今日の主要日刊紙はどれもフランスの国民投票を大きく取り上げている。
このEU新憲法は各国の首脳によって既に署名されたものの、これが正式に発効するためには、加盟国すべてで批准されなければならない。一カ国でも批准を拒否すると、発効しない。批准の仕方は国によってそれぞれで、国によっては議会で採決を採り批准するところもあれば、国民投票を行ってその結果に基づいて決める国もある。
加盟国25カ国のうち、スペイン・フランス・オランダ・ルクセンブルグ・ポーランド・デンマーク・ポルトガル・アイルランド・イギリス・チェコは国民投票によって決める。(スペインでは、賛成派が僅差で勝ち、フランスでは昨日の通り反対派が勝った)スウェーデンは今年末に議会で決定する見込み。(国民投票にかけるべきという声もかなり聞かれる)
新憲法否決のニュースに落胆の声があちこちで聞かれる。ヨーロッパの根幹をなす国の国民がEU統合の流れを止めてしまったと考えられるからだ。一方でスウェーデンの日刊紙DNの社説は「ヨーロッパ統合自体に対するNoと受け取るのではなく、今回の新憲法が描いているEU像とは異なる形のEUに、人々が関心を抱いていることの現われだ」としている。事実、No票を投じたフランス国民の多くが、これまでのEUの発展を好意的に支えてきたのだという。
つまり、EUに賛成か反対か、ヨーロッパの統合に賛成か反対か、という単純な二者択一の問題ではなく、EUの今後のあり方をどのように定義するのか、例えば、前回挙げたように、超国家的な“ヨーロッパ合衆国”を目指すのか、それとも“協力機構”のレベルで協力関係を今度とも深めていくのか、別の言い方では、中央集権化と地域レベルでの意思決定という民主主義との間のバランスをどこで取るのか、というようにヨーロッパの統合にも様々なシナリオが描ける。
(余談だけれど、このDNの社説は、こう書くことで暗に、EUに賛成か反対かと、とかく二分論になりがちなスウェーデン世論に警鐘を鳴らしてもいるように感じられる)
さて、こうして既に一カ国が否決してしまったので、この新憲法の行く末はどうなるかというと、現在いろんな議論がなされている。シナリオ1は、新憲法を一部修正して、もう一度フランスで国民投票にかける、というもの。EU基本法(憲法)の全身であるマーストリヒト条約を各国が批准していく過程では、デンマークが国民投票で否決してしまった。この際にとられた手がこれだ。シナリオ2は、新憲法の様々な要素のうち、加盟国の多く国である程度の合意が得られている事項や、既に事実上施行されている事項(!)を抜き出して、EU首脳会議などのレベルで採択して、基本法に加える、という手もあるようだ。
しかし、こうして一国が既に否決してしまった以上、うちの国で否決しても自分の国だけが足を引っ張ったとは思われないから、いいや、っと他の国でも立て続けに批准を拒否する動きが出てくるようになると、部分的修正などという小ワザが効かなくなるのかもしれない。
EUの基本法というのはこれまで段階的に発展してきており、ローマ条約(1957)、域内市場の取り決め条約(1987)、マーストリヒト条約(1992)、アムステルダム条約(1997)、ニース条約(2000)、今回の新基本法。この基本法が各国で批准されるまでは、その一つ前のニース条約が通用する。
(そういえば、ニース条約の批准でも大変もめたな。アイルランドかどこかの国は、可決されるまで何度も国民投票をやり直していた。まるで、ゾロ目が出るまでサイコロを振り続けるみたいに・・・)
さて、水曜日にはオランダでも国民投票が行われる。
このEU新憲法は各国の首脳によって既に署名されたものの、これが正式に発効するためには、加盟国すべてで批准されなければならない。一カ国でも批准を拒否すると、発効しない。批准の仕方は国によってそれぞれで、国によっては議会で採決を採り批准するところもあれば、国民投票を行ってその結果に基づいて決める国もある。
加盟国25カ国のうち、スペイン・フランス・オランダ・ルクセンブルグ・ポーランド・デンマーク・ポルトガル・アイルランド・イギリス・チェコは国民投票によって決める。(スペインでは、賛成派が僅差で勝ち、フランスでは昨日の通り反対派が勝った)スウェーデンは今年末に議会で決定する見込み。(国民投票にかけるべきという声もかなり聞かれる)
新憲法否決のニュースに落胆の声があちこちで聞かれる。ヨーロッパの根幹をなす国の国民がEU統合の流れを止めてしまったと考えられるからだ。一方でスウェーデンの日刊紙DNの社説は「ヨーロッパ統合自体に対するNoと受け取るのではなく、今回の新憲法が描いているEU像とは異なる形のEUに、人々が関心を抱いていることの現われだ」としている。事実、No票を投じたフランス国民の多くが、これまでのEUの発展を好意的に支えてきたのだという。
つまり、EUに賛成か反対か、ヨーロッパの統合に賛成か反対か、という単純な二者択一の問題ではなく、EUの今後のあり方をどのように定義するのか、例えば、前回挙げたように、超国家的な“ヨーロッパ合衆国”を目指すのか、それとも“協力機構”のレベルで協力関係を今度とも深めていくのか、別の言い方では、中央集権化と地域レベルでの意思決定という民主主義との間のバランスをどこで取るのか、というようにヨーロッパの統合にも様々なシナリオが描ける。
(余談だけれど、このDNの社説は、こう書くことで暗に、EUに賛成か反対かと、とかく二分論になりがちなスウェーデン世論に警鐘を鳴らしてもいるように感じられる)
さて、こうして既に一カ国が否決してしまったので、この新憲法の行く末はどうなるかというと、現在いろんな議論がなされている。シナリオ1は、新憲法を一部修正して、もう一度フランスで国民投票にかける、というもの。EU基本法(憲法)の全身であるマーストリヒト条約を各国が批准していく過程では、デンマークが国民投票で否決してしまった。この際にとられた手がこれだ。シナリオ2は、新憲法の様々な要素のうち、加盟国の多く国である程度の合意が得られている事項や、既に事実上施行されている事項(!)を抜き出して、EU首脳会議などのレベルで採択して、基本法に加える、という手もあるようだ。
しかし、こうして一国が既に否決してしまった以上、うちの国で否決しても自分の国だけが足を引っ張ったとは思われないから、いいや、っと他の国でも立て続けに批准を拒否する動きが出てくるようになると、部分的修正などという小ワザが効かなくなるのかもしれない。
EUの基本法というのはこれまで段階的に発展してきており、ローマ条約(1957)、域内市場の取り決め条約(1987)、マーストリヒト条約(1992)、アムステルダム条約(1997)、ニース条約(2000)、今回の新基本法。この基本法が各国で批准されるまでは、その一つ前のニース条約が通用する。
(そういえば、ニース条約の批准でも大変もめたな。アイルランドかどこかの国は、可決されるまで何度も国民投票をやり直していた。まるで、ゾロ目が出るまでサイコロを振り続けるみたいに・・・)
さて、水曜日にはオランダでも国民投票が行われる。