マチンガのノート

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「甘えたいのに甘えられない: 母子関係のゆくえ、発達障碍のいま」 小林隆児 その6

2016-04-20 22:38:08 | 日記
この著書の中で小林隆児氏が描写しているように、
養育者が遠くにいると寂しくて近づきたがるが、
主体の基礎が未成立なため、近づくとその相手が侵襲的に感じられ、
反射的に距離を取るのだろう。
そのようなところを多く残したまま成長すると、畑中千紘氏の書いているように、
感覚的に刺激を与えるものから、物理的に距離を取る代わりに、
その刺激の基を別のものと捉えることで感じなくするので、
”感情を刺激する”事柄に対して、違う話として再生するのだろう。

畑中千紘氏は、症例として取り上げたクライアントとの間で、
”話が通じないながらも、何かを共有している感じ”を持つことができ、
クライアントも配偶者や孫との交流がよくなったというのは、
クライアントが相手を侵襲的に感じることが減り、
刺激に対して飛び退くようなところが減った事が影響しているのだろう。
双方の話の内容よりも、その相手や、刺激を与えるものに対して、
侵襲的に感じることが減る、反射的に飛び退かなくても
危険でないとの安全感を持つところが大事なのだろう。