NIMBYという言葉がある。
「Not in my back yard」つまり「私の庭にはイヤよ」ということだ。
環境運動でよく引き合いに出されるジレンマは、自然エネルギーの普及のために風力発電所をもっと作りたい一方で、自然景観の保全を考えると風力発電所は望ましくない、というものだ。そんな「一般的な話として風力発電はとても良いと思うけれど、でも、うちの近くには作って欲しくない」という声を皮肉な形で表現したものがNIMBYというわけだ。
(ただし、いくら自分の家に近くても、その建設を自分が主体的に選択したものか、その建設によってマイナス面だけでなくプラス面も自分が享受できるか、などの要因によって受け止め方も異なってくるだろう。放射能リスクの認識の仕方と共通する面もある。例えば、自分が風力発電所の共同所有者となったり株主となって配当を得るという形であれば、反発の度合いも変わってくる。だから、NIMBYは実際にはもっと複雑な事柄をあまりに単純化した表現だ、と批判する声もある)
そんなNIMBYを逆手に取った広告をヨーテボリの電力会社が展開している(ヨーテボリはスウェーデン第2の町)。
首都ストックホルムの日刊紙の第3面を丸々使った大きな広告だ。
「ストックホルムの自然環境(景観)を守りたい? それならばヨーテボリで作られた再生可能エネルギーを買ってよ!」
写真で描かれているのは、ストックホルム市庁舎と並んで立つ数基の風力発電所。もちろんモンタージュ。市庁舎はストックホルムのシンボル的な存在であるから、こんなところに風力発電所を建てられたらストックホルムの住民は黙っていないだろう。それだったら、ストックホルムから遠く離れたヨーテボリの風力発電所で作られた電気を買ってちょうだい! というのが、この広告のポイントだ。
こんなキャンペーンができるのも、電力市場が自由化されており、スウェーデンのどこに住んでいようが、120近くある電力小売会社の中から選んで契約を結ぶことができるから。だから、この広告のように、首都ストックホルムの住民がスウェーデン第二の町ヨーテボリの電力会社から電気を買うことができる。そして、そんな電力会社をヨーテボリ市のように自治体経営でやっているところもたくさんある。
(少し細かい話をすれば、「ヨーテボリ・エネルギー」は市が株式100%を所有する発電会社(地域暖房などその他のエネルギーも扱う)。それに対し、この広告主は「ヨーテボリ・エネルギー」の100%子会社である「Din EL」という電力小売会社。ヨーテボリの風力発電といっても、市内ではなく郊外に建っている。一部では住民の反発があるのはここでも同じ。現在は沿岸部の工業地帯やその沖合いに大規模な風力発電所の建設を進めている)
言ってみれば、橋下市長が「大阪電力」を立ち上げて、東京の住民に「うちの電気を買ってよ。今なら、安くしときます」と宣伝しているようなもの。
「Not in my back yard」つまり「私の庭にはイヤよ」ということだ。
環境運動でよく引き合いに出されるジレンマは、自然エネルギーの普及のために風力発電所をもっと作りたい一方で、自然景観の保全を考えると風力発電所は望ましくない、というものだ。そんな「一般的な話として風力発電はとても良いと思うけれど、でも、うちの近くには作って欲しくない」という声を皮肉な形で表現したものがNIMBYというわけだ。
(ただし、いくら自分の家に近くても、その建設を自分が主体的に選択したものか、その建設によってマイナス面だけでなくプラス面も自分が享受できるか、などの要因によって受け止め方も異なってくるだろう。放射能リスクの認識の仕方と共通する面もある。例えば、自分が風力発電所の共同所有者となったり株主となって配当を得るという形であれば、反発の度合いも変わってくる。だから、NIMBYは実際にはもっと複雑な事柄をあまりに単純化した表現だ、と批判する声もある)
そんなNIMBYを逆手に取った広告をヨーテボリの電力会社が展開している(ヨーテボリはスウェーデン第2の町)。
首都ストックホルムの日刊紙の第3面を丸々使った大きな広告だ。
「ストックホルムの自然環境(景観)を守りたい? それならばヨーテボリで作られた再生可能エネルギーを買ってよ!」
写真で描かれているのは、ストックホルム市庁舎と並んで立つ数基の風力発電所。もちろんモンタージュ。市庁舎はストックホルムのシンボル的な存在であるから、こんなところに風力発電所を建てられたらストックホルムの住民は黙っていないだろう。それだったら、ストックホルムから遠く離れたヨーテボリの風力発電所で作られた電気を買ってちょうだい! というのが、この広告のポイントだ。
「環境にとって一番良いのは再生可能エネルギーで作られた電力だってことはみんな知っている。でも、おかしなことにできれば自分たちの近くで発電するのは勘弁して、と考えがち。そんなあなたにお勧めなのは、ヨーテボリ・エネルギー(ヨーテボリ市公営電力会社)の電力。私たちが一般家庭の消費者に販売している電力はすべて再生可能エネルギーによる電力だし、今なら価格もとってもお手頃。詳しいことは、わが社のホームページにアクセスして、環境に優しいキャンペーンのコーナーをのぞいてみてね。」
こんなキャンペーンができるのも、電力市場が自由化されており、スウェーデンのどこに住んでいようが、120近くある電力小売会社の中から選んで契約を結ぶことができるから。だから、この広告のように、首都ストックホルムの住民がスウェーデン第二の町ヨーテボリの電力会社から電気を買うことができる。そして、そんな電力会社をヨーテボリ市のように自治体経営でやっているところもたくさんある。
(少し細かい話をすれば、「ヨーテボリ・エネルギー」は市が株式100%を所有する発電会社(地域暖房などその他のエネルギーも扱う)。それに対し、この広告主は「ヨーテボリ・エネルギー」の100%子会社である「Din EL」という電力小売会社。ヨーテボリの風力発電といっても、市内ではなく郊外に建っている。一部では住民の反発があるのはここでも同じ。現在は沿岸部の工業地帯やその沖合いに大規模な風力発電所の建設を進めている)
言ってみれば、橋下市長が「大阪電力」を立ち上げて、東京の住民に「うちの電気を買ってよ。今なら、安くしときます」と宣伝しているようなもの。