よし坊のあっちこっち

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映画三昧ーPRECIOUS

2010年01月12日 | 映画
PRECIOUSという映画を観た。10代の黒人の女の子の悲惨な、そしてちょっぴり希望を抱かせる、見応えのある物語だ。

Preciousは貧困のハーレムに生まれ育ち、読み書きも出来ず、小さい頃から父親の性的虐待を受け、子供を二人も生まされ、しかも父親からエイズをうつされる。世の中の不幸を全部背負わされているようなものだ。しかも、母親からも日常的虐待を受けるから悲惨だ。二度目の妊娠発覚で学校を追われるが、代理学校で読み書きを覚え、先生や友達に助けられながら自我に目覚めていく。

名前のPrecious、まさに人間とは「かけがえの無いもの」、作者はそういいたいのだと思う。母親役のモニークという女優、この演技が冴えている。子供を虐待する自堕落な母親、娘に向いてしまった夫に対する憤りを、娘の虐待で晴らす、鬼のような母親。

実の子への性的虐待の実態は、日本もアメリカも、さして変わりは無いだろうが、決定的に違うのは、アメリカの方がはるかに顕在化しやすい。そして、表に出てきた事実を出来るだけ客観的に捉え、考えようと努力しようとする国民性だ。

アメリカは、性的虐待に対しては、非常に厳しいが、性的犯罪者に対しても厳しい。 刑期を終えて出所しても、所在地が一般に公開される法律があるので、監視されているようなものだ。1994年、ミーガンという7歳の女の子が誘拐レイプの上殺害された。この事件で、被害者の親の訴えと運動が大きなうねりとなり、別名、ミーガン法といわれる法律が出来、性的犯罪者の居場所を公開できるようになった。立法化まで進んだのは、性的犯罪者のリピーターになる確率が圧倒的に高いことによる。日本でもこのような法律が出来たらどうだろうか。日本は狭く、何処へ行っても居場所がオープンになるわけだから、抑止力としては相当効くのではないだろうか。そう考えたが、日本のように、セクハラに甘い国では、とてもじゃないが、そこまで到達は出来まい。

余談になるが、ソーシャル・ワーカーの役でマライヤ・キャリーが出ていた。殆どスッピンのような顔(実際にはそうではないが)なので、自信がなく、ワイフに意見を求めたら、自信満々に、違う女優や、他のドラマでたまに観るでぇーとのお答え。後で調べたらマライヤだった。どこから、あの自信が来るのだろうか。分からん。