Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

最終章(3)ー越冬ー

2017-05-01 01:00:00 | 雪4年4部(最終章(1)〜(7))


薄曇りの曇天に、ビル群の明かりが反射し靄がかかる。

いつしか秋が去り、冬が訪れようとしていた。

青田淳は一人、夜の街角に佇んでいる。



冷たい空気の中で佇む彼は、どこか憂いを帯びた影を背負っていた。

ネオンが溶け込むその空気を背景にして、彼は人を待っている。



「あら?」



すると懐かしい声が掛かった。

その人物は親しげに淳の腕に手を回す。

「アンタ、寒いからってションボリ縮こまっちゃって」



「待った?」



「久しぶりね!」



その人は、淳の幼馴染みの秀紀であった。

実に一年半ぶりの再会。

二人はそのまま、夜の飲み屋街へと繰り出して行く。






騒がしい居酒屋の一角で、二人は酒を酌み交わしていた。

中でも秀紀は上機嫌で、楽しそうに杯を干して行く。

「やだぁ〜昔を思い出すじゃない。こういう所でアンタお酒おごってくれたわよね。

ほら、昔アンタの彼女が住んでた所でさぁ!あたしお隣さんで




「‥そうだったね」



淳は若干の間を置いてから、少し淋しげにそう言った。

秀紀はそんな淳に対し、多少皮肉るように言葉を掛ける。

「アンタさぁ、あたしには二度と会わないなんて言ってたくせに、結局こうやって連絡して来たのよね?

あたしに対して悪いことしたと思ってんでしょ?どうなの?」


「ううん、全く」「何よっ!」



「ちょっと!アンタもうあたしのこと許したんじゃなかったの?!」

「いや、兄さんのことは未だに理解出来ないよ」「ひどくない?!」



「けど、」と淳は前置きをすると、穏やかな口調でこう言った。

「俺が許した許してないの問題じゃないから。

兄さんが俺に許しを請う必要なんてないよ」








秀紀はその淳の言葉を聞いて、ぽかんと口を開けた。

「どちら様?アンタ、淳よね?」「何言ってんの」



それは今までの彼とはまるで別人のような発言だったからだ。

秀紀はニッと笑みを浮かべると、続けてこう質問した。

「それじゃ今はもうあたしの気持ちも分かったのかしら?」



「あの時のあたしの‥情けなくてみっともなかった時のあたしの気持ち、よ。

今は理解出来るのね?」




去年、最後に二人が顔を合わせた時の記憶が蘇る。

思い浮かぶのは遠藤修を庇いながら、みっともないくらい必死に許しを請うた秀紀の姿‥。









淳は何も言わなかったが、眉を寄せて苦笑いを浮かべて見せた。

それが十分答えだった。

「あら、何その顔。

どうやらアンタもドキュメンタリー‥人間劇場撮っちゃったみたいね」




「昔よりずっと良い表情してるわ」








かつて彼が理解出来なかったことが、その価値観が、今はその穏やかな言葉の中にそっと息づいていた。

あの時もう二度と相まみえることは無いかと思われたかつての幼馴染みは、今再び向き合うことが出来たのだ。

「良いわ。今日はアンタの人間劇場の話、聞かせてちょうだいよ」

「ヤダ」



「何よっ!」










「もうウンザリだ」と言って頭を抱えていたかつての淳は、もうそこには居なかった。

秀紀はあの不器用な少年の横に座った時の気持ちを思い出しながら、笑いながら酒を飲む。


季節は寒い冬を越え、やがて暖かな春へと向かう。

二人の間にあったわだかまりも、ゆっくりと溶けて消えて行った‥。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<最終章(3)ー越冬ー>でした。

久しぶりの秀紀兄さん!ちょっと垢抜けましたね!

かつて幼い淳に「いつも笑顔でいろ」と生き方を指南した秀紀兄さん。

それを曲解して笑顔の仮面で本心を隠して他人を陥れる方向へ行ってしまった淳ですが、

ようやくその本当の意味を理解出来るようになったのかな、という感じを受けました。

秀紀兄さんはいつも笑顔で人を許して来ましたもんね‥

二人が和解出来て本当に良かったです。


次回は<最終章(4)ーそれぞれの春(1)ー>です。


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7 Comments

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Unknown (宵っぱり)
2017-05-01 01:36:36
待ってましたよ~淳くん…!あれから一年近くもどうしてたの!?
実際には数話ぶりだけど気持ちは同じく1年ぶりくらい待ってましたよー
オーラが消えるほどショボくれて秀紀兄さんに笑われるほどなのは、寒かったからじゃなくて雪ちゃんとずっと会ってないからにしか思えない~…昔話みたいに雪ちゃんとの思い出を語っちゃって…!
好きな人と会えない辛さが見に染みて解るから、秀紀兄さんと遠藤さんの事を許そうと思ったんですよね。
秀紀兄さん、あの時の事を思うと淳を恨んでてもおかしくないのに、笑顔で来てくれて淳の事を思いやってくれて、ほんとに淳くんの事を弟みたいに思ってくれてる貴重な存在に思えます。
こんなに変わった淳をみたら雪ちゃんだって別れるなんて言わないと思う…!
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Unknown (うめやん)
2017-05-01 09:13:04
GW中も更新!ありがとうございます(^^)

久しぶりの兄さん!登場待ってました、、淳からすれば彼の存在は身近なだけにうとましくもあったんでしょうが、、それでも両親よりは素直に接していた印象がありますよね。

これまでに経て来た変化や成長を言わずとも感じ取ってくれる優しさや心の機微に敏感な人物としては亮よりも淳に肉薄している感じがあります。

淳も今までの自分を見つめ直せた事を報告したいんでしょうね。
素直にはなれないけど、、(笑)

あーもうカウントダウンが近づいてるのがムンムン伝わります〜
亮が身辺整理をしていたのと同じように、淳も巣立つのかしらん、、
さみしいなあ、、
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Unknown (Yukkanen)
2017-05-02 01:43:48
宵っぱりさん
>オーラが消えるほどショボくれて
wwww
しかも照明の加減か白髪気味に見えて涙しました。淳‥!どんだけ苦労したん?!とこちらも涙目です。
秀紀兄さん、本当良い人ですよね。淳のこと恨んでても無理はないのに、それどころか淳の成長を喜んでくれて‥うう‥うおーん!!

うめやんさん
そうそう!秀紀兄さんて、実は最初から見返りも何もなしで淳を気にかけてくれた人物なんですよね。
うめやんさんの仰るように心の機微に敏感ですし、余裕が出来れば人を思い遣り尊重してくれる人で。
この飲みの席の中で、なかなか素直に言葉に出来ない淳の成長を感じ取ってくれたことでしょう‥(TT)うおーん!
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この伏線回収を ()
2017-05-02 08:53:48
…待ってました。話では1年半でも、読んでる側は何年越しでしたっけ?

ジュヨン兄もユジョンも、それぞれに嵐を経て壁を越えてきた感じが出ていて、個人的には実によいシーンでした。
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Unknown (りんご)
2017-05-03 17:32:31
ヒデキ感激感無亮です…!
遠い昔のようでしたが1年半だったんですね…。
本人たちももっと時間経ってるような話ぶりですよね。
淳の方から呼び出したことでなにも語らずとも察してくれてますね。こうして優しく接してくれて
本当、器の大きい兄様的存在ですね。
胸熱でした!
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やっと (かに)
2017-05-04 07:44:12
>俺が許した許してないの問題じゃないから。兄さんが俺に許しを請う必要なんてないよ。
こんなセリフが青田淳の口から出る日が来たのかと、思わず目から汗が出そうな感慨深さがあります。

昔からヒデキ兄さんは淳のある意味での幼さを理解していて、上手く生きていけるようアドバイスしつつ見守るようなあたたかさのある人でしたよね。

人を恨み続けるのではなく、許すことの大切さを知っていてそれを行動に移すことのできる、チートラ内大人度トップクラスのヒデキ兄さん。
兄さんに早く幸せが訪れてほしい…!
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Unknown (Yukkanen)
2017-05-04 22:57:49
青さん
確かに物語の中では1年半ですが、読者的には3年ですね‥長かったです(TT)
短いシーンでしたけど、青さんの仰る通り二人の「越えてきた感」の感じられる良い場面でしたよね。
いつか遠藤さんも交えて3人で飲んだりすることもあるかもしれない‥と思うと胸熱です。

りんごさん
>ヒデキ感激感無亮
なんて語呂の良い響き‥!亮さん絡んでないけど!笑
遠藤さんはちょくちょく出てきてましたけど、秀紀兄さん3部4部丸々出番無かったですもんね。いきなり絵のタッチが変わって垢抜けたように見える罠‥。
そして秀紀「兄様」呼びでちょびこ「姉様」を連想する私!

かにさん

共に淳の成長を見守ってきた身としては、ようやく真人間の一歩を踏み出したシーンに涙がポロリですよね。
人を恨み続けるのではなく赦すことの難しさ、そして大切さ。秀紀兄様から教わりました‥うおーん!!幸せになれ!!
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