一旦世界最高の真理に触れながら、
途中からそこから反れて行く人がいるというのは、
本当に残念なことなのである。
本当に自分を救う正しい教えは「実相独在」の教え一つであり、
まざりもののない純粋なものであるから、
此れでもって自分を救い、
世界を救うべきなのである。
(正法眼蔵を読む 礼拝得髄の巻 谷口清超)
<逃げ出すな>
今大宋国の実情を見ると、久しく練成や修行を積んだような僧侶達が、いたずらに海の砂の数を数えるような細かな詮索をする仏教学者になり下がり、生死の海に漂い流れている者が沢山いる。ところが一方女性でも、正師を尋ねて参学し、悟りの道を修行して、人間天人の導師となった者もいる。又修行僧に餅を売らなかった老婆や、餅を捨てた老婆もある。一方男子の僧侶でも、いたずらに教えの海の砂(いさご)を数えて、真の仏法を夢にも知らぬ者どもがいるのは、実に哀れな話である。