マチンガのノート

読書、映画の感想など  

「ドラゴンタトゥーの女」 デビッド・フィンチャー監督

2014-04-29 01:00:41 | 日記
ネタバレあり
一応、主役はダニエル・クレイグということなのだが、
ほんとの主役は虐待された女性たち。
ストーリーの後半でダニエル・クレイグに調査員として雇われるリスベットは
父親を焼き殺そうとしたことで、精神障碍者として後見人がついている若い女性。
父親を焼き殺そうとしたことも、父親による性的虐待を逃れるためらしいということがストーリーから
推測される。
それまでの後見人は、脳梗塞で倒れ、その次の男の後見人は社会保障の金を受け取りたいなら
フェラしろと迫ってくる。しないなら精神科の施設に収容させると脅してくる。
そしてリスベットはフェラをして金を受け取るが、次に行ったときには
縛り上げられて、アナルレイプをされる。
そして足を引き摺りながら帰っていく。
次に訪ねた時は、逆にスタンガンで後見人を気絶させて
裸に剥いて縛り上げ、前回のアナルレイプを鞄に仕掛けたあった
小型カメラで録画していたのを見せて、
「こちらの言う通りにしないと、この動画をネットにばら撒く」
と脅す。「もし、交通事故で消そうとしたら、自動的にネットにばら撒くように
手配している」と脅す。
そして極太バイブを後見人のアナルに突っ込み、さらに蹴り入れる。
さらに相手の腹部に「私はレイピストのブタです」とタトゥーを彫る。
怒りに任して、ナイフ、拳銃などを使うと、死体が残り
後始末が大変だったり、警察に追われることになるので、
小型カメラやネット、スタンガン、タトゥーを彫る器具での報復と脅迫は
うまい方法だと思う。
10年前だったら、このような小説は映画化されなかったのではないだろうか?
ダニエル・クレイグ扮する記者は40年前の16歳の少女失踪事件の調査を依頼される。
その少女も、実の父親の性的虐待と、兄からの性的虐待から逃れて
住んでいた島を、姉の協力で脱出して姉の名前を使ってロンドンで暮らしていて
それなりに社会的に成功している事が物語の最後で判明する。
実際にリスベットのように自力で報復して、調査員として働いていたり
失踪した少女のように、ロンドンに逃れて社会的にそれなりに成功するような女性は
ほとんど居ないだろう。
社会的、肉体的に力を持つ相手に虐げられた女性の生きていくことの困難さが
よく描かれている。
昔、米テレビドラマで「ツインピークス」というのがあったが、それを
ずっと見ていた医療関係者などでも、何についてのドラマかを
理解していなかった人もいた。
ある程度恵まれた家庭で育った人には、このような現実があること自体が
想像もできないのだろう。





コメント

「昔話と夢分析」 織田尚生著

2014-04-17 01:02:54 | 日記
 境界例の女性患者を例示して、面接治療と考察について書かれている。
ユング派の著者としては、境界例の人格の分裂については、
自我のみならず、自己(セルフ)にまで、及んでいるのではないかとのことだ。
そこから受動性と攻撃性の分裂が起きているのだろうとのことだ。
統合失調症(当時の分裂病)などでは、患者の描画に見られる
セルフの投影としての太陽が複数描かれることから(「王権の心理学」にも例示)
統合失調症ではセルフの分裂、複数化、境界例ではそれに近い深い分裂が
あるのではないのかとのことだ。
山中康裕医師は、自閉症児が治療が進展して、治療者などの目を少し見る
ようになり、そこを中心として、治療施設や療育キャンプで
行動し始めることを「中心化」と名付けていて、
宮本忠雄医師は、ムンクが一つの太陽の壁画を描いたところを
「中心化」と名付けていた。
自閉症児に関しては、一つの中心の生成、
統合失調症に関しては、一つの中心の回復、
境界例については、中心まで達している分裂の回復が
治療の要点ではないのだろうか?
発達障害に関しても、過度に決まった事にこだわる一方で、
周りの影響を受けやすいというのも、
中心が形成されていないことが大きいのではないのだろうか?



コメント