静 夜 思

挙頭望西峰 傾杯忘憂酒

≪ 公文書保存義務期間決定を「省令」「細則」から外せ ≫  これぞ”慣例”で言い逃れできる抜け道の元だ

2017-03-20 08:28:15 | 時評
◆?◆ 財務省、交渉記録「慣例」で廃棄 森友学園に国有地売却 http://digital.asahi.com/articles/DA3S12850425.html?rm=150
・ 財務省の規則は「法律制定の経緯」「予算関連」など約60に文書を分類し、保存期間をそれぞれ30~3年と定める。今回の土地取引のような国有財産の
  処分に関する決裁文書は30年だ。
・ 一方、交渉記録については明記されていない。佐川局長は交渉記録について「規則に基づき、保存期間1年未満とされている」と答弁。明記されていない文書の
  保存期間は「1年未満」と細則に書かれているからだ。 
 ← 皆さん、この「細則」を決め、承認するのは誰か? 国会とは無縁な所に居る担当部局の責任者に過ぎない。 
   であれば、誰もが「隠したいな、長くは残したくないな」と感じる文書は、この細則規程にあてはめてしまいたい。
☆ <またまた異文化論か>と煙たがられるかもしれないが、皆さんも自覚しているとおり、日本人はヨーロッパ文明/文化を背負って生きて来た人々がベースに
   してきた「話し言葉ではなく、書き言葉/文字が最終的には全ての根拠となる世界」を嫌う。 インド文明は知らないが、中国文明の圏内で影響を受けて来た
  諸国は日本と同じだ。
明治維新時の「西欧化/近代化」で日本は法体系及び行政制度を整備した。然し、その「近代化」における諸整備は、明治憲法を筆頭に中央集権国家統治に適合するのが目的であった。『市民/国民の権利保護』の観点から”行政行為の客観的検証に備える発想”そのものは無かった。 そして、今も充分有るかといえば、ない。 
  今回の森友疑惑において、財務省が同学園との交渉経緯記録を作成したのに1年未満で廃棄処分したのが<内部管理の細則に準じた問題ない措置>と胸を張り、突っぱね続けられる根拠は、此の「細則」なるレベルに文書を分類し、且つ廃棄期限を誰のチェックを受けることもなく設定できることにしてきた”慣例”が今まで咎められなかったからだ。 
 まさしく財務省が言う”慣例”とは、曖昧/留保を礼賛する日本文化ならではのもの。それを守るべきものと固く信じて疑わない人が多い。 ここが、ガンなのだ。

▼ こんなことをいうと、現場の管理監督職に文書保存期間すら決定権限を与えないのか? と反論するムキもあろう。私が言うのは、文書保存期間分類の中で、
  事案の種別を問わず「交渉経緯/発言記録等」の期間設定を最低5年以上に改めよ、ということだ。
  「此の持参なら〇年でいいだろう」と当事者自身に恣意的判断を許した瞬間、事後検証に都合悪そうな事案そのものがピックアップされ、保存期間の短い分類に
  入れられてしまうだろう。交渉経緯は尤も本音や裏話が露呈するものだから、真っ先にピックアップされる。 今回もそうではないのか?
  誰でも我が身かわいい。 責任者個人を責めるのではなく、仕組みで恣意的判断を防止するしかないのである。 
    永年、この曖昧文化で機嫌よく生きて来た日本人が、美学ではなく論理で己を律する方向に脱皮できるか???   政治に美学は要らない。
コメント
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