだ、ネタバレになっちゃう。
書きたいけどぉぉぉ…

あ! 題名の『ティンブクトゥ』ですけど、これは、ウィリーがミスター・ボーンズに
死後に行く来世として語り聞かせていた場所の名です。
ミスター・ボーンズは、ウィリーがそこへ行くなら自分も行って
永遠に一緒に暮らしたいと、ずっと願っていました。
この題名からお察し下さい。

犬が主人公といえば、ジャック・ロンドンの『荒野の呼び声』『白い牙』が有名で
どちらも人間に対する犬の感情が見事に描かれています。

『ティンブクトゥ』でもそういった感情が描かれているのですが
ミスター・ボーンズがバックやホワイト・ファングと完全に違っているところは
人間の言葉を理解しているところです。

よく飼い主が「わかってるみたい」とか「きっとわかるんだよ」と言いますが
彼は本当に理解していて、ウィリーもそれを確信していて人間を相手にするように語ります。
後に飼い主になった二人にもなんとなくそれがわかり
ミスター・ボーンズがまるで友人でもあるかのように心配事や愚痴を話します。
しかし、ある意味それがミスター・ボーンズにとっての不幸だったような気もする…

普通の飼い犬なら汲んでやる必要の無い、複雑な飼い主たちの感情まで抱え込んで
応えてあげようとしなきゃならないんだからね。
これは人間の言うことを忠実に聞くというのとは訳がちがいます。
疲れるね~、ミスター・ボーンズ。

『白い牙』を読んだ時にも感じましたが、犬は恩を忘れない反面
新しい主人にもすぐに忠実になれる順応性を持って生まれてきているのでしょうか?
注いだ愛情を愛情で返してくれるなんて、こんなに嬉しいことはありませんね。

でも、何度も言いますが、私はネコ派!!

それにしても、オースター、次に何を読めばよいでしょう?
きっとまた驚かされることでしょう。
しかし、作品の世界観や表現方法がまったく違っていたとしても、どれも好きです。
何がオースターっぽいのかは掴めずにいますが、現実と虚構のほどよいバランスが
心地よいかなぁ… なんて思っています。
ま、たった3冊しか読んでいないので、今のところはってことになりますけど…

ひとことK-POPコーナー
きっと皆さん “ 声帯ポリープ ” を調べられたことでしょう! 生活に支障がないということなのでとりあえず一安心ですが
オニュ~ きちんときちんと治して、また美しくて癒される歌声を聴かせてね。 待っています。
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『キス・キス』…胃のあたりがムカムカする

2014-06-03 23:01:58 | イギリス・アイルランドの作家
KISS KISS
1953~1959年 ロアルド・ダール

題名と表紙ははポップで楽しそうなのに… 嘘つきぃぃぃっ!

ロアルド・ダールは、以前『王女マメーリア』『あなたに似た人』を読んで
そこそこ面白かったので、本屋さんで見つけた時に即購入したのですが
なんなんでしょう? この後味の悪さは…

11話おさめられていますが、大きく分けると
侮られた人々が相手を見返すちょっと笑えるお話しと
少しファンタジーっぽい奇妙なお話し、の2パターンかな?

奇妙なお話しは全体的に苦手でしたが、中でも金輪際読まないと思うのが
『豚(Pig)』という話し。
もう、登場人物も展開も会話もラストも全部ムカムカする。
あー! ニューヨークの弁護士のやつ! 本当に吐き気がしそう…

なので、ちょっと痛快に思えるお話しからいくつかご紹介します。

『天国への道(The Way Up to Heaven)』
ミセス・フォスターは、時間に遅れることを病的に恐れ
ミスター・フォスターは、わざと遅れそうにして妻を怯えさせるようなところがある。
ミセス・フォスターが一人娘に会いにパリに発つ朝も
ミスター・フォスターは忘れ物をしたと言って家に戻ってしまった。

これはねぇ、本当は面白がってちゃいけないのでしょうが
この夫だったらこんな目にあってもしかたないのでは… なんて思える話し。
奥さんをチクチクいじめてる旦那さん、お家のメンテナンスはちゃんとしないとね。

『牧師の愉しみ(Parson's Pleasure)』
ロンドンの骨董店の店主ミスター・ボギスは、週末になると牧師に変装して田舎へ出かけ
貴重な骨董品を驚くほどの安値で手に入れていた。
その日は、農場で2万ポンドもしようかというチッペンデールの飾り棚を目にする。
農場にいる三人の男たちは、その価値がわかっていないようだ。

今までがラッキーだったと思わなきゃね! 完全に詐欺でしょ? これ。
骨董ってホントに何がどうすれば高値がつくのか、一般人にはわかりませんね。
何かないかと家の中をみまわしてみましたが、びた一文無い…

『ミセス・ビクスビーと大佐のコート(Mrs.Bixby and The Colonel's Coat)』
ミセス・ビクスビーは何年もの間、月に一度伯母に会いにペンシルヴァニアに行っていたが
実は大佐と呼ばれる男に会いに行っていた。
ニューヨークで歯医者をしている夫は何も気づいていない。
しかし、とうとう大佐から別れを告げられ、とても豪華なミンクのコートを贈られた。

“ 策に溺れる ” とはこういうことを言うのでしょうか?
もちろん奥さんは痛い目にあわされるのですが、さらにダメ押しがあって面白いの。
女性としては手をたたいちゃいけないのでしょうけど、今まで裏切ってきた報いだからね…

クスっと笑える話しの方は、以前読んだ2冊同様楽しめたのですが
そうでない方は、本当に気味が悪いの。
読んでいて自然に口もとがゆがんでしまいました。

特にグロテスクだったり残酷だったりする描写はほとんど無いのですが
どうも私がイヤだと感じるストライクゾーンにバシッとはまっちゃったとしか思えません。
他の方が読んだら、そんなにムカムカしないかもしれないです。

とはいえ、久しぶりにイギリスの作家の本を読んだので
随所に現れる英国っぽさに触れる心地よさは味わえました。

ひとことK-POPコーナー
Kちゃんが大好きなU-KISSのMVが物議を醸してるっていうので観てみたけど、曲もMVもカッコいいと思うけどね…
ま、私は年食ってるのでまったく影響を受ける心配はないけど、お若い方には影響が大きいということでしょうか?
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