スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

サマータイム制

2005-03-26 02:28:19 | コラム
朝刊1面より

ヨーロッパでは「サマータイム制」なるものが存在する。夏の間だけ、時計の針を通常よりも1時間進めるのだ。だから、本来なら基本的にお昼の正午に太陽が真南に差し掛かるのが、サマータイム制の下では13時に南中することになる。

サマータイムに切り替わるのが、毎年3月の最後の日曜日の早朝2時だ。つまり今日なのだ。

以前に書いたように、スウェーデンの春は突然やってくる。以前のブログ. 均衡が崩れた途端に、急に暖かくなり、太陽がきらきらと輝き始める。この頃までには日も十分に長くなっており、朝も比較的早くから明るくなっている。そんな急激な春の訪れにさらに拍車をかけるのが、サマータイムへの切り替え。日の入りがらに1時間も遅くなるのだ。

朝は外の明かりで早くから目が覚める。しまった8時だ! 寝過ごした! と思って時計を見るとまだ6時前ということもある。こんな急激な春の訪れに、体が適応しないのではないかと思うくらいだ。まるで、寒く暗い冬の間に冬眠していた熊が、春になって地上に出てきて、あまりの眩しさにひるんでいるかのようだ。

サマータイムは今晩から始まり、4月から10月までの7ヶ月間続く。だから、本来の時計の決め方(つまり、太陽が真南に来たときが正午)に基づくのはたったの5ヶ月しかないから、どっちが“通常”なのか判らなくなる。しかも、北欧はただでさえ夏の間、日が長いのに、どうしてサマータイム制が必要なの? と以前は疑問に思っていたが、多分これはドイツやフランスなどの他のヨーロッパ諸国と時間を合わせるためなのだろう。

サマータイムに変わるのは日曜日の朝の2時。2時がいきなり3時になるのだ。そうすることで夜中が一時間短くなる。


今日と明日、一日違うだけなのに、日の出・日の入りが1時間ずれているでしょ
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さて、土曜日の夜は実は夜行バスでヨーテボリからヨンショーピンに帰ることになった。これはちょうどよい! 以前からずっと抱いていた疑問を解明することができる。さて、夜行バスや夜行列車はこの夜、どうやって時刻表通りに運行させるのか? サマータイムから通常時間に戻るときは、1時間夜が長くなるのだから、どこかで1時間休憩すればよいだけの話だろうが、その逆は簡単には行かない!

<私の仮説> 1時間分の遅れを取り戻して、次の朝、予定通りに目的地にたどり着くために、爆走する。夜行列車はこの日だけ超特急の車両を使って、思いっきり飛ばす。夜行バスは、この日だけ、高速道路を時速200キロでブッ飛ばす許可をもらっている。

私のこの思い込みが正しいのか、今日確認できるというわけだ。さて、ワクワクしながら夜行バスに乗車する。運転手もなんだか今晩はやる気がみなぎっている印象を受ける。大爆走中に車内で振り回されても大変なので、私もしっかりとシートベルトを締める。そして、いよいよバスが走り出す。そして、車内アナウンス...。

「今晩はサマータイムへの切り替えのため、途中の町には午前2時以降は定刻よりも1時間遅れて到着することになります。よって終点のストックホルムにも1時間遅れで到着いたします。」

な~んだ。そんなことだったのか。と、落胆しながら、普通に走るバスに揺られながら帰路につく私。