ひぃっ!青田?!
横山翔は”ニセ青田”の隣に本物の青田淳の姿を認め、思わず大きな石の影に隠れた。
彼女から呼び出されてここに来たのに、”ニセ青田”は自分の方に視線もくれず、青田淳と親しげに会話を続ける。
横山は二人をじっと窺いながら、不信感が心の中に募るのを感じた。
な‥何だぁ?俺に出てこいっつっといて、これは一体‥。二股野郎が呑気に大学で‥
見ていると、彼女は青田と腕を組んだり笑いかけたり‥。
まるでカップルのイチャつきを見せつけられているような‥。
まさか‥!
そこでふと、横山は彼女の狙いにピンと来た。すると”ニセ青田”は、チラリと横山の方を見る。
横山は石の影から、自分の存在を必死にアピールした。
すると彼女は微かに微笑み、再び青田淳の方を向いた。
やはり彼女自身も横山の推測と同じ意図で、この場面を横山に”見せて”いるのだ。
抱いていた疑惑が確信に変わった。思わず笑みが漏れる。
ビンゴだ‥!
横山は二人に向かって携帯を向けた。カメラモードに切り替える。
証拠‥!証拠を掴めよってことだ‥
横山は彼女の意図を汲み取り、何度もシャッターを切った。
クックックと笑う口元が歪む‥。
河村静香は素知らぬ顔をしながら、青田淳と会話を続けていた。
淳の表情は浮かないままだ。
「こんな風に大学で会うとまた新鮮よね~?」
静香は肘で淳の事を小突きながら、絶えずスキンシップを取って彼に話し掛ける。
「あたしに会いに来たの~?どうしてるかと思って~?
んもぅ、電話一本くれればいいのに~。ま、あたしは構わないけど」
淳は静香の方を窺いながら、彼女の行動の意図に探りを入れる。
「お前、この頃大学内を引っ掻き回してるだろ」
そんな淳の発言に、静香は「なーんだ、知ってたの」と言いながら言葉を続ける。
「ま、せっかくの機会なんだから、キャンパスライフを楽しまないと~
ほらあたしって今まで大学に縁が無かった人だしー。それに最近超~楽しいことがあって!」
そう楽しげに話す静香に、淳は「楽しもうがそうじゃなかろうが、別にどっちでもいい」と冷たく言い放った。
大学に通うなんて無駄なことを、どうしてわざわざするのか分からない、と。
そして淳は、静香に向かってこう続けた。
「揉め事を起こすなよ。これが最後のチャンスだ。肝に銘じて行動するんだな」
先ほど目にした、佐藤広隆と親しげに歩く静香の姿。
その横顔に隠された意図を、淳は嗅ぎとって静香に釘を刺したのだ。まだ虎は自分の管理下にある。
しかし静香はまるで動じず、サングラスを外しながら甘えるような口調で淳に言い返した。
「えぇ~?あたしはそんなことしないわよぉ。淳ちゃんが一つずつ返してくれるって言ったんじゃない」
虎と狐の取引の一片が、密会の場で密かに口にされる。イタチには声までは聞こえないという計算の内に。
静香はブツブツと呟くように続けた。
「まだデビットカードだけだけどぉ‥クレカ以上は返して貰わないと~。住んでた家だって‥」
そんな静香に、淳は「まぁ頑張れよ」と適当な激励を口にして背を向けた。
それきり、一度も振り向かずに歩いて行く。
「えぇ~?行っちゃうの~?」
静香は笑顔を浮かべて手を振りつつ、淳には聞こえない声でその後姿にこう言葉を掛けた。
「ぜ~んぶ返してもらわなきゃ~。ぜ~んぶあたしの物だったんだからね~?」
そして淳の背中が見えなくなった後、静香は横山の隠れていた場所を振り返る。
「アイツは行ったわね‥」
静香はサングラスを掛け直し、ニヤリと笑った。
狐からの取引を遂行しつつ、水面下でイタチを泳がせる。そんな虎の計画が密かに進行している。
「あ~!おもしろ~!」
キャラキャラと甲高い笑い声が、青空に溶けて行く。
静香は自ら回した運命の歯車の行末を思い、一人嗤い続けた‥。
「うはははは!やったぜ!最高だ!!」
そしてここにも、笑い続けている男が居た。
手にした”証拠”を握り締め、横山翔は全速力で構内を駆け抜ける。
「早くこれを見せに行かねーと!マジでこれで終わりだ、青田の奴!!」
横山は笑いが止まらなかった。
青田淳が二股しているという決定的な証拠を握り締めながら、雪の居る図書館へと向かう。
「ヒヒヒヒ!」
すると走る横山の前方から、突然大きな声と共に人が飛び出して来た。
思わず横山はヒイッと息を飲む。
「おいっ!」
ザッと突然横山の前に現れたのは、河村亮だった。
横山は突然の出来事に驚き、顔を青くして後退りする。
「なっ‥なっ‥?!」
そんな横山の姿を、河村亮は真顔でじっと見つめていた。
相対する横山は、一瞬それが誰だかまるで見当がつかなかった‥。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<虎と狐の密会>でした。
今回はこの横山がなんかツボに入って‥。足の角度も‥(笑)
ヒヒヒヒ!
そして静香と淳の2ショット。
やっぱり絵になるな‥と惚れ惚れしました。静香に対しては常にSな淳も良い‥。
↓多分これ静香が淳と腕組んだけど、淳が速攻「止めろ」って振り払ってる‥萌
次回は<捕らえられたイタチ>です。
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横山翔は”ニセ青田”の隣に本物の青田淳の姿を認め、思わず大きな石の影に隠れた。
彼女から呼び出されてここに来たのに、”ニセ青田”は自分の方に視線もくれず、青田淳と親しげに会話を続ける。
横山は二人をじっと窺いながら、不信感が心の中に募るのを感じた。
な‥何だぁ?俺に出てこいっつっといて、これは一体‥。二股野郎が呑気に大学で‥
見ていると、彼女は青田と腕を組んだり笑いかけたり‥。
まるでカップルのイチャつきを見せつけられているような‥。
まさか‥!
そこでふと、横山は彼女の狙いにピンと来た。すると”ニセ青田”は、チラリと横山の方を見る。
横山は石の影から、自分の存在を必死にアピールした。
すると彼女は微かに微笑み、再び青田淳の方を向いた。
やはり彼女自身も横山の推測と同じ意図で、この場面を横山に”見せて”いるのだ。
抱いていた疑惑が確信に変わった。思わず笑みが漏れる。
ビンゴだ‥!
横山は二人に向かって携帯を向けた。カメラモードに切り替える。
証拠‥!証拠を掴めよってことだ‥
横山は彼女の意図を汲み取り、何度もシャッターを切った。
クックックと笑う口元が歪む‥。
河村静香は素知らぬ顔をしながら、青田淳と会話を続けていた。
淳の表情は浮かないままだ。
「こんな風に大学で会うとまた新鮮よね~?」
静香は肘で淳の事を小突きながら、絶えずスキンシップを取って彼に話し掛ける。
「あたしに会いに来たの~?どうしてるかと思って~?
んもぅ、電話一本くれればいいのに~。ま、あたしは構わないけど」
淳は静香の方を窺いながら、彼女の行動の意図に探りを入れる。
「お前、この頃大学内を引っ掻き回してるだろ」
そんな淳の発言に、静香は「なーんだ、知ってたの」と言いながら言葉を続ける。
「ま、せっかくの機会なんだから、キャンパスライフを楽しまないと~
ほらあたしって今まで大学に縁が無かった人だしー。それに最近超~楽しいことがあって!」
そう楽しげに話す静香に、淳は「楽しもうがそうじゃなかろうが、別にどっちでもいい」と冷たく言い放った。
大学に通うなんて無駄なことを、どうしてわざわざするのか分からない、と。
そして淳は、静香に向かってこう続けた。
「揉め事を起こすなよ。これが最後のチャンスだ。肝に銘じて行動するんだな」
先ほど目にした、佐藤広隆と親しげに歩く静香の姿。
その横顔に隠された意図を、淳は嗅ぎとって静香に釘を刺したのだ。まだ虎は自分の管理下にある。
しかし静香はまるで動じず、サングラスを外しながら甘えるような口調で淳に言い返した。
「えぇ~?あたしはそんなことしないわよぉ。淳ちゃんが一つずつ返してくれるって言ったんじゃない」
虎と狐の取引の一片が、密会の場で密かに口にされる。イタチには声までは聞こえないという計算の内に。
静香はブツブツと呟くように続けた。
「まだデビットカードだけだけどぉ‥クレカ以上は返して貰わないと~。住んでた家だって‥」
そんな静香に、淳は「まぁ頑張れよ」と適当な激励を口にして背を向けた。
それきり、一度も振り向かずに歩いて行く。
「えぇ~?行っちゃうの~?」
静香は笑顔を浮かべて手を振りつつ、淳には聞こえない声でその後姿にこう言葉を掛けた。
「ぜ~んぶ返してもらわなきゃ~。ぜ~んぶあたしの物だったんだからね~?」
そして淳の背中が見えなくなった後、静香は横山の隠れていた場所を振り返る。
「アイツは行ったわね‥」
静香はサングラスを掛け直し、ニヤリと笑った。
狐からの取引を遂行しつつ、水面下でイタチを泳がせる。そんな虎の計画が密かに進行している。
「あ~!おもしろ~!」
キャラキャラと甲高い笑い声が、青空に溶けて行く。
静香は自ら回した運命の歯車の行末を思い、一人嗤い続けた‥。
「うはははは!やったぜ!最高だ!!」
そしてここにも、笑い続けている男が居た。
手にした”証拠”を握り締め、横山翔は全速力で構内を駆け抜ける。
「早くこれを見せに行かねーと!マジでこれで終わりだ、青田の奴!!」
横山は笑いが止まらなかった。
青田淳が二股しているという決定的な証拠を握り締めながら、雪の居る図書館へと向かう。
「ヒヒヒヒ!」
すると走る横山の前方から、突然大きな声と共に人が飛び出して来た。
思わず横山はヒイッと息を飲む。
「おいっ!」
ザッと突然横山の前に現れたのは、河村亮だった。
横山は突然の出来事に驚き、顔を青くして後退りする。
「なっ‥なっ‥?!」
そんな横山の姿を、河村亮は真顔でじっと見つめていた。
相対する横山は、一瞬それが誰だかまるで見当がつかなかった‥。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<虎と狐の密会>でした。
今回はこの横山がなんかツボに入って‥。足の角度も‥(笑)
ヒヒヒヒ!
そして静香と淳の2ショット。
やっぱり絵になるな‥と惚れ惚れしました。静香に対しては常にSな淳も良い‥。
↓多分これ静香が淳と腕組んだけど、淳が速攻「止めろ」って振り払ってる‥萌
次回は<捕らえられたイタチ>です。
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イタチを捕まえろ~~
ところで亮さんかなり髪伸びましたね~
始めて雪ちゃんとあってた時目にかかってなかったのに…
->「手の中の秘密カード」にしましたが。
静香が横山のために動く鍵になると
信じて疑わないんですね。
信じたい事を信じるのは人間の悪い癖ですが、
横山はそれが他の人より強い感じです。
結局横山は低レベルとはいえ、平井和美と同類です。
平井がiPhoneなら横山はiPodって感じ?
本人たちは決して認めないはずですが。
「オレが恋するお前は俺を恋する義務がある!
そんな当然なことも分からないなんて、
怒られても文句言えないだろう?」
「私が頑張ってるから、先輩に好かれるは当たり前のはず!
そうならないのはきっと赤山の理不尽な邪魔のせい!」
雪の言った通りですよ、
「無理」をありのまま取る能力がない奴です。
ttps://www.youtube.com/watch?v=87G-Kd8nDmA
ところで、こんなやり取りを雰囲気を、ユジョンが全く気付かないままだったとは、やっぱり考えにくいような気がしないでもありません。オヨンゴンはアホなイタチですからどうでもいいとして、インハとユジョンの会話は、プロ棋士の将棋のように、互いに何十手も先まで読んだ丁々発止ぶりを感じます。
ttps://www.youtube.com/watch?v=WU6jY66jlJw
お互い腹を割らないでさぐり合おうと
静香のこのやり合い見てるとほんと努力の方向性上手くすれば何とかナルのにもったいないと思います
見てくれも上物ですし
人は美しいものに対して高い評価をしがちですから
ましてオンナでしょう
残念ながら男よりオンナの方が見た目で受ける扱いの差甚だしいですもん
静香の変容もどこかでみたいですな