マチンガのノート

読書、映画の感想など  

医学部生の多様性のなさの結果の話

2024-03-31 00:07:50 | 日記

30歳位の頃、転職先を探していた際に、転職斡旋会社の60歳くらいの担当者が、

こちらの転職に際してのやり方について怒り出して、「シバいたろか」と言ってきたので、

そのことを当時カウンセリングしてくれていた、有名国立大医学部卒の医師に言うと、

「ああ」と言うのみで、脅しや暴力の影響がこちらにとって大きな問題であることに

気づかなかったようだった。

その医師は、恵まれた家庭に育ち、進学校から大学に行ったので、日常生活で脅された経験がなく、

脅されるということを、想像もできなかったのだろう。

その医師は日常での脅しや暴力などの様々な困難を知ったり体験する機会がなかったので、

患者の深層に関わろうとする学派に興味を持つようになったのだろう。

多くの医師や心理士が、相手の内面に関わろうとしても、生活環境に関心を持たないのは、

日常生活での困難というものについて、知る機会が少ないからなのだろう。

様々な困難を抱えた患者を理解できる医師や心理士を増やすためには、

様々な生育歴の医学部生や臨床心理専攻の学生をを増やす必要があるのだと思う。


市子 監督 戸田彬弘 出演 杉咲花 若葉竜也 森永悠希 感想 2

2024-03-28 17:55:53 | 日記

綺麗で可憐な杉咲花さんが「気の毒な市子」を演じるので、最後の方で身分証を得るためにした行動と、

その後のスッキリした態度の容姿とのギャップがより浮かび上がります。

それまでにも様々なことを乗り越えるためにも色々としますが、それらのこととは能動的にするのかどうかが、

大きな違いでしょう。

親鸞の悪人正機説を思い出しました。親鸞も時代の変わり目の変化の大きな時代の人なので、

様々な人が思わぬ行動をするのを見たのでしょう。

現在でも、DV夫から妻を引き離して保護するのは、様々な制度を使う必要があり、

色々と大変だそうです。

最近になって信田さよ子さんの著作が理解されるようになってきたのも、これまでは恵まれた人には

信田さよ子さんの書いているようなDVなどの事は、自分とは関係のない世界の話ということで、

関心を持つ人自体が少なかったからでしょう。

 

青土社 ||心理/脳科学:暴力とアディクション

 


西村賢太対話集 感想

2024-03-27 23:44:04 | 日記

肉体労働をしている貧しい青年を主人公にした私小説を書いている人ということで、

ある程度の固定ファンが居るとはいえ、それほど多くの読者は居ないだろうと思っていましたので、

芥川賞を取ったときに、三千万円ほどの収入があったというのが意外でした。

 

西村賢太 『西村賢太対話集』 | 新潮社

『苦役列車』での芥川賞受賞について。小説家であり続けるには? 私小説への偏愛。創作の舞台裏。女性観。そして慊い生き方について──。受賞後の一年間に対話した石原慎太...

 

経済的に苦労したことのない石原慎太郎さんが評価していたというのは予想外のことです。


市子 監督 戸田彬弘 出演 杉咲花 若葉竜也 森永悠希 感想

2024-03-24 17:14:02 | 日記

社会問題を取り入れたミステリーですが、いろいろと考えさせられる内容でした。

【あらすじ】

アパートで恋人と暮らす市子ですが、プロポーズされた翌日に何も言わずに姿を消します。

恋人は警察に届けますが、該当する氏名の人物自体が存在しないと言われたので、

彼女が何者だったのかを自ら調べ始めます。

市子は親の都合で戸籍がなく、学校には難病である妹の月子として通います。

母親はスナック勤めで、その間は市子が妹の世話をしているのでした。

市子の母親も夫のDVから逃がれたり、借金問題を抱えたり、娘の月子が難病になったりで、

市子の戸籍の事まで手が回らないのでした。

市子を助けようとする高校の同級生などはいますが、それまでの暮らしで色々と表に出せないことを

してきた市子と母親だったので、なにかと困難なのでした。

【感想】

「戸籍のない気の毒な市子」を助けようとする人もいますが、市子と母親は自分たちでいろいろと乗り越えてきていたので、

その事が却って助けられることの障害になりますが、そのようなことは結構あるのかもしれません。

自分のために他人を利用したり使ったりする人のことを「サイコパス」や「ボーダー」などと名付け、

解った様に感じるのは簡単ですが、本人の経験や生育歴などの積み重ねが、そのような行動を選ばせているという

面も大きいのかもしれません。

その辺りに関しては国分功一郎さんの書いた「中動態の世界」という本を思い出しました。

 

 

中動態の世界 | 書籍詳細 | 書籍 | 医学書院

 

 

この映画の中では、小学校の同級生のリッチな家の少女や、高校の同級生である彼氏も、市子の暮らしを見て

去って行くので、家の外の他人に関わったりしても、そのうち去って行くだろうという他者への感覚が

埋め込まれたという見方もできそうに思いました。

外的要因がメインか、先天的要因がメインかは、人によってその組み合わせが違いすぎるので、

比べることはできなさそうに思えます。

この映画では主役が女性でしたが、同じようなことは男性でも起きるのでしょう。

冷酷な犯罪者やテロリストとされる人物に、このような事は結構あるのかもしれません。

 

映画『市子』予告編|主演:杉咲花