浅葱(アサズキ) (その1)
昔、昔の事になったが、小学生だった私は気が弱いのか、優しいのか一人で山の畑で働く母が何となくかわいそうで、たいした手伝いにもならないのに毎日のように付いていった。他の子度たちのようにパッチ(めんこ)や、くぎ打ち、ビー玉などの子供らしい遊びに親しんだ記憶はない。
さて、そのころの畑はと言えば耕運機さえ無い時代。前年の畝を平鍬で半分を削り、次の畝の半分も削って合わせて新しい畝にしていたように思う。もちろん、土の塊は平鍬の頭でたたいて細かくしていたのだろうが。時たま頼まれるのが、その古い畝の畝間を三本鍬で土を起こすこと。コツもいらない単純な仕事である。
そんな鍬の使い方だから、畑によってはアサズキやウシノンビルが絶えず毎年繁茂していた。ちなみに、耕運機やトラクターで耕すと消滅してしまうようだが。特に隣接した同じ村の人の畑はアサズキがびっしりと生え、寝転がっても服に土がつかないほどだった。しかし、それだけ密生すると大きな玉、球根には育たなかった。種類もあるのかもしれないのだが。
(続く)