マチンガのノート

読書、映画の感想など  

発達障害と会話のことなどについて

2022-10-26 00:07:30 | 日記

発達に偏りがある人と会話をしていると、その人の見ていることや聞いていることや

知っていることと、会話の内容がずれていてもそのまま会話が続く時がある。

京大の臨床心理の人たちは発達障害のひとには様々な境界が無いと書いているが、

内側と外側の境界があいまいだと、聞いたり見たりしたことを、自分の内面で

吟味してすり合わせて、調整することが成り立ちにくいのだろう。

そのためどこかちぐはぐな感じで会話が続いて行くのだろう。

発達障害の人が場の空気を読めないなどは、外側と内面の境界が未成立なので、

外側から聞こえてきたり見えていることを自分の内側ですり合わせて調整し、

会話や動きなどに反映していくことが成り立ちにくいことが原因なのだろう。

そう考えるとSSTなどで対応のバリエーションを増やしていくことよりも、

外側と内側の境界を作って行くことのほうが本質的な改善につながると思う。

 

 

 

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ターニング・タイド 希望の海 監督 クリストフ・オーファンスタン 出演 フランソワ・クリュゼ

2022-10-23 16:43:20 | 日記

【あらすじ】

4年に一度開催される単独無寄港で世界一周をするヨットレースの”ヴァンデ・グローブ”に

参加中のヤン(フランソワ・クリュゼ)ですが、カナリア諸島に寄り破損箇所を修理していた際に

モーリタニアの少年がいつの間にか乗り込んでいます。

単独無寄港なので周囲に言うのもためらわれ、かと言って海に放り出すわけにもいかず、

レースを続けるのでした。

【感想】

リッチなヨットレースと南北問題をつなげてどうするのかと思いましたが、

最後は見る人に放り出す感じでした。

それだけ難しい問題をあえて映画にしようというのは、たくさんの移民、難民を

受け入れているフランスだからでしょう。

 

映画『ターニング・タイド 希望の海』予告編

 


思春期以降の発達障害療育の難題

2022-10-19 23:24:34 | 日記

山中康裕氏の自閉症児との治療について書いたものを読んでいると、相手の攻撃性をかなりの部分、

自身の体で受け止めておられて、顔を叩かれて眼鏡が飛んだり、噛まれて歯型がついたりと、

何かと大変そうです。しかしそこは、攻撃する自分と攻撃される他者が現れてくるところのようで、

治療上の大きなポイントのようです。

 

しかしながら療育対象の体が大きくなる思春期以降だと、力も強くなるので治療者も何かと

相手に不安や恐怖を感じ、そのようなところを避けがちになり、治療の進展にマイナスになりそうです。

そのあたりはいろいろと難しいところのように思えます。

最近は社会的に暴力を忌避する傾向が強いので、直接的な対立や対決を避けがちになっているでしょうから、

そのことも療育にマイナスに影響していそうに思います。

 

 

山中康裕の臨床作法|日本評論社

山中康裕の臨床作法。統合失調症のひろば編集部氏。高宜良氏。日本評論社は1918年創業。法律時報、法学セミナー、数学セミナー、経済セミナー、こころの科学、そだちの科学...

 

 

 

 


ワシントン・ポスト紙の記事 

2022-10-19 22:57:51 | 日記

将軍や提督を含む退役米軍人が外国で雇われている事に関する調査報道。

Retired U.S. generals, admirals take top jobs with Saudi crown prince

Retired U.S. generals, admirals take top jobs with Saudi crown prince

Hundreds of veterans have taken lucrative foreign jobs that U.S. officials approved – but fought to keep secret.

Washington Post

 

この記事のもとになる4000ページ以上の文書の開示を認めた米連邦裁判所て、

日本の裁判所とかなり違うな。

DeepL翻訳でちゃんと文章として訳されました。


死刑にいたる病 監督 白石和彌 出演 阿部サダヲ 岡田健史 岩田剛典 宮崎優  感想 ネタバレ

2022-10-17 00:07:51 | 日記

櫛木理宇の小説「死刑にいたる病」を「凶悪」「孤狼の血」の白石和彌監督が

映画化したものです。

【あらすじ】

大学生・雅也(岡田健史)のもとに連続殺人事件の犯人・榛村[ハイムラ](阿部サダヲ)から

1通の手紙が届きます。

彼は自分の犯行を認めたものの、一件は自分が犯人ではなく、他に真犯人がいるので

調べるように雅也に頼みます。担当弁護士の佐村(赤ペン瀧川)に資料を見せてもらった

雅也は、独自に調べ始めるのでした。

榛村は狙いを定めた相手と信頼関係を作ったのちに誘拐し、拷問の末殺害する

サイコパスなので、雅也も相手にコントロールされることを警戒して接しますが、

犯行に関することは榛村しか知らないことが多いので、彼の話をもとに動かざるを

得ません。そのため雅也は自分の知らなかった母親の過去などを知ることとなり、

自分に関する事柄で動揺することになるのでした。

【感想】

何かと思い詰める役の多い阿部サダヲさんですが、本作ではサイコパス役がハマっていました。

岡田健史さんが、相手に翻弄される純情な大学生をうまく演じています。

最後のところで思いもかけない相手が、榛村の影響を受けていた事がわかり、

その後のことが気にかかる終わり方になっていました。

榛村がサイコパスになった背景や、その後にいろいろな人に影響を与えるところが

描かれているところは、様々な犯罪や障害に成育歴の影響が大きいことが知られる

ようになってきたからでしょう。

岡田健史さんのイケメンぶりが際立っていましたが、最初は地味に見える宮崎優さんが、

物語が進むにつれどんどん魅力的に見えてくるのは、監督の演出と本人の演技が

上手かったからでしょうか。今後が期待できる役者さんたちでした。

それにしてもこのような他者に対する不信に満ちた映画が作られ、評価されるようになった

時代というものを考えさせられました。