マチンガのノート

読書、映画の感想など  

河瀨直美監督の映画について 2

2017-12-31 23:35:25 | 日記
河瀨直美監督は実の親から養父母へと引き取られたが、
その養父母はいい人達だったようで、本人も養母の宇乃さんが大好きなのは
映画「かたつもり」を見ていてすごく伝わってくる。
それでも河瀨監督が、商業映画を作り始めてから、ずっと、
「大切なものを失う話」を作り続けているというのは、
子供にとって、親などの養育者が変わるということは、
それだけ大変なことなのだろう。
それを考えると、現在まで日本の児童養護施設が大規模で大人数を収容する
というのが続いているのは、そこに収容、保護された子供たちに
マイナスの影響を与える面が大きく、そこを出た後も様々な困難を
もたらすのだろう。
児童養護施設の小規模化や、里親委託化を進めるのは、とても大切な
政策だろう。

オーガストウォーズ:監督 ジャニック・ファイジエフ

2017-12-29 07:36:14 | 日記
ロボットの映画ではなく、2008年のグルジア紛争の話。
ロボットは少年の空想の中に出てくる話のものだが、デザインなどが独特。
登場人物については、母親の交際相手の実業家以外は、敵側のグルジア兵も、
個人として接すれば人情味がある人として描かれている。
このような描写が多いのは、西ヨーロッパや米国の映画が個人として自立している人が
製作に関与していることが多かったり、ポリティカルコレクトネスを気にかけて
製作しているが、ロシア人はそのようなことにあまり価値を置いていないことの影響だろうか?
戦闘シーンは秀逸。ロシア映画の特徴として、味方の軍人も民間人もあっさりと死んでいく。
グルジア軍側の小銃は、米国製ライフル。
戦争は大変、との報道が多かった日本のメディアと違い、
ロシアでは現地での対立が、どのようなものか報道されていたのだろうか。

オーガストウォーズ

近代的個人と発達障害

2017-12-27 07:33:00 | 日記
西洋では18~19世紀のころから、科学的、論理的的思考を基に、推理小説、精神分析などで
扱われるような、その人オリジナルな内面に裏付けられた近代的個人というものが成立してきた。
日本においては河合隼雄のいうように、地縁などの共同体からの独立としての
赤面恐怖などの対人恐怖症の増加がみられた。
現在の日本における発達障害の増加は、まだまだ前近代的で封建的なところなものが
残る日本での近代的個人の成立としてみることができるだろう。
封建的、かつ保守的な周囲へ抵抗するだけの個人の内面の成立の一面ととらえることが
建設的ではないだろうか。

アトラクション 制圧:監督 フョードル・ボンダルチュク

2017-12-27 06:23:17 | 日記
ロシアのSF映画で、独特の造形美が魅力。
監督は「スターリングラード 史上最大の市街戦」「アフガン(第9中隊)」の
監督のフョードル・ボンダルチュク。
内容的には現代のポピュリズムと排外主義に関するもの。
日本で報道されていないだけで、首都モスクワに多くいるアジア系出稼ぎ労働者への
差別やヘイトクライムなどはかなり起きているのだろう。
政権や警察への批判は難しい国なので、このような映画を撮ったのだろう。

「ファイナル・カット」ピンクフロイド CD 1983年

2017-12-24 22:11:48 | 日記
一時よく聞いていたアルバムだが、ウィキペディアなどによると、
ロジャー・ウォーターズは父親を第二次大戦のイタリア戦線で
亡くした人なのだそうだ。
アルバム発売のころにイギリスはフォークランド紛争で、あまりよく意味の分からない
戦闘をして、双方に多数の死傷者を出したが、英国民も政府とメディアにあおられて、
それを支持していたようだ。
日本からみると、先進国のイギリスが勝っても普通だと感じるが、
元米レンジャー部隊隊員で軍事心理学者のデイブ・グロスマンの一連の著作によると、
フォークランドでの地上戦でイギリスが勝ったのは、戦史上の謎なのだとのこと。
つまり、アルゼンチン軍のほうが数が多く、補給もされていて、同じような兵器を
使っていたのに、あっさりイギリス軍が勝ったのは軍事史家からすると
意外だとのこと。
その要因としてグロスマンが推測しているのは、イギリス軍は射撃訓練で
人間の形をした的を撃つことを取り入れていたのだが、
アルゼンチン軍は円形の的を使っていたので、人間に向けて発砲した兵士が
相対的に少なかったのではないかとしている。

ことしになって、ロジャー・ウォーターズは、「Is this the life we really want?」
というアルバムを出したが、内戦やテロ、格差や貧困などについて、
アルバムやライブでいろいろと訴えたいのだろう。

デイブ・グロスマン:戦争における「人殺し」の心理学

ロジャー・ウォーターズ:イズ・ディス・ザ・ライフ・ウィ・リアリー・ウォント?