スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

バイキングたちの古代スカンディナヴィア語

2005-03-05 08:50:21 | コラム


成人高校の夜間コースで受講している「スウェーデン語B」は、日本でいえば「国語II」にあたる。だから、文法などはもうほとんど触れず、むしろ、スウェーデンの文学や文学史、言語の歴史、それから状況に応じた文章の書き方や人前で話すときの実践や、レトリックの使い方など実践的なことも勉強する。

僕がとりわけ関心を持ったのは、古代スカンディナヴィアの言語とその文学だ。ここでいう古代とは5世紀から13世紀頃までだ。このころ、北欧人はバイキング(入り江の人)としてヨーロッパ各地を襲撃し、どう猛と恐れられた。地元、スカンディナヴィア半島では牧畜や小規模ながら農耕をしながら定住していたが、人口が増えると本国では養っていくことができずに、溢れた人口が海外遠征に向かったといわれる。

古北欧人は航海技術に優れていて、スカンディナヴィア半島やアイスランドを縦横無尽に駆けめぐっていたらしい。この頃の記録は乏しく、あまり残っていないのだが、おそらく北欧人(バイキング)はどこも同じような言葉を話していたとされる。(古北欧語期:8世紀まで)

次第に人口が増えるにつれ、居住地域が拡大し、地域ごとに独自の国が形成されていく。今の北欧四カ国:スウェーデン・ノルウェー・デンマーク・アイスランドという国家の領域区分はだいたい9世紀頃から明確になっていったらしい。そして、それぞれで言語が独自の進歩をたどるようになる。(ルーン・スウェーデン語期:9世紀~13世紀初め)

この当時の記録手段は何かといえば・・・、そう、石! 紙がヨーロッパの歴史に登場するのは中世の終わりになってから。羊皮紙というのもあるけれど、これが北欧で登場するのは10世紀以降。だから、当時は石片か木片が主に使われた。(木片はほとんど残っていない)スウェーデン各地にはこの当時に、古代バイキング文字が赤く刻み込まれた大きな石片が残っている。この石を「ルーン石」と呼び、アルファベットに多少似た文字を「ルーン文字」という。

ルーン石は主に墓石として使われ、ここには亡くなった人を讃える叙事詩や、先祖のつながりなどが記されている。リンク
日本でいう「古墳」に随する記録みたいなものかもしれないが、北欧ではご覧のように規模が小さく、また時代も日本よりもずっと後だ。古墳に関しては、6世紀頃の連続した墳丘がウプサラの郊外「Gamla Uppsala/Upsala」に残っている。しかし、文字による記録はここではほとんど見つかっていないようだ。

こういった断片的な記述が残っていても、文学作品と呼ばれるまでにまとまったものは、スウェーデンではなかなか出てこない。そういうものが発見されるのが、実はアイスランドなのだ。

と、いつも通り随分と前書きが長くなってしまったが、古代アイスランド文学が今熱い!
(・・・続く)