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記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

社会戯評漫画で活躍した横山泰三の忌日

2008-06-10 | 人物
今日(6月10日)は社会戯評漫画で活躍した横山泰三の2007年の忌日
横山 泰三(よこやま たいぞう)は、1917(大正 6)年2月28日高知市生まれ。洋画家を志して、帝国美術学校(現・武蔵野美術大)に入るが中退。召集を受けて中国に渡った。戦後、新聞小説の挿絵を描くうち、「フクちゃん」の漫画で知られる実兄の漫画家隆一の影響で、漫画家に転向。
1950(昭和25)年~1954(昭和29)年まで3年間、毎日新聞夕刊に連載された4コマ漫画プーサン」は、時事的な話題を都会的エスプリを交えて描く「大人の漫画」として注目を集め、この作品は1953(昭和28)年には、東宝にて市川昆監督により同名で映画化もされ、その際はこの原作に同じ作者のサンデー毎日連載「ミス・ガンコ」が加えられてつくられたという。又、同映画には、作者の横山泰三と兄の隆一が端役で出演している(映画の概要については、以下参考に記載の「プーサン - goo 映画」参照)。そして、1954(昭和29)年には、これまでの漫画にはない単純な線だけで表現された描写方法の斬新さが評価を受け第2回菊池寛賞を受賞している。
「プーサン」のあと、同年(1954年)から朝日新聞で1コマ政治漫画「社会戯評」を連載。極限まで省略された独特のタッチの絵とユーモアで政治や世相を鋭く風刺し、連載は1992(平成 4)年の終了まで39年間で1万3561回を数える長期連載に発展、これまでの一コマ漫画のスタイルを変え、日本の風刺漫画の基礎を確立したと言われている。
朝日新聞の連載が1992(平成 4)年12月31日付けの紙面をもって幕を閉じたが、その時の漫画『サヨナラ社会戯評』が冒頭に添付のものである。この画像は、朝日クロニクル「週刊20世紀」に掲載のものを借用しているが、画像注釈には、”横山のお別れの弁に「今は政治家の顔を書く気がしない。魅力のある人物がいなくなった。戯評と別れるのは寂しい限りだが、辞めたからといって、楽隠居でひっこんでしまう年でもない。ネバーギブアップの働き漫画バチでありたい」”・・とある。そして、漫画に書かれている一行は、画像では小さくて見えないが、”「ホタルの光、窓の雪、ではさようなら」”と記載されている。
正直、私は、年代的にも、4コマ漫画の方の「プーサン」や「ミス・ガンコ」の頃は、まだ子供だったし、我が家の購読紙は毎日ではなく朝日だったので、これらの漫画は見ていないし、興味を持ったこともなかった。
毎日に、「プーサン」が掲載されていた1951(昭和26)年4月16日から「朝日新聞」の朝刊には、4コマ漫画として長谷川町子の漫画「サザエさん」が掲載されていたので、これは、大人だけではなく子供でも面白く読め、毎日、読むのを楽しみにしていたくらいだ。
1974(昭和49)年に「サザエさん」の連載が打ち切られた後の4コマ漫画は、1965(昭和40)年4月1日から夕刊に掲載されていたサトウサンペイの「フジ三太郎」が、1979(昭和54)年1月1日から朝刊に掲載されるようになり、1991(平成 3)年9月30日まで通算27年半に及ぶ長期連載となった。ちょうどこの頃には、私もサラリーマンになっていたので、万年ヒラサラリーマンである・フジ三太郎を主人公とする世相を反映したユーモアのある大人の漫画も楽しく読んだ。
横山 の政治を風刺した1コマ漫画「社会戯評」も朝日に掲載された頃には、私も、一応ちゃんと、新聞には目を通す世代になっていたのでよく知っている。この漫画が幕を閉じた1992年の政治を振り返ってみると、5月7日 - 熊本県知事、参議院議員であった細川護熙文藝春秋誌上で「『自由社会連合』結党宣言」を発表。 5月22日 、日本新党結成。 日本新党は、政治改革の流れの中で無党派層の支持を獲得し、7月の第16回参議院議員選挙ではミニ政党としては過去最高の4議席を獲得し、55年体制崩壊をもたらした「新党ブーム」のいわば火付け役となった。この当時の内閣は第78代宮澤喜一内閣であったが、歴代内閣を見ていると確かにこの頃から政治家が小粒になったという印象が強いね~。でも、水戸の納豆じゃ~ないけれど小粒より小さな極粒の食べやすい甘口納豆のような現代の福田政権下の顔ぶれを見ていると、まだ宮沢内閣当時の方が、納豆らしい臭みや癖もあったような気がするよ。もし横山 が今「社会戯評」を書くのを止め、サヨナラするとしたら、今の政治家についてどういっただろうね~。「無味乾燥・味もしゃしゃりもない(京言葉。味もそっけもない。何の趣もない。)。顔を見る気もしない」・・とでも言っただろうか・・・・。
少し横道にそれたが、この漫画(「社会戯評」)のことについては、漫画家・漫画評論家・日本マンガ学会理事でもある長谷邦夫の「WELCOMEマンガ大学 [漫画とメディア] 」(以下参考に記載のHP)にも”この作品の評価が高かったのは昭和30年代の中期までであろう。その後はやはり解説・説明文字による図解的な作品へと後退してしまう。」とあるように、当初は、斬新で面白かったものの、次第に漫画としての面白さは薄れていったようには思う。
昭和30年代前半の最後と言えば、1960(昭和35)年であるが、この年は民主社会党(民社党)の委員長に選任された、浅沼稲次郎安保闘争を自ら戦いの前面にたって戦い、岸信介を総辞職に追い込み、第一次池田勇人(いけだ はやと)内閣が成立(7月19日)。そして、その年の10月12日 、総選挙の前哨戦として、東京千代田区にあった日比谷公会堂において、自民・社会・民社3党首立会演説会に参加した浅沼は、壇上で右翼少年・山口二矢に腹部を刺され、波乱の生涯を終えた。浅沼稲次郎暗殺事件のあった年である。つまり、この当時は、政治家も今よりは少し山椒が利いていたが、それよりも政治情勢そのものが大揺れしていた時代であり、マスコミに携わるものからすれば、漫画の材料には事欠かなかった時代でもあったというべきだろう。
横山 は、日本を代表する政治風刺漫画家として、「プーサン」で菊池寛賞受賞その他、1981(昭和56)年 紫綬褒章 、1988(昭和63)年 勲四等旭日小綬章 など数々の栄誉を受けるが、風刺漫画家の宿命というべき批判も多く、余り長く続けすぎたこともあり末期には、彼が漫画のキャラ絵に 首に名札をぶら下げる手法などを使っていたこともあるせいか「政治家の似顔絵が描けない風刺漫画家」といわれたり、竹熊健太郎・相原コージの『サルでも描けるまんが教室』でギャグのネタにされあからさまな嫌味・非難をされたようだ。
しかし、新聞漫画がつまらなくなったのは、横山などの政治風刺の一コマ漫画だけの問題ではなく、「大人漫画」「と呼ばれる新聞の4コマ漫画も同様なことであろう。昭和30年代後半からの日本の経済成長と共に、世の中が豊かになってくると、漫画を読む人達の漫画への関心や興味も異なってくる。
それ以降主流となる「ストーリー漫画」界からみれば、新聞などの「大人漫画や「風刺漫画」は、ツマラナサを象徴するような漫画として見えたのかもしれない。私なども、今は、朝日の一コマ漫画も4コマ漫画も殆ど真剣には見ていない。
横山は、「社会戯評」を勇退後も、朝日新聞に度々寄稿していた他、80を過ぎてなお展覧会など精力的な活動をしていたようだが、昨・2007(平成19)年6月10日、鎌倉市の自宅で死去。享年91であった。
(画像は、1992年12月31日付け「サヨナラ社会戯評」、朝日クロニクル「週刊20世紀」より)
参考:
横山泰三 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A8%AA%E5%B1%B1%E6%B3%B0%E4%B8%89
asahi.com 「漫画家の横山泰三さん死去 ひとコマ漫画で世相を風刺」。
http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY200706100112.html
漫画家・横山隆一
http://blog.goo.ne.jp/yousan02/e/b78c9d8f35ecfd04b6d3d523caaedbd8
プーサン - goo 映画
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD23699/
一コマ漫画- Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%80%E3%82%B3%E3%83%9E%E6%BC%AB%E7%94%BB
サザエさん - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%82%B6%E3%82%A8%E3%81%95%E3%82%93
サトウサンペイ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%88%E3%82%A6%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%82%A4
1992年の政治
http://ja.wikipedia.org/wiki/1992%E5%B9%B4%E3%81%AE%E6%94%BF%E6%B2%BB
長谷邦夫 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%95%B7%E8%B0%B7%E9%82%A6%E5%A4%AB
WELCOMEマンガ大学 [漫画とメディア]
http://kunio.nagatani.name/mannga-medhia.htm
※サルでも描けるまんが教室
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%AB%E3%81%A7%E3%82%82%E6%8F%8F%E3%81%91%E3%82%8B%E3%81%BE%E3%82%93%E3%81%8C%E6%95%99%E5%AE%A4
大人漫画とは - はてなダイアリー
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C2%E7%BF%CD%CC%A1%B2%E8
竹内一郎『手塚治虫=ストーリーマンガの起源』
http://www1.odn.ne.jp/kamiya-ta/storymanga.html

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2 コメント

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漫画 (ゆうさん)
2008-06-10 08:45:17
よーさん、お早うさんです。
子供の頃、フクちゃん、デンスケ、屋根裏さんちゃんなどの漫画を真似て、ノートの端っこや試験の答案用紙の裏によく悪戯書きをしたものです。
今の「ガガーッ!]「バキュ~ン!」などが連発する漫画は見る気もしませんが、のんびりした中に風刺も効いていたた昔の漫画は好きでした。
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漫画 (よーさん)
2008-06-10 11:26:58
ゆうさん私も今の漫画は余り好きではありません。
時代が時代だから仕方がないのでしょうが、昔は、ほのぼのとした漫画が多く、子供も大人も楽しめる漫画が多かったように思えます。
今の漫画が好きになれないのは、今の時代、お間の人達の考え方が好きになれないからでしょう。
結局漫画もその時代の人の考え方や世相、時代そのものを表しているものですからね。
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