スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

映画界の巨匠 Ingmar Bergman(イングマル・ベリマン) 死去

2007-07-30 06:42:50 | コラム
Ingmar Bergman(イングマル・ベリマン)が、今日死去した。ゴットランド島の片隅にある小島Fåröの自宅でだった。89歳だった。

スウェーデン国内以上に、海外で注目を浴びた映画界の巨匠で、映画監督、劇監督、脚本作家、小説作家として、活躍した。20世紀後半の映画界では、クロサワ・アキラや、フレデリコ・フェリーニと並ぶ、3大映画監督に数えられている。オスカーの外国映画部門で3回、賞を獲得している(それに加え、衣装など他の部門でも)。

スウェーデンの近代古典であるStrindberg(ストリンドベリ)などに良く通じ、そのモチーフを、現代の人間の深い心理関係に当てはめた劇や映画をよく作った。人間と、人間関係について鋭いインスピレーションを持ち、自身を物語の中の深い心理関係に埋没させることで、伝えたいとするものを観る者にまじまじと伝えようと努力した、という。

詳しくは、ヴィキペディアなどで。
Ingmar Bergman(日本語)
Ingmar Bergman(スウェーデン語)

KRAV - 増えるかエコロジー生産農家

2007-07-29 13:51:45 | スウェーデン・その他の環境政策
スーパーの野菜・果物コーナーへ行くと、多くの場合「KRAVコーナー」がある。KRAVというのはエコロジー認定を受けた生産者によって有機栽培された製品に付けられる認証だ。だが、その分、普通の農産物に比べると多少割高だ。

kravとは一般名詞で“要求・条件”という意味。だから、KRAVマーク“生産過程にある一定の条件を課した生産物”という意味。)


KRAVマークの製品を買いたいときは、なるべく大きなスーパーへ行こう。小さなところだと、KRAVマークつきの品揃えが良くないし、買う人が少なくて回転率が悪いのか、ほとんど痛んで食べられなくなったものも置いている。

私が行く小さなスーパーのKRAVコーナーはいつもそんな状況だから、てっきり人気が無いのかと思っていたが、統計によると、2006年のKRAVマークつきの農作物の売り上げは前年に比べて15%増という伸び。伸びる需要に応えるべく、そして、スウェーデンの農業をより有機的なものにするために、前の社民党政権は2010年までにKRAV認可を受けた農地を、全体の20%にするという目標を掲げていた。

しかし、高まる需要に対し、KRAVマークつき農産物の供給はあまり延びていない。現在、KRAV認定を受けた農地は全体の7%に過ぎないし、2004年比で多少減ってもいるのだ。今年、新たに500の農家がKRAV認定を受ける見通しだが、このままでは前政権の目標達成は到底難しい。エコロジー栽培に対する生産農家側の関心は実際は高いのだが、KRAV認可のためにかかる費用と手続きが問題なのらしい

KRAV認定を受けた農地面積の推移

一方、KRAV認定は受けていなくても、多かれ少なかれ「有機・エコロジー的」な生産をしている農家は実は、結構いるのだ。その数、KRAV認可の農家も含めると全体の20%。なぜこんなに多いかというと、EUの農業補助金制度の一つに「環境農家に対する補助金(miljöbidrag)」というのがあり、化学肥料や農薬を使わない、などの基準を満たした農家に特別手当が支給されるからだ。ただ、基準はKRAV認可に比べると緩いのらしい。

だから、このEUの「環境農家に対する補助金」を受けている農家(全体の20%)のうち、まだKRAV認可を受けていない農家にKRAV認定を取らせ、うまく取り込めば、前政権の目標も達成できてしまう。しかし、現政権はこの政策領域にはあまり力を入れていないようだ。

残念なニュースがもう一つ。このEUの「環境農家に対する補助金」の給付にあたっては、これまでは比較的緩い基準しか課せられてこなかったが、今年からはKRAV認可を受けた生産農家にしか支給されなくなるという。だから、KRAV認定の新規認可がこれから急激に増えなければ、これまで“多かれ少なかれ” 有機・エコロジー的な生産をしてきた農家に対する補助金がストップしてしまう。すると、費用の低い旧来の生産農法に再び戻ってしまう恐れが懸念されているのだ。

殺人鬼ナメクジに対抗するには・・・!

2007-07-28 11:29:31 | スウェーデン・その他の社会
殺人鬼ナメクジ(mördarsnigel)がスウェーデンで大繁殖し、農園や家庭菜園などで大きな被害をもたらしていることを先日書いた。
スウェーデンのナメクジ事情(2007-07-15)
ナメクジが大の苦手な私は、実はあの記事を書きながら、背筋をゾクッとさせていた。

しかし先週末、路面電車に乗りながらタダ新聞「Metro」を読んでいると、それ以上にゾクッとさせる記事を目にした。
------

「マルメでレストランを経営するDavid Kallósは、自分の家の庭のハーブ園を殺人鬼ナメクジに食い荒らされ、参ってしまった。ナメクジに対抗するには、彼らと同じ手を使うしかない、と彼は考えるに至った。そう、食用として食べてしまうのだ。挑戦の結果、ベーコン・たまねぎ・チリソースと共に美味しそうな『ナメクジ・トースト』が完成した。

- 私は普段から、食材そのものの性質を生かした料理を作ろうと心がけている。しかし、この『ナメクジ・トースト』はその逆で、食材そのものの味をいかに他の味で隠してごまかすか、に力を注ぐ羽目になった。

調理法:
① ナメクジを水洗いし、塩でもむ。その後、再び水を流し、ヌメリをできる限り、取る。
② 水に入れ、一度煮立てて、火を通す。
③ 水を入れ替え、今度はハーブ、たまねぎ、人参、酢と一緒に、一時間ゆでる。
④ 水を切り、一匹ごとに包丁で腹に切れ目を入れ、内臓を取り出す。
⑤ その後、みじん切りにし、サンドイッチの具として使う。」

食べている写真の下のコメント:ワインやビール、アクアビットがおすすめ!


だそうです。興味のある方、是非とも試して、感想をお聞かせください。でも、絶対に、ぜったーいに、私の目の届くところに実物を置かないでください。おねがいです!

SMSサラ金の暴利貸し

2007-07-27 07:13:03 | スウェーデン・その他の経済
スウェーデンでは日本ほど、サラ金・消費者金融があちこちに店を構えているというわけではないけれど、ここ1年の間に「携帯メールで気軽にすばやくお金を借りることができる!」というタイプの通称“SMS(携帯メール)ローン”を売り物にしたサラ金が急成長している。

テレビではあまりないけれど、民放ラジオを聴いていると、携帯メール・サラ金のCMがイヤというほど頻繁に流れる。あるサラ金は「Svenska folkets långivare(スウェーデン庶民のための融資企業)」というキャッチフレーズで、いかにも庶民の味方のようなイメージを強調しているが、どうやら実際は庶民を食い物にしているようにしか思えない。

この手のサラ金が急成長しているということは、つまり、一方で借り手がいるということ。しかし、この手のサラ金に手を出すのは、主に安定した所得のない若者が多く、ちょっとした軽い気持ちで借りた額が、短期間に膨らみ、返済不能に陥るケースが急増している。国の負債管財庁に登録されたケースは去年1年間で1400件だったものが、今年は4月末までに2600件を越えている。そのうち40%が25歳以下、さらに32%が26~35歳の若者だ。この調子で行くと、今年末までに10000件を超えると見られている。

面倒な手続きはない。携帯からメールを入れる。すると、15分も経たないうちに、指定された銀行口座に現金が振り込まれる。貸す側も、借り手の所得審査や、過去に未返済の負債があるか、といった基本的な審査をしない。

貸し手にとって、それだけリスクの高いローンということは、その分、利子も高く設定されている・・・はず!? でも奇妙なことに、広告では金利ゼロと書かれているではないか・・・! ここがミソ。利子は取らない代わりに、各種の手数料を取るのだ。例えば、下の図にあるように3000クローナ(約52000円)を5月始めに借りたとする。返済期間は1ヶ月。まず、貸出手数料として600クローナかかる。5月末までに全額を返済できればいいものの、これをオーバーすると、まず、督促手数料と利子が160クローナかかる。それでも半月以内に返済されない場合は、取立てを専門に行う企業に委託される。委託料を含めるとその時点で4400クローナになる。そして、その月の終わりに返済しようとすれば5500クローナ(約97000円)に膨れ上がっている。

だから、金利ゼロなんて真っ赤なウソ。1ヶ月以内に返済したとしても、実質金利は1ヶ月に20%、年率に換算するとざっと240%。2ヶ月以内に返したとすると、実質金利は2ヶ月で83%、年率換算500%

サラ金会社の中には「Pokerfinans」という名前の会社もある。ネット上の賭けポーカーのためのお金を融資する、という明らかにふざけた名前だ。賭け事のためにお金を借りて、大勝ちしてから返済すればいいなんて、甘い考えが実現した人は実際にどのくらいの割合でいるのだろうか・・・?

これまでサラ金はスウェーデンでは大きな社会問題にならなかったため、金利の規制や貸出の際の審査の仕方も、野放し状態だった(一応、消費者金融法(konsumentfinanslagen)という法律はあるようだ)。しかし、国もこの異常事態に気付き、国の機関である「消費者オンブズマン(Konsumentombudsmannen)」が、サラ金のある一社を暴利貸し(ocker)の疑いで市場裁判所(Marknadsdomstolen)に訴え、先日、裁判所の判断が下った。「CMにおいて、“素早さ”“容易さ”が余りに強調されすぎで、消費者金融法の規定に違反している」と、改善命令を出した。一方で、消費者オンブズマンが求めていた「CMにおける返済期間や実質金利の明示」については、それを規定する法がないとの理由で、改善命令は出されなかった。金利の規定についても、今回は含まれていない。

これ以上の規制は現行法のもとでは難しいようなので、あとは、立法が重い腰を上げる必要がある。とにかく、この馬鹿げた金利を抑えなくては!!!

再びスウェーデン人の手に戻るか? ボルボ乗用車部門

2007-07-26 07:32:24 | スウェーデン・その他の経済
スウェーデンの代表的企業Volvo(ボルボ)は、ベアリングを発明、商品化したスウェーデン企業SKFの子会社として1926年にヨーテボリで設立された後、次第に事業を拡張していき、当初の乗用車部門のみならず、トラック部門、バス部門のほか、建設機械、船舶エンジン、航空エンジン部門などを包括するようになった。

しかし、このうち乗用車部門は1999年にアメリカの自動車メーカーFord(フォード)に売却された。そのため、今では一口に「ボルボ」とは呼べなくなり、「ボルボ乗用車部門(Volvo Personvagnar (PV))」「ボルボ(Volvo)」を分けて呼ぶようになっている。

さて、乗用車部門を買収したフォードだが、フォード自体の業績は低迷を続ける。一方、買収された「ボルボ乗用車部門」は、その後も好業績を記録したため、ボルボ乗用車部門の利益の大部分が、親会社であるフォードに吸い上げられ、瀕死の親会社の止血をすることに貢献してきた。

しかし、肝心のフォードはそれでも業績が回復しないため、「ボルボ乗用車部門」を売却して、資本に換え、その上でアメリカ市場に専念したい意向を示しているのだ。同じくフォードの傘下にある高級車メーカーJaguarとLand Roverの売却は現在、既に進行中だ。

このニュースにスウェーデン、特に「ボルボ」及び「ボルボ乗用車部門」のそれぞれの本社があるヨーテボリは沸いている。ヨーテボリ人としては、「ボルボ」が再び「ボルボ乗用車部門」を傘下に入れ、スウェーデンの基幹産業の一つとして今後も安定した発展をさせてくれることを期待しているのだ。この可能性はなきにしもあらず、といったところか。

「ボルボ」のほかにも、潜在的な買い手の名が挙がっている。「Investor」というヴァッレンベリ財団の投資金融企業だ。ただ、このInvestorは既にスウェーデンのもう一つの自動車企業・サーブ(SAAB)の50%を所有しているものの、こちらの経営はあまりうまく行っていないので、今の時点でさらに別の自動車会社に手を出すとは考えられにくい。

他には、フランスの自動車メーカー「ルノー」が考えられる。ボルボとルノーは1970年代末以降、密接な提携を結んでおり、90年代初めには合併も考えられていたが、失敗に終わる。しかし、その後もルノーとの関係は強い。

もしくは、BMWが買い取る可能性もある。

さて、誰の手に渡ることになるのか・・・?
Fordが現在、提示している価格は80億ドルとのこと。誰か買いたい人、いませんか??

スウェーデン人の自然な気持ちとしては“スウェーデン人の手に再び戻り、スウェーデン企業として、ブランド名を強化して欲しい”といった所だろうか。しかし、重要なのは、そのような“経済(経営)ナショナリズム”(!?)よりも、今後もこの企業をしっかりと発展させ、国際競争力を維持させ、地元スウェーデン、そしてヨーテボリに安定した雇用を確保してくれる、そのような経営者の手に渡ることであろう。

子ツバメの初飛行

2007-07-23 08:31:35 | Yoshiの生活 (mitt liv)
私のアパートは5階建ての最上階なので、窓の上には屋根が突き出ている。毎年、春先、4月頃にツバメがこの軒下に巣作りを始める。やがて子供が生まれると、賑やかになる。子供の腹を満たすべく、親鳥がせっせと餌を獲りに出かける。

私の祖父母は、島根の松江にて戦後以降、お米屋を営んできたが、私が小さかった頃は、毎年、春になるとツバメが巣を作りに来ていたのを思い出す。巣を作るといっても、実は店の中。店の入り口の上の隙間から、ツバメが出入りするのだった。巣の周りには糞が散らかり、店を汚すものの、巣を壊してツバメを追い払うようなことはしなかった。ツバメが巣を作る家は、縁起がいいのだとか、そういう理由を聞いたような覚えがある。(そのおかげでか、自由化が進み斜陽産業となった米穀業でも、いまだに細々とではあるが、続けてこれたのかもしれない)

ツバメの子供は餌を求めて、朝早くから鳴く。だから、このアパートの軒下でも、親ツバメが引きっきりなしに、餌を取りに出かけては、舞い戻ってきて、子供に口渡しし、休むまもなく再び出かける。羽虫はツバメの餌の一つだが、羽虫は雨が近づくと、地上近くに集まるため(気圧の関係?)、ツバメも低空を飛行して餌を集める。だから、窓からツバメの飛ぶ様子を眺めていると、その日の天気が分かる。

親ツバメは狩りに出かけるとき、巣から真っ逆さまに直滑降する。わが身を重力にまかせ飛び降りるのだ。そして、スピードがつき、次第に浮力が生じてくると、体を起こし、フワリと上昇する。一定の高さに上昇すると、再び、滑降する。その姿がいかにも華麗で、ずっと見ていても飽きない。

見ながらいつも思うのは、そんな命がけの飛行法を子供ツバメはどうやって学ぶのか?ということ。高いところにある巣で育ち、いざ飛ぶことを学ぶとき、初飛行で失敗すれば、地面に叩きつけられそれで終わりだ。人間は、苦労に苦労を重ね、飛行機を発明したが、子ツバメはそれを最初の一度目で習得しなければならない。

そんなことを思いながら窓を眺めていると、今日は今年育った子ツバメが初飛行に発った所だった。子ツバメは真っ黒なので、腹が白い親ツバメと見分けがつく。数匹の子ツバメが群れをなして、アパートの前の空を飛びまわっていた。何度も何度も同じところを飛び回って、まるで翼の使い方を試しているようだった。ピー、ピーと何度も叫び、うまく飛べたことを喜んでいるようでもあった。

ツバメの巣立ちももうすぐだ。ということは、スウェーデンの夏ももう後半に来たということだ。

男性よりも女性の喫煙率が高い国・・・!?

2007-07-22 05:27:56 | スウェーデン・その他の社会
先進諸国からなるOECD(経済協力開発機構)の発表した健康関連の統計によると、喫煙率はスウェーデンが一番低いとのことだ。

この統計は、各国が発表しているものをOECDが集計したものなので、国により最新の統計が取られた年がまちまちなのが欠点だが、喫煙率は年ごとに大きく上下することはないので、この表から、先進国の大まかな傾向が見て取れる。


これを見れば分かるように、スウェーデンは先進国間で喫煙率が一番低い

スウェーデンの面白い特徴は、男性の喫煙率よりも女性の喫煙率が高いこと! 他の国はどこも男性のほうが喫煙率が高いか、もしくは同じだ。韓国のように男女間で40%ポイント以上も違う国だってある。なのに、スウェーデンは、男性が13.9%に対し、女性が18.0%と上回っているのだ。

これはおそらく「噛みタバコ」(スヌース)の普及のおかげだろう。スヌースとはタバコの草(葉?)自体を上唇と歯茎の間に挟んで、ニコチンを味わうというもの。喫煙の代わりにこのスヌースを愛用している男性の割合がかなり大きい。ティーバッグのように小袋に小分けされたものもあるし、自分で草を指先で固めるタイプもある。(このタイプのスヌースを使っている人は、指先が黒っぽく、しかも臭いのだ・・・)

スヌースはあまりお洒落でないと理由で、女性の間にはそこまで広まっていない。これが、男性の喫煙率が女性のそれより低い、大きな原因であろう。

ただ、最近はレストランやパブなど、屋内での喫煙が全面的に禁止されるようになっており、喫煙よりもスヌースを使う割合が女性の間でも今後増えていくものと思われる。

私みたいな嫌煙者にとっては、副流煙を吸わされることがないスヌースが喫煙を駆逐してくれることを望むばかり。タバコをする人間にとっても、スヌースであれば肺ガンのリスクは大きく減るであろう。ただ、健康被害はやはりニコチン摂取をする分あるらしい。例えば、唇の下にガンができたり、上唇と歯茎の間の穴が大きくなったり、などらしい。しかし、喫煙と違って、これはもっぱら本人の問題なので、私の知ったことではない・・・!

他の国の喫煙率を比較してみると、経済が発展し、教育水準が高い国ほど、健康に対する人々の意識が高まるのか、喫煙率が下がる傾向にあるように思う。

さて、日本はどうか? やはり、男性の喫煙率がかなり高い。「でも、最近はタバコを吸う女性も増えて困るよ」という声を聞いたことあるが、統計で見る限り、男性の喫煙率も女性の喫煙率も年々低下している。日本の喫煙率が国際的に見て高いのは、やはり男性の喫煙率が圧倒的に高いからなのだ。

OECD Health Data 2007
統計の抜粋

またもやEU指令・・・!?

2007-07-19 07:01:42 | スウェーデン・その他の政治
EU(ヨーロッパ連合)による欧州統合は、国家や民族を超えた一つの理想的な共同体の誕生、そして、ヨーロッパにおいて二度と戦争が起こらないようにするための一つの道具だとして、諸外国では賛美される。そのような見方にももちろん一理はあるのだが、EUに参加している加盟国やそこに暮らす人々にとっては、物事はそう簡単ではないようだ。

ヨーロッパの辺境に位置するスウェーデンでは、EUへの積極的な統合を求める声がある一方で、EUへの懐疑心も根強い。「スウェーデン人」というアイデンティティー加えて「ヨーロッパ人」というアイデンティティーを感じるか? という世論調査に対しても半分以上の人がNej!と答えている。ドイツやフランス、イタリアを始めとするヨーロッパ大陸諸国での出来事やニュースは、いくら同じヨーロッパ内とはいえ、やはりどこか遠い所の話、とスウェーデンでは感じられるし、福祉政策や家族政策・男女平等政策など、スウェーデンの持つ政治制度・社会制度には独自のよさがあるので、社会構造も政治システムも様々なヨーロッパの“平均”に統合されてしまっては大変、という思いがあるためだと思う。(それとは逆に、スウェーデンの福祉政策や高い税金などにうんざりしている人々は、むしろ欧州統合を訴えて、“ヨーロッパ並み”の福祉制度、税率に収斂してくれることを願っている。)

さて、EUに対するスウェーデン人の懐疑心を強めている一つの大きな要因は、欧州委員会が発する“EU指令(directive)”だ。欧州委員会は、いわば欧州議会に対する内閣のような存在である。欧州議会で様々な政策決定がなされる一方で、欧州委員会も“行政通達”のような形で、EU指令を加盟国各国に発し、有無を言わさず従わせる。すべての加盟国に一律に発せられるこのEU指令に対しては、加盟国それぞれの事情を考えていない!と、反発の声が起こることもよくある。特に、EUの目指す目標の一つが“EU市場の創出”であり、加盟国それぞれで作られたモノやサービスがEU全体で障壁なく自由に取引され、競争されることを目指しているため、EU指令も自然と経済の自由取引を重視したものになりがちで、それ以外の社会的側面などが考慮されていない、との反発も強い。

一つの象徴的な例としては、ギリシャでは賭け事への依存から国民を守るという目的で、スロットマシンなどのギャンブル機の流通が制限されていたが、EUはギャンブル機を製造・販売するEU内企業の活動や競争を疎外する、との理由で、この制限の撤廃をギリシャに求めたことがある。

EU指令に加え、EU裁判所の判決や判断も、加盟国を拘束する。例えば、以前もここで取り上げたように、EU裁判所でのある判決を根拠に、労働時間を制限するEU指令が数年前に発せられた。勤務シフトを設定する際の細かな規定や休暇の取り方などを上意下達的に制限するこのEU指令は、スウェーデンでは大きな批判を受けている。
以前の書き込み:公共部門の労働シフトはピンチ?-EUの新通達(2007-02-13)

(スウェーデンでは本来、労働市場に関する規定は労使間のコンセンサスで決められ、国の立法は極力立ち入らないようにされてきた。例えば、スウェーデンには法定最低賃金は存在しない。一方で、フランスなどは中央政府が法律に労働時間の取り決めや休暇、賃金について細かく規定する傾向にある。問題のEU指令もおそらくフランス的な考え方が背景にあるのだと思われる。)

さて、また新たにEUから通達が発せられた。今回は、EU裁判所が「スウェーデンのワインに対する課税がビールに比べて高すぎる」との判断を下したのだった。つまり、この“不平等な”課税のために、スウェーデン国内のビール生産業者が優遇され、国外のワイン生産業者が差別されている、というもの。

ただ、実際の税率を見てみると、ワインとビールに対する酒税はそんなに違わない。しかも、そもそもワインとビールを別々のcommodity(財)と見れば、異なる税率を課すことも間違ってはいないかもしれない。もしくは、そういうことを完全に抜きにしても、加盟国それぞれが自分たちの議会を通して決めたことに対して、それを越えたところからモノを言うのはどうなのか・・・。EU通達が発せられるたびにスウェーデンではこのような疑問の声が上がる。

もし、EUが域内市場の自由競争の観点から、このような通達や判断を下すのならば、批判の対象となっている加盟国の政策の背後にある目的なり意図なりを、しっかり考慮する必要がある、と思う。もし、この“不平等”とされるビールとワインの課税が、本当に国外のワイン流入を疎外する目的で課せられたものであったり、ギリシャのギャンブル機の規制がある特定の経済的特権を保護する目的で作られたものなら、EUの通達にも一理あるだろうが、もしかしたら、他の目的(社会的影響への考慮、etc)が実際はあるのかもしれない。そのような点への考慮なしに、上から一方的に規制や通達を発していては、EUの正統性も揺らいでしまう・・・。

スウェーデンのナメクジ事情

2007-07-15 20:10:29 | スウェーデン・その他の社会
スウェーデンに住んでいて、春から夏にかけてとにかく驚くのが、ナメクジ多さとその大きさ。日本のナメクジのように、白くて小さい、そんな可愛いものではなく、スウェーデンのナメクジは、黒~こげ茶でしかも大きい。雨が降って水を吸うと6cmくらいに大きくなって、道端の草むらから這い出して来るのだ!

本来、スウェーデンの在来種は、真っ黒のナメクジだったらしい。しかし、ここ数十年来、輸入される野菜(レタスなど)に引っ付いて、スペイン産のナメクジがスウェーデンへ入ってくるようになり、今では野生でも繁殖している。色は黄土色~茶色で、スウェーデンでは「mödarsnigel(殺人鬼ナメクジ)」として嫌がられている。

ちょっと、待って! 何も実際に人間を襲うのではなく、家庭菜園などで野菜や植物を何でも食い荒らす、という意味でこのような名前がついているのだ(ちょっと安心)。温暖化のために、スウェーデンも少しずつ暖かくなり、雨も多くなっているので、毎年のように大繁殖している。

スウェーデンでは、アパート住まいの人などが、郊外に家庭菜園を間借りして、花木や野菜などを栽培している。「コロニー」と呼ばれるが、多くの場合、家庭菜園だけでなく、小さな小屋を建てて、作業の合間にお茶したり、週末を過ごしたりする人もいる。


で、殺人鬼ナメクジはそのような家庭菜園で大暴れするのだ。一匹でも侵入すると、それが何百にも増え、緑のものなら何でも食べつくしてしまう。退治してもきりがない。新聞で投書をしていた人は、庭で一日に3キロも捕獲した、と書いていた。

先日の新聞に載った専門家のアドバイスによると、効率的な退治の仕方
・頭から5ミリほどの所で切って殺す。
・捕獲したのを一ヶ所に集めてから、煮え立ったお湯をかけて殺す。
・リン酸鉄の駆除剤を使って殺す。
・庭の周りに電流を流した鉄線を張って、水際で防ぐ。
・ビールを入れた罠を用意し、ナメクジをおびき寄せ、酔っ払わせ、溺れさせる。

だそうだ。さらに付け加えられたコメントでは、「1番目と2番目の方法は、ナメクジにとっても痛みが少なく一番いい。一番最後のビールで溺れさせるのは、痛みを伴いちょっとかわいそうかも・・・」と書かれていたので、笑ってしまった。

ちなみに、その「殺人鬼ナメクジ」がどんなものなのか、ここに写真を掲載しようと思ったけれど、試しに「mödarsnigel」と入れてGoogle imageで検索してみたら、画面上ナメクジだらけになって、吐き気をもよおしそうになったので止めました。興味のある方は下のリンクで試してみてください。
Google Image

さて、家庭菜園をやっている人に嫌なニュースが一つ。最近は、スウェーデンの在来種とスペイン産の殺人鬼ナメクジの交配も見られるようになり、それから生まれるハーフのナメクジ、「スーパー殺人鬼ナメクジ(supermödarsnigel)」は、殺人鬼ナメクジ以上に食欲旺盛で、何でも食べつくしてしまうのらしい。しかも、繁殖力もさらに強いらしい。くわばら、くわばら・・・

ルポ記事:エタノール生産の過酷な労働

2007-07-13 04:56:11 | スウェーデン・その他の環境政策
日本でもガソリンに代わる新しい燃料として、穀物やサトウキビなどから作るエタノールが注目されている。日本よりも早く導入したヨーロッパの国々やアメリカなどを見習え! といった報道も聞かれるが、エタノールにまつわる問題は数多くあり、あまり楽観的ではいられないような気がする。
以前の書き込み
エタノールへの懸念(2007-05-07)
スウェーデンにおけるバイオ・エタノールの普及(2007-04-09)

スウェーデンを始めとするヨーロッパの国々では、普通に販売されるガソリンの中にもエタノールが5%混ぜられている。EUは2010年までに加盟国各国がこの割合を5.75%にまで引き上げるという目標を掲げている。一方、石油販売会社のほうはそれ以上に意欲を燃やし、10%にまで引き上げる意向を示している。排ガスに含まれる二酸化炭素を抑制するのに効果を発揮するからだ。ただ、そのためにはEU域内でのエタノール生産を保護する目的で輸入エタノールに課せられている保護関税を撤廃し、EU域外からの大規模なエタノール輸入を可能にする必要がある

エタノールの問題点は、本来は食糧である穀物などを原料に使うことによる、穀物価格の上昇と、途上国の貧困への懸念、エタノールの原料生産のための農地拡大による熱帯雨林の伐採などが挙げられる。それに加え、プランテーションにおける劣悪な労働環境にも懸念の声が上げられている。
------
ここ地元の新聞「Göteborgs Posten(ヨーテボリ新聞)」6月24日付には、エタノールの最大の生産・輸出国であるブラジルからのルポタージュが載っている。
ルポタージュ記事

タイトルは「環境のためがゆえに奴隷として働く(Slavar för miljöns skull)」ブラジルのサトウキビ農園の劣悪な労働環境についてだ。収穫の時期になると、ブラジル国内の貧民を季節労働者として雇い、低賃金で長時間労働を強いているという話だ。

サトウキビの刈り取りは、ナタを使った手作業であり、1日に一人当たり12トンを収穫するというノルマが課せられている。時給は約230円。(12トンのサトウキビから960リットルのエタノールが作られる)

季節労働者は他に仕事のあてがないので、いくら低賃金でも集まってくる。そのため、エタノールから得られる収益のほとんどがエタノール精製工場やプランテーション経営者、季節労働者の仲買人のふところに納まり、労働者の分け前は全体のごくわずか。しかも、長時間の肉体労働のため、体を壊す者が続出し、現場では死者も出ている、とのこと(サンパウロ州だけで2004年以来19人)。しかし、雇う側にとっては、季節労働者の代わりはいくらでもいるから、労働環境を改善しようという動機は働かない。

サンパウロの州立大学の学者の調査によると、労働環境は19世紀のプランテーションのほうがまだマシだったとのこと。農場経営者も、プランテーションで働く奴隷に対して、長期的な投資やケアを行っていたという。当時の奴隷は体を壊して働けなくなるまで20年間、農場で働くことができた。しかし、現在では季節労働者は買い替えの利く部品に過ぎず、このような苛酷の環境の中ではせいぜい12年しか体が持たないという。また、1960年代の軍事政権時代でもプランテーション労働者の1日のノルマはせいぜい6トンだったのだが、今では倍増している。それもすべて、環境ブームによるエタノール需要の増大とコスト削減の圧力のためだという。
------

このような状況を、エタノール生産者業界はどのように考えているのか? このルポタージュを作成したGöteborgs Posten(ヨーテボリ新聞)の新聞記者は、生産者団体の代表にもインタビューをしている。その直前には、たまたま日本のテレビ局「ブラジル産のクリーン・エネルギー、エタノールで、今後日本の自動車社会がいかに脱石油を果たしていくか!」といった趣旨のドキュメンタリー番組を作るべく、取材に訪れていたという。そのため、この生産者団体の代表は超ご機嫌 :-) 続いてやって来たヨーテボリ新聞のこの記者にも「エタノールを積極的に導入してきたスウェーデンを、他の国々も見習って欲しいもの」とご満悦。しかし、そこでこの新聞記者が生産者側の倫理的責任を追及したもんだから、さぁビックリ・・・。
インタビュー記事

------
このように劣悪なプランテーション労働というのは、南米のように利益の配分や教育水準の分布が極度に偏っている国であれば、何もサトウキビ農園に限ったことではないのかもしれない。また、低賃金による労働集約的な刈り入れ作業を批判されたエタノール生産者は「高価な農業機械を導入すれば、生産効率は上がるが、高くつく上、1台で120人の労働者に相当する。つまり、その分だけ貧民の雇用機会を奪ってしまうことになる。」と説明している。「全く仕事がなく、生活の糧に苦しむよりは、劣悪でも雇用の場があったほうが彼らも助かる」との見方だ。

たしかに、その弁明にも一理あるかもしれないが、エタノール・ブームで着実に利益を上げているエタノール生産者や農場経営者の裏側には、ブームの恩恵を受けることなく、生産効率の上昇圧力のもとで、地盤沈下しているワーキング・プアの存在があることを、エタノールを使用している我々はどのように捉えるべきなのだろうか・・・? 環境のためにエタノール万歳!一辺倒で、果たしていいものかどうか、疑問が残る。エタノールの需要増大がもたらすマイナス面にもしっかり着目する必要があると思う。

ガソリン価格をリットル20クローナ(350円)に!?

2007-07-11 04:55:26 | スウェーデン・その他の環境政策
日本のガソリン価格はレギュラーで1リットル当たり114円~135円、場所によっては140円という所もあるようだ。ガソリン価格比較サイト

これに対し、スウェーデンの現在のガソリン価格は、11.9~12.5 SEK(210~220円)と日本の2倍近い。一方、エタノールE85はこれまでも何度も書いたように、政府の補助金のおかげで7.9 SEK(140円)に抑えられている。
例えばStatoil

さて、現在の中道右派連立政権も、環境政策には力を入れ、2020年までに温暖化ガス排出量を1990年比で20%減らすという目標を掲げている。現在の予想によると、2010年にはスウェーデンは4.4%減を少なくとも達成する見込みだが、20%減までにはまだまだ先は長い。特に、運輸部門からの排出が全体の1/3と大きな割合を占めている(そのうち90%が道路交通)ため、これをどう抑えるかが今後の鍵である。

環境問題や資源リサイクルなどの問題を考える上で、スウェーデンでは、消費者や企業の意識の変革に期待するよりも、むしろ彼らの経済インセンティブに訴えかけることで、生産・消費活動をより環境に負荷を掛けないものに変えていこうとしてきた。そのため、運輸部門からの排出削減のためには、二酸化炭素税やエネルギー税を有効に活用するのが効果的と考えられ、その結果、これまで徐々に引き上げられてきたのである(現在のガソリン価格のうち、6~7割を二酸化炭素税とエネルギー税が占める)。

これらの税のおかげで今の水準でも随分、ガソリン価格が高いと思われるかもしれないが、運輸部門からの二酸化炭素排出をさらに減らすべく、環境保護庁(Naturvårdsverket)は、ガソリンにかかる税をさらに0.75 SEK(13円)引き上げることを提案している。

一方、同じく国の機関である交通通信研究所(Sika=Statens institut för kommunikationsanalys)は最近発表された報告書の中で、ガソリン課税の引き上げによってリットル当たりのガソリン価格を20 SEK(352円)前後にしなければ2020年までに20%減、という目標は達成できない、と主張している。ガソリンの価格を少々上昇させただけでは、自家用車から公共交通へ切り替えたり、トラック運輸から鉄道運輸へ切り替えるインセンティブにはならない、つまり、経済学の言葉で言えばガソリン需要の価格弾力性(price elasticity)が小さい。だから、より抜本的な価格構造の変化が必要だ、というのだ。

この報告書が試算の際の仮定に使っている先行研究によると、ガソリン価格が10%上昇すればガソリン需要が短期的には3%減少するという。それに加え、この報告書では、車の使用そのものの減少だけでなく、環境にやさしい車(ハイブリッド、低燃費車etc)への買い替えの促進をも仮定し、ガソリン需要が長期的には8%減少すると想定している(つまり、価格弾力性が短期では0.3、長期では0.8)。
------
現在の環境大臣Andreas Carlgren(中央党)。現閣僚の中でもかなりアクティブに活動している(というか、労働市場政策やその他の改革が不人気で、現政権は支持率を着実に落としているので、内閣を率いる首相としては環境政策で挽回したい、という切実さもある)。彼も、ガソリンに対する二酸化炭素税とエネルギー税の引き上げは、環境保護庁の主張する0.75 SEKでは不十分と考えているらしく、この新しい報告書も積極的に考慮したい意向を示している。それと同時に、農村地域や過疎地域に住み、どうしても車に乗る必要がある人々に過大な負担がのしかからないように、住む地域によってはガソリン支出の一部を税金控除できるシステムを導入したいとしている(あっ、ちなみに彼の属する中央党は従来、農村部を支持母体としてきたという事情もある)。

一方、この中道右派連立政権の一翼をなすキリスト教民主党は、以前からガソリン価格の抑制を公約に掲げてきたのだ。だから、今ですら高いガソリン課税をさらに引き上げるなんて、もってのほか! と環境大臣(中央党)に食いかかっている。ちなみにキリスト教民主党は4%ハードルをぎりぎりクリアできるだけの弱小政党なのだが、一応、連立政権の建前、彼らを無視することはできないのだ・・・。

天然のヒラガキ(牡蠣)

2007-07-06 07:09:46 | スウェーデン・その他の社会
スウェーデンでも牡蠣が獲れる、ということを以前に書いたが、ヨーロッパ・ヒラガキは養殖ではなく自然のものが多いという。

スウェーデンの西海岸の海水は、比較的暖かいというものの、それでも牡蠣にとっては冷たく、生息のための限界ラインだ。しかも、水温の低さのために、一つの個体が繁殖するのは3年から5年に一回。

しかし、最近は温暖化のおかげ(!?)で海水が次第に暖かくなってきており、1995年以来ほとんど毎年のように繁殖しているという。牡蠣の漁師にとっては願ってもないこと!

気候変動のおかげで、旱魃、洪水、海面上昇、害虫被害など、多くの国が被害を被ることが予想される中、むしろ利益をえるとされるのが、スウェーデンなど北欧の国々。たとえば、このように農林水産業が活発になるといわれる。もちろん、それだからといって、温暖化万歳!というわけではないが。

牡蠣の漁師にとって残念なのは、消費者の好みが次第に小粒の牡蠣へと移っていっていること。以前であれば、直径12cm以上の大きな牡蠣が高値で取引されたという。海水温上昇のおかげでそのような大粒は今では収穫量の4割近くに達するというが、逆に市場で売れなくなってきたのだそうだ。むしろ、現代の消費者は、一口でペロリと食べられる小粒のほうがいいのらしい。皮肉な話だ。

デンマーク - スウェーデンの橋 Oresundsbron

2007-07-03 04:47:00 | スウェーデン・その他の社会
しばらくスウェーデンを離れていますが、少しだけ書きためておいた原稿を掲載していきます。
------

デンマークとドイツを結ぶ橋は、全長が19kmになることを書いた。

ちなみに、デンマークとスウェーデンを結ぶÖresundsbronが架かる海峡は全体で16km。しかし、全部が橋ではない。海峡の真ん中に、ちょうど東京湾アクアラインの「海ほたる」のような人工島を設け、半分を橋に、半分を海底トンネルにしているのだ。正確に言うと、スウェーデン側が橋になっており7.85km人工島の部分が4kmデンマーク側トンネル4.05km

スウェーデン側の橋と人工島が見える


私が初めてスウェーデンに来たときは、日本からまずドイツに飛び、ドイツ人の友達を1週間ほど訪ね歩いた後、ハンブルクからコペンハーゲン行きの電車に乗った。3両ほどの短い電車だった。今回、橋がかかる海峡ではフェリーに電車ごと乗ったが、フェリーにちょうど入る長さだった。そして、コペンハーゲンで、マルメ行きの電車に乗り換え、できたばかりのÖresundsbronを電車で渡った。

そして、初めてスウェーデンの地を踏んだのが、2000年の7月28日。もう少しであれから7年…