マチンガのノート

読書、映画の感想など  

「甘えたいのに甘えられない: 母子関係のゆくえ、発達障碍のいま」 小林隆児 その8

2016-04-23 00:35:21 | 日記
この著書では、関係発達がいかに止まっているかが解りやすく書かれているが、
山中康裕医師が東京大学出版会・分裂病の精神病理5や、現代のエスプリ「自閉症」
の中の論文などで触れている、治療者の積極的配慮を伴った絶対受容の時期から、
治療者への自閉症児の密着、共生関係につながり、
その後、治療者に向けて強い攻撃性が向けられるところ、例としては、
抱きついている場合ならば、治療者の肩を強く噛む、頬を叩く、髪を引っ張る、爪を立てる、
などの、患児の自閉の殻を破壊する強いエネルギーの現れ、
治療者への試し、などに繋がるところまでは書かれていないことが
残念である。
何人かの治療者が、共生関係まで発展しても、そのような
強い攻撃性の発現で、共生関係が無効であったと考えたのではないかというのが、
山中医師の推測であるとのことだ。
そのような強い攻撃性が治療者へ向けられる時期が臨界期であり、
その後、象徴的遊戯を始めるとのことである。
そのような象徴的遊戯を通して、それまで外界にばらばらにあった
患児の自己が、まとまっていく過程へ行くとのことである。

もちろんそこまで書かれていなくても、患児が自閉しているというよりも
関係発達でのつまづきについて解りやすく書いているこの著作の
オリジナルな価値が少しでも減じる訳でないことは明らかである。

「甘えたいのに甘えられない: 母子関係のゆくえ、発達障碍のいま」 小林隆児 その7

2016-04-21 20:52:10 | 日記
発達障害の人の、ぎこちない動き、不器用さ、
折り紙などを覚えにくいというのは、小林隆児氏などの書いているような、
感覚、感情を刺激するものから、反射的に離れようとする、というところが、
その後も残っているため、
常に内的に、離れる、飛び退こうとするところが在るために、
その部分を無理に止めながら、そのうえで何かをするために動くということをするので、
ぎこちなかったり、不器用だったりするのではないのだろうか?
そのような経緯を考えずに、脳機能の偏り、特性などというのは、
昔のMBDと同じく、思考停止、考察の放棄に過ぎないのではないだろうか。