事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

日本の警察その99 MOZU (TBS=WOWOW)

2019-01-12 | 日本の警察

その98「冲方丁のこち留」はこちら

初めて逢坂剛の「百舌の叫ぶ夜」を読んだときは驚愕した。こんなに面白い小説があるのかと。

上梓された当時は「このミステリーがすごい!」はまだなかったので……あ、週刊文春のベストはあったはずだな。調べてみたら山崎洋子の「花園の迷宮」につづいて2位になっている。当時の文春ベストは江戸川乱歩賞受賞作がいつも強かったので(それに反発したのが宝島社のこのミスだったわけ)、事実上のベストだな。

一種の叙述トリックも仕込まれていて、殺し屋である百舌の視点でストーリーを追っていくとひっかけられることになります(トイレのシーンとか)。百舌も、彼を追う倉木も、得体の知れない感じがあって、しかも公安警察官が主人公というのも新しかった。

その後、「幻の翼」「よみがえる百舌」など、続篇が数多く書かれたわけだが、なんでまた2014年にTBSとWOWOWがドラマ化し、あろうことか劇場版まで製作されたかの事情はさっぱり。このご時世に盛大に登場人物たちがタバコを吸いまくるのは、見ていていっそ爽快でしたが。

わたしはこのシリーズのファンだからすべて読んでいるわけだけど、倉木に西島秀俊、美希に真木よう子というコンビは正解だと思った。西島秀俊は最初から最後まで苦虫をかみつぶしたような表情だし、真木よう子も屈託ありあり。これ、原作どおりですから(笑)。しかし大杉警部補役に香川照之というのは、彼のうまさはありながら大丈夫なのかと思った。だって彼はのちに……

連続ドラマを毎週見るということができない人なので、いざDVDで見始めると歯止めがきかない。シーズン1もシーズン2も劇場版もスピンオフも一気に。まとめて見たんだからストーリーもよく把握できて……グラークα作戦?ダルマ?なんのことだっけ。ああおれはミステリ読みとしてもドラマ視聴者としても失格だ(泣)。

でもわたしはこのドラマを、百舌を“あの人”が演じているというだけで満足した。あの役柄を演じられるのは、確かにあの人しかいない。

その100「刑事の怒り」につづく

コメント
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