マチンガのノート

読書、映画の感想など  

遥かなる帰郷 監督:フランチェスコ・ロージ 主演:ジョン・タトゥーロ

2020-10-23 17:47:09 | 日記

イタリアのユダヤ系作家プリーモ・レーヴィの「休戦」を映画化したものです。監督はフランチェスコ・ロージ、主演はジョン・タトゥーロです。アウシュビッツ強制収容所から解放された主人公がイタリアに帰国するまでの8か月間を描いた映画です。

元は化学を学んでいた学生で、ナチスドイツへの抵抗運動に参加し、囚われたのちアウシュビッツにいる間に、化学工場で働かされていた主人公は1945年1月にソ連軍に解放されます。各地の鉄道網が寸断されているため、ソ連領内まで迂回し列車で帰国することになります。

解放後も食料があまり配給されないため、ポーランドの闇市に行きますがユダヤ系の彼にはポーランド人達は相手をしません。大きな戦争が終わっても、ユダヤ系への差別は変わっていないのでした。

途中で会った老婆の一家はオーストリア人でしたが、ナチスの政策を批判したため彼女以外は殺害されたことを話します。いかにナチスドイツが敵味方問わず、反対勢力に対して過酷な弾圧をしていたかが解るところでした。

ミュンヘンの駅で捕虜になったドイツ兵たちに近づいて、彼が付けさせられていたダビデの星を見せると、ひざまずいて頭を下げるドイツ兵が出てくるシーンもありますが、戦争中は自分が周囲と違う考えを持っていても示すこともできなかったか、捕虜になってからユダヤ系への残虐行為をはっきりと知らされたので、そのような行為をしたのでしょう。政府の政策や軍の行動には、普段からの透明性が必要だと解るシーンでした。

重い内容の映画ですが、各所で美しい自然の風景が使われていました。とてもいい映画ですが、今のところDVD化はされていないのが残念です。

「休戦」プリーモ・レーヴィ 岩波文庫


ボダ子 / 赤松利市 雑感

2020-10-19 00:17:20 | 日記

小説を読んだ感想として、「ボダ子」に出てくる主人公の娘さんは、

自己破壊行動として援助交際をしているように感じた。

以前、援助交際が取り上げられ始めたころは、宮台真司は性の自己決定権などとの関連で、

擁護する考えを述べていたが、河合隼雄は「援助交際は魂に悪い」と反論していたとの事だ。

宮台真司は恵まれた成育歴で、本人も優秀なので、自己破壊に向かうような困難な

成育歴や家庭環境に関して知識がなく、想像も出来なかったことが大きいのだろう。

90年代に「終わりなき日常」などと言っていたが、その頃も変化のない日常を

生きるどころか、サバイバルな生活をしていた人はかなりいたのだろう。

自己啓発セミナーにも関わっていたそうだが、自身が心身ともタフなので、

具合が悪くなったり病んでいく人には関心を持たなかったのだろう。

河合隼雄にしても、雑誌「イマーゴ」で、境界例の人の特徴などについて書いていたが、

治療論までは展開していなかった。

河合隼雄も、それなりに恵まれた成育歴で、とても優秀だったので、自己破壊に向かうような

家庭や成育歴について知らず、想像も出来なかったので、治療論を考えるところまで

行かなかったのだろう。

赤松利市の小説には、何かと企んで周囲を操ろうとする女性がよく登場するが、

自身や娘さんが、そのような人の被害に遭ったことがあるのかもしれない。


ライブリポート 監督 スティーブン・C・ミラー 出演 アーロン・エッカート

2020-10-18 22:27:47 | 日記

ヘタウマ脚本の一作

誘拐された子供を探す警官とネットで配信するリポーターの話ですが、

最初の方でタイムリミットを示してから、探して行くうちにネットで配信された映像により、

様々なことが解っていく展開です。

とにかくアーロン・エッカート演ずる制服警官が、ずっと走り回っています。

犯人の動機も、そんなことでこれだけ本格的に武装してあれこれやるのか、

というものですが、当事者ならすごく恨んでいることもありそうなことでした。

子供を助けるために大人たちが日常的な取り決めを破ってあれこれするというのは、

少し以前なら、「世界にはもっと大変な問題がある」「もっと深い話の方がいい」

などとなったのでしょうが、最近の何かとややこしい世情を反映してか、

納得できる展開の内容になっていました。

世界のどこかに真理や深淵がある、というのとは反対の映画でした。

アーロン・エッカートさんが制服のお巡りさん役に合っていました。

緊迫の64分!放送禁止の捜査、生配信『ライブリポート』 予告編

 


テネット / クリストファー・ノーラン監督 雑感

2020-10-13 23:32:16 | 日記

時間の逆行というものをテーマにした映画としていろいろと話題になっていますが、

映像表現としては時間を逆行して行動するチームの描き方が独特でした。

物理的な物質の描き方と、意思と主体性を持った人間の描き方とを、

けっこう混ぜて表現しているので、独特な映像表現になったのでしょう。

そのような描写の仕方で、「時間を逆行しています」という事を映像で表現したかったのでしょう。

映画『TENET テネット』スペシャル予告 2020年9月18日(金)公開


杉の木の剪定

2020-10-10 23:27:03 | 日記

子供のころ、真冬に父親に言われて、ベランダの手すりに命綱をつけて、

杉の木に登って剪定していた。

親族に「業者に剪定してもらうくらいの金もないなら、一戸建てに住むな」

という、常識的な事を云う人もいなかったのだろう。

その後こちらがしなくなったら、父親は藤棚に登って剪定していた。

転落したときに怪我をして介護するのは、周囲の人という事も

思いつかなかったのだろう。

父親は学校時代に、関心のないことを暗記させられるという事しかなかったので、

自分で考えるという事が成り立っていなかったのだろう。