まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『マンスフィールド短編集』大好き!だからおすすめ

2010-10-31 23:25:52 | イギリス・アイルランドの作家
THE GARDEN PARTY 
キャサリン・マンスフィールド

以前岩波文庫版マンスフィールド短篇集をご紹介しましたが
マンスフィールドのお気に入り作品はまだまだあるので
今回は最初に手にした新潮社版からご紹介します。

マンスフィールドの作品には、小さな少女、恋に憧れる若い娘、スノッブな新妻など
多種多様な女性主人公が登場します。(たまに男性主人公もいますけど)

哀愁漂うものから皮肉の利いたものまで、どの女性の気持ちもよくわかる、
そんなところがマンスフィールドを読む楽しみのひとつになっています。

今回は老いた女性を主人公にした3篇をあげてみますね。

『パーカーおばあさんの人生(Life of Ma Parker)』
著述家の家に木曜日ごとに掃除にやって来るパーカーおばあさんは
ある日、「昨晩小さな孫の葬儀を終えました」と言うと仕事にとりかかりました。
彼女の人生は「つらい暮らし」の連続でした。
著述家は時々彼女の話しに耳を傾けてあげます。

パーカーおばあさんが過去を思い出しながら「私が何をしたというのだろう」と
繰り返しつぶやくシーンがあります。
たぶん神様を信じて実直に生きてきたのだろうに悲しすぎる人生です。
私が「何をしたっていうんだ」と聞けばたくさんお小言をもらいそうですが…

『小間使(The Lady's Maid)』
老メイドが仕えてきた大奥さまと奥さまのことを語ります。
奥さまの長いお祈りのこと、大奥さまを棺に納めた時のこと…
彼女は若い頃、一度だけお勤めをやめようとしたことがありました。
花屋のハリーから結婚を申し込まれたからです…でも結局辞めませんでした。

自分の人生を投げ打って主人に仕えるという昔気質の使用人というのは
読んでいる分にはいいものですね、自分はそうなろうと思わないけど…
私たちのお父さん世代は会社に対してそういう忠誠心があったんでしょうね。
会社も今より人情があったと思うしね。

『大佐の娘たち(The Daughters of the Late Colonel)』
父親が亡くなってから一週間、ジョーゼフとコンスタンシアの姉妹は
気が休まる時がありませんでした。
滞在中の看護婦も、女中のケートも気に障りますが何も言えません。
やっと葬式を終えたものの、父が怒る顔が浮かんで部屋の整理もままなりません。

この物語はジョイスの『ダブリン市民』の『姉妹(The Sisters)』という物語を
思い出させました。
自分たちの中心だった人物を失った時、老いた女性は何を考えるのでしょう?
新しい門出へのチャンスだと思えれば幸せですよね。

勝手に思っているだけですが、マンスフィールドはジョイスやギャスケルハーディなどを
いいとこどりで読んでいるような気になります。

ものすごく読書が好きだった人じゃないかしら?
そういう人が書く短編は “ 誰かに似ている ” という印象を与えやすいものですが
全てが“ マンスフィールド流 ” に仕上がっているところがさすがです 。

O・ヘンリー賞やモーム賞、オコナー賞など短編の名手に与えられる賞がありますが
マンスフィールド賞があってもいいと思うわ! (あるんですか?)
ぜひ、女性ならではの心の乱れをさりげなく表現できる作家に与えてほしいものです。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« デンマーク王クリスチャン5世... | トップ | デンマーク王フレデリク4世愛... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
これが人生か (renqing)
2013-07-07 15:33:11
初めまして。

貴記事を拝見し、ちょっと嬉しくなりお邪魔しました。

作家の阿部昭もその『短編小説礼讃』(岩波新書1986)の中で、マンスフィールドを取り上げています。その章題が、
「これが人生か」。

マンスフィールド賞、これは素晴らしいアイデアですね。
まだないのが不思議なくらいです。

私もつい今の今まで知りませんでしたが、福島県に《マンスフィールド記念館》があるそうです。
「 初夏から秋にかけてニュージーランドの国民的な作家 "キャサリン・マンスフィールド" というバラのローズガーデンとなります。首都のウェリントンの植物園と、日本ではマンスフィールド記念館以外ではどこにも見られない大変貴重なバラです。色合い、形、香りと三拍子揃った素敵なバラです。
バラに誘われてのご来館をお待ちしています。」

上記、記念館のURLを入れようとしたらうまくいきませんでしたので、煩雑ですが記念館の情報をこちらに書き込みます。

『マンスフィールド記念館』
場所 : 福島県西白河郡泉崎村大字北平山字新田東山38-4
電話 : 0248-53-4107

開館日時 毎週土・日 午前10時から午後5時
7月20日から8月20の期間は毎日開館
入館料 340円


では、では。
返信する
こんばんわ (まりっぺ)
2013-07-09 22:55:23
renqingさま、こんばんわ

はじめまして。
コメントありがとうございます。

福島県にマンスフィールド記念館ですか?
なにか繋がりがあるのでしょうかね?

というわけで写真を見てみました。
可愛らしいお家ですね。
なにかのついでに行きましょう…というわけにはいきませんが、機会があったら行ってみたいですね。

貴重な情報をありがとうございました。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

イギリス・アイルランドの作家」カテゴリの最新記事