マチンガのノート

読書、映画の感想など  

「炎628 」 監督: エレム・クリモフ 1985年 ソ連映画

2017-01-22 13:44:43 | 日記
ナチス・ドイツによるソ連侵攻に伴った、ドイツ軍による蛮行を描いた映画だが、
当時、文化的にも科学技術的にも西洋の先進国であったドイツがこの様な蛮行を
行った事により、ロシア人は西洋的諸価値に対して、根源的不信感を
持っているのではないのだろうか?
さらに、その際にウクライナ人などの協力者を使ったことで、不信感をさらに強めたのでは
ないだろうか。
エマニュエル・トッドのいう、直系家族や核家族の地域で主に発展した西洋は
その際にアフリカ、アラブ、アジアで蛮行を働き、そこからの様々な収奪により
豊かになり、文化を発展させたこともあるので、そのような外側からの
収奪を伴う発展の結果でもある様々な西洋的価値を、共同体家族制度の影響も在り、
そもそも最初から可能なものとは考えないのではないだろうか。

数日前、TBSで「好きか嫌いかいうテレビ」という番組で、トランプ氏をどう思うかを
聞かれたロシア人が、「ニコライ2世は、敬虔なクリスチャンで、善良な人物だったが、
国が滅んで何千万人かが死んだ」ので、その政治家が良い人かどうかなどは、
どうでもいいこと、と言っていた。
ロシア人は歴史を考えるときに、ドライで長い期間を参照しながら考えるのだろうか、
と思った。

ナチスによって、生得的に劣っていて、ドイツに隷属すべき民族とされた
ロシア人は、再度、西洋的価値を持つ相手から、収奪の対象、隷属させるべき相手、
とされることを警戒していて、相手の掲げる価値や理念などは、
ハナから本気にはしないのではないのではないか。

ロシア人にとっては、今回トランプが大統領に選ばれたことは、
自由や民主主義、人権や多様性などのスローガンが剥がれて
「やっぱりそうか」というところではないだろうか。

「CIAの秘密戦争――「テロとの戦い」の知られざる内幕」マーク マゼッティ著

2017-01-16 23:16:33 | 日記
著者によると、60年代から80年代の中南米へ米国情報機関は、
政治家に示唆されて様々な相手国の主権を侵害する違法工作を行ったが、
メディアや議会に問題視されると政治家は知らん顔をしたので、
省庁の責任者が処罰されたのとのこと。
そのため、偵察用ドローンにミサイルを積んでテロリストの疑惑を持たれる人を
爆殺できるようになっても、以前のように実務者が責任を取らされるのではないのか、
違法工作ではないのか、ということで躊躇していたとのこと。
そのため、911後はそれを許可する政治家に公式書類に署名させてから、
国外でドローンによるテロリスト容疑者の爆殺などをするようになったとのことだ。
そのため、米国内では容疑者への拷問が禁止されているにも関わらず、
外国のテロリスト容疑者はミサイル等で爆殺しているので、
矛盾が生じているとのことだ。
それ意外でも、米国の請負の工作員が相手国の法を無視する違法行為をしても
相手国へ経済的、軍事的援助をしているので、相手国で拘束されても
力関係で相手国の法を超えて、国外に出国させているとのこと。
相手国の国民にとっては、自国の法を無視して様々な違法工作をしている
米国人工作員、民間軍事会社社員への反感が強く、そのため反米デモが
起こっているとのことだ。
この様な事が続けば、米国への求心力が弱まり、途上国での
米国に対する不満が増大し、不安定化が増大するのではないのだろうか。

https://www.washingtonpost.com/world/national-security/cias-global-response-staff-emerging-from-shadows-after-incidents-in-libya-and-pakistan/2012/12/26/27db2d1c-4b7f-11e2-b709-667035ff9029_story.html