スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

除雪車

2005-03-18 07:58:37 | コラム
今年の冬は例年になく長引き、3月の半ばになっても寒い日が続いた。スウェーデンでは湿気が少ないために、寒さから想像できるほどたくさんの雪が降るわけではないのだが、今年の冬はスウェーデン南部に湿気を多く含んだ気流が流れ込み、南部を中心に大雪となった。

でも今、ついに春が目の前まで来ているようだ。日曜日に一時、雪がふるものの、来週のイースター休日にかけて晴れた日が続き、気温が上昇して、本格的な春の到来となるようだ。

スウェーデンでは空気が乾燥していると書いたものの、雪がふるときはそれなりに積もる。そのための除雪作業もいろいろと考えられている。雪が積もり始めると、つかさず除雪車がどこからともなく登場し、雪かきを始める。

京都での大学時代を思い出す。正門前の東一条通に各サークルや団体活動の立て看板が並ぶ。たまに規定以外の場所に立てかけたりする学生がいると、すかさず大学職員が出てきて、撤去してしまう。いつの間にか立て看板が消えてしまう素早さへの驚きと、撤去された学生のいらだちから、いろんな皮肉が聞かれたものだ。「手抜きをした立て看板を作っただけでも“小人さん”が登場して撤去していってしまう」なんて。

ともあれ、雪が積もり始めると、つかさず登場する除雪車を見かけるたびに、そんなことを思い出す。

除雪車にもいろんな種類がある。自動車道には大型車がサクサクと雪を取り除いてしまう。細い車道では、中型のショベルカー、そして歩道では手の付いたトラクターがチコマカ・チコマカと縦横無尽に走り巡っている。車道でも歩道でも、除雪車の後部に塩と砂利が積まれていて、前部で除雪した後に撒かれる仕組みになっている。


小型:後部から砂利と塩を撒く


中型:これで小道もサクサク


大型:これで広い車道も一気に雪かき

ふと思うのだが、もしかして冬の間、耕作ができない農家の人が、市にトラクターを貸し出しているのだろうか・・・? もし本当だったら、とっても効率がいいのだが・・・。

滑り止めのための砂利は、ほんとうにありがたい。氷で道がツルツルになっていても砂利があれば、滑ることがない。しかし逆に困る問題は、雪が解けた後は、道路も歩道も砂利だらけになってしまうことだ。これはどうしようもない。管理している市は春の到来を待って、一気に砂利をかき集める。よく考えられたもので、この時も自動的に路上の砂利をかき集めてくれるトラックが存在する。しかし、たまに気が早すぎて、砂利を撤去した後に、もう一度大雪が降り、砂利を撒くので、また同じことをする羽目になる春もたまにあるが・・・。