マチンガのノート

読書、映画の感想など  

解離の舞台―症状構造と治療  柴山雅俊

2018-01-22 08:24:55 | 日記
解離性障害の場合、患者は加害者が居ない時でも、その攻撃性を相補する形で
自らの弱い部分、望ましくない部分に攻撃性を向け続けるが、依存症の場合は、
他者の中のそのような部分に攻撃性を向けるとのこと。
解離性障害の患者は加害者からの攻撃性を相補するかたちで攻撃性を
自らに向けているとのことだが、山中康裕氏が自閉症児のプレイセラピーで
子供からの攻撃性を治療者として受け止めていたというのは、
患者が自らに向けた攻撃性を共有するという意味があったのではないだろうか?

解離の舞台―症状構造と治療  柴山雅俊

12人の怒れる男 ロシア版 監督:N.ミハルコフ

2018-01-19 07:32:25 | 日記
米国版のリメイクだが、ロシアの近現代史に合わせてリメイクされている。
事件に絡めて、陪審員達が自らの歴史を語る。
母親が占領地のドイツ人将校の妻で、父親がそこで働かせられていた
ユダヤ人だったが、その二人が駆け落ちして自分が産まれた、
物理学者でいいパーツを発明したが、ロシア企業がそれを理解せず、
それに失望してアルコール依存に陥り、ホームレスになっていたが、
日本の企業が採用して富を築いた、など。
そして司会する陪審員は、事件が地上げ絡みだろうとのことで、被告の少年を
有罪にして収監しておくのが一番生き延びれるだろうから有罪ということに
しておくのがいい、と主張。
被告の少年も、チェチェン紛争で両親を亡くし、戦闘の続く街で一人暮らし、
その後、ロシア人将校に引き取られロシアで暮らしていた。
しかし最後には、その陪審員が自ら引き取り、少年に「犯人の顔を覚えているか?」と
何らかの報復を示唆するところで終わる。
平和で安全で審理して採決すれば後は関係ない、行政がちゃんと処理してくれる
という米国版とは異質な世界の映画になっている。
経済より民主主義のほうが大事、というオールド左翼に見せたい一作。

「12人の怒れる男」監督 ニキータ・ミハルコフ