その前に最新ニュースから。
フォード、ボルボ売却で中国・吉利に優先交渉権(日経新聞)
まだ最終的に決まったわけではないが、何だかがっかりする。
(ちなみに、上の記事に高級車ブランド「ボルボ」と書かれているのが面白い。スウェーデンでは庶民の車、国民車という感じで、高級車ブランドというとドイツなどの外国車だ。)
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先週初めにスウェーデンの科学メディアを賑わしたニュースといえば、スウェーデンの医療機関や研究機関で開発が進められてきたHIVワクチンが予想以上の効果を見せたということだ。HIVウイルスはエイズを引き起こすウイルスであるが、エイズの治療薬や抗ウイルス剤の開発とともに、感染そのものを防ぐワクチンの開発が急がれてきた。
このワクチン開発プロジェクトは、スウェーデンの国際援助庁(SIDA)とEUが提供した資金のもとで、スウェーデンを中心にアメリカやタンザニアの研究者が協力する形で2002年より進められてきた。
ワクチンの開発では、第一段階(第Ⅰ相試験)で安全性の検査が行われ、第二段階(第Ⅱ相試験)でウイルスの投与を受けた人の体に免疫が生まれるかが検査されるという。スウェーデンで開発されてきたHIVワクチンは現在、この第二段階まで到達した。
この第二段階の実験では、まずストックホルムのカロリンスカ医科大学で、健康なスウェーデン人にこのワクチンが投与された。すると、被験者の9割がHIVワクチンに対する免疫力を持つようになったという。その後、タンザニアでも同様の実験が行われた。健康なタンザニア人の警察官60人の一部にこのワクチンを注射し、他の警察官にはワクチンを含まない注射を行って、その後の経過を比較したところ、ワクチンの投与を受けた警察官全員の血液にウイルスに対する抵抗力が観察されたという。
これから、第三段階(第Ⅲ相試験)の実験が進められていく。ここでは、被験者の数を多くしてより複雑な調査を行っていくため、さらなる資金が必要になるというが、第二段階までの成果が予想以上に良好であるため、資金の確保はおそらく問題ないだろうと見られている。
ちなみに、HIVワクチンの開発は他の国でも進められている。タイで開発が続けられてきたワクチンは既に第三段階に突入し、16000人のタイ人を被験者として大規模な実験が行われている。スイスでも別の開発プロジェクトがあるというが、こちらはまだ第二段階まで到達していない。
では、スウェーデンのHIVワクチンは、タイのワクチンに対して勝ち目があるのだろうか? 開発に携わってきたスウェーデンの研究者はこの点に関して「問題ない」と自信満々だ。HIVが蔓延しているアフリカで一般的な複数のウイルス株を組み合わせたものである上、牛痘ウイルスで培養した別のHIVウイルスを混ぜ合わせたスーパー・ブレンドだからだそうだ。実のところ、タイのワクチンはHIVウイルスに感染する確率を31%ほどしか減らすことができないようだ。これに対し、スウェーデンのワクチンは少なくとも50%は減らせる見込みだという。
第三段階がうまく行けば、商品化までにはさらに5年の時間がかかるらしい。
フォード、ボルボ売却で中国・吉利に優先交渉権(日経新聞)
まだ最終的に決まったわけではないが、何だかがっかりする。
(ちなみに、上の記事に高級車ブランド「ボルボ」と書かれているのが面白い。スウェーデンでは庶民の車、国民車という感じで、高級車ブランドというとドイツなどの外国車だ。)
先週初めにスウェーデンの科学メディアを賑わしたニュースといえば、スウェーデンの医療機関や研究機関で開発が進められてきたHIVワクチンが予想以上の効果を見せたということだ。HIVウイルスはエイズを引き起こすウイルスであるが、エイズの治療薬や抗ウイルス剤の開発とともに、感染そのものを防ぐワクチンの開発が急がれてきた。
このワクチン開発プロジェクトは、スウェーデンの国際援助庁(SIDA)とEUが提供した資金のもとで、スウェーデンを中心にアメリカやタンザニアの研究者が協力する形で2002年より進められてきた。
ワクチンの開発では、第一段階(第Ⅰ相試験)で安全性の検査が行われ、第二段階(第Ⅱ相試験)でウイルスの投与を受けた人の体に免疫が生まれるかが検査されるという。スウェーデンで開発されてきたHIVワクチンは現在、この第二段階まで到達した。
この第二段階の実験では、まずストックホルムのカロリンスカ医科大学で、健康なスウェーデン人にこのワクチンが投与された。すると、被験者の9割がHIVワクチンに対する免疫力を持つようになったという。その後、タンザニアでも同様の実験が行われた。健康なタンザニア人の警察官60人の一部にこのワクチンを注射し、他の警察官にはワクチンを含まない注射を行って、その後の経過を比較したところ、ワクチンの投与を受けた警察官全員の血液にウイルスに対する抵抗力が観察されたという。
これから、第三段階(第Ⅲ相試験)の実験が進められていく。ここでは、被験者の数を多くしてより複雑な調査を行っていくため、さらなる資金が必要になるというが、第二段階までの成果が予想以上に良好であるため、資金の確保はおそらく問題ないだろうと見られている。
ちなみに、HIVワクチンの開発は他の国でも進められている。タイで開発が続けられてきたワクチンは既に第三段階に突入し、16000人のタイ人を被験者として大規模な実験が行われている。スイスでも別の開発プロジェクトがあるというが、こちらはまだ第二段階まで到達していない。
では、スウェーデンのHIVワクチンは、タイのワクチンに対して勝ち目があるのだろうか? 開発に携わってきたスウェーデンの研究者はこの点に関して「問題ない」と自信満々だ。HIVが蔓延しているアフリカで一般的な複数のウイルス株を組み合わせたものである上、牛痘ウイルスで培養した別のHIVウイルスを混ぜ合わせたスーパー・ブレンドだからだそうだ。実のところ、タイのワクチンはHIVウイルスに感染する確率を31%ほどしか減らすことができないようだ。これに対し、スウェーデンのワクチンは少なくとも50%は減らせる見込みだという。
第三段階がうまく行けば、商品化までにはさらに5年の時間がかかるらしい。